私は「キアナ・カスラナ」ヒーローを目指すものだ   作:伽華 竜魅

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第50話 第二次崩壊戦争。

 

 

 

 

360度、外が一切見えないほどに森で覆われ、その真ん中にある公園。唯一、上を見上げれば雲がない青空と太陽だけが見える状態。

そんな中、公園を中心に二人の律者が激突していた。

 

「うぅ!! (つ、強い……!!)」

 

「(悪いけど、律者としての年数ならこっちのほうが多いから!)」

 

今だ律者形態になっていないが、律者の力を使う幼女と、「薪炎の律者」に姿を変えているキアナ。

大鎌「冥府のマリア」と王剣がぶつかり合い、金属音と共にはじけ合う。

 

「っ、やぁぁぁぁ!!!」

 

ネコチャーム!!

 

幼女は枝を一つにし、ハンマーのように振りかぶる。それをキアナはネコチャームをしたから蹴り上げるように出し、蹴り飛ばした。

 

(火力を弱めて……!)ネコチャーム!

 

キアナは左手を突き出す。ネコチャームが出現し、幼女を吹き飛ばした。

 

「うぁっ……! うぅ……」

 

幼女は冥府のマリアを杖代わりに地面に突き刺し、立ち上がる。

 

「ねぇ……もうやめようよ。話を聞いてほしいんだ、私は……」

 

「…はぁ…はぁ…でも…っ、……倒せって言われる、お姉さん…っあ、は……危険だって……」

 

キアナは王剣を降し、幼女へ歩み寄みながら問う。

幼女は力を振り絞りながらも応える。

 

「……わた、しは……わたし…は!!」

 

「ッ!?」

 

幼女を中心に、地面に草が生え、さらに綺麗な花が次々と咲いていく。

周りの森も影響を受け、成長し始めた。

 

「……覚醒が、始まったんだね」

 

覚醒。それはこの世界では段階がある。最初は個性が異常なほどに進化し、律者と同等の力になる。二段階目は、その律者特特有の武器や兵器が現れる。その際、瞳は律者の瞳へと変り果てる。

そして最終段階は、キアナや死柄木と同様、律者形態……真の律者へと姿を変えるのだ。

 

幼女の周りを花びらや葉っぱが風に乗って囲みだしていく。その中で幼女は姿を変えた。

ボロボロの服は消え、胸元にクローバー型のクリスタルがはめ込まれている。

服は緑と黄緑、白をメインとしたミニスカドレスに、腕にはミニスカとは別の和風のような腕貫が身に着いた。

足は幼女でありながら靴は緑のヒールだけを履いた。そしてミニスカの上に袖のない真っ白なローブを身に着けた。

汚れていた髪も綺麗になり、黄緑色のメッシュもはっきりと浮き出す。そして髪型は幼女からして右側に纏まっていき、サイドテールになる。

結び目にはマリーゴールドと呼ばれる花が咲き、緑の薄い布が付いていた。

周りを花びらや葉っぱが散っていき、幼女は瞼を開ける。

黄緑色の瞳の先端には白い円に、真ん中には先端が丸い十字型の白模様が浮き出ていた。

 

「それが、あなたの律者形態なんだね」

 

「……私には、よくわからないよ」

 

普通の幼い子にはありえないほどの力と制御力。

"個性は交じり進化する"と言われてるが、そのうちの到達点が「律者」である可能性は高い。

 

「私、よくわからないけど……今は、あなたを倒せっていう声の言うことを、聞く!」

 

「……わかった」

 

二人は同時に駆け出す。冥府のマリアと王剣が今再び、ぶつかり合った。

 

 

 

 

 

同時刻。森、入口。

 

「メイ博士! キアナの生体数値が桁違いに上がり始めてます! それに合わせて……これ、もしかして第二律者じゃないですか!?」

 

「見せて!!」

 

ハッカーバニーとメイ博士は、ホログラムでキアナの状態確認していたところ、戦闘態勢に入っており、数値が上がっていることに気づいていた。

 

「これって、神野での死柄木の時と同じ……!」

 

「共鳴まではいってませんが、それでも数値は上がってます。それに、第二律者と思われるこの謎の数値も……」

 

「キアナ……」

 

メイ博士は森を見つめる。太陽は光を強めていた。

そして、キアナと第二律者の激突の影響は、既に他へと伝わっていた。

 

 

――

―――

 

 

公園はもはやその原形を保っていない。

地は変り果て、切れたツタや砕かれた亜空の矛などが地べたに散らばっていた。

その中で、黄緑色の光と赤オレンジ色の光が飛び回り、ぶつかり合っている。

 

「やっ!!」

 

「……ふっ!!」

 

「ぐっ!!」

 

幼女は冥府のマリアで攻撃するが、キアナはそれを簡単に回避し、王剣を振るう。

幼女はそれを冥府のマリアで受けるが、衝撃の強さは身体全体に響き渡っていた。

 

「くっ…!!」

 

幼女は森を操り、その森の根が地中から伸び出て、キアナへ迫る。

だがキアナは瞬時に亜空の矛を出し、熱炎の矛へ変えて、その根を全て燃やしながら切り裂いていった。

 

「うっ…ぐぅ!!」

 

金属音と共に、二人は距離をとる。

 

「はぁ…はぁ…」

 

「……」

 

第二律者である幼女は息が荒れているが、キアナは荒れていなかった。

幼女は、基本的に植物などを使用している。それに対しキアナは「薪炎」の熱炎、いわば炎。相性が悪いのだ。

 

「(た、倒せない……うんうん、まず攻撃がいっこも入らない。入ったのは、お姉さんが使ってたコレを奪った時だけ……)」

 

幼女は息を荒くしながらも、その瞳はキアナをしっかり捉えている。

 

「(だったら!!) えいっ!!!」

 

幼女は冥府のマリアを地面へ突き刺す。すると、太陽光が幼女と冥府のマリアへと集中した。

 

「"大地に繋がるすべての生命"よ……私に力を!!!」

 

「は? まって、え、"生命"!?」

 

"生命"という単語。幼い少女がまさかその単語を言ったことにキアナは驚きを隠せずにいた。

次の瞬間、地面から緑の線がいくつも現れていき、それらがすべて冥府のマリアへ流れていった。

キアナは周りを見渡す。周りの木や花などが一瞬で枯れ始めていた。

 

「ッ! かはっ!!」

 

その時、キアナは胸を抑えながら膝をついた。その時、視界に地面が映った。そして気づいた。

 

「(私の生命力も、吸い取ってる……!?)」

 

幼女の、第二律者の力が、植物だけではなく、キアナの生命力まで吸い取っていたのだ。

"大地に繋がるすべての生命"、そして"この世の全ての生命"を、"己の力へ変換する"。それが第二律者の能力の一つだったのだ。

キアナの律者形態は解けていないものの、膝をついてしまうぐらい、キアナ本人も気づかずに吸われていた。

 

「くっ……うぁ…!」

 

キアナは必死に立とうとする。だが幼女は生命を吸い上げるのをやめようとしない。

そして冥府のマリアを持つ幼女の手に、地面に広がる緑の光の線が浮き上がり、冥府のマリアから幼女へと流れだした。

 

「私は、この、"個性"(崩壊)で、お姉さんを倒すの!!!」

 

幼女は冥府のマリアを抜き、そしてキアナへと一気に駆け出す。

冥府のマリアの刃から緑の輝きが漏れ出す。

 

「やあぁぁぁぁぁ!!!!」

 

幼女は、冥府のマリアを、キアナの首へと、振るった。

が……。

 

「っ!?」

 

とてつもなく大きな、金属のぶつかり合う音。

キアナは、太刀「浄罪七雷(じょうざいしちいかづち)鳴雷見(なるいかずちけん)」を出し、「終焉」を通して「雷」を使用していた。

 

「ぐっ……うあぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

そしてそのまま力任せに跳ね返す。幼女は吹き飛ばされ、ボロボロのジャングルジムに激突した。

 

「……なんで、まだ…うごけ……っ!?」

 

幼女はキアナを見て目を見開いた。

 

「はぁ……はぁ……」

 

キアナの姿は「薪炎の律者」のままだった。

だが、"額には赤い角が生えており"、そしてキアナの背後には"輪っかが現れており、紫の雷が発生している"。

そして、瞳は「雷の律者」の瞳に変わっていた。

 

「お、"鬼"……」

 

「……"鬼"?」

 

だが角と輪っかは一瞬で消えた。ただ、瞳だけは「雷の律者」のまま。だが当の本人はそれが起きていたことも、それが消えたことも気づいていない。

よくわからない状態だが、キアナは浄罪七雷・鳴雷見を構える。

 

「あ、あぁ……」

 

幼女のその声に、周りから緑の光として現れた無数の動物たち。その動物たちはすべて、緑の光になっており、目の部分は黄色くなっていた。

 

創造

 

キアナの周りには、タイタン機甲が創造されていく。

 

「周りの緑色の動物たちをお願い」

 

キアナの命令で、タイタン機甲たちは動き出した。

 

 雷速 

 

「ッ!? はや――」

 

赤白の稲妻とその轟音と共に、キアナは一瞬で幼女の背後に回った。

キアナは浄罪七雷・鳴雷見に「雷」を付与させる。浄罪七雷・鳴雷見の刃が赤白の稲妻を纏った。

 

「ま、守って!!」

 

キアナは浄罪七雷・鳴雷見を振り下ろす。だが数秒早く、根が幼女を覆ったことで攻撃を防いだ。

浄罪七雷・鳴雷見の刃は根を切り裂き、奥まで入るが、幼女までは届かなかった。

 

「!」

 

それと同時に、根の隙間から緑の発光が漏れ出していった。

キアナは浄罪七雷・鳴雷見を抜いて、雷速と共に距離を取った。

 

 

 

 

 

なに、この感じ……「終焉」を通して「雷」を使用している。

だけど、仮免試験の時と、どこか違いを感じる。体の奥で、ビリビリと、電流が、雷が、稲妻が暴れている。

まるで、「雷の律者(芽衣先輩)」そのものになったような……。

 

「ふぅ……」

 

息をするように、「雷」が今まで以上に、「終焉」や「薪炎」、「空」のように扱える。

一歩踏み出せば、あの子の先まで一瞬で行けるぐらいに。

 

「っ!」

 

足元から地面と根が同時に縛り上げて来た。

同時に、彼女は緑に発光しながら私へ向かってきた。

 

「はぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

冥府のマリアが大きく!?

 

「やられ……てぇぇぇぇぇ!!!!」

 

「雷」の威力をより増幅させて、跳ね返して、反撃を――。

 

「――……っ!」

 

 

 

 

 

――――――――

 

『君が! 助けを求める顔してた!』

 

――――――――

 

 

 

 

 

同時刻。

 

「メイ博士!! キアナの身体数値が低下しだしました!!」

 

「なんですって!?」

 

ハッカーバニーは大きなホログラムを出して、メイ博士に見せた。

そこには、キアナと第二律者の数値があり、第二律者の数値は止まり、キアナの数値は低下を始めていた。

 

「すぐに森に入るために、やれるだけのことをやりつくすわよ!!」

 

「はい!!」

 

 

――

―――

 

 

森に覆われ、原型を失った公園の真ん中、 そこに二つの影が重なっており、その影を太陽が照らしていた。

 

その影の正体は、キアナと第二律者の幼女。

 

キアナは、胸に冥府のマリアの刃が貫かれている。第二律者の幼女はその持ち手を握っている。

そこから少し離れた場所に、浄罪七雷・鳴雷見が投げ捨てられており、キアナの胸には、血があふれ出していた。

 

「(なんで……避けようと思えば避けれてはず……)」

 

幼女が困惑していると、キアナは……。

 

「はっ……!?」

 

幼女を優しく抱きしめた。

 

「な、なんで……!?」

 

幼女は困惑した。こんなに拒んでいるのに、あんなに攻撃したのに、なぜとなぜと……。

幼女はキアナの顔を見た。

 

 

 

キアナは、怒りや殺意を宿していなかった。

 

 

 

「う、うぅ……うっ……!!」

 

幼女は涙目になりながらも、力を振り絞ってキアナから離れようと殴ったりする。だが、キアナはそのパンチに痛みなどを感じはしなかった。

 

「なんで……なんで……!!」

 

幼女は抗うのをやめる。そんな幼女の手に、透明な液体がポタポタと落ちてきた。

 

 

 

「なんで、そこまで……優しくするの……!?」

 

 

 

律者形態の、律者の瞳をしたその眼からは涙が止まらずに溢れ、流れていた。

 

「そんなの……決まってる」

 

キアナはそっと幼女を、第二律者を優しく抱きしめた。

 

 

 

「あなたが、"救けを求める顔をしてた"から」

 

 

 

「っ!! ……う、うあ…うぅぅぅ……!!!」

 

「私があなたのヒーローになるよ。だから今は……泣いていいよ?」

 

第二律者の幼女が出した緑の動物たちも攻撃をやめており、キアナが創造したタイタン機甲も動きを、戦いをやめた。

そして、キアナのその優しさに、幼女はタカが外れ、泣き出した。

 

 

 

戦え。倒せ。殺せ。敵だ。"崩壊"だ。

 

 

 

たとえ、律者()と、律者(あなたたち)が絶対敵対関係であろうと、和解し、肩を並べて笑い合えるなら……私は、その道を進む。

 

それが、"選んではいけない道"だとしても。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

       第二次崩壊戦争

 

      勝者 キアナ・カスラナ

 

 

 

 





ヒロアカの映画見てるときに、緑谷の「救けて勝つ」ってのを聞いて、こういう結果も良いのでは?と思い、こういう結果になりました。
それに、よくあるじゃないですか、敵だったキャラが味方として活躍するとか、そう言う展開ですね。はい。


後悔はしていない。
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