私は「キアナ・カスラナ」ヒーローを目指すものだ   作:伽華 竜魅

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第49話 森の奥にいる者。

 

 

 

 

「森へ入れたのはいいですが、情報とは少し違いますね」

 

「えぇ、襲ってくる気配がない。それどころか道が開いている。誘われてるわね、私たち」

 

「……」

 

 

いる。敵だ。倒せ。崩壊だ。

 

 

久々のささやき声。死柄木と初めて会った時も聞こえていた。だけど、神野の時はこなかった。つまり、何か意味があるはずだ、このささやき声は。

だけどこの声、最初こそわからなかったけど、どこかしら、誰かに似ている気が……。

 

「止まってください」

 

「え、どうし……!?」

 

ハッカーバニーが止めてきて、私たちも止まると、前方が茨で覆われていた。

 

「もともと茨なんてなかった。つまり、これは……」

 

「律者の意思によるものね。キアナ」

 

うん。熱炎粉塵!

 

熱炎を出して、茨を燃やしていく。

同時に周りに燃え移って火事にならないようにする。

 

「…よし」

 

「キアナ、律者の位置はわかる?」

 

「うん。感じる……こっち!」

 

私は律者の気配が強いほうへ走る。

メイ博士とハッカーバニーも後に続いて走り出した。

 

「(キアナの情報では、保須市の時に死柄木の強い怒りが二人を遠くからのコミュニケーション……いわばテレパシーを可能にしていた。つまり、どちらかが律者による感情を強めれば、それだけ互いに位置がわかるということ)」

 

「気配が強まった…!」

 

「互いに感じて、位置がわかるってどんな感覚なんですか?」

 

「なんて言えばいいんだろう? 私そういうのを言葉で表すの苦手だから……」

 

「なるほど。バカってことですね」

 

「はっ、はぁ!?」

 

バカって言った?バカって言ったよね!?さすがにカチンってしたよ!!!

 

「ふふっ」

 

 

いる。

 

 

「ッ!」

 

私は動きを止めた。それに続いて二人も

 

「どうしたんですか?」

 

「キアナ?」

 

 

 

いる。目の前。敵だ。倒せ。"崩壊"。

 

 

 

「……この先にいる。"崩壊"()が!」

 

目の前には、ツタで覆われた入口。

 

「なるほど、ここを通ればもういるってことですね。メイ博士、下がっていてください」

 

ハッカーバニーはうさ耳のついた丸い球体のドローンを出し、P90に似た銃を取り出す。

 

「えぇ、データの収集は任せて」

 

虚数空間から大鎌「冥府(めいふ)のマリア」を取り出して、それを持ちながら、ゆっくりとツタで覆われた入口へ踏み込む。瞬間、周りが一瞬光だし、場面が変わった。

 

「ここは……?」

 

公園……?確か、ここはもともと自然豊かな森に囲まれた公園があったって聞いてたけど、公園はなんも影響も……ん?

 

「……"子供"?」

 

ブランコをこいでいる小さな女の子がいた。見る限り、小学校の低学年だろう見た目。

だけど、服も体もボロボロに汚れている。髪も黄緑のメッシュが入った白髪だけど、汚れている。

 

 

 

奴だ。いる。目の前。奴は"崩壊"だ。

 

 

 

……………え?

 

「あ、あの子が……律者……!?」

 

あんな小さな子が……!?

すると、女の子はこぐのをやめて私に顔を向けた。その女の子の瞳は黄緑色に光り、輝いていた。

 

「っ!!!」

 

同時にとんでもない威圧が襲ってきた。それだけで確信した。

あの子は紛れもなく、"律者として覚醒している"と。

 

「……お姉さん、誰?」

 

女の子はブランコから降りて、こっちに身体を向けてきた。

 

「……私は、ヒーローだよ」

 

もし、もし対話での和解とかができるなら、それだけでいい。警戒されないために武器は構えない。

それに、こんな小さい子となんて……。

 

「……ヒーロー? じゃあなんで、さっきから頭の中でお姉さんのことを"敵って言ってくる声"がするの?」

 

「……っ」

 

けどやっぱり、あの子もささやかされているみたいだ。

 

 

 

 

 

 

 

いる。目の前。倒して。敵。危ない存在。奴は"崩壊"だ。

 

 

あのお姉さんが"崩壊"()"なんだ……でも、どこか暖かくて、優しい感じがする。なのに、倒さなきゃいけないって思う。そんな二つの思いがある。

それに、今更ヒーローが来ても、私は独りぼっちなんだ。

 

「やらなきゃいけない……だから、やられて!!」

 

「っ!?」

 

私はお姉さんを、"崩壊"()を倒す。この"個性"(崩壊)で!!!

 

 

 

 

 

「はぁっ!!」

 

冥府のマリアを振るい、迫ってきた巨大な根を切り刻み、切断していく。

というか、この公園に来てからメイ博士とハッカーバニーがいなくなってる!通信を入れても返答どころか繋がらない!!

 

「お願い! 倒れて!! 倒せってずっと言われるの! だから……やられてよ!!」

 

「ごめん、無理な相談!!!」

 

冥府のマリアに「熱炎」を付与させる。冥府のマリアの刃から熱炎が漏れ出す。

同時に私は「薪炎の律者」へ姿を変えた。

 

「はぁぁぁっ!!!」

 

根を全て、焼き切る。そして女の子へ距離を詰める。

 

「いやっ……こ、来ないで!!!」

 

「なっ!?」

 

女の子の叫びと共に、さらに太い根が女の子を守るように包み込んだ。そして、周りの森の枝や葉が、地の土などが私へ攻撃してきた。

虚数空間から亜空の矛をだして抵抗する。だけど、葉っぱによる手裏剣が私の右手を切りつけた。一瞬の痛みで握る力が緩んでしまった。それに気づいたのか、その隙を狙われて冥府のマリアが奪われた。

女の子を覆う根が開き、冥府のマリアが女の子の手に渡る。あまりの大きさの差と重さによろけるが、律者の力のおかげで持てていた。

 

「絶対、倒さなきゃ……」

 

「……もう、気にしてる場合じゃないか」

 

王剣を出して構える。

女の子が持った影響か冥府のマリアが反応し、青紫だった部分が緑と黄緑へ、黒だった部分が白と変色し、女の子に合うカラーリングへと変貌した。

死柄木と同じで、崩壊武器を自分専用に塗り替えたってことか……。

 

「私の知る律者はそんなのなかったけど、もしかして、この世界の律者固有の何かってこと?」

 

女の子が走って私へ向かってくる。それに合わせて土や根、草木などがすべて襲ってくる。

私はそれに迎え撃った。まだあの子は律者形態ってわけじゃない。なら、早く済ませないといけない。けど……。

 

「本当に倒さなきゃいけないの……!?」

 

 

 

 

 

 

 

同時刻。森の入り口。

 

「ダメです……入れません…」

 

「どうなっているの……」

 

一方、同じくツタに覆われた入口に入ったはずのメイ博士とハッカーバニーは、気が付いたときには森の外にいた。

二人は何か起こったがわからないでいたが、急いで森の中へ戻ろうとした。だが一歩入れた途端、気が付いたら外にいるのだ。

 

「キアナと連絡もつかない……おそらく、自然の森を利用した第二律者の能力……」

 

「どうします……?」

 

「……キアナを信じるしかないわね」

 

森の中の状況は、森の外、外部へは伝わらっていないようだった。

 

 

 

 





第二律者登場!
そしてヒロアカ世界の律者に関しての細かな情報は、今現在もメイ博士とハッカーバニーが集めている感じですので、不確定要素がある場合があります。

今更ですけど、幼い子供を戦わせるって、自分相当やべぇ奴だな……。

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