私は「キアナ・カスラナ」ヒーローを目指すものだ   作:伽華 竜魅

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第41話 仮免試験開始。

 

 

 

 

「降りろ。到着だ」

 

試験会場である国立多古場競技場に到着して、バスから降りる。降りてから私は体を伸ばした。

 

「ん~やっと着いたあぁ……」

 

「緊張してきたあ」

 

「多古場でやるんだ」

 

「試験て何やるんだろう。ハー仮免取れっかなあ」

 

峰田がいつものように不安を吐露する。そんな峰田くに、相澤先生が視線を合わせて話した。

 

「峰田、取れるかじゃない。取ってこい」

 

「おっ、も、モロチンだぜ!!」

 

「この試験に合格し仮免許を取得できればおまえらタマゴは晴れてヒヨッ子……セミプロへと孵化できる」

 

相澤先生がそう言ってる。だけど、私は別の声が聞こえた。

 

「おいあれって、雄英じゃないか?」

「え、うそ!? じゃあ……あ、いた! キアナ・カスラナだ!!」

「ほ、ほんものだ……本当の神秘の象徴がいるぞ…!?」

「やべぇ、取れるか不安になってきた……」

「見ろよ、爆豪勝己もいるぞ」

 

うわあ、結構というか、めっちゃこっち見ながら話してるよ……。

 

「やっぱり目立つな、特におまえは」

 

「あははは、嬉しいのか嬉しくないのかわからないって感じ……」

 

「気にしなくていいんだからねキアナちゃん!」

 

「そうですわ。あのような言葉に意味などありません」

 

あ~みんなが励ましてくれる。嬉しすぎて泣きそう。

 

「っしゃあ!! そんな暗いの追い払うぐらいに頑張って、なってやろうぜ! ヒヨッ子によぉ!!」

 

「いつもの一発決めてこーぜ!!」

 

そう言って、みんながいつもの掛け声を出した。

 

「せーのっ、Plus……Ul「Ultra!!!」ッ!?」

 

と思ったら、全く別の、他校の人が勝手に加わって掛け声を出した。誰?

 

「勝手に他所様の円陣に加わるのはよくないよ。イナサ」

 

「ああ、しまった! どうも大変失礼……致しましたあぁぁ!!!」

 

「ひいいっ!!」

 

なんか、すっごい巨漢の男が頭を地面に凄い勢いでぶつけながら謝罪してきた。頭から血が出てるし……。

 

「なんだこのテンションだけで乗り切る感じの人は!?」

 

「(こいつは…!)」

 

「東の雄英、西の士傑」

 

爆豪がそう言って気づいた。確か数あるヒーロー科の中でも雄英に匹敵するほどの難関校、「士傑高校」。てことは彼はその士傑高校に在籍する生徒ってことだ。

雄英が大好きだと猛々しく声を上げるてけど、私はそれよりもその奥にいる同じ制服の、女子生徒のほうが気になった。

なんか……どこか、知っている誰かに似ているような……黒髪なのはわかるんだけど、帽子を深くかぶってるせいで顔がよく見えない。今世というより、前世で見たような……う~ん?

 

「キアナちゃん、あの人気になるの?」

 

「うん、なんというか……あった気がするようなしないような…」

 

「そうなの?」

 

そう話してると相澤先生がぽつりと吹いた。

 

「夜嵐イナサ。昨年度……つまりおまえらの年の推薦入試。トップの成績で合格したにも関わらず、なぜか入学を辞退した男だ」

 

推薦入試をトップの成績で合格!? それって同じ推薦入試の轟と八百万より上ってこと!?

 

「それで辞退って…」

 

「変なの」

 

「変だが本物だ。マークしとけ」

 

彼らが離れていくのを見ながら、相澤先生はそう言ってるけど、私はあっちの女子のほうが気になる。

 

「イレイザー!? イレイザーじゃないか!!」

 

「!」

 

その声を聞いて振り向いた瞬間、相澤先生がすごく嫌そうな顔をした。

ここまで露骨に嫌そうにするの珍しい。

 

「テレビや体育祭で見てたけど、こうして直で会うのは久しぶりだな!!」

 

えぇっと、誰だろ?多分ヒーローだろうけど。

 

「結婚しようぜ」

 

「しない」

 

「わぁ!!」

 

そんな挨拶感覚でプロポーズする?それを秒でバッサリと断る相澤先生もすごいけど。

 

「しないのかよ! ウケる!」

 

「相変わらず絡み辛いな、ジョーク」

 

「スマイルヒーロー"Ms.ジョーク"! 個性は「爆笑」! 近くの人を強制的に笑わせて思考・行動共に鈍らせるんだ! 彼女のヴィラン退治は狂気に満ちてるよ!」

 

だからあんなに笑ってるのか。そんな緑谷の解説をしている間も、二人は掛け合いを続けてる。すると、奥から生徒が来た。傑物高校の二年生らしい。

その中でも爽やかイケメンのような人が握手しながら挨拶して回ってる。

 

「中でも神野事件を中心で経験した爆豪くんと、今では神秘の象徴と呼ばれているカスラナさん!」

 

「あ?」

 

「ん?」

 

「君たちは特別強い心を持っている。今日は君たちの胸を借りるつもりで頑張らせてもらうよ」

 

そう言いながら、手を伸ばして握手を求めて来たけど、それを爆豪は振り払った。

 

「フかしてんじゃねぇ。台詞と面が合ってねぇんだよ」

 

「こらおめぇ失礼だろ! すみません無礼で……」

 

「良いんだよ! 心が強い証拠さ!」

 

「おい、コスチュームに着替えてから説明会だぞ。時間を無駄にするな」

 

相澤先生が痺れを切らしたのか、指示をして、私たちは移動を始めた。

 

「……言ってないの? イレイザー」

 

 

――

―――

 

 

ヒーロースーツに着替えて、説明会の会場に行けば、約1540人がぎゅうぎゅうに詰まっていた。ちなみにここまで来るのに、私は結構てかめちゃ視線を向けられていた。

 

『えー…ではアレです。仮免のヤツをやります。あー…僕はヒーロー公安委員会の目良です。好きな睡眠はノンレム睡眠です。仕事が忙しくて碌に寝れない…! 人手が足りてない…! 眠たい…! そんな信条の下、ご説明させていただきます』

 

隠す気ゼロじゃんあの人……。

 

『仮免のやつですが、ずばりこの場にいる受験者1540人一斉に、勝ち抜けの演習を行ってもらいます。現代はヒーロー飽和社会と言われ、ステイン逮捕以降ヒーローの在り方に疑問を呈する向きも少なくありません』

 

そう言いながら、ヒーローについて語った。そして、説明に戻った。

 

『そのスピードについていけない者ははっきり言って厳しい。よって試されるはスピード! 条件達成者先着100名を通過とします』

 

先着……100名!?

確か、仮免試験の合格率は、例年五割ほどだって聞いた。それが……えっと…。

 

「つまり合格者は一割を切る人数ということね」

 

「ますます緊張してきたあ…」

 

そうだ、一割以下だ。

 

『で、その条件というのがこれです』

 

公安の目良さんはそう言ってボールと丸い装置のようなものを取り出した。

 

『受験者はこのターゲットを三つ、身体の好きな場所、ただし常に晒されている場所に取り付けてください。足裏や脇はダメです。そしてこのボールを六つ携帯します。ターゲットはこのボールが当たった場所のみ発光する仕組みで、三つ発光した時点で脱落とします。三つ目のボールを当てた人が"倒した"こととします。そして二人倒した者から勝ち抜けです。ルールは以上』

 

つまり、受験者同士の潰し合いってことか。装置の身体への設置位置は……どうしようか……私の場合律者になったら服装も変わるから、外れる可能性もあるし…。

 

『えー……じゃあ展開後、ターゲットとボール配るんで。全員にいきわたってから一分後にスタートとします。各々苦手な地形、好きな地形あると思います。自分を活かして頑張ってください』

 

その言葉に合わせて、説明会の会場の壁が倒れていった。ほ、本当に無駄に大がかり……。

そして同じ公安の人達がボールと装置を配って行ってる。

 

「キアナ・カスラナくん。君はこれだ」

 

「え?」

 

私に配われたと思ったら、なんかデザインカラーが異なってる。なんか、紫の線が一部入ってる?

 

「君は個性の関係上、服装などが変わると聞いている。その際ターゲットが消えないように、特別に作ったものだ。製作者はメイ博士だ」

 

わあ~、事前に知っていたのか、作ってたんだメイ博士。ありがたいけど、そんなのパパっと作れるのに驚きだよ。あ、だからわかりやすいよにカラーデザインが異なってるんだ。

んじゃとりあえず、左腰と両肩につけとこっと。

 

「先着で合格なら同校で潰し合いは無い…! むしろ、手の内を知った仲でチームアップが勝ち筋…! 皆、あまり離れず一塊で行こう!」

 

緑谷がそう言って指揮をとってるけど…。

 

「ハッ、フザけろ、遠足じゃねぇんだよ」

 

「あ、おいバカ! 待てって!?」

 

やっぱり爆豪は抜けた。それを切島は呼び止めようと追いかけた。

 

「俺も抜けさせてもらう。大所帯じゃ却って力発揮出来ねぇ」

 

轟もそう言って工業地帯の方へと走っていってしまった。

……よし。

 

「ごめん緑谷、私も抜ける」

 

「キアナちゃん!?」

 

「まってキアナさん! 単独行動は危険だ!」

 

「わかってる。けど、みんなが通過するの、信じてるから!」

 

私はそれだけを言って、浮遊して別のエリアに飛んで行った。

それに、もしかしたら私は結構狙われる可能性もある。強い奴を倒したら、自分はそいつより強いって思うことは、誰もが薄っすらだとしても、持ってる感情だって教わったから。

 

 

 

 

 

キアナが浮遊しながら別エリアに移動している姿を、士傑の黒髪女子生徒が見ていた。

 

「……先輩、単独をしてもいいかしら?」

 

「む? 構わないが…」

 

「感謝するわ」

 

黒髪の女性は、先輩に感謝の言葉を伝えると、キアナが向かった方向へ、追うように移動した。

 

 

 

 

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