最強騎士に憧れて体現しようとしてるTS転生主人公君︎︎ ♀はお嫌いですか   作:H-13

1 / 21
初めまして(お久しぶりです)

忙しい時って何故かネタ浮かぶよね。なんでだろうね。


シグリーヴァは転生者である。

大英雄。そう聞いて誰を思い浮かべるであろうか。ヘラクレス?妥当である。アキレウス?それもそうだ。カルナ?うんインドチートやめいや。クーフーリン?日本じゃ知名度あんまり無いけど大英雄の枠組みには十二分に入るね。

 

「私」も男。否、男だったと言えるだろうが。私の中での大英雄はただ一人、シグルドであった。いや、言い訳をするならソレを見るまではカルナ推しだったのだが。Apocryphaカッコよかったし。でも異聞帯のあれは反則だ。男のロマンを体現したその姿に同性の癖に惚れてメガネ俺も欲しい!と視力1.0には不要な伊達メガネを買ったりもした。

 

ひょんなことから転生して早二十と云年。その憧憬染みた光は今でも心の中で自分の芯を形作っている。

 

そう、「俺」は「私」となり、偶に「当方」と一人称を真似しながら、「戦士の王」となる為、理想を体現する為に此処に立っている。シグルドに!私は!なる!

 

 

 

 

 

さて、今私はどこにいるんでしょーか!(イ○ト風)

 

 

正解は!ダンまち世界のダンジョンに居ます!

 

誰に喋ってるかって?視聴者だよ視聴者、君には関係ないよ。大丈夫、狂ってなんか居ないってヘディン。

 

さて、本日はですね、このフォモール軍団を1人でぶっころしていきたいと思います!

 

あ、ヘディン阿呆とか馬鹿とか言わない!せっかく神ヘファイストスに打って貰ったんだから。試し打ち、試し打ちだから。

 

というわけで見届け人は堅物有能メガネです!私は好きだよ?…好きなのはメガネだけど!

 

 

 

48層まで一日で踏破した上で先日リポップしたばかりの49層のフォモール軍団を殲滅。50層で寝て帰宅。

 

それが私シグリーヴァ・ヘリアが立てた計画であった。

 

ドロップアイテム?フォモール軍団のを2人で持てば一杯になっちゃうでしょ。魔石?私の魔法じゃ全部お釈迦になるじゃん。素材半分あげるから行こうよ行こう!

 

そんな強引なお誘いに屈した同僚のヘディンには、ドロップアイテムの半分をお裾分けと言う名前の押しつけを行う。

 

だって一人じゃ持ち切れないもん。

 

サポーター?だから言ったじゃん試し打ちって。試し打ちにそんな時間使えないよ。

 

今は気持ち良く自分の「理想」に近付く為のイメージを固める。レベル6という現状においての高みへ至っても、小指程も「シグルド」になれてないと思うその飽くなき渇望は、一つの絶技へとシグリーヴァを誘った。

 

【蒼天よ、堕ちろ。黄昏よ、来たれ】

 

シグリーヴァが持つ唯一の魔法、そしてステータスが背に刻まれた時から発現している相棒の如きソレの名は───── 【黎明剣(グラム)

 

「魔剣完了。我が矜恃、此処に示そう。」

 

構えるは大剣。172あるシグリーヴァの身長程ある大剣と、その身に宿すは魔法の光。蒼い光を放つその本質は「対魔属性」。膨大な魔力を過剰な程に刀身に流し込み、其の儘に飛び上がる。

 

目指すはバロール、穿つは心の臓。必中と云うには驕りもあるだろうが、「戦士の王」は必中とするだろう。ならば私もそうなろう。

 

ふわりと大剣を手放せば振りかぶるは右腕。握り込む拳、打ち出すのは自らのメイン武装。斬り捨てた方が早いなんて言うんじゃない。私の原点を穢すな。

 

「禍津・黎明剣」

 

呼び名こそ同じ「ベルヴェルク・グラム」ではあるが本質はまた別にある。シグリーヴァの持つ大剣は破滅を司り聖剣と対をなす魔剣では無いし、魔法だってただの付与魔法である。

 

イメージと、膨大な努力と、身に付けた技量だけで成し遂げる擬似宝具。それがこの対軍染みた必殺の一撃である。

 

流星となった剣は寸分違わずバロールの魔石を貫通する。次の瞬間にはシグリーヴァの掌が大剣の柄頭に添えられていた。

 

バロールの身体には刀身を通して空間を揺らす程の振動が伝わり、呆気なくその身を塵へと変える。

 

寸勁。そう名前の付く技術であるがソレをレベル6のアビリティで行えば瞬間移動染みたものに見えるであろう。

 

 

スキル【魔装】。魔力消費と引き換えに特定アビリティの数値を上昇させる。今回は筋力と敏捷。

 

これにより右手一本で大剣「グラム」を十全に扱える。

 

左手には短剣であり5本ある【フロッディーズ】の一本を逆手に構える。

 

頭を即決で潰され素材に変えられたフォモール達はオコであった。闘技場の一歩外で見守るヘディンには見向きもせずに自分に全てのフォモールが向かってくるのを見れば、女性が浮かべて良い笑顔では無いソレをシグリーヴァは浮かべていた。

 

 

「瞬殺させて貰う。」

 

 

口から吐き出されるのは自身のマインドを刺激する。シグルドに成る、成りたい。その感情は身に纏う対魔の魔力が膨らむ事で感情が顕になっている。

 

トン……。ソ゛りュッ!

 

その空間からシグリーヴァが消え去る。ただの単なる移動である。しかし同じレベル6のヘディンの目にすらギリギリ残像が捉えられる程の速度はフォモールを完全に置き去った。

 

「瞬殺」その言葉、過剰なものでは無い。一撃一殺、対魔を持つシグリーヴァは魔石を弱点に持つモンスターにとって天敵となりうる。

 

軌跡は規則性が無くコマの様にクルクルと舞いモンスターの天敵でもある対魔の魔力を撒き散らしながら二刀にて鏖殺して行く姿は二つ名にもある「剣王」の名に相応しい。

 

それから然程もかからず、49層の闘技場で動いている者はシグリーヴァ以外に居なくなった。

 

何事にも相性というものは付き物だ。75年生きるヘディンは理解していた。しかしこれはダメだろう。団長であるオッタルがレベル7であるにも関わらず殺し切れなかった軍団をレベル6がたった1人で蹂躙するなど埒外が過ぎる。

 

英雄。長寿であるエルフのヘディンを措いてもその言葉が頭の片隅に出てきてしまうほどに。シグリーヴァはそう認識され始めていた。

 

文字通り格が違う。殆ど汚れが付いていない外套の汚れを叩きながら此方に手を振る彼女を見た。此方の考えなんか分かってなさそうな顔を無性に叩きたい。ドロップアイテム位はちゃんと貰おうとシグリーヴァの下へと歩いて行った。

 

 

 

誰かが原作開始と定めた年から2年前、気紛れなヴァルキリーに振り回された真面目メガネエルフの苦悩は今でも変わらず続いていた。いつかその苦悩から逃れられますように。あーそーめん。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。