私は「キアナ・カスラナ」ヒーローを目指すものだ   作:伽華 竜魅

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お、お待たせしましたぁ……





第33話 合宿三日目と肝試し。そして……。

 

 

 

 

三日目。

今日も今日とてサポートアイテムの特訓。大鎌やランスあたりはだいぶ使えるようになってきた。

 

「補習組! 動き止まってるぞ!」

 

「オ、オッス!」

 

「すいません…ちょっと眠くて…」

 

後ろのほうから相澤先生と補習組の声が聞こえた。そっちに視線を向けると、補習組が横一列に並んでいて、フラフラになっている。私だったら絶対寝落ちするよ。

 

「お前らもダラダラやるな。何をするにも原点を常に意識しとけ。向上ってのはそういうもんだ。何のために汗かいて、何のためにこうしてグチグチ言われるのか、それを常に頭に置いておけ」

 

原点……そういえば、私はヒーローを知って、個性が発現して記憶を戻ったとき、前世と同じ、この世界を私の望む完璧な世界に、だけどそれでいて美しい世界を守るために、完璧じゃない物語を、完璧な物語にするために、ヒーローを目指した。それが私の原点……。

 

「それより皆! 今日の晩はねぇ……クラス対抗肝試しを決行するよ! しっかり訓練した後は、しっかり楽しい事がある! ザ! アメとムチ!」

 

肝試しって……そういうイベントもやるんだ。合宿は。

 

「あぁ、忘れてた!」

 

「怖いのマジやだぁ……」

 

あ、耳郎そういうの無理なんだ。まあ、戦闘じゃない単純な幽霊とか肝試し、ホラー映像とかは私も無理だから、いや、前世でゾンビとかいたから何とも言えないけど……。

 

「イベントらしい事もやってくれるんだ」

 

「ハハッ……対抗って所が気に入った……」

 

「という訳で、今は全力で励むのだぁ!!!」

 

「「「イエッサアァーーー!!」」」

 

 

 

 

 

「弓って、結構力いるんだね。ふっ……!」

 

弓「影夜の羽」を構えて引っ張る。矢は私の個性「薪炎」で作って、ピクシーボブが作ってくれた土の魔獣に向けて放つ。まあ一発でやられましたよっと。……そういえば、理科とかの授業で、"炎は温度が上がると青くなる"って聞いたな……やめとこう。今は森の中だ。火事になったりして迷惑を掛けたくはない。相澤先生に怒られたくないし。

 

「太刀……」

 

重砲や太刀を持つと、芽衣先輩やブローニャを思い出す。確か、芽衣先輩はこうやって……左手で刀を持って、走り出すように体を構えて、右手で一気に抜けるよう持ち手に手を掛けておく。

 

「……ふっ!!!」

 

持ち手を素早く握り、魔獣とすれ違うように瞬時に動いて、抜刀と同時に斬った。魔獣は綺麗な断面を見せて崩れていった。太刀は普通に扱えるね。個性をうまく使えば、より使えるかも。

 

「ピクシーボブ! 魔獣いなくなったからまたお願いしまーす!」

 

「まっかせなさ~い!」

 

魔獣が次々と出てくる。私は虚数空間からサポートアイテムを出して、特訓を再開した。

 

 

――

―――

 

 

夕方。今回の晩御飯は肉じゃがなんだけど……。

 

「私だって料理できるのに……」

 

私はボソッと愚痴を言いながら、人数分のお皿を出して、使い終わった食器を洗っていた。

 

「……?」

 

……視線?振り返って空を見上げるが、何もない。オレンジ色に染まった空しかなかった。気のせいだったのだろうか?

 

「爆豪くん包丁使うのウマ!? 意外やわ……」

 

「意外ってなんだコラ包丁に上手い下手なんざねぇだろ!!」

 

「出た。久々に才能マン」

 

才能マン。うん、まさにその通りだね。爆豪はなんであんな性格と態度なのに手先は器用なんだ。実力は私のほうが全然上だけど。完成した肉じゃがはおいしかった。

 

 

 

 

 

そして夜。

 

「腹も膨れた、皿も洗った!お次は……」

 

「肝を試す時間だぁー!!!」

 

「「「「試すぜー!!」」」」

 

芦戸たちが盛り上がってる中、その背後に相澤先生がやってきた。

 

「その前に、大変心苦しいが……」

 

相澤先生がそう言った瞬間、補習組の動きがピタリと止まった。あぁ……これは……。

 

「補習連中は、これから俺と授業だ」

 

「ウっソっだっろオォォォォォォ!!!!?」

 

芦戸が相澤先生に対してタメ口が出ちゃうほどの勢いで驚いてた。なんなら目が飛び出てる。日中の訓練が思ったより疎かになっていたからと、補習組は相澤先生の捕縛布に縛り上げた。

 

「わぁー! 勘弁してくれー!」

 

「肝を溜めさせてくれー!!」

 

そのまま連行されるかのように去っていった。私はそんな補習組に手を振った。

 

「はい、というわけで脅かす側先攻はB組。A組は二人一組で三分置きに出発。ルートの真ん中に名前を書いたお札があるからそれを持って帰ること!」

 

何事もなかったかのように説明に入った。

 

「脅かす側は直接接触禁止で、"個性"を使った驚かしネタを披露してくるよ!」

 

「創意工夫でより多くの人数を失禁させたクラスが勝者だ!」

 

「やめてください汚い……」

 

虎の下品な説明に耳郎はツッコミを入れた。

 

「なるほど! 競争させることでアイデアを推敲させ、その結果、個性に更なる幅が生まれるというワケか! 流石雄英!!」

 

いや、ただただ訓練後のレクリエーション……気分転換みたいなやつじゃないの?真面目過ぎる思考はこうなっちゃうのか。んで、それぞれがくじを引いて行って、ペアが決まった。私は八百万とペアだった。

 

「よろしく八百万」

 

「よろしくおねがいしますわ。キアナさん」

 

「二人一組……あれ? 20人で5人補習だから……1、2、3、4、5、6、7、8……20人で5人補習だから…1、2、3、4、5、6、7、8…一人余る……!」

 

「くじ引きだから必ず誰かがこうなる運命だから……」

 

あ、緑谷はまさかの一人か。こういった系で一人は一番やだなぁ……。

 

 

一番。常闇踏陰・障子目蔵。

二番。爆豪勝己・轟焦凍。

三番。耳郎響香・葉隠透。

四番。八百万百・キアナ・カスラナ。

五番。蛙吹梅雨・麗日お茶子。

六番。峰田実・尾白猿夫。

七番。飯田天哉・口田甲司。

八番。緑谷出久。

 

 

てか、爆豪と轟がペアっておもしろすぎでしょ。爆豪露骨に嫌そうなオーラ出しまくって、尾白に変わるよう申し込んでるし。

 

「? 八百万なんかウキウキしてない?」

 

「肝試しなんて初めてでして! 怖いですけど、すごく楽しみなんです!」

 

お嬢様~……てか驚いて個性使わないようにしないとな。

 

「じゃあ、四組目はヤオモモキティとキラキラキティだよ! ゴー!」

 

「なんで私キラキラなんですか?」

 

「キアナのキと、カスラナのラで、キラキラ! んじゃ、ゴー!」

 

そうして、私と八百万は歩き出した。てかもう出発する前から耳郎と葉隠の悲鳴が聞こえるんだけど……。

 

「真っ暗な森ってやっぱ怖いなぁ……」

 

「そうですね。少し道を外してしまえば遭難もありえますし……」

 

え、そっちのこわさ?って思ったらなんか奥のほうで転がってるのがある。

 

「何でしょうこれは……」

 

「先に言ったペアたちの落とし物かな?」

 

そう思って二人で近づくと、それが何かわかった。だけど、気づいたときには遅く、それはこっちを向いた。

 

「ッ!?」

 

「キャアァァァァーーー!!!!!!」

 

B組の取蔭の生首だった。確か個性で体をバラバラにできるって聞いたから、それを使ってやったんだろう。私は怖すぎて声が出なくて、八百万は悲鳴を出しながら私に抱き着いてきた。取蔭の生首は笑いながら森の奥へと消えてった。怖すぎでしょ……。

 

「や、八百万…こっからは手をつないでいかない?」

 

「は、はい……賛成ですわ」

 

私と八百万は手をつないで移動を再開した。やっぱ怖すぎると声が出なくなっちゃうって本当なんだ……。

 

「これは……私と八百万の個性で、B組どもを腰が抜けるほどに驚かしてやらないと釣りに遭わないね……」

 

「そうですわね……マネキンなどで首などを創るのもアリですし、キアナさんの個性でならいきなり現れるなんてこともできますから」

 

「重装ウサギを使っていきなり化け物が現れた! って風にもできるしね!」

 

「いい案ですわ!」

 

二人で自分たちがやるときに驚かす側の際にやる作戦を立てていると、また耳郎と葉隠の悲鳴が聞こえた。この先もまだ怖いのものがあるってことだよね……身構えておかないと………。

 

「……?」

 

「? キアナさん、どうなされたんですか?」

 

「いや……なんか音がしたような……」

 

「音ですか?」

 

B組の誰かがいるのかなって思ったけど、何というか、音がおかしい。微かに聞こえる音は、何人かが私たちの周りをまわって、囲んでいるかのような動きがする。だけど、私たちの前と後ろは道だから、それが本当なら姿が見えてもおかしくない。だけど音はするのに姿は見えない……そう思ってた時、何かが横から飛んできた。私はそれをガードしたけど、突然すぎて吹き飛んでしまった。

 

「っ…!?」

 

「キアナさん!? こ、これは……」

 

顔を上げて前を見てみると、八百万の奥に、見覚えある"獣"がいた。なんで……なんでこの世界に……なんで……。

 

「なんで……"崩壊獣"がいるの!?」

 

「ほ、崩壊獣……?」

 

前世で倒していった敵「崩壊獣」。空の律者でシーリンが体を乗っ取ってた時は、召喚していたこともある。そんな奴がなんでこの世界にいるの…!?この世界に出てくるには、私の知る限りじゃ、私の虚数空間からでしか不可能なはずなのに……!!!

 

「――!!」

 

「ッ!」

 

崩壊獣は八百万を無視して私へ急接近して攻撃してきた。私はそれを避けて八百万のもとへと移動する。

 

「八百万逃げて。こいつはマズイ……!!」

 

「キアナさん、これは一体どういう……」

 

「簡単に言えばヴィランだよ。こいつ以外に何人かいるかもしれない。八百万は近くにいるB組のみんなと合流して!!」

 

「キアナさんは!?」

 

「私はこいつを足止めする!」

 

虚数空間から太刀「神罰の鍵」を出して、崩壊獣へと斬りかかる。崩壊獣はそれを受け止めるが、すぐに切断して、そのまま崩壊獣を真っ二つに断ち切った。だけど、まだ何匹いるかわからない。もしこいつらが私たちを狙ってるなら、対抗できる私がどうにかするしかない!!!

 

「行って!! そして先生かプッシーキャッツたちに知らせて!! 私も隙を見て逃げるから!!」

 

「わ、わかりましたわ!!」

 

八百万は通った道を戻り走り出した。それと同時に崩壊獣が次から次へと出てきた。

 

「狙いは私ってこと? ただ暴れるってわけじゃなさそうだね……」

 

神罰の鍵をしまって、チャクラム「ドリームラダー」を取り出す。

 

「けど私は負けない。私は……最強だから!」

 

崩壊獣たちが一斉に襲い掛かってきた。私はそいつらを倒していく。崩壊獣は確かに強いし手ごわい。仮に他のみんなが遭遇してももしかしたら倒せるかもしれない。だけど、少なくともこいつらは今私しか狙ってない。全員を狙ってるなら、八百万を追いかけてもおかしくないはずだ。瞬間、焦げ臭いものを鼻に感じた。遠くのほうを見れば黒煙が上がっている。そこから微かに青い光も。これで確信した。これはヴィランの襲撃だと。虚数空間でスタート地点に戻って報告もいいが、こいつらを野放しにしておけない。

 

『皆!!!』

 

「ッ!」

 

マンダレイのテレパスが聞こえた。

 

『敵二名襲来! 他にも複数いる可能性アリ! 動ける者は直ちに施設へ!! 会敵しても決して交戦せず撤退を!!』

 

マンダレイたちのほうにヴィランが!でも二名って言ってた。つまり向こうに崩壊獣はいないってことだ。つまり……。

 

「私狙いってのは確定ってことだね!!」

 

崩壊獣を一気に倒していく。だけど減っていかない。倒しても倒しても出てくる……何が目的なんだ……。

 

「ふっ!!」

 

森だと動きずらい。それに、八百万やみんなの状況が分からない……なら!

 

「上に!!」

 

私は浮遊で一気に上昇。夜の空へと飛びあがった。下を見れば、崩壊獣たちが追いかけてきてる。そして森を見れば、それぞれが大変なことになってた。一つの場所には青い炎が燃え上がっていて、もう一つの場所には紫の霧のようなものが渦を巻いている。

 

「最悪の事態……っ!!」

 

それにしても崩壊獣がしつこすぎる!!なら!!ドリームラダーをしまって大剣「劫滅・無限」を取り出し、「薪炎」を付与させる。

 

熱炎粉塵!!

 

崩壊獣たちをすべて焼き付きながら断ち切った。

 

「よし、早くみんなのところに……」

 

だけど生き残っていた崩壊獣たちが押し寄せてきて、私を抑え込んできた。

 

「邪魔!!!」

 

亜空の矛や真理の境で攻撃して崩壊獣たちを倒していく。よし、早くみんなの所に……。

 

 

 

「無駄な抵抗はしないでほしいですね」

 

 

 

「は?」

 

女性の声が聞こえたと思った瞬間、私は顔から叩き込まれて、地面にそのまま激突した。そこまで重いのは入ってない。立ち上がり上を見上げれば、そこに一人の少女がいた。そして私は驚きを隠せないでいた。だってそこにいたのは……。

 

「……"ベラ"……!?」

 

審判型崩壊獣「ベナレス」。その人型形態の、"ベラ"がいたのだ。

前世と変わらない氷結のような所々乱れた長い髪に、肌の露出が激しい服装。エネルギーで出来ているドラゴンの翼。違う点を言えば、彼女の左目(私から見て右目)が元々の青い瞳とは反対で、赤い瞳に染まっていた。

 

「キアナ・カスラナ。我らが"王"の命により、あなたを拉致します。無駄な抵抗はやめてください」

 

「……本当にベラなの?」

 

「ベラ? 誰ですかそれは。私は"ベルナ"という立派な名前があります」

 

"ベルナ"……明らかに前世の人物と全く同じ人物……いや、それは見た目と能力だけで感情……魂は全くの別人……簡単に考えればこいつらは……"この世界の崩壊獣"ということかな……?

 

「しかし、さっきの一撃で気絶させる予定でしたが、以外にもタフなんですね」

 

「あんなんで気絶してちゃ、ヒーローなんてなれないからね」

 

亜空の矛を出して、いつでも反撃できるようにしておく。最悪、虚数空間で見える範囲でみんなのところから遠ざける。

 

「私言いましたようね? 無駄な抵抗はやめてくださいって」

 

「逆に言わせてもらうけど、拉致すると言われて、はいわかりましたって返事する人がいるとでも?」

 

「はぁ、仕方ありませんね……行ってください」

 

ベルナの言葉に反応して、崩壊獣たちが一斉に襲ってきた。私は亜空の矛でそれらを倒していき、空の律者に姿を変えた。

 

「それがあなたの覚醒した際の姿ですか」

 

「そういうあんたたちは、何者なわけ!?」

 

劫滅・無限に空を付与させて、ベルナに斬りかかる。だけどベルナはそれを両腕で防いだ。

 

「ッ!?」

 

「そうですね。特別に話してあげましょう。私たちは何十年、何百年と、私たちの"王"が、もしくは"新しい王"が目覚めるのを待っていました。そしてついに目覚めたんです。我らが"王"が!」

 

両腕でそのまま劫滅・無限を押し切り私ははじかれた。その隙を狙ってきた崩壊獣たちはすぐに断ち切っていった。

 

「ですが同時に違和感を覚えました。"王"と同じ、いや、それ以上の存在がいることに」

 

「それって……」

 

「えぇ、あなたですよ。キアナ・カスラナ」

 

ベルナは私に指をさしてくる。この隙に私は劫滅・無限に、空とさらに識を付与させる。

 

「私たちはどちらに着けばいいのかわかりませんでした。ですがある日、"王"が自ら呼んでくださった。そして、私たちにこう言いました」

 

 

 

―――

 

 

『お前たちは俺のしもべだ。この世界を破壊崩壊させるための。そして、お前たちも感じるもう一つの存在、そいつは……敵だ。この世に存在しちゃいけない敵だ。一緒にそいつを殺して、この世界を壊そうじゃないか』

 

 

―――

 

 

 

「そうしてようやく、自分たちの"王"がどちらかが分かった。"死柄木弔"。彼こそが我らが"王"にして、この世界の破壊者にして、"律者"なんです!」

 

「ッ!?」

 

"律者"………メイ博士の言っていた仮説が、本当になった瞬間を感じた。その隙を狙われて、私は崩壊獣たちに取り押さえられて、劫滅・無限がベルナの目の前の地面に突き刺さった。

 

「くっ!」

 

抵抗して攻撃がをするが捨て身で防がれてる。崩壊獣はともかく、このベルナは私と互角の強さってことだ。ベルナは劫滅・無限を引き抜いてまじまじと見つめている。

 

「これらもサポートアイテムでしたっけ? 今の時代は進歩しておりますね。せっかくです。こちらはもらいますね? "王"の手見上げにはちょうどいいですし……。」

 

ベルナはどうやったのか、劫滅・無限を握りに直すと、劫滅・無限が光に包まれて消えた。

 

「それと、あなたはしばらく寝ていてもらいます」

 

ベルナが手刀で気絶させて来ようとした時、私は薪炎の律者に姿を変えて周囲を吹き飛ばした。

 

「(別の形態!? 一人で"複数の律者"を持っているということですか……!?)」

 

虚数空間から、大剣「天火大剣」と「涅槃の剣・スルト」を取り出して、大剣を片手ずつ持って、二刀流にする。

 

「そう簡単にやられるわけないでしょ!!」

 

一機に距離を詰めて、涅槃の剣・スルトで縦に攻撃する。ベルナはそれを両腕で防ぐけど、そのまま吹き飛んだ。

 

「(さっきよりもパワーが上がってる!? まさか、今までは本気じゃなかったってことですか!?)」

 

私は畳みかけずに距離を詰めて、天火大剣で横に斬りかかる。ベルナはそれを間一髪で避けて、両手の手のひらを突き出しす。そこから青いエネルギーが溜まっていっていた。

 

氷爆(ひょうばく)(かい)!!

 

そのエネルギー弾は私のお腹に命中する。だけどその直前にキューブ・シールドでお中を中心に展開していたおかげで、ダメージなし。だけど吹き飛ばされてしまった。すぐに体勢を立て直して着地する。そして周りを見れば、所々木々が凍っていて、その凍ってる部分だけが崩壊していった。

 

「なるほど……これは、"王"が殺したくなるのもうなづけますね。その力は危険すぎる」

 

「はぁ!!!」

 

「ッ! (またさっきよりも早くなっている!? "王"の言う"先生"という人が、拉致してこいと"王"に頼み、"王"はそれをしぶしぶ承諾しておりましたが、こいつは今ここで殺したほうがいい気がする……ですが!! "王"の命令は絶対!!)」

 

ベルナは崩壊獣二匹と一緒に突っ込んできた。私は両方の大剣に薪炎を付与させる。二つとも刃から炎が漏れ出した。周りの木に燃え移っても操って火事にならないようにしつつ、こいつらを断ち切る!!!亜空の矛で先に二匹の崩壊獣を倒して、私たちは互いに距離を詰める。

 

 

氷爆(ひょうばく)桜花氷燐(おうかひょうりん)!!

 

熱炎(ねつえん)紅蓮(ぐれん)断烈(だんれつ)!!

 

 

青白い氷結のようなエネルギーと、赤とオレンジ、たまに黒が漏れ出している炎のようなエネルギーがぶつかり合った。その衝撃により周囲の森は一気に燃えたり凍ったりして、吹き飛んでいき、私たちを中心としてさら地になっていった。その衝撃によってベルナは吹き飛んでいった。

 

「ッ」

 

「うぐっ……これほどとは……!!」

 

薪炎を最大まで出してはいないけど、それでもこの火力に互角にわたって、それでいてある程度傷は付いてるけど、ベルナは強いってわかる。死柄木が本当に律者になってるなら、その影響で強くなってる可能性だってあるし……そう思ったとき、地鳴りのようなものが聞こえた。今のはなんだ?誰かの個性?

 

「どうやら連合のほうも、暴れてるようですね。時間限られているのと、アナタが強すぎるので、そろそろ本当に拉致させてもらいますよ」

 

ベルナはそういうと、エネルギーの翼を広げた。向こうもガチになってるってことだ。幸いなことは、ベルナ以外の崩壊獣たちは、今の衝撃で全員が倒されたことぐらいだ。瞬間、マンダレイのテレパスが聞こえた。

 

『A組B組総員―――プロヒーロー・イレイザーヘッドの名に於いて戦闘を許可する!!』

 

相澤先生が戦闘許可を出したようだ。もう遅いだろうけど、渡したとっくに戦闘に入っている。けど、これでみんなが個性を使って自身を守ることができるなら、少しだけ気が楽だ。だがそう思ったのもつかの間、衝撃の内容のテレパスが聞こえた。

 

『ヴィランの狙い! そのうちの二つ、狙いは、"かっちゃん"とキアナさん!!』

 

「…は?」

 

私はだけじゃなくて、爆豪も狙ってるの!?

 

「あんたら……私だけじゃなくて、爆豪まで狙ってるの!!?」

 

「バクゴウ? あぁ、メインターゲットの一人、爆豪勝己さんですか? えぇ、"王"が求めているので、まあ私はあなたの拉致を優先するよう言われておりますので、あちらは"開闢行動隊"に任せてます」

 

『かっちゃんとキアナさんはなるべく戦闘を避けること! いいね!? かっちゃん! キアナさん!!』

 

戦闘を避けろって……でもこいつは…!

 

「何を一人でブツブツ言ってるんです……かっ!!」

 

「あっぶなっ!?」

 

距離を詰めてきて、殴ってきた。私はすぐに両方の大剣をクロスさせてガードした。やっぱり、そこらのヴィランやI・アイランドのヴィランよりも全然強い……!むしろここまで渡り合うことができるのに驚きだ。

 

氷速(ひょうそく)(いかづち)

 

ベルナが青白の雷を放ちながら高速で動き出した。飯田以上に速い!!だけど!!

 

「ここ!!!」

 

振り返り、涅槃の剣・スルトで攻撃する。ベルナはそれを咄嗟に防御した。

 

「どれだけ強いんですかあなた…! 予定ではもう拉致してるはずなんですけど……!」

 

「お生憎様。私は最強だから、拉致なんてされないよ!」

 

そのまま一気にベルナを吹き飛ばす。早くコイツを倒して爆豪の護衛に向かわないといけない。"かっちゃん"って名前からして、情報を入手したのは緑谷。きっとあの地鳴りのような音も緑谷の仕業なんだろう。もう回りなんて関係ない。出してすぐに炎を操れば大丈夫なはずだ。天火大剣と涅槃の剣・スルトしまって、四つのクリスタルをどこからともかく出して、一つにして「薪炎王剣」を生み出す。そして、一気に火力を集中させる。

 

「(ッ!? さっきよりも雰囲気が……)」

 

火炎……

 

「(これは…ッ! マズすぎる!! 防御を――)」

 

抜剣!!!!!!!

 

四つの光と、漏れ出す炎とともに、薪炎王剣を思いっきり振って、火炎抜剣を最大火力で放つ。ベルナを飲み込んで、はるか先の森まで一気に炎が拡大しながら飛んで行っている。そして、巨大な大爆発が起こった。

 

「ふぅ…炎を!!」

 

すぐに左手を上に掲げて、火炎抜剣で燃え上がった炎をを操り、左手に集めさせる。手ごたえはあった。これでやられたはず……

 

「今のは……間一髪でした」

 

「ッ!?」

 

背後から声が聞こえて、振り返った瞬間、ガスのような何かに顔が包まれた。瞬間、眠気が襲ってきて、耐えることができず、律者の姿が解けて、意識を手放した。

 

「…ッ。本当に間一髪のギリギリでしたよ……あんな、土地の形を簡単に変えてしまう火力を……平然と出すなんて……とんだ化け物ですか……」

 

ベルナの姿は、肌が出ている部分はキアナによって焼き焦げてしまい、そこから白い冷気が出ている。片目も閉じて、髪も一部は焦げていた。

 

「(外と内から同時に冷気を出していないと、肉が完全に焼けて、塵になりますねコレは。身体を無理に動かすと意識も持ってかれそうになりますし……それに、せっかくの髪も台無し……)まあいいでしょう……これで目標の拉致は完了です……」

 

ベルナはキアナを抱き上げて、翼を出してある場所に飛んでいった。

 

 

 

 

 

同時刻。

ある場所に、連合が次々と集まっていた。連合たちの上に、四人の影が落ちてきた。

 

「かっちゃんを返せ!!!」

 

それは、人間弾となって飛んできた轟、障子、緑谷の三人と、連合の一人、仮面をかぶり顔を隠している男だった。

 

「おいおいおいおい……! 知ってるぜこのガキ共!! 誰だ!?」

 

「Mr.、避けろ」

 

「了解…!」

 

Mr.と呼ばれたは自身を球体にして皮膚が焦げた男は、青い炎を放つ。緑谷、轟、障子の三人は回避をするが、避けれたのは轟のみ。緑谷は負傷した右腕を、障子は左腕が焼かれてしまった。

 

「いってて……飛んで追ってくるとは! 発想がとんでる!」

 

「爆豪は?」

 

「勿論……ん?」

 

Mr.は右ポケットをあさる。だが爆豪が入った球体が無い事に気付いた。すると障子が指摘した。

 

「二人とも、撤退するぞ! 今の行為で確信した。なんの個性かは分からんが俺たちに見せびらかしていたものは、右ポケットに入っていたこれが爆豪だろう? エンターテイナー!」

 

「でかした! 逃げるぞ!!」

 

「うっ…うん!!」

 

三人は一斉にそこから離脱しようと走り出す。だがそこに、キアナを抱えているベルナが連合たちの前に舞い降りてきた。

 

「そちらの目標は終わったのですか?」

 

「あ? お前は……もしかして死柄木のしもべか? 随分とボロボロだな」

 

「こちらのターゲットは確保しました…ですが予想以上過ぎるほどに強かったせいで、私もギリギリの状態です…私は早く回復に移りたいですよ…」

 

「「「ッ!?」」」

 

三人はその言葉を耳にし、振り返る。そこには、ベルナに抱えられて眠っているキアナがいた。

 

「キアナさん!!!!?」

 

「まずい!!」

 

「くっ!!」

 

三人は一斉に方向返還し、再度連合たちのほうへと向かう。その際、Mr.は口の中から、爆豪が閉じ込められている球体を見せた。瞬間、障子の持っていた球体はもとの形に戻る。そこには轟の放った氷が出現した。そして、黒霧が現れる。連合とベルナは黒霧のワープゲートに入っていく。

 

「さっさと行きますよ。"荼毘"さん、"Mr.コンプレス"さん」

 

「そんじゃあ、お後がよろしいようで」

 

ベルナと抱えられたキアナ、Mr.コンプレスは黒霧のワープゲートに入り姿を消した。荼毘は轟を見ていた。

 

「哀しいなぁ……轟焦凍」

 

「キアナさん!! かっちゃあぁぁぁぁぁん!!!!」

 

皮膚が焦げた男も姿を消し、ゲートは閉じられ、黒霧も姿を消した。キアナと爆豪は、ヴィラン連合に拉致されてしまった。

 

「あ……っ…ああぁぁぁあああぁ!!! くっそおぉぉぉぉぉ!!!!」

 

緑谷は悔しさの余り、その場で雄叫びを上げた。

 

 

――

―――

 

 

その後、ブラドキングの連絡によって警察や救急車が到着した。

 

生徒の40名のうち、ヴィランのガスの攻撃によって意識不明の重体が15名。重・軽症者12名。無傷で済んだのは11名だった。そして、行方不明2名。

六人のプロヒーローは一人が頭の傷で重体。一名が大量の血痕を残して行方不明。ヴィラン側は三名の現行犯逮捕。彼らを残して他のヴィラン連合は全員姿を消した。

 

こうして、林間合宿は最悪の結果に終わってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???

 

「"先生"、先に彼女の血液とサンプルをある程度回収しておきたい。"脳無をより強化"できるかもしれんからのう」

 

「わかったよ"ドクター"。その後に彼女の"個性を貰う"ことにするよ」

 

固くボロボロの布の上に横になり、眠っているキアナの横に、二人の男がいた。

 

 

 

 





はい。なんで復活したのにやられてんだよって思いますよね……下のキャラ紹介の部分である程度書いておりますが、簡単に言えば、キアナと"互角の敵"ってわけです。それとキアナをどうっっっっっっしても!拉致させたいっていう思いがあったんです!!言ってる分にはやべぇ奴ですねw。
もし拉致されなかったら、この先のストーリー的にちょっと難しいかもしれないんですよ。AFOがどうなるかのことも書きづらくなるからですね。まあ自分なりに考えた結果、こうなったって感じです。自分でも、頑張って考えて縫い付けた感じ何で、そこの所理解してくだされば幸いです。


崩壊獣(ヒロアカ世界バージョン)。
シベリア方面に生息しており深い眠りについていた。だが死柄木が律者への覚醒が始まったことにより、その眠りから覚める。
外見などはほとんど崩壊世界の崩壊獣と同じだが、"崩壊世界ではなく、ヒロアカ世界の崩壊獣"である。←ここ重要です。


審判型崩壊獣「ベルラス」。人型形態「ベルナ」。
崩壊獣たちとともにシベリア方面に深く眠っていた。
ドラゴン、人型の姿は崩壊世界と同じ。だが、こちらも"崩壊世界ではなく、ヒロアカ世界の崩壊獣"なため、崩壊世界とは別人設定。人型の際、崩壊世界と違う点を言えば、ベルナの左目は赤色に染まっている。
口調は常に丁寧口調。能力は氷を得意としている。死柄木に対しては忠誠を誓っており、「王」「陛下」という呼び方で呼んでいる。それ以外の死柄木の仲間には基本さん付け。

再確認すると、
崩壊世界では審判型崩壊獣「ベナレス」。人型形態「ベラ」。
ヒロアカ世界では審判型崩壊獣「ベルラス」。人型形態「ベルナ」。

崩壊獣の強さは、脳無より強い個体もいれば、弱い個体もいる。
ベルナは、キアナに完璧に勝てるってわけではないが、互角にやり合えることはできる。
今回で言うなら、キアナが必殺技を放って、やられたように見せかけ、隙をついて背後から催眠ガスの能力を直接浴びさせることで、勝利したような感じ。ベルナ本人はめっちゃギリギリの状態で、キアナはそこまでやられてないけど、眠らされたから負けたって感じです。

俺の記憶だと、キアナとベラの面会はなかったと思うですけど(多分)、そういう細かいところは気にしないでください。まあ、状況の説明で書いたみたいな感じですぅ……。


熱炎・紅蓮の断烈(ねつえん・ぐれんのだんれつ)。
薪炎の力を二本の大剣付与させた状態での炎技。温度はとても高く、威力は火炎抜剣よりちょい下ぐらい。



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