最強騎士に憧れて体現しようとしてるTS転生主人公君︎︎ ♀はお嫌いですか   作:H-13

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この兎君が半年後にはレベル5に上がってるなんて信じられない。チートやチーターやビーターや!

流れる様に脚がダンジョンの入口へと向かう。10年間通って居るのだ、今更迷う様なことも無い。

 

オラリオに来たのが15歳。今25歳。

 

未だ頂きには届かず。されど、いつか追い付く。その執念染みた思いは今も変わらない。

 

凄い懐かしい記憶が浮かんで来たけどなんでだろうね。多分ベル・クラネルの顔を見に行くからだけど。

 

平均1.6年。それが私のレベルアップにかかる期間である。今は意図的にレベルアップを止めて基礎アビリティ上げと発展アビリティの方向性を考えながら高めている。

 

闇雲に強さを求めていたレベル4時代。なまじ力が付いてしまったが故の迷走期間。レベルが上がるまでの期間は1年を切る勢いであり喜んだものだが…。発展アビリティが1つも出なかったのである。あれだけ「戦いの野」に通い詰め同格をフルボッコに出来るまで成長したにも関わらずである。

 

自分に向き合う時だった。TSという歪みを抱えながら自分の鏡である恩恵と向き合い闇雲に武器を振る事は辞めた。

 

誰にでもそんな時期はあるだろう。だからこそ、それを乗り越え折り合いを付けたシグリーヴァはこんな性格になったのだ。

 

さて、ベル君を探そう。

 

新品同然のメイン武装を背中と腰に携えて、1層から順繰りに練り歩く。

 

レベル6、それもレベル7になれることが確約されているこの身では、徒手空拳ですら過剰戦力。故に右手だけ、左手だけ、最後の方には人差し指だけ。なんて縛りを課しながら魔石を一撃で爆散させる通り魔的存在が誕生してしまった。

 

こんな魔石拾うの面倒臭いし他人に取られるの癪だから破壊しちゃえばええんや!(本人談)

 

お、居た。あの子かな?うん、そのまんま。真っ白な髪に真っ赤な瞳。小柄な身体は異性である自分より低く、これは可愛がりたくなるやつだ。

 

精一杯短剣を振りモンスターを危なげ無く倒して一息をつく。そんな初心者に微笑ましく思いながらも内心戦慄した。

 

アレが半年でレベル5まで駆け上がる化け物かぁ…と。

 

当たり前だ、主人公君である。そんなちんたら10年も20年もかけて強くなるのを書いていたら書き終わる前に作者が死ぬ。

 

だけれど、そう文字や言葉でサラッと流せるのは完全に他人事だからである。

 

そして、これはシグリーヴァにとっての現実である。

 

頭の中に居る三等身位の人形みたいなシグリーヴァと某剣世界のキバオウさんが言葉を揃えて騒ぎ始めた。ビーターチーターと。

 

それを言ってしまえば私もそうなのだけれど。

 

久しぶりに他人に思考が振り回されている。辞めた筈の焦りがゆっくりと脳内を支配する。矢張り切り札を増やすべきか。

 

2年前、武装を一新してから溜まる一方で使ってなかった貯蓄を切り崩す覚悟を持って、地上へと戻った。

 

頼る先はフレイヤ。あんな神だけれど、持つ影響力は随一だ。お気に入りの自分が確りお金払ってお願いすれば大抵の事は聞いてくれるだろう。

 

「さ~て、避けてたけど魔導書に手出しますか。」

 

 




キバオウさんってなんであんなドリルみたいな突起頭に付けてるんだろうね(?)

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