私は「キアナ・カスラナ」ヒーローを目指すものだ 作:伽華 竜魅
いや、書いてんだから把握してろってね。失礼しました。
キアナとハッカーバニーはまだ対面はしておりませんが、お互いに仲間であるという認識はあります。
いずれ出会うだろうけど、その時どんな反応をするでしょうね。
(ハッカーバニーは直接会ってるわけではなく、映像などでキアナの顔を見てます)
寮生活が始まっての翌日。
私達A組は、ヒーロー仮免試験に向けて、訓練を始めていた。
そのヒーロー仮免許とは、緊急時限定のヒーロー活動が認められる国家資格。たとえ仮免でも、活動が認められるということは、ヒーローとしての能力が求められることになる。仮免試験の中では戦闘力や判断力、情報収集力、統率力など、多種多様な力の適性を見られる。
その中で、現役でもある先生たち曰く、今度の仮免試験において特に重要視される可能性が高いのが"戦闘力"。それはすべて、神野事件が原因であるとも。オール・フォー・ワンという巨悪が打倒されたが、同時にオールマイトという平和の象徴が失われてしまったことにより、この先ヴィランの活発化は避けられない。ヒーローたちは活発化したヴィランに対抗する為、それ以上の戦闘力が求めらえるのは必然。ってわけ。
私に至っては、メイ博士の連絡で、現時点で死柄木弔に対抗できるのは私だけ。故に、神秘の象徴となぜか呼ばれている。なぜか。
んで、私たちがこれからやるのは必殺技作り。攻撃のイメージが強いって感じだけど、回避や防御、自身の強化にもつけたりするから。例えば、「
そんな必殺技作成訓練がどこで行われるかというと、雄英高校敷地内にある体育館γ、通称「
そのTDLは、セメントス考案の施設であり、コンクリートを自在に操る彼の個性でもって必要に応じた地形や物を用意するためみたいだ。それもあって、床がコンクリート製で出来ている。
そして現在、セメントスが適当に作った地形で、それぞれがエクトプラズムの分身とマンツーマンの指導を受けている。
「痛っ!」
「何ヲボーットシテイル?」
「あ、いや……ちょっと考え事を」
しまった……昨日メイ博士の連絡のことを気にしてしまっていた……。
「虚数空間、槍「
静寂のフレールを出して、「空」を付与させる。
「貫け……!」
静寂のフレールを突き出せば、エネルギーが一直線に放射され、壁を貫通し、そのまま壁は崩壊していった。
「メイ博士ガ作ッタサポートアイテムカ、ソレホドノ物ヲ扱エル君ハスゴイナ」
「これらは私の個性あってこそ、性能が活かされてますから」
でもまだ必殺技とまではいかない。というか、最低でも二つって言われてたけど、もうレパートリーありすぎでむしろ、これ以上創るのって……まあ、ないよりかはマシし、イメージしやすくなるからいいけど。それに……。
「まだこんなんじゃない」
「? 何カ言ッタカ?」
「あ、いえなにも」
静寂のフレールを締まって、薪炎の律者に姿を変える。
そういえば、死柄木は劫滅・無限を使っていた。メイ博士は、本来崩壊世界の武器は、今現象私以外には扱いが不可能って言ってたけど、死柄木はそれを可能にしていた。メイ博士の考えだと、"律者になった"か、"律者の機能の何かが可能にさせた"。そのどちらかだって言ってた。
律者になった死柄木は、終焉の律者の力に食いついて行くように成長を続けて、互角に渡り合ってた。この世界の律者は一体何なんだ?この世界特有の律者なんだろうけど、いったい……。
「やあ、キアナ少女」
「わあっ!」
「うおっ!? ど、どうしたんだい!?」
「お、オールマイト…」
オールマイトがこんな距離まで来てるのに気づかなかった……そうとう深く考えすぎちゃった……
「そ、それでオールマイトはどうしてここに?」
「あぁ、私が、アドバイスして回るぞ!」
「あ、アドバイスですか…」
「あぁ。と言っても、今の君へのアドバイスはほとんど無いんだけどね」
ほとんどないかーそうなんだー。まあ、今世でも結構戦ってるけど、前世での戦闘経験とかも結構活かされてるし、むしろ戦いは慣れてるからね…アハハ。
「それとキアナ少女。明日、時間は空いているだろうか?」
「明日……? あっ」
「察してくれたようだね」
「…わかりました。明日の放課後に」
そう答えると、オールマイトは他のみんなのところにアドバイスしに行った。……って、尻ポケットになんか…っ!?「すごいバカでも先生になれる!(簡単教育論)」!?
「ブフォっ!!!」
「ッ!? ド、ドウシタ?」
「な、なんでも…ありません…ンフフw!」
だ、ダメ…思わず吹いちゃった…だめだ…一回出ちゃったら、とまらな……w。
―
――
―――
放課後。
私は仮眠室に来ていた。仮眠室にはオールマイトもいた。
「……キアナ少女、聞いておく、OFAのことは…」
「オール・フォー・ワンから聞きました。精神世界で、あいつが私の個性を奪っている最中に出会ったので」
「そうか、だが君は個性を使えてるのを見ると、奪えなかったんだな」
「そうやすやすとこの力を上げるわけないですよ」
それに、誰もが簡単に扱える代物じゃないしね。
「キアナ少女、なぜ緑谷少年が私の後継者だと思った?」
「個性が似てる。緑谷がオールマイトの技名を言っている。ですかね?」
「……君は入学してから緑谷少年とよく仲良くしていたんだ。それだけでも情報を得て気づかないほうがおかしい……か」
オールマイトは一度頭を抱えてから、真剣な表情で私を見た。
「確かに私は、緑谷少年が"次の平和の象徴"になると、なれるようにと考えている」
"次の平和の象徴"か……まあ、オールマイトと緑谷は似ている部分が多々ある。それらもあるのかな……。
「キアナ少女」
オールマイトが私の名前を呼ぶと、今一度頭を下げた。
「このことは、決して誰にも言わないでほしい。緑谷少年のためにも、社会のためにも」
「まあ、そうだよね。個性を血も繋がらない他者に継承させるとか、オール・フォー・ワンと因縁にある個性とか、簡単には公表できないよね」
「あぁ。だから……」
「言いふらさないよ。誰だって秘密は抱えて生きていくものだもん」
オールマイトはそう聞くと顔を上げた。少し表情を和らげた。
「ありがとう。すまないね、秘密を抱えさせてしまって……」
「大丈夫だよ」
それに、他にも秘密は抱えてるしね。
―
――
―――
翌日。
体育館γ、TDLにて今日も訓練に励んでいた。
「スマッシュ!」
「遅い!!」
「うわっ!?」
緑谷が飛び蹴りをしてきたけど、それを避けながら蹴ってきた足を掴んで、そのまま壁へと投げる。
「…っと…やっぱり、まだまだだな……」
「体がまだ固いんだよ。足蹴りとかの動き、少し無理やりな感じしたもん」
「やっぱり?」
OFAの秘密を共有してから数日。緑谷はオールマイトから私が共有者だってことを教えてくれたみたいで、今は緑谷の足技、"シュートスタイル"っていう技の特訓をしている。
なんで私が相手かというと、飯田でもよかったみたいなんだけど、飯田の場合、足のエンジンを利用した技が基本だから、身体能力だけでの足での攻撃が得意な私に教わりに来たみたい。
まあ、職場体験の時に跳躍の仕方とか聞いてきたしね、納得。
「足は腕の3倍の強さを持ってるって聞いてるけど、やっぱうまくいかない……」
「私の場合、身体の柔らかさもあるからね」
「柔らかさ……そうか、身体が柔らかければ、足をより自由に扱えるし、機動力やそれ以外でも活かせる。それに、腕などのカバーにも使えるし、アイアンソウルとかもより性能が上がるから……ブツブツ」
何気に久々に見たな、緑谷のブツブツモード。
「ま、柔らかければ、こういうこともできるしね」
「え? お、おぉ!!!」
片足を上げて、そのまま顔の横まで持ってくる。それを見た緑谷は、目を輝かせていた。
「すごいよ! それって、踵落としとかもできるってことだよね!?」
「うん、できるよ? というか、手は基本双銃を使ってたから、近距離は基本足だったね」
「足技を習得するのも大切だけど、それにはまず体を柔らかくする必要があるってことだね……」
「そゆこと」
てか、どこからノートとペン出した?え、何?緑谷四次元ポケット持ってるの?え?
「……よし! キアナさん、もう一回お願いします!」
「ん、オッケー! じゃあこっからは、私も攻撃するから!」
「うん!!!」
私と緑谷は、足技単体での攻撃を始めた。
「………」
………なんか視線を感じる。
夜。
「……」
葉隠に共有スペースに女子で集まろうと誘われたけど、申し訳ながら断った。理由は、今私の目の前に映っているディスプレイモニターの地球地図だ。
地球地図の数か所、合計四つの丸いポイントがある。メイ博士が言うには、そのポイントに、"新たな律者がいる"らしい。
私のポイントはなしで、死柄木のは、なぜか位置情報がわからないらしい。理由は不明。もしかしたら、何かしらの個性による妨害か、死柄木の宿す律者の機能の一部の可能性がある。死柄木の機能はまだすべてを把握できていない。だからわからないのだ。
「四つのうち、二つは日本。一つは海……最後のは、あちこち飛び回ってる……」
今もそうだ。メイ博士が言うには、日によっては日本に着たり、海外にと、飛び回ってるらしい。今は動いてないから、多分睡眠か食事のどっちかを取っているかもしれない。そもそも、なんで四人の律者の位置がわかるのか。
メイ博士は、前世の記憶を持って私より早く生まれている。その間に
ていうか今更だけど、初めて死柄木と会った日の、あの囁き声は聞こえなくなったなあ。なんでだろ?しつこいほどにささやいて、敵だの倒せだの言ってきたくせに……まあともかくだ。これらは事前にメイ博士から知らされたものだけど、今は仮免を最優先に集中しよ。