私は「キアナ・カスラナ」ヒーローを目指すものだ 作:伽華 竜魅
高速道路。
護送車がオーバーホールを初めとする八斎會組員たちを胝棚の敵病院へ向けて進んでいた。
「何だ……"影"?」
運転手が何かに気付いた。急に影ができたのだ。
それもただの影ではない。その影はドラゴンの形をしていた。
「将棋ってさ……ようするに
「そう単純じゃねぇぞ」
その正体はヴィラン連合。
審判型崩壊獣「ベルラス」と、その背には死柄木、荼毘、Mr.コンプレス、スピナーが乗っていた。
「八斎會から最寄の敵病院へは、この高速に乗るのが一番早い。連絡ありがとね。トガちゃん有能でおじさん頭上がんねェや」
スマホでコンプレスが話してる相手は、トガヒミコだった。トガはトゥワイスと共に追っ手に見つからないよう、隠れながら合流に向かっており、密に他のメンバーに報告していたのだ。
『連絡は仁くんの指示です。私は出久くんに見とれてたので。寧ろ、そちらの手を煩わせてすみません』
「大丈夫よ」
『核の子は手に入れられませんでしたが、完成品がまだそちらにあると考えているのです。しばらく警察の動きを見てましたので、可能性は高いです。無かったとしても……アイサツしておきたいでしょう?』
そして通話が終わり、スマホをしまう。
「あれは……ヴィラン連合、死柄木弔!!」
まさかヴィラン連合がいるとは思ってもいなかった運転手は、驚きの声を上げた。
「本当に警察を襲う事が本当に真のヒーロー社会を望む、ステインの意志に沿うのか……俺は逡巡してる……」
「何言ってんだトカゲ」
「必要な犠牲さスピナー。周囲の警戒頼むぜ? ベルラスもな?」
「――――!!!!」
そして荼毘が、パトカー目掛けて蒼炎を放射した。だがその蒼炎は、パトカーから出た何かに防がれた。
「……何だ、あいつ」
その蒼炎を防いだのは、砂だった。
「ヴィラン連合……! 社会に仇なす悪鬼の徒!」
砂の正体は、パトカーを守るように個性による砂で覆っていたサンドヒーロー「スナッチ」だった。
「ヒーロー……! そりゃいるよなぁ……ダルイ!! ベルラス、減速と降下!!」
死柄木の命令を受けたベルラスは減速し、さらに降下して路上をすれすれで更に、翼が当たらないよう器用に飛んでいた。これを好都合とみたスナッチは一気に捕縛しようとしたが、死柄木がスナッチ目掛けて飛び降りてきた。それでも憶する事なく個性で死柄木を捕らえた。
「
「天敵ですね……(まぁ、こんなの簡単に突破できるが、近くに"アイツ"がいる以上、力を使ったら面倒になる)」
「有名人だな」
「死柄木は
言い放つとコンプレスは何かを「圧縮」した球をパトカー下に向かって投げた。丁度真下に入った所で「圧縮」を解除した。
「パトカーフワリ空中浮遊! タネも仕掛けもございやせん」
パトカーごと吹っ飛ばされた死柄木は、そのまま後ろの護送車に飛び移った。同時に「崩壊」で窓を割り、そのままハンドルを掴んで左へ動かした。
輸送車が動くと同時に、当たらないようベルラスは上昇する。一方スナッチは運転していた警察官を救出した。
「大丈夫か!?」
「そうそう、ヒーローは人命優先しちまう」
スナッチの背後には、両手から蒼炎を出している荼毘がいた。既にベルラスは降下し、コンプレスと荼毘を下ろしていたのだ。
「……ここ最近、各地で焼死体が相次いで見つかっている」
「お、俺も有名になってる? 嬉しいねぇ」
「遺族の気持ちを考えた事はないのか!!」
両腕を砂化させて攻撃するスナッチだが、荼毘は蒼炎で相殺。その隙を見てコンプレスが炎ごと圧縮で封じ込めた。
「あっちちち…砂って燃えねぇよな」
「見た感じ、上半身しか砂化できねぇっぽいから死ぬだろ」
二人が話してる中、死柄木は治崎を護送車から引きずり出し、道路に出す。
「よぉ、オーバーホール」
死柄木は、未だに意識がない治崎へ呼びかける。
「おい、起きろ」
死柄木はそう言いながら、軽く叩いた。その衝撃で治崎は意識を覚醒させた。
「……オ、前…」
「へぇ、あれを使っておいてまだ自我があるんだ。相当な執念だったろうな。んで……何が"次の支配者になる"だ」
「殺し…ニ……来タ…のカ……」
死柄木は治崎から個性消失弾と血清入りの箱を取り出し、中身を確認した。
「これ二箱あるけど、どっちが完成品?」
ポケットにしまった。
「カ……エせ……!」
「俺はお前が嫌いだ。だからお前にあの薬品をくれてやった………なぁ、オーバーホール。"個性"のない世界を作ろうとするやつが、"個性"を使っちゃだめだよなぁ?」
死柄木は顔に着いた手をゆっくりと外し、その瞳を治崎へ向けた。
「なぁ?」
「ッ! うっ! あ、あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"!!!!」
死柄木の問いに、治崎は体の血管から紫の光が漏れ出し、苦しみだす。
「そりゃ苦しむさ。試作品と言え、それはただのトリガーとは天と地並みに違う。相当な執念上に自我を保ててるようだが、普通のやつが使ったら、
死柄木は治崎の拘束されている腕を、五指すべてを使って掴んだ。治崎の腕は崩壊し始める。
「ッ!?」
「体に行く前に斬り落とさないと、全身崩壊して死んじまう」
死柄木はナイフを取り出し、崩壊し始めている腕を斬り落とした。もう片方の腕は、Mr.コンプレスの「圧縮」により削られた。両腕から紫が混じった赤い血がゆっくりと出てくる。死柄木はナイフを放り投げ捨てた。
「これでお前は、"無個性"はおろか、
死柄木は勝ち誇ったかのように満面の笑みを治崎に見せる。それに対し治崎は、絶望に染まりながら、怒りと悲しみの雄たけびを上げようとした。
「黙れ」
「ぐぁっ!?」
死柄木は冷静に、静かに治崎へ命令するように言えば、治崎の殻の血管から紫の光が再び漏れ出し、治崎は苦しみだす。
「これからは咥える指もなく、その副作用に苦しみながら生きていけ! 人間をやめた……化け物ヤクザ!」
「――――!!!!」
死柄木は律者の瞳を露にしながらそう言った。すると、ベルラスの咆哮が鳴き響いた。
「すぐ追っ手が来るぞ! 早く乗れ!」
ベルラスの背に乗って周囲の警戒をしていたスピナーが三人を呼ぶ。死柄木と荼毘、コンプレスはベルラスとスピナーの元へ歩き出した。
「次は、俺達だ」
死柄木たちが背に乗ったのを確認したベルラスは、翼を広げて羽ばたきながらゆっくりと浮上し、そのまま高速道路から、雲より上へ去っていった。
そんな死柄木たちの後を追うように、赤白の閃光が高速道路を一瞬通り過ぎた。
―
――
―――
大学病院。
戦いで傷付いた者たちは、最寄の大学病院へ搬送されており、私も壊理ちゃんの個性の影響を受けているため、身体に変化などがないか確認のために検査を受けていた。
「身体は大丈夫。むしろ健康すぎると言っていい程ですね。ですが念のため、今日は入院で、退院は明日ですね」
「ありがとうございます」
女性の医者に言われ、コスチュームを着なおししながらお礼を言った。着替え終わってから頭を下げてお礼を今一度言って、私は病室を後にした。
みんなが心配だから、皆の所に向かおうと歩き出すと、角でちょうど相澤先生と緑谷と出くわした。
「その様子から見るに、お前も緑谷同様大丈夫そうだな」
「はい。壊理ちゃんは…?」
「今からそれらを説明するところだ。お前もついて来い」
相澤先生が先頭で私たちはその後に続いて行く。その歩いている最中に、壊理ちゃんの危険と判断された"個性"を止める術が、私以外で相澤先生だけなため、隔離。
それ以外の皆は重傷者などもいるけど、死者は0だそうだ。ただ、通形先輩に関しては、消失弾によって個性が完全に消滅してしまったそうだ。
「キアナ、お前に一つ聞きたい」
「はい?」
「通形の話だと、お前も消失弾を撃たれたと言っていた。それは本当か?」
「……ッ」
あぁ、それは疑問になるのも頷けれる。消失弾によって通形先輩は個性を永遠に失った。同じ完成品を撃たれた私も、本当なら通形先輩と同じように失っているはず。
なのに私は、治崎止めるために、個性を使用して戦っていた。治崎自身も困惑するレベルとも言える。だからこそ、知らねばならないという訳だろう。だけど、正直言うと私自身も分からない。前世の力に変わりなはないが、
「…はい」
「ならなぜ通形は個性を失い、お前は失わなかった? お前はなんか知ってるか?」
「……わかりません。撃たれた感覚は確かにありました。けど、何事もなく、個性は使えてました」
「……まぁ元々お前の個性は謎が多すぎるからな。それらに関しての管理などはすべてメイ博士が担当しているそうだが、なるべく俺達に共有しろ。今回のことも、わかったなら共有しろよ?」
「ッ……は、はい」
釘を刺された……ていうかメイ博士が私の個性とかそういうの管理全面的に担当してたんだ。初耳なんですけど……その後私たちは退院は明日だからとりあえず今日は入院。犠牲もいないため、皆病院で一日休むことになった。
―
――
―――
上空の空中。下には白雲があり、上は青空しか広がっていない。
その空中を、先ほど治崎から消失弾を奪った
「しっかし、ベルナちゃんのドラゴンになっての移動はありがたいね~。黒霧がいない今、ベルナちゃんまでいなかったら移動手段限られるし、手に入れるのも一苦労だ」
「そもそもこいつ、ドラゴンになれて更に氷出して操ったりするで、とんでもねぇ個性だよな? しかも初対面の時から死柄木に従順だし……」
「なぁ死柄木。こいつホントに何なんだ? あの崩壊獣とかいうバケモンも気になるし……」
荼毘、Mr.コンプレス、スピナーは座りながら当然の疑問を抱いており、死柄木に問いただす。死柄木は立ったまま真っすぐ前を向いていた。
「詳しい詳細は知らん。そういう細かいことはベルラスに聞け。俺がわかるのは、こいつらが俺の忠実なしもべってだけだ」
「――――ッ!」
死柄木が返答し、その返答に同意するようにベナレスは鳴く。
「……ベルラス」
だが突如、死柄木は声のトーンを低くしベルラスの名を呼ぶ。それに瞬時に反応し、ベルラスはその場にとどまった。
「どうした死柄木…?」
「なんで止まったんだよ」
荼毘の質問に死柄木は答えない。だが突然律者の手を一つだし、振り返りながら振りかざす。次の瞬間、赤白の閃光が猛スピードで迫っており、死柄木は律者の手でそれをぶつけ、軌道をずらした。何事だと他のメンバーは振り返る。振り返った目線の先には――。
金髪のポニーテールの髪型をし、頭部にはブレードアンテナ。背面には巨大なウィング型のスラスター。脚部は太ももから足先まで重装備になっており、足先はタイヤ。太ももはサブスラスターが装備されている。身体の表面はぴっちりスーツ。両腕は機械が軽く装備されており、体格では合わない巨大なビーム砲を持っている。そんな一人の
「ようやく会えたな……
「……こういう囁きもあるんだな。そしてお前は――」
「「"
書けば書くほど書き直しを繰り返し続けるだけで時間が過ぎる…。