私は「キアナ・カスラナ」ヒーローを目指すものだ   作:伽華 竜魅

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本当にいろいろと教えてくださって、まことに感謝しております。ありがとうございます。

キアナが捕まったのは、この先のストーリーを進めるための致し方ないことです。理解していただけると幸いです。






第35話 悪夢の始まり。目覚める"崩壊"と今を歩む"崩壊"。

 

 

 

 

揺れ動く吊り手。誰もいない空間。窓から見る外は、かつての世界が、幕を閉じた物語の舞台が見える。そこは電車の中。その電車の中に、「薪炎の律者」の姿をした少女が持たれながら立っていた。片手には端末があり、その端末には、かつての物語が、第三者視点で映っている。今電車はどこに向かっているのだろう?なぜ少女がただ一人でその電車に乗っているのだろう。そして少女は思った。

 

なぜ自分は別世界とは言え、再びキアナ・カスラナとして生まれて、律者の力があるのだろうと。

 

そしてなぜ現世の世界にいる律者と敵対関係なんだろうと。

 

 

「簡単な話さ。あの世界は"君の存在を否定している"」

 

 

少女は声がしたほうに視線を向ける。そこには一人の金髪の男が、ワイングラスを持って座席に座っていた。

 

「本来、あの世界は僕たちの世界とは一切関係のない世界であるんだ。言わば君は、よそから来た律者。あの世界からすれば、よそ者が不法侵入したようなものだ」

 

男はそう言うと、グラスに入ったワインを飲む。

 

 

「つまり敵!」

 

 

二人の間にいきなり、人形の少女が入ってきた。

 

「またまた会えるなんて驚きだね! 驚いたでしょ? 私は驚いた! 夢の中とは言え会えるなんてね!」

 

同時に、電車内についているモニターからも、一つ目の映像が映りだす。

 

「……」

 

「本当に、こうしてまた君に会えるとは思えなかったよ。だが、それも本当の本当に…これが最初で最後だろうね。なんせ、君に取っては"僕たち全員、過去(前世)"なのだから」

 

男が姿を消す。

 

「本当の本当にさよならだね」

 

人形が姿を消す。

 

「……」

 

映像が消える。そして、少女は電車の先を歩き出す。だが途端、少女は歩みを止めてる。

 

 

「それでも、あの世界で生きていくのか?」

 

 

少女の後ろには、もう一人同じ顔をした少女、否、「空の律者」がいた。「空の律者」のその瞳は黄金だった。そんな「空の律者」がそう問いかけた。それに対して少女は振り向き、口を動かした。だが何を言ったのかはわからない。

 

「そうか……なら私は、何も言うまい」

 

「空の律者」は姿を消す。そして電車内にいたはずの場所がある屋上へと変わった。朝日が昇り、辺りが明るくなって言っている。少女は隣を見るが、そこには誰もいない。だが少女は目を瞑り微笑む。そして、扉へと歩き出した。ドアノブに手をかけて、扉を開きその先に進んだ。その先には、これまで少女は歩んでいった物語という名の道が振り返り、逆走という形で続いていた。

 

その道を進む中で、少女は姿を「空の律者」「天穹遊侠」「試作型第四代戦乙女装甲」「彷徨う旅人」へと変えながら進んでいく。

 

そして、雪が積もっている森へと変わった。少女の姿は小さくなり、幼い幼少期の姿へと変わった。服装も温かな恰好になっている。前の夜空には月があり、後ろには地球がある。星々がキラキラと輝いていてとても美しい風景でもある。少女は目を細めて、今一度懐かしさに浸る。

 

 

 

 

 

だが突如、少女の後ろから崩れる音が響き渡った。少女は後ろに振り込えると、そこには同じ空間や地球などはなく、黒い靄のようなものが立ち込める空間があった。

 

『フム……触れさえすればすぐに奪えるんだが、ここまで時間がかかるのは始めてだ』

 

そしてその空間に、スーツを着た男が立っていた。

 

「…誰?」

 

少女……キアナはそう吹いた。

 

『ん? ッ! これは驚いた! まさかこの精神世界で会話ができるとは!』

 

その男はゆっくりと歩み、キアナに近づいて行っている。その男の顔は口しかなかった。

 

『初めましてキアナ・カスラナ。僕の名前は"オール・フォー・ワン"』

 

「"オール・フォー・ワン"?」

 

"オール・フォー・ワン"。"みんなは一人のために"。そんなオール・フォー・ワンの周りの黒い靄のような空間がゆっくりと侵食して行っていた。

 

「何をしているわけ?」

 

『個性を貰っている最中さ。君の個性は実にいいものでね』

 

"オール・フォー・ワン"。個性「オール・フォー・ワン」。「他者から個性を奪い使うことができる。そしてその奪った個性を他者に与えることもできる」という個性を持っている。そんなオール・フォー・ワンは、キアナの(個性)を奪おうとしていたのだ。それに対しキアナはすぐに気づいた。

 

『僕が君に目を付けたのは、弔が君を"神"と言った時、そして体育祭で君の戦いを見た時だ。体育祭には、"ワン・フォー・オール"……"オールマイトの後継者"も探していたんだが、君のほうに注目したよ。個性が一つでありながら複数の力。まさに"神"。それさえあれば、"ワン・フォー・オール"も僕の物となるだろう!』

 

「"ワン・フォー・オール"?」

 

"ワン・フォー・オール"。"一人はみんなのために"。

 

『そんな僕の為にも、弔のためにも、君の力は欲しいんだよ』

 

黒い靄のような空間がさらに侵食して行く。キアナは、一度目を瞑って、ゆっくりと開ける。その瞳は「空の律者」でも、「薪炎の律者」の瞳でもない。紫に輝いている。

その小さな幼い姿のキアナの瞳は、「終焉の律者」の瞳になっていた。

 

「あんたなんかにこの力は渡さない。たとえ奪えたとしても、絶対使えないよ」

 

『何?』

 

「この力は、そんな思いで使うものじゃない」

 

侵食していた黒い靄の空間が押し返され、キアナの空間が広がっていく。キアナの背後にある月がゆっくりと下に下がり、キアナの姿が元の大きさに戻り、「領域装・白練」の恰好になる。

 

「空の律者、薪炎の律者、他の、全ての律者の権能が集中することによって誕生した「最後の律者」。あんたなんかが使っていい代物じゃない」

 

そしてオール・フォー・ワンの身体の一部に罅が入っていった。

 

『ッ!? こ……れはっ!!?』

 

さらには、オール・フォー・ワンは片手で胸を押さえて、苦しみだした。

 

「私も最初はこの力に苦しんで、辛い目にあった。けど、大切な人たちが灯してくれた。私を信じてくれた。だから私は、彼女たちのために生きて、戦っていった。そして力と向き合った。その結果だよ」

 

『うっ……がっ! あ……ッ!!!』

 

すると何処からともなく、電車の音が鳴り響いた。そしてキアナとオール・フォー・ワンの間を電車が通過した。

 

 

 

 

 

キアナが瞬きをすると、場所が電車内に戻っていた。先ほどのオール・フォー・ワンもいない。キアナは何を考えるもせず、ただただ電車の中を歩き出す。

 

 

 

『キアナ』

 

 

 

「はっ…」

 

懐かしい声が聞こえた。キアナは振り返ると、そこは「聖フレイア学園」。前世でキアナが通っていた学園に変わっていた。その奥には、キアナの大切な彼女たちが立っていた。

 

『実戦だけじゃなくて、学科も頑張りなさいね!』

 

テレサ・アポカトリス。

 

『私たちはあなたが忘れない限り、生き続けてます』

 

フカ。

 

『そしてブローニャたちも、キアナを忘れません』

 

ブローニャ・ザイチク。

 

『キアナちゃんなら最高の"ヒーロー"になれるわ!』

 

雷電芽衣。

 

『前を向きなさいキアナ。恐れず、大胆に! だってあなたは一人じゃない……あなたには、"同じ夢を持って共に歩む、大切な友達"がいるでしょ?』

 

無量塔姫子。

 

それだけじゃない。ほかにも、共に戦ってきた仲間。これまでかかわってきた人たちが、彼女たちの後ろに立っていた。みんなが微笑んで、キアナを見送ってる。

 

 

 

「…ははっ……うん。ありがとう…みんな…!」

 

キアナは前を向きなおす。すると再び場面が電車に戻る。そして電車が止まり、扉が開いた。キアナは扉から出て、降りると同時に「領域装・白練」の服装が消えていき、キアナの姿は「雄英の制服」へと変わった。電車は出発し、進んでいきながら消えていった。

 

何もない白い空間にをまっすぐ歩く。するとゆっくりと白い空間からいろんな建物や木々が現れていく。そしてキアナの目の前には、雄英高校が現れた。キアナは雄英を見上げてから、視線を入り口に戻す。そこには、人影があった。キアナは再び歩き出す。

 

人影がくっきりと見えてきた。人影の正体は、キアナとともにヒーローを夢見る同じクラス、1年A組のみんながいた。みんながキアナに呼びかける。

 

キアナは…私は…足を徐々に速くしていって、みんなのところに向かった。

 

みんなのところに着いた頃には、世界が再び真っ白に染まった。

 

さぁ、目覚めよう。みんなが待ってる。

 

 

――

―――

 

 

「初めてだ……ワン・フォー・オール以外で奪えなかった個性は……」

 

眠っているキアナの傍に、オール・フォー・ワンが右手を左手で抑えていた。オール・フォー・ワンの右手は紫色のひびが入っており、体を蝕んでいた。だが幸い、個性を解除したのが間に合ったため、これ以上の蝕みはないようだ。

 

「もしこのまま奪い続けていたら、僕は死んでいただろう。君の個性を手に入れるのはあきらめないが、今回はやめておくことにするよ。それに、少し状況も悪くなってるようだしね……」

 

オール・フォー・ワンは、そのままキアナに背を向けて、近くにあるディスプレイが置かれている机に移動し、そのディスプレイに映る映像を見た。映像にはヴィラン連合と、爆豪勝己がいた。

 

 

 

 

 

同時刻。神野。バー兼ヴィラン連合アジト。

 

「先生…? てめェがボスじゃねぇのかよ…! 白けるぜ」

 

「黒霧さん、コンプレスさん。また眠らせてしまいましょう」

 

ベルナはそう言って、右手に冷気のようなガスのよう何かを出した。

 

「ここまで人の話を聞かねーとは……逆に感心するぜ」

 

「聞いて欲しけりゃ、土下座して死ね……!」

 

黒霧の黒いモヤと、右手に冷気のようなガスのよう何かを出したベルナ、そしてMr.コンプレスが近づいていく。

 

「ッ!!!!!!」

 

「うおっ!? 死柄木! どうした!?」

 

「あ?」

 

「陛下!?」

 

全員の視線が死柄木に集中した。死柄木は左手を胸に当てて、少し苦しんでるような感じになっている。ベルナは死柄木に近づき心配する。爆豪はその隙に逃げようとする。その瞬間、不意に扉がノックされた。

 

「どーもぉ。ピザーラ神野店ですぅー」

 

自分たちのアジトにデリバリーピザを頼んだバカなヴィランがいたみたいだ。全員がピンとこず、沈黙になる。

 

「陛下ッ!!!」

 

ベルナは何かを察知し、死柄木を守るように立ち、両手を構える。その瞬間、バーの壁が吹き飛んだ。連合たちは吹き飛んでいき、転げる者もいる。死柄木はベルナに守られていたため、何事もなかった。

 

「何だぁ!!?」

 

「黒霧! ゲート――」

 

「先制必縛ウルシ鎖牢!!」

 

死柄木が黒霧に命令するも、ヒーロー隙を与えず、畳みかける。外からシンリンカムイの手足である樹木が伸び、一瞬でヴィランたちを拘束していった。

 

「木? んなもん…」

 

荼毘が蒼炎を出して燃やそうとするも、グラントリノが「ジェット」を駆使して、荼毘の頭に強烈な蹴りを入れて気絶させた。

 

「逸んなよ。大人しくしといた方が…身の為だぜ」

 

「さすが若手実力派だシンリンカムイ!! そして目にも止まらぬ古豪グラントリノ!! もう逃げられんぞヴィラン連合……何故って!? 我々が来た!!!!」

 

決め台詞を言うオールマイト。連合たちはシンリンカムイの樹木によってガッチリと固定されてしまって身動きが取れないでいた。

 

「オールマイト…! まさかあの会見後にタイミング示し合わせて…!」

 

「木の人引っ張んなってば! 押せよ!!」

 

「や~!!」

 

「まずいですね……黒霧さん!!!」

 

「うっ!」

 

「なっ!?」

 

ベルナがすぐに黒霧にワープを頼もうとするが、黒霧の身体に黒い糸の様なものが突き刺さった。その正体はエッジショットだった。

 

「忍法・千枚通し。この男の個性は最も厄介。しばらく眠ってもらおうか」

 

「黒霧!! クソッ!!」

 

黒霧がやられたことにより、死柄木は苛立ちを露にする。オールマイトは爆豪に駆け寄った。

 

「怖かったろうに…よく耐えた! ごめんな…もう大丈夫だ少年……ッ? ッ!? カスラナ少女はどこだ!?」

 

「なにっ!?」

 

オールマイトはこの場にキアナがいないことに気づき、緊張が走る。グラントリノのまた驚いていた。

 

「死柄木弔! カスラナ少女をどこにやった!!?」

 

「知るか!! あの女なんて先生の所にいようとどうでもいいんだよ!!」

 

死柄木のいう先生。オールマイトはそいつがオール・フォーワンだと気づいた。そして、キアナが奴の手のもとにあるということに、状況は最悪になると悟った。

 

「せっかく色々こねくり回してたのに……まだ始まったばっかりなんだよ……正義だの、平和だの…あやふやなもんでフタされたこの掃き溜めをぶっ壊す……その為にフタ(オールマイト)を取り除く。仲間も集まり始めた……ふざけるな……ふざけるなぁ!!!」

 

「(ッ!? なんだ……死柄木の様子が……)気を付けろ!! 様子がおかしい!!!」

 

オールマイトがそう叫び、爆豪を庇うように前に出る。グラントリノ、シンリンカムイもまた身構え、シンリンカムイは死柄木への樹木を強くした。

 

「ここからなんだよ……」

 

瞬間、靄がかかった白い何かが現れて樹木を掴む。他の連合たちの樹木にも同様の物が現れて、樹木を掴んだ。

 

「消えろ…消えろ…!」

 

死柄木の目が徐々に赤く光りだす。すると樹木に崩壊が伝わり、罅が入り、塵になり始めた。

 

「なっ!?」

 

「奴はどこにいる!? 死柄木弔!!」

 

 

 

「お前がっ! 嫌いだアァァァァ!!!」

 

 

 

死柄木が叫んだその瞬間、彼の叫びに呼応するかのように、黒い液体が部屋内から溢れ出す。さらに、謎のゲートが現れた。黒い液体からは新たな脳無が顔を覗かせ、謎のゲートからは崩壊獣が現れた。

 

「脳無!? 何も無いところから…! あの黒い液体は何だ!? それに、脳無とは全く別の……初めて見る奴がいる!!!」

 

「エッジショット! 黒霧は!?」

 

「気絶している! こいつの仕業ではないぞ!!」

 

グラントリノはすぐにエッジショットに黒霧を確認させるが、黒霧の仕業ではないことだとわかった。

 

「ベルナ!! ヒーローどもを蹂躙しろ!!!」

 

「はっ!!!」

 

死柄木がベルナにそう命令した瞬間、ベルナは身体を光らせる。

 

「させんぞ!!!」

 

グラントリノはすぐに止めようとベルナに接近した瞬間。グラントリノはそこから現れた何かに吹き飛ばされてしまい、外に放り投げられた。同時にバー全体が崩れていき、審判型崩壊獣「ベルラス」が姿を現した。

 

「――――!!!」

 

「なっ、何だあれは……情報にはない個性だぞ!」

 

「脳無とは別の化け物もいるぞ!!」

 

「クッソ!!」

 

外にいた塚内がそう叫んび、機動隊たちは、脳無と崩壊獣らと交戦していた。

 

「くっ!! 脳無はまだしも、こいつらは一体……」

 

No.2であるエンデヴァーも、崩壊獣に苦戦していた。

 

「ゴホッ!? んだこれ! 身体が…飲まれ……」

 

「ッ!?」

 

そして爆豪の口から先ほどの黒い液体が溢れた。彼の身体を覆っていく。

 

「爆豪少年!!」

 

オールマイトはすぐに爆豪を保護しようと手を伸ばすが、爆豪は吞み込まれてしまい、その場から消えてしまった。

 

「Noooooo!!」

 

他のヴィラン連合たちもまた、爆豪と同じ黒い液体が口から溢れ、吞み込んでいく。そしてその場から、死柄木とドラゴンになったベルナ以外の全員が姿を消した。

 

「すみません皆様あぁぁ!!!」

 

「お前の手落ちじゃない! 俺たちも干渉出来なかった! 黒霧の「空間に道を開く」ワープじゃなく、「対象のみを転送する」系と見た! それに、今はすぐに対応するべきヴィランが――」

 

エッジショットがそう言ってるのもつかの間、エッジショットは白い何かに吹き飛ばされた。

 

「どういうことだ死柄木! 貴様の個性は、触れたものを崩壊させる個性じゃないのか!?」

 

「……ごほっ!」

 

死柄木の口からも、黒い液体が溢れだした。

 

「ッ! 私もつれてけぇー!! 死柄木ィ!!!」

 

「――――!!!」

 

オールマイトは死柄木へ接近する。それをベルラスが前足で攻撃して妨害した。

 

「ぐっ!! (な、なんてパワーだ!!)」

 

「……崩壊獣、脳無どもと一緒にヒーローどもを殺せ。ベルラスもだ。ただし俺が呼んだ時はその命令を放棄して、こっちにこい。いいな?」

 

「――――!!!」

 

ベルラスと崩壊獣らは脳無らと肩を並べて、ヒーローへの攻撃を激しくする。死柄木は、その場から姿を消した。

 

 

 

 

 

同時刻。脳無格納庫。

そこでは、ベストジーニスト率いるプロヒーローたちが、突然現れたオール・フォー・ワンによって蹴散らされていた。近くの壁に隠れていた、キアナと爆豪を救出しに来ていた緑谷、切島、轟、飯田、八百万の五人は、"死"の錯覚に襲われ、ただただ息を殺していた。そこに、黒い液体で転送された爆豪とヴィラン連合、死柄木が現れた。

 

「また失敗したね弔。でも決してめげてはいけないよ。またやり直せばいい。こうして仲間も取り戻した。君が"大切なコマ"だと判断したからだ。いくらでもやり直せ。その為に僕がいるんだよ。全ては君の為にある」

 

そんな話を隠れて聞いていた緑谷は救けようと、必死に体を動かそうとした。だが飯田がそれを止めた。飯田もまた、必ず守るという信念を持っていたのだ。

 

「やはり…来てるな」

 

オール・フォー・ワンがそう言った。隠れていた緑谷たちは気づかれたと思った。だが違かった。オールマイトがやってきたのだ。オール・フォー・ワンは両手でオールマイトの拳を平然と受け止めた。

 

 

 

「全てを返してもらうぞ! オール・フォー・ワン!!」

 

「また僕を殺すか? オールマイト」

 

 

 

平和の象徴と悪の帝王が激突した。二人を中心に衝撃と土煙があがり、ヴィラン連合と爆豪は耐える事で精一杯だった。

 

「(オールマイトを素手で弾きやがった…! あいつが…ヴィランのボス…!!)」

 

ヴィラン連合と爆豪が耐える中、死柄木は平然と立っており、ある方向へ歩き出した。

 

「随分遅かったじゃないか。バーからここまで5km余り……僕が脳無を送り、優に30秒は経過しての到着……衰えたね、オールマイト」

 

「貴様こそ、何だその工業地帯のようなマスクは!? だいぶ無理してるんじゃあないか!?」

 

二人が対話していると、突然オール・フォー・ワンの後ろから夜空を朝にでもなったかのように照らし、彼方へ巨大かつ強大な火柱が燃え上がった。

 

「ッ!?」

 

「これは……」

 

ヴィラン連合、爆豪、オール・フォー・ワンとオールマイトもその火柱に意識を向いた。そんな中、死柄木がその火柱に歩み寄り、雄たけびのように叫びながら、名を叫んだ。

 

「いるんだろ……出てこい!!! キアナ・カスラナアァァァァァ!!!!!!!」

 

その叫びに反応したのか、火柱は一か所に渦のように集まっていく。そして、不死鳥の鳴き声とともに、炎翼へと形を変えた。

そこには、「薪炎の律者」の姿をした、目を閉じたキアナ・カスラナがいた。

 

「……」

 

「……」

 

キアナの右手にはクリスタルがこれまで以上に輝いている「薪炎王剣」が握られている。

 

「カスラナ少女! 無事だったか!!」

 

「まさかもう目覚めたとは…やはり君の個性はいいなぁ。今奪えないのがとても悔しいよ」

 

オールマイトとオール・フォー・ワンがそんなことを言っていると、突如として、どこからか赤と黒の禍々しいオーラが溢れ出した。そのオーラを放つ正体は……。

 

「弔……!?」

 

死柄木弔だった。五指に触れなければ発動しない個性の死柄木が、全く関連性のないものを使っている。オール・フォー・ワンは死柄木に個性を与えたことはない。さすがのオール・フォー・ワンも驚きを隠せないでいた。死柄木の近くにあった瓦礫などは塵と化していっている。同時にまた、キアナからも「空の律者」と「薪炎の律者」の二つのオーラを放つ。キアナの下にある地面などは熱により溶けていき、空は亀裂が入っていた。雲行きも段々と怪しくなり、夜空が黒い雲に覆われ始めた。

 

「キアナ・カスラナ。俺はお前を……」

 

死柄木は赤い瞳を光らせる

 

「死柄木弔。私はあんたを……」

 

キアナは瞼を開けて、その瞳を露にした。

 

 

死柄木の瞳は、真っ赤な赤色の奥に、黄金の模様がくっきりと、はっきりと浮かんだ。

 

キアナの瞳は「空の律者」の瞳でも「薪炎の律者」の瞳でもない。「終焉の律者」の瞳だった。

 

 

 

「「()す!!!!!!」」

 

 

 

今を生き、ヒーローを目指す"律者"が眠りから目覚めた。

 

今を、この世のすべてを壊す"律者"の覚醒が本格的に始まった。

 

二人の律者(崩壊)がついに激突する。

 

 

 

 





はい。ついに神野の悪夢へと突入しました。死柄木の白い何か(物体)ってなに?って思いますよね。話の内容を見ればわかりますが、掴むと塵になるを読めば、大体察せれると思います。

そして、崩壊3rdをやってる皆様方なら分かる通り、「卒業旅行」を夢の中という形と、少し内容を変えたりして加えしました。
主な理由は、オール・フォー・ワンとの会話させるため。キアナの本格的最強化のため。私が入れたかった(本音)の三つです。

それと、キアナの瞳は、公式ゲームのコスチューム変更みたいな感じです。瞳は「終焉」だけど、外見などの服装とかは「薪炎」って感じですね。

AFOがキアナの個性を奪えず、右手に罅が入った理由は、近々公開しますのと、何度も言いますが、
「プロローグとプロフィール」の更新は、キアナが「終焉」を使った時ですので。はい。はい!!

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