最強騎士に憧れて体現しようとしてるTS転生主人公君︎︎ ♀はお嫌いですか 作:H-13
はい、とりあえず壁を拳で粉砕して兎君とお話する時間を作ったシグリーヴァちゃんで御座いますよー。
「えっと、…貴女は…?」
神ヘスティアの所のベルクンだよねー、知ってるよ。シグリーヴァ。名前位は聞いた事あるんじゃないかな?
「あ!神様がしょっちゅう話してた!」
そうそう。神ヘスティアをお世話してます〜。ちょっとね、見掛けたから付いてきてみたの。
原作に首突っ込む気にもならないしお師匠様ポジに成り代わりたいとかそんな欲欠片も無いけどさぁ。……構いたくならん?
主人公パワーなのかな?まぁ知らないけどさ。こんなふわっとした気持ちだけど、教えられる事が無いわけじゃない。
原作を覚えている限り遡ったけれど、身体の使い方や駆け引きはちゃんと学んでる癖に短剣を扱う技は学んでいる描写が無かった。
勿体ないよ。持ち方、扱い方。いずれ神ヘファイストス製の短剣が主装備になるんだから、は言い訳でしかない。
だからそんな技とかは教えられ無いけど、ちゃんとした持ち方と力の入れ具合だけは教えてあげる。
「!お願いします!」
いい返事。じゃぁね、ほら、こう持って?小指と薬指に力軽く入れて、あとの3本は軽く方向性だけ定める感じで。
そうそう。逆手の時はこう。投擲は…うん、まだいいか。覚える事多いけど基礎だからね。意識しなくてもこれが出来るように。
「あの、…僕は強くなれますか?」
んー、絶対とは言えないけど、上を見ているうちは絶対成長するよ。下見始めたら恩恵もそれに応じて急速に成長しなくなる。気を付けてね。目標があれば尚よしだ。
「ありがとうございます…。頑張りますね!」
よしよし、それじゃあ帰ろうか。ちゃんと夜は寝て昼間頑張ること。そうしないと体が持たないぞ?
と言う訳で夜帰りでございー。神ヘスティア起きてますか〜?お土産は無いけどグルクンベル君をお届けに来ましたよー!
「シグリーヴァ君!?それにベル君どうしたんだいそんな!」
いやー、普段着短剣1本でダンジョンに行ってたんだけどね。無理はしてないから大丈夫だよ。見た目はちょっとグロッキー感あるけど。普通に怪我は切り傷位だし。
「シグリーヴァさん、ありがとうございました。」
いーえ、無問題で御座いますよ。それじゃこの辺で。神ヘスティアも、兎くんもちゃんと寝るんだぞ?
師匠みたいな真似事してみたけど難しいや。いやね、自分の技術をそのまま教えて大丈夫ならいいんだよ。
だけどね、ほんと細かい部分。自分なりにアレンジしたり微調整してる部分はそうもいかない。
例えが難しいな、ピアノ、そうだ、ピアノで行こうか。私の前世じゃ片手演奏が出来るくらいしか上達せずに投げ出していたけれど。いいじゃないか動く方が楽しかったんだから。
男が男らしい曲を女性の弾き方を参考に弾いていたらどう映るだろうか。そう、違和感が凄いのだ。
知識がない人、興味ない人にとってはちゃんと弾けている点だけで上手いと判断されるであろう。だけれど、細部が分かる人が見るとどうだろうか。
戦いも同じことだ。誰かを真似るのは勿論良い。ちゃんと見ていると言うことだから。でも、それは上位には通用しない。
武器も体格も恩恵も癖も何もかも違うのに同じ動きをトレースしようとするのが間違っている。
上に上り詰めるのならば…小難しいとは思うけれど、自分なりのものを見つけてそれを極めて欲しいかな。
ぶらぶらと半分酔いが回った頭で変なことを考えながらシグリーヴァは帰路に就いた。
「ベル君、良く聞くんだ。シグリーヴァ君はレベル6でフレイヤ・ファミリア所属だからね?」
「え、ぇぇええええ!!」