私は「キアナ・カスラナ」ヒーローを目指すものだ 作:伽華 竜魅
出し惜しみはもう……しない!!
「終焉の律者!!!」
「終焉の律者」になり銃と剣を出して、駆け抜ける。
「こざかしい!!」
治崎は四本の腕を使って地形を変化させる。
茨のような形になった地形が、私と緑谷に襲い掛かってくる。
緑谷は避けて、私は剣一振りで全てを破壊させた。
緑谷が跳躍して、天井を足場に、治崎へ向かった。
「脳天一撃! マンチェスタースマッシュ!!」
踵落としともいえる技、マンチェスタースマッシュを頭部に決め込んだ。
だが、治崎は少しよろけながらも、すぐに体制を持ち直した。
「なっ……!?」
「どれだけ速かろうと先の三人に比べれば、動きの線が素直で見えやすい」
「緑谷!!!」
治崎は地形を変化させて、そのまま緑谷に攻撃した。
私はすぐに二人の間に入って、棘を破壊してすぐに緑谷を連れて距離を取った。
「ったく、修復と言っても
「まだ……終わってないよ!!」
「ああ…そうやってルミリオンにも粘られた。諦めない人間の底力は侮れない」
銃口を治崎へ向ける。
だが、治崎は片手を伸ばすと、その手のひらから口が形成された。
「お前のせいでまた死ぬぞ! これが望みなのか!? 壊理!!!」
「「ッ!?」」
融合したから部下の個性も使えるって言うの!?
なら、あの手を斬り落とせば――。
「私は…そんなこと……」
えっ。
「望んでない…!」
壊理ちゃん……なんで!!!?
「駄目だ! 先輩と一緒にいるんだ壊理ちゃん!!」
「壊理……こいつら二人でこの状況、何とかなると思うか?」
「……思わない」
くっ!音本の個性は、対象への質問を「嘘偽りなく本音で話させる」個性。
それを使って……!
「ならお前は、どうするべきだ?」
「戻る……その代わり……! 皆を…元通りにして……!」
「そうだよな…。自分のせいで他人が傷付くより、自分が傷付く方が楽だもんな。ルミリオンで芽生えかけた淡い期待が砕かれた。気付いてるか?壊理にとって最も残酷な仕打ちをしてる事に、お前らは求められてない」
コイツ……。
緑谷をチラッとみれば、緑谷は――。
あぁ、やっぱり――。
「そうだとしても!! 余計なお世話だとしても……!! 君は泣いてるじゃないか!!!」
緑谷は立ち上がり、刺さっていた破片を抜く。
「誰も死なせない! 君を救ける!!」
緑谷がそう叫んだ。
私は銃口を治崎へ向けなおすと同時に、天井が崩落した。
私たちはそっちに視線を向けると、リューキュウと巨体ヴィランに、更に麗日と蛙吹とタイタン機甲が降って来た。
「リューキュウ!! 二人とも!!」
「ッ!!」
治崎を見れば、四本すべてを地に着けていた。
私はすぐにトリガーを引いて、四本のうち二本を撃ちぬいた。
「くっ!! 無駄だ!!」
「重装ウサギ!! ナイトアイを麗日たちの所へ!!」
重装ウサギは、ナイトアイを担いで麗日たちの元へ向かいだす。
私は治崎のほうへ、緑谷は壊理ちゃんを保護しに向かうが、残った腕で治崎は壊理ちゃんを上へ吹き飛ばし、自分も地形ごと上に上がった。
「メチャクチャだ…ゴミ共が!」
「させるかァ!!」
光翼を羽ばたかせて、浮遊する。
「(掴め……! もう…今度こそ……!!)」
「しつこい……ッ!?」
治崎が顔を向けると、そこには瓦礫によって巻き上げられた赤いマントがあった。
「巻き上げられたのか……気色悪い」
吐き捨てるように言った治崎。
だが壊理はそのマントを掴んだ。意識して掴んだ訳ではなかった。
――――――――
『痛くて、辛くて、苦しんでる女の子を、包んであげる為だ!』
――――――――
「ッ! 治崎の姿が戻ってる!?」
治崎を見れば、治崎と音本が分裂し、元の姿に戻っていた。
なんで、急に!?
瞬間、壊理ちゃんは飛び降りた。
「もう…離さないよ」
緑谷は、マントを掴んだままの壊理ちゃんを受け止め、抱き締めた。
「返せ!!」
激昂した治崎は鋭利な触手のような形状の岩で襲いかかってきた。
「緑谷ァ!!!!」
「ッ!!」
私は治崎の攻撃を「終焉」で消滅させる。
そしてそのまま緑谷の下に移動し、足を構える。
緑谷は意図に気づいたのか、足をそろえて、私の足に着地した。
「(離さない! もう絶対に離さない! あんな事…もう絶対にさせない!!)」
「いっけえぇぇぇぇっ!!!!」
「うおぉぉぉぉぉぉっ!!!!」
キアナの蹴り上げに合わせて、緑谷も"全力で"跳躍し、そのまま空いた天井から上空へ吹き飛んでいった。
その勢いは、後から風が吹きあがるほどで、治崎も唖然としていた。
キアナはその隙に治崎へ接近し、剣を肩に突き刺してそのまま地面に押さえつけた。
「ぐっ!!」
「あんたの負けだ…もう、諦めて!!」
「だから……触りたくないんだ…!!」
「ッ!?」
治崎は片手を私の足に触れた。
瞬間、私の足が吹き飛んだ。
「ぐあっ!!!」
「律者ちゃん!!」
そして治崎は間髪いれずに、地形を変えて、私を吹き飛ばした。
私は壁に激突してしまった。
やばい…すぐに「死」を……ッ!?
治崎を見れば、治崎はゆらゆらと揺れながら、巨体のヴィランへ近づいていた。
「ダメだ、お前は…俺のモノだ。オヤジの宿願を果たす為に、お前がいるんだ壊理…!」
そして治崎は、そのヴィランを解体し、自身と融合させた。
融合が終えた治崎はそのまま上に出ようとしている。
「早く…早く…!!」
解体された片足に「終焉」を通して「死」を使用して、再生をしている。
早くしないと、緑谷と壊理ちゃんが!!!
「キアナちゃん!!」
「麗日……!」
「ッ! キアナちゃん…あ、足が…!!」
「大丈夫。もう終わる!!」
足が完全に再生して、元の「終焉の律者」の服装に戻った。
光翼を広げる。
「みんなはナイトアイとルミリオン、あとどこかで捕らえられたイレイザーヘッドをお願い」
「えっ!? 相澤先生が!? それよりもキアナちゃんは!?」
「私は……二人のところへ向かう!!」
光翼を羽ばたかせて、天井へ駆け抜ける。
天井を抜けて、町に出た。
そして視界に映ったのは、巨体ヴィランと融合した治崎と、赤いマントで壊理ちゃんを離さないように背中に結ぶ緑谷。
私はそんな二人の間に、緑谷の隣に着地した。
「キアナさん!」
「遅れてごめん。デク……壊理ちゃんのその状況は?」
「壊理ちゃんの"個性"……無まで巻き戻すことができる、優しい"個性"だよ」
「そっか……だったらなおさら、あんな奴に渡すわけにはいかないね!!」
「うん!!」
剣と銃を持ちなおして、構える。
「(体感した感じで分かった、身体が戻り続けるスピード……! なら、それ以上のスピードで常に大怪我をし続けていたら……!)」
緑谷を見れば、緑谷の緑色の輝きが、水色になっていき、髪も逆さになっていた。
「「ワン・フォー・オール」フルカウル、100%!!!!」
「「終焉」…最大!!!」
紫の輝き。
そして緑が混じった水色の輝き。
その二つの輝きが、治崎の前に立ちふさがる。
「お前らも、壊理も…力の価値を分かってない。個性は伸ばす事で飛躍する。俺は研究を重ね、壊理の力を抽出し、到達点まで引き出す事に成功した! 結果…単に肉体を巻き戻すに留まらず…もっと大きな流れ…種としての流れ…変異が起こる前の"形"へと巻き戻す。壊理には、そういう力が備わっている。個性因子を消滅させ、人間を正常に戻す力だ…!」
確かに、時間操作系の"個性"なら、そういったこともできる。
故に、私の「終焉」だって、そういったことができる可能性は大とメイ博士が言ってた。
「個性で成り立つこの世界を! 理を壊す程の力が…壊理だ!! 価値も分からんガキに利用できる代物じゃない!!」
治崎が攻撃してくる。
だけど私たちはそこから移動して、緑谷は治崎の腹の前に。
私は頭上に移動していた。
「スマッシュ!!!」
緑谷が治崎を100%の力で上空へ蹴り飛ばした。
私が移動したのは、緑谷が蹴り上げあると思ったからだ。
「分岐・放浪遊侠の真解!!!」
私が分岐・放浪遊侠の真解で攻撃する。
治崎の身体が一気に破壊されて、ほとんど肉がなくなった。
「どいつもこいつも大局を見ようとしない!!」
だけど治崎は諦めが悪いのか、身体を解体し、修復した。
「俺が崩すのはこの世界!! その構造そのものだ!! 目の前の小さな正義だけの…感情論だけのヒーロー気取りが…!」
緑谷が100%のまま私のところへ来てる。
私は剣を消して、右手で緑谷の手を掴んで、そのまま回転した。
「
緑谷に
そして回転は勢いを増していき、紫の稲妻、緑が混じった水色の稲妻が発生する。
「俺の邪魔をするなァ!!」
思想を叫びながら語り、攻撃をしてくる治崎。
「行け……デクッ!!!!」
そして緑谷を治崎目掛けて投げ飛ばした。
紫の輝きも微妙だに含めて、光のごとく緑谷はその勢いを乗せて、拳を構える。
「目の前の……小さな女の子一人救えないで――」
100%のスマッシュを連続で放ち、回復できないようにした。
「皆を救けるヒーローになれるかよ!!!」
そして、治崎の顔面に、最後の一撃を撃ち込み、地面へ吹き飛ばした。
治崎はそのまま地面へ激突した。
私と緑谷は着地する。
「壊理ちゃん…怪我はない? ごめんよ、僕が至らないばかりに……がっ!?」
「ッ!? 緑谷!?」
緑谷を見れば、苦しんでいた。
よく見れば、壊理ちゃんの"個性"の暴走だった。
「まずい!!」
私はすぐに二人に近づき、触れた。
光が私も包んでいく。
「だ、だめだ…! キアナさん!!!」
治崎は壊理ちゃんの個性によって、融合から元の姿へ巻き戻った。
「時間を巻き戻すってんなら! その時間の"権利を奪う"!!」
「終焉」を使い、「時間操作」をする。
壊理ちゃんの個性が「時間の巻き戻し」なら、私の「時間操作」でその権利を上乗せして抑えれるはずだ。
「(いや……! 止まって…! 止まって…!! この人たちが、死んじゃう…!!)」
「がっ…! がぁっ!!!」
「緑谷! 耐えて!!!」
壊理ちゃんの「巻き戻し」の権利を「終焉」の「時間操作」で奪って、個性を抑えた。
壊理ちゃんの個性の勢いは弱まっていき、最終的に止まった。
壊理ちゃんは落ちそうになったところを緑谷が受け止めた。
「……ふぅ」
「ありがとう…キアナさん…」
「うん、とりあえず緑谷は壊理ちゃんを。私は治崎を――」
「まだ…だ……」
「「ッ!?」」
治崎の声が聞こえた。
そっちに視線を向ければ、治崎がフラフラしながら近づいていた。
私は剣と銃を構える。タフすぎる……。
「お前ら、なんかに……俺の、計画を…!」
治崎は懐から、何かを取り出した。
それは注射筒コントロールだった。トリガー?いや、中身は赤い……。
「(本当に……これを使うことになるとはなぁ……!!)」
―
――
―――
時は遡り、八斎會本拠地の地下。
治崎の目の前には、アタッシュケースが置かれており、その中には、注射筒コントロール一つと、四つのスピッツ管が入っていた。
「なんだこれは……」
「もし黒霧をベルナを諦めるなら、それをくれてやる」
治崎は当然の疑問を抱き、死柄木はスピッツ管の一つを取り、ユラユラと揺らして中身の液体を揺らした。
「"ある女から作った血清とトリガーを合わせた薬品だ"。まだ試作品だけどな」
「どのような効果がある」
「基本的には個性のブースト。だが同時に"ある領域に踏み込むことができる"」
死柄木はスピッツ管を元の場所に戻して、治崎へ視線を向ける。
死柄木の言った"ある領域"。治崎は聞き逃さなかった。
「"ある領域"だと?」
「あぁ……まぁ簡単に言えば、俺やあの女が持ってる"力"と同等まで行けるらしいんだど」
「……」
治崎は、死柄木の子供っぽい言いぐさに、半信半疑でいた。
だが、ケースに入っているスピッツ管を一つ取り、まじまじと観察する。
「(………嘘ともいえる。こいつらにそんなものを作れる技術力はない。だが……どこか"魅かれる"。もしコイツの言っていることが本当なら……)」
治崎はスピッツ管を戻し、ケースをしまう。
「……一応もらっておく」
「貰うなら黒霧とベルナは諦めろよ?」
「あぁ、わかっている」
―
――
―――
治崎はトリガーと血清が混ざって入っている注射筒コントロールを自身の首筋に刺した。
「ッ! あが……! あァ……!!!!」
治崎は注射筒コントロールを落とし、胸を押さえて苦しみだす。
「(体が熱い…! いや……なん、だ…! この感覚…!!?)」
治崎の注入した死柄木が渡した特殊なトリガー。
その効果によって、治崎は体が内側からマグマに焼かれるような感覚に襲われ、更に、細胞一つ一つが"崩壊"していくような感覚に襲われた。
「がっ…! ア……っ!!!」
「治崎…? いったい何が…?」
「………ッ」
なにこの感覚……胸の奥で、身体の奥深くで、私の"崩壊"が反応している……。
「アァァァァァッ!!!!」
瞬間、治崎の身体の一部が粉砕して、血があふれ出る。
そして顔や身体から血管が浮き出る。その血管は紫に染まっていた。
治崎の目を見れば、白目は真っ黒に染まっていて、瞳は元の色が光りだしていた。
そして、目から血を流していた。
同時に手じゃないのに、地についている足から、地形が変化されて行き、紫の禍々しいオーラを放ちながら、その形を変えていく。
「何やあれ…!?」
「イレイザーヘッド!」
「抹消は使ってる。なのに、"
私は「理」を使用して、タイタン機甲とRPC-6626を創造する。
「みんな……緑谷たちを安全な場所まで」
「キアナさん…!?」
コイツは、私が倒さないといけない。
何故かそれは断言できる。
タイタン機甲が私の隣にいる二人と、離れたところにいる他の皆を抱えて、もう片方の手でRPC-6626を掴み、この場所から離れた。
偽物だ。偽物だ。偽物だ。
分かってる。
あれはゾンビでも、崩壊獣でも、律者でもない。
正確に言うなら――。
「ゾンビは超えたのに、律者までは行けなかった……言わば、"
「終焉の律者」から「薪炎の律者」へ変えて、王剣を構える。
「オヤジ……アァ…! 殺ス、本…物…!! 違ウ…! 俺ハ、オヤジノ為ニ…!!! 俺ハ…! 殺ス……殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス!!!!」
治崎の身体は、巨体になり粉砕した体の一部からは、白の甲冑に紫の関節部がある新たな体が生成される。
その次元の違う腕や足は増えていき、同時に元の身体は紫の亀裂が次々と浮き上がる。
髪は真っ白に染まっていき、肌色も健康的だった色が抜けていき、薄くなっていく。
口と目から血を止まらず流し続ける
「オ前ヲ殺ス!
治崎は真っすぐ私に向かってくる。
「そういうあんたこそ、往生際が悪いよ!
私は王剣を構えて、周りに熱炎を焚ぎらせながら、治崎へ向かった。
ある血清のトリガー。
その効果とはいったい……。
それと他のも全部含めて"次回『タイトル』"を消しました。