5機目のガンダムは空を駆ける   作:黒プー

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介入開始

西暦2304年。地球に埋没していた化石燃料が尽き、次なるエネルギーとして宇宙太陽光発電システムと、それに使われる軌道エレベーターが建設された。

しかしそれらが全ての国に行き渡るはずもなく、エネルギーは軌道エレベーター開発に参加した3陣営

『ユニオン』『AEU』『人類革新連盟』のみが独占し、他の中小国はむしろ化石燃料時代よりも貧困に喘ぎ、紛争柳井戦を繰り返していた。

そして現在。私たち『ソレスタル・ビーイング』は、そんな争いの絶えない時代を止めるべく、立ちあがろうとしていた。

 

 

「…てのがうちの組織を作ったおじさんの言い分なわけじゃん。」

『イオリア・シュヘンベルグですよ、シルヴィさん…。」

「そうその人。でも200年以上前の人なんだし、その人が残しと言葉に従ってる私らなんか狂信者みたいだよねー。」

『…口を慎め、シルヴィ。それ以上余計なことを言うつもりなら、テロリストごと君を消し飛ばすぞ。』

「ごめんてティエリア。」

 

やる必要があるかどうかもわからない任務なのに厳しいなぁティエリアは。

…ま、そんなことは置いておいて。

私はシルヴィ・ヴェサール。なんだかんだあってうちの組織、ソレスタルビーイングのガンダムマイスターをやってる。

機体は『Sガンダム』っていうすごくかっこいい機体。なんか操作難易度が高すぎてお蔵入りになりそうだったけど『君なら使いこなせる』って渡された機体なんだよね。実際私にぴったりな機体だとは思ってるけど。

 

『…そろそろ時間だ。予定通り行こう、二人とも。』

『了解。』

「はいはーい。…ティエリア、余計なことは言わないようにするから背中から撃たないでね?」

『いいから行け。』

「はい。」

 

ちなみに今はうちの組織の初仕事ってことで、サードフェイズの軌道エレベーター防衛任務にあたっている。

仲間は二重人格系男子のアレルヤと、ツンデレ男子ティエリア。

なんでこの面子にしたのさスメラギさん…。 仕事はするけど今度から能力だけじゃなくてメンバーの相性も見てよう…

ま、仕事はするけどさ。

 

「…よっと。じゃ、私はここから狙撃するんで後よろしくー。」

『うん、よろしく。』

「いってらー。」

 

エレベーターの方でテロリストの進行を妨害する役割のティエリアとアレルヤを見送りつつ、私は敵の観測のため、『ALICE』ちゃんを起動する。

 

『……おはよう、パイロットさん。』

「おはよーアリスちゃん。じゃ、観測よろしくー。」

『了解。観測を開始します。…敵部隊を確認。中型母艦1にMS4機。迎撃可能。』

「おけ! …よし、じゃ、はじめよっか!」

 

武装のビーム・スマートガンを敵の母艦に向けて構える。

出撃してたMSは無視だ。どうも出資者の王さんからの依頼で、派手にカメラの前で倒せってのがあったらしい。

各国の牽制に使えるとかなんとか。政治って難しいね。

…ま、そんなことは置いといて。

 

「…シルヴィ! いっきまーす!」

 

どこかのアニメで聞いたようなセリフを口にしつつ、私は母艦のコックピットに向かってスマートガンを撃つ。

対して離れておらず、機動力も低いポンコツ戦艦じゃ回避できるわけもなく、1撃でコックピットを鎮めることができた。

 

『…撃破確認。ミッション終了です。』

「これで終わりかぁ…物足りねぇ…」

 

ビームスマートガンを下ろしつつ、特にやることもないのでティエリアたちのいる方を見る。

するとちょうど私が目を向けたタイミングで、でっかいゲロビが発射されていた。

 

「わお。あんなところで打って大丈夫なのかな。」

『…確認。角度、速度等を確認しましたが、被害に遭いかねない観戦、拠点等は確認できませんでした。』

「そりゃよかった。」

 

仕事の早いアリスちゃんに驚きつつ、ゲロビの放たれた方向に目を向けると、ちょうど撃った張本人がこっちに来ていた。

 

『作戦終了だ。帰投するぞ。』

「お疲れ! いいゲロビだったよ!」

『その呼び方をやめろと何度言えばわかる。』

「えー! だってゲロビはゲロビじゃん!」

 

言い方をなぜか咎められたので言い返すと、ティエリアは何も言わなくなった。

ふふん、ようやく納得したみたいだねぇ。

 

『…呆れられてるだけじゃない?』

「ぬあっ!?」

 

アレルヤからも言葉の刃を突き立てられた。

い、痛えよう…。

 

『さ、じゃあ帰ろうか。』

「うぐぐ…はいい…」

 

スラスターを起動し、先行しているティエリアを追いかける。

これで任務終了! なんもしてないけど!

 

 

 

『…3300をもって、セカンドミッションを開始します』

「えっウッソでしょ!? 早くない!?」

「…事前に説明があったはずだが。」

「聞いてないんだけど!?」

 

ファーストミッションから帰投して休もうと移動していると、館内アナウンスでなんと次のミッションがもう始まると言われる。

嘘でしょ…もう少しだらけてられるやろって思ってたのに…

 

「お菓子部屋に置いてきちゃったんだが…糖分補給してえよう…」

「あー…チョコバーくらいならあるけど。」

「まじ!? サンキューアレルヤ!」

 

アレルヤから投げ渡されるチョコバーを受け取り、それを食べつつMSハンガーに移動する。

 

「…にしても、機体テスト込みの実戦か。…全く嫌になる。」

「えー? 実戦楽しくね?」

「脳筋は黙っていろ。」

「えっ酷くね。」

 

可憐な乙女なのになんでそういうこと言うのさ。だから嫌われるんだぞティエリア。

怒っている私を尻目に、ティエリアは話を続ける。

 

「…これからのためにも、ガンダムは見極めておくべきだ。実戦での試験は必要だろう。」

「それは、そうだけど。」

 

なんか気負ってるのかな、アレルヤ。まーこっちのアレルヤは優しいしなぁ。

あんまり気にしすぎるなと声をかける為にチョコバーをモゴモゴさせていると、前からスメラギさんが来る。

おっちょうどいいね!

 

「スメラギさーん! タバコちょーだい!」

「未成年のタバコは禁止だって何回言えばわかるの…はい、シガレット。」

「えー! ご褒美でくれたっていーじゃん! …これはこれで美味しいからいいけど。」

「ごめんね? 無理させちゃって。」

 

スメラギさんとすれ違いつつ、私たち三人は上に向かうルートに入る。

シガレット美味え。

 

「問題ありません。覚悟の上で参加しているので。」

 

私は問題しかないけどね! まあシガレットもらったしいいけど! やっぱコーラ味うまい。

そんなティエリアの言葉を聞いたスメラギさんは、少し憂いを残した笑顔をこちらに向ける。

 

「強いんだ。」

「弱くはないつもりです。では。」

「僕もこれで。」

「じゃーね! 帰ってきたらタバコちょうだい!」

 

それぞれそう言いつつ、私たちはMSハンガーのある上への道を進む。

スメラギさんなんか言ってた気がするけど気のせいでしょ。

 

 

『…Sガンダム、EX装備でカタパルトデッキへ。』

『EX-S、リニアフィールドに固定しました。』

『射出準備完了、タイミングをEX-Sに譲渡。』

「ありがと、クリスにフェルトちゃん!」

 

オペレーターの二人にお礼を言いつつ、発射体制に入る。

 

「よっし、EX-Sガンダム、シルヴィ・ヴェサール! いっきまーす!」

 

いつもの掛け声と共に、プトレマイオスから機体を発進させ、先行しているさっきの二人を追いかける為に全速力で機体を動かす。

さっきまで乗っていたSガンダムと違って、EX-Sは色々と増えてるらしいから推進力も高い、あっという間に二人に追いつく。

 

『…来たな。 GN粒子、最大散布。機体前方へ展開。大気圏へ突入。』

「おっしゃアリスちゃん! サポートよろしく!」

『…シミュレーションは何度もやってきたけど…』

「大丈夫だってアレルヤ! 失敗しても燃え尽きるだけだし!」

 

若干心配そうにしているアレルヤに声をかけつつ、ティエリアに追従して私も大気圏に突入する。

 

「いっくぞー!」

『…全く、度胸だけはすごいね…っ!』

 

ティエリアも無事に突入を開始し、私たち三人は地球へと向かうことになった。




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