私は「キアナ・カスラナ」ヒーローを目指すものだ 作:伽華 竜魅
『えぇ一次試験通過者の皆様、こちらをご覧ください』
控室で待機してると、モニターから会場の映像が映った。あ、ちなみに私たちA組は全員通過した。
んで、映像に戻ると、会場が爆破していって、崩れていった。
「「「(なぜっ!?)」」」
なんで用意した会場をわざわざ壊すの……?お金とかどうするの?
『二次試験で試験はラストになります。皆さんにはこれからこの被災現場で、バイスタンダーとして救助演習を行ってもらいます』
「「パイスライダー……?」」
「えっと、なんだっけそれ?」
「バイスタンダー。現場で居合わせた人のことだよ授業で習ったでしょ」
あーまったく記憶にない。
「一般市民を指す意味でも使われたりしますが……」
『ここでは一般市民としてではなく仮免許を取得した者として、どれだけ適切な救助を行えるか試させていただきます』
え、それって救助をしろってこと?
映像にはフィールドにボロボロの人たちがいる。あれが救助する対象の人たちってこと?
『彼らはあらゆる訓練において今引っ張りだこの要救助者のプロ!! HELP・US・COMPANY、略してHUCの皆さんです。色んな傷病者に扮したHUCがフィールド全域にスタンバイ中。皆さんにはこれから彼らの救出を行ってもらいます。尚、今回は皆さんの救助活動をポイントで採点していき、演習終了時に基準値を超えていれば合格とします。HUCの準備時間を考え、試験開始は10分後になります』
そ、そんな人たちもいるんだ……世界って広いな……。
『ヴィランによる大規模
「演習のシナリオね」
「え!? じゃあ……」
『規模は〇〇市全域。建物倒壊により傷病者多数! 道路の損壊が激しく救急先着隊の到着に著しい遅れ!』
控室の周囲の壁がまた崩れ始めた。なんでまた……。
『到着するまでの救助活動はその場にいるヒーローたちが指揮を執り行う。一人でも多くの命を救い出すこと!!!』
スタート合図とともに、一斉にヒーローの大半が救助へ走り出した。ごくわずかだけど、一部のヒーローは残っている。その中には、私とゼーレもいる。
「救護所はここにする! そこの士傑と雄英の! 行かないならこっち手伝ってくれ!」
「……どうする? キアナ」
「放送ではヴィランによるテロって言ってた。つまり、どこかにヴィランがいるかもしれない」
「そうね。テロならどこかに役とはいえ、ヴィランが潜んでいるかもしれないわね」
「うん……だから!!」
右手を地面に叩きつけるようにおいて、「理」を発動する。私の周りにタイタン装甲やミサイル装甲が次々と創造されて行く。
「ごめんなさいね、私たちはここの防衛と警戒に集中するわ」
「え、警戒って……」
「(やっぱり、救助とかに気を取られて、内容はあまり覚えてないわね)」
「タイタン機甲は救護所の防衛を! ミサイル機甲はいつでも迎撃ができるよう射撃準備を!!」
私の指示にしがたい、タイタン機甲は救護所を守るように背を向けて囲い、ミサイル機甲はさらに前方で、いつでも迎撃できるように動き出す。
「凄まじいわね、あなたの個性」
「ありがと。救護所や救助に手を貸せるところは貸しながら、警戒をするよ!」
「えぇ!」
私とゼーレは二手に分かれて、行動を始めた。
『調子は?』
「初動はまあ、至らない者も多いですが……それでもフックの皆さんが下す減点判断は、想定していたより少ないです。それに、今回の演習のシナリオをしっかり理解し、あなた方への対策をとってる者も二名だけいますしね。おおむね、いいんじゃないですかね」
『そうか……市井の人々を守るため、ヒーローには複合的な動きが求められる。すなわち……』
周りを警戒しながら、負傷者を救助している人たちを、救護所の方向を案内していると、会場がまた爆破しはじめた。
「爆発……てことはっ!」
「キアナ、あれ!」
ゼーレが差したほうを見れば、そこには……。
「"救護と対敵"。全てを平行処理……出来るかな?」
「ギャングオルカ……!」
ギャングオルカとサイドキックらしき人達がいた。
『ヴィランが姿を現し追撃を開始! 現場のヒーロー候補生はヴィランを制圧しつつ、救助を続行してください!』
そんなアナウンスがなった。やっぱり、神野事件のような感じなのかな……とりあえず!!
「さあ……どう動く!? ヒーロー!!」
そんなの、決まってる!!
「タイタン機甲! 救護所から避難させてるヒーローと救助者の護衛を最優先! ミサイル機甲は迎撃開始! 照準をヴィランへ向けて!!」
私の指示でタイタン機甲たちは一斉に救護所の護衛へと動き出し、ミサイル機甲は照準をギャングオルカたちへと変えた。
「私たちで何とか食い止める! あなた達は避難を! できるだけ距離を稼ぎなさい!!」
「あ、はい!!」
「全弾、撃てー!!!」
ミサイル機甲が攻撃を始めた。その攻撃に合わせてゼーレも前戦へと走り出し、迎撃を始めた。
「なるほど、神野事件を乗り越えただけあるな。すでに対策を準備をしていたとは」
「そりゃどう――」
空の律者に姿を変えて……。
「ッ!?」
「も!!!!」
一気にギャングオルカの間合いに入って、蹴りを入れる。ギャングオルカは咄嗟に腕をクロスしてガードしたようだけど、勢いに負けて結構後ろに下がっていった。
「(一撃で高速用プロテクターに罅が入るとは……これは次受ければ、完全に壊れて、そのまま腕も持ってかれるかもしれないな。それに……)」
ギャングオルカは、サイドキックと交戦しているゼーレのほうに視線を向けた。
「どわっ!?」
「クッソ当たらない!!」
「変なの飛ばしてこないで頂戴!!」
「(もう一人の士傑のほうも手ごわい。さらに、救護所を護衛している兵器と、我々に攻撃してる兵器)……神秘の象徴…やはり強敵だな」
虚数空間を展開しようとしたとき、横から氷が攻めて来た。
「てことは……轟!?」
「加勢に来た。広範囲の制圧なら俺もでき――」
「ふぅぅぅきぃぃぃ飛おぉぉぉべぇぇぇ!!」
更に強力な風が吹いてきた。上を見れば、士傑高校の夜嵐がいた。
「ヴィラン乱入とか! なかなか熱い展開にしてくれるじゃないっスか! 加勢に来ましたよ! 霊淵さん!!」
「夜嵐……キアナ! 私たちも休まずやるわよ!!」
「うん……!!」
ゼーレが私の隣に飛んできてそう言ってきたから、その通りに行動を始めた。ゼーレは再度動けるヴィランの迎撃。
私は新しくタイタン機甲を創造し、流れ弾とかが救護所に行かないよう、防壁指示を出す。
「次は……」
「あんたが手柄渡さないように合わせたんだ!」
「……は?」
夜嵐の怒りの声が聞こえた。そっちに視線を向ければ、夜嵐と轟が喧嘩していた。
「誰がそんなことするかよ…!」
「するね! だってあんたはあの……"エンデヴァーの息子"だ!」
「さっきから何なんだよおまえ……親父は関係ねえだ――っ!?」
何をしているんだあの二人は……これが本当の現場だったらどう言い訳を、いや、ヒーローとしては論外すぎる行為だ。
しかも、二人は風と炎を同時に出したけど、うまく組み合わず、炎はあらぬ方向、私のほうへ飛んできた。
「見てられない……」
右手を突き出して轟の炎を操り、上へと軌道を変えて、火球へと変えていく。
「マズい! 炎を使ってくるぞ!」
「止めろ!!」
サイドキックたちが弾を撃ってくる。
「………ゼーレ!!!」
「はあっ!!!」
ゼーレが私の前に移動してきて、全ての弾を素早く切り刻んだ。
「なっ!? セメントガンを切り刻みやがった!?」
「本当に……同じ生徒として、恥ずかしいわ」
ゼーレは夜嵐を睨んでいた。
二人のほうを見れば、二人はギャングオルカの音波のせいで、体が麻痺しているようだった。
「キアナさん! 」
「加勢する!」
「非難はある程度済んだよ!」
いいタイミングで緑谷と常闇、芦戸が来た。これで攻撃に集中できる。
「緑谷、ゼーレと一緒に轟と夜嵐の救助をお願い。芦戸と常闇は周りのヴィランを。私がギャングオルカを抑える」
緑谷とゼーレは二人のほうへ向かい。芦戸と常闇は周りのヴィランの迎撃を始めた。
さて……。
「「終焉」発動。「風」」
操った轟の炎に「風」を乗せて、威力を上げる。浮遊して、上空からギャングオルカに向けて放つ。
「炎の大渦!!」
炎の渦で、ギャングオルカを閉じ込めた。
そこに、さらに風にすい上げられた炎が上乗せするようにやって来た。
「あの二人……」
後方を見れば、麻痺して動けない二人が、振り絞った顔で個性を行使していた。
「あのバリアの突破は無理だ!」
「炎と風、バリアの発動者を狙え!!」
サイドキックたちが私に向けて弾を撃ってくる。私はそれを虚数空間で回収して、サイドキックたちの後ろにもう一つ出して、お返ししていく。
このまま時間まで閉じ込めることもできるけど……。
「で……次は!?」
ギャングオルカが超音波で炎の渦を消し飛ばした。そしてそのまま私に放とうとしてくる。
だけどね……既にそっちに向かってるやつが一人いるよ。
「スマッシュ!!」
緑谷が新しい技、シュートスタイルでギャングオルカへ蹴りを入れた。ギャングオルカはその蹴りを片腕で防いだ。
私も加勢に行こうとしたとき、会場全体にブザー音が鳴り響いた。
『えー、只今を持ちまして、配置された全てのフックが危険区域より救助されました。まことに勝手ではございますが、これにて仮免試験全行程、終了となります』
「……本当に、終わったの?」
地上に降りるけど、律者形態は解除はしない。万が一のためだ。
なんかギャングオルカがジッと私を見てるけど……なに?
「ふん、終了アナウンスの後も油断無し…か。ヴィラン戦において残心は重要だからな、さすがというしかない。だが、試験は本当に終了だ」
あ、本当に終わりなんだ。なんかそう言われた一瞬で緊張感が消えた。あ、律者形態を解除っと……。
『集計の後、この場で合否の発表を行います。怪我をされた方は医務室へ。他の方々は着替えてしばし待機でお願いします』
はあ、とりあえず更衣室へ行って着替えよっと。