リコリス・リコイル 愛情のハウンド   作:狼牙竜

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お待たせしました、山賊狩りゲームの続きです!

長くなりましたので前後編に分けての投稿となります。


感想、評価が力となります!


第2話 開花Ⅱ:願いのために(前編)

 

デザイアグランプリ一回戦 山賊狩りゲーム

 

現在、第2ウェーブ

 

 

 

「せああああ!」

 

専用武器『レイズハンマー』でジャマトの頭を殴って倒すハウドゥ。

 

「すぅー…ふっ!」

 

落ち着いて照準を定め、一体ずつ確実にジャマトをレイズアローで撃ち抜くサンド。

 

「これで残り…5体!」

 

水鉄砲『レイズウォーター』を鈍器のように振るって攻撃したジェリーが叫ぶと、全員がレイズバックルを操作。

 

 

《WATER STRIKE》

 

膨大な水がチャージされたレイズウォーターを向けると、消防車並の高圧水流がジャマトを襲う。

 

 

《CLAW STRIKE》

 

「ふっ!たああああ!!」

 

黄色く発光したレイズクローで一気に切り刻むグシャップ。

 

 

《CHAIN ARRAY STRIKE》

 

「よっしゃあ~!でや!」

 

高速で鉄球を振り回し、ジャマト目掛けて投げつけるピッグ。

 

「これで…」

 

《ARROW STRIKE》

 

レイズアローを構え、一気に撃ち抜くサンド。

 

 

「終わり!」

 

《HAMMER STRIKE》

 

レイズハンマーを構えたハウドゥは、衝撃波で相手の足元を揺らすと接近して最後のジャマトを撃破した。

 

 

 

 

『皆さん、お疲れ様です!これにて第2ウェーブ終了です!』

 

直後、スパイダーフォンにツムリから連絡が来る。

 

『ですがここまでで倒しきれなかったジャマトが一度姿を消しました。皆さんは一度、サロンにお越し下さい』

 

 

ーーーーー

 

デザイアグランプリのサロン。

ゲーム中の一種の中立地帯であり、ここではコンシェルジュの『ギロリ』氏による飲食物の提供やゲーム中に負った怪我の処置などが可能。

また、サロンの内部では他者への暴力行為や妨害は一切禁止され、違反した場合はツムリやギロリ、もしくはゲームマスターの判断で脱落となる。

 

「へー、デザグラでこんないい休憩所があったんだ!」

 

 

注文したオムライスを食べながらサロンの快適さを口々に誉める由奈。

 

その横で柳斗はコーヒーに口をつけ、さらに注文したみたらし団子を食べる。

 

 

「…ねえ、藤木って変わった趣味してんね」

「ど、どうしたのさ急に…?」

 

団子を一本食べ終えた柳斗は由奈の言葉に困惑する。

 

 

「だって普通コーヒーならトーストとかじゃん?なのにどうして和菓子なのかなって」

「そういうことか…いや、何というかバイト先がコーヒーと和菓子を売りにしてる喫茶店でね。それでこの食べ方が癖になったんだ」

 

そう言うと納得したのか、また一口オムライスを食べる由奈。

 

「…第2ウェーブまでで随分、人が減ったよね」

「うん…まさか半分以上が負けるなんて」

 

 

後ろから聞こえてきた会話に柳斗達の空気も重くなる。

 

現在は第2ウェーブが終了した段階。

にも拘らず、27人いた参加者のうち生き残ったライダーは現在13人。

 

 

 

つまりここまでで14人が敗北したということになる。

 

 

ふと周囲を見回した柳斗は、残った参加者達に何気なく目を向ける。

 

 

先程まで一緒に戦っていた3人と自分達を除けば、まだ性格などがわからない8人のライダー。

 

中学生か高校一年生くらいの大人しそうな少年、『針生 窮次』こと仮面ライダーハツカネ

 

知的な印象を持つメガネをかけた体格のいい20代後半くらいの男『伊井森 賢』こと仮面ライダーゴリ

 

20代前半くらいの少し怖そうな雰囲気の女性『虎鉄 凉香』こと仮面ライダーティーガー

 

その凉香と親密そうな関係に見える、所々から刺青が見える30代前半の男『獅子王 陣』こと仮面ライダーライオ

 

 

有名な動画配信者『ラクダの瘤』として売り出している青年『高砂 悠』こと仮面ライダーキャンメル

 

 

金髪に大量のピアスをつけた、一般人には見えないような強面の若い男『海世 八啓』こと仮面ライダーオクトー

 

そして八津と似た顔をした兄弟の『海世 十治郎』こと仮面ライダークィード

 

 

だがその中でも特に異彩を放つ人物。

 

 

鋭利な目をした、一見するとアイドルのようにも見える美少年。

だが、纏うオーラが他の誰よりも底知れない恐ろしさを漂わせていた。

 

 

(…確かあの人は、天羽 青華)

 

天羽 青華。仮面ライダーイーグラップに変身する謎の少年ということ以外は何もわからない。

 

 

 

重苦しい空気に辟易していた由奈だったが、柳斗は気になっていたことを質問する。

 

「…ねぇ。ところで渡辺さんはどうしてデザイアグランプリに?」

「うん…まあ、色々あってね…強いて言うなら、伶のためかな」

 

 

芦川伶。柳斗や由奈と同じ学年でサッカー部のスター選手と評されるだけの実力者だったが、過去の練習試合で脚に重い障害が残ったことで退部。

 

以降は様々な女子生徒との不純異性交遊が噂されるなど、あまりよくない噂が目立つ生徒だった。

 

「芦川さんの…でも、どうして?」

 

柳斗の言葉に由奈は答える。

 

「実はさ…私、怜と付き合ってるんだよね。だから、あいつが怪我で荒れてたのを近くで見てたんだ」

 

 

 

 

 

「色々悪く言われちゃったけどさ…あいつ、根は悪い奴じゃないんだよ。嫌な噂だって流されてるけど、それでもまだ諦めてるわけじゃない…だから私がこのゲームに勝って、伶の脚を治す。それが私の理想の世界」

 

 

その言葉を聞いて、柳斗は自身の願いを思い返す。

 

 

「藤木こそ、どうしてデザグラに?」

「俺は………助けたい人がいるから…かな」

 

 

そう言って見せたのは、以前バイト先で撮った写真。

 

「錦木千束。俺を今のバイトに紹介してくれたんだけどさ…心臓が悪くて、あと2年の余命だって知った。そんな時にこのゲームに参加できて、願いだって迷わなかったよ」

 

デザイア神殿に置いてある、参加者達の願いが記されたデザイアカード。

柳斗が記した願いは『錦木千束がもっと長く生きていける世界』。

 

「だから絶対負けたくない…皆同じ気持ちなんだろうけどね」

 

そんな会話をしていると、サロンにあるアンティーク物の電話が鳴りギロリが出る。

 

 

 

「…皆さん、呼び出しです」

 

 

ーーーーー

 

デザイア神殿に集まる13人の前でツムリが説明をする。

 

「先程、山賊ジャマトの残党計62体が町中に現れました。クリア条件は雑魚60体の殲滅か、頭領ジャマト2体の撃破です」

 

すると、空中にジャマトが出現した証となる結界…『ジャマーエリア』の範囲がマップとして表示される。

 

 

「うそ…ここって…!」

「マジかよ…!」

 

表示されたエリアを見て柳斗、由奈、そして青華までもが驚く。

 

何故なら、そこは柳斗達の暮らしている町だったからだ…

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

ツムリによって神殿から直接ジャマーエリアに転送されたライダー達は、それぞれデザイアドライバーを装着。

町中に分散されて配置され、柳斗は由奈、賢、塔野と一緒の場所に転送される。

 

 

 

「君達とははじめましてだな。私は伊井森賢。仮面ライダーゴリだ」

 

 

賢はそう言うと皆と異なるデザイン…牢獄をイメージしたような外観の『ゾンビレイズバックル』をドライバーに差し込む。

 

 

《SET》

 

少し異なる差し込み音声が鳴り、賢は左手を開いて心臓の部分を軽く叩く。

 

「変身」

 

バックルについていた鍵のようなパーツを回すと、バックルが開く。

 

 

 

 

《…ZOMBIE!!》

 

不気味な唸り声が聞こえ、賢はゴリラを模したマスクを装着すると、上半身が紫の刺々しい装甲に覆われる。

左腕には大きなクローが装備され、さらに右手には専用武器である大型チェーンソー『ゾンビブレイカー』が出現。

 

『仮面ライダーゴリ・ゾンビフォーム』に変身し、迫ってきたジャマトをゾンビブレイカーで粉砕する。

 

 

「す、すげえパワー…」

 

驚きながらも塔野、由奈は自身のバックルをドライバーに差す。

 

「変身!」

「へ~ん、身!」

 

 

塔野は両手の拳を打ち付け、由奈は胸の前で祈るように手を組むと右手で耳にかかった髪をかき上げてウィンクし、叫んだ。

 

 

《ARMED CHAIN ARRAY》

《ARMED ARROW》

 

 

 

ピッグとサンドは武器をもってジャマト目掛けて走り出す。

 

「あぁもう!そんな慌てたらダメだってのに!変身!」

 

《ARMED HAMMER》

 

 

 

すぐにハウドゥに変身した柳斗は、レイズハンマーを使って近くのジャマトを叩き潰す。

 

 

 

 

(確かに焦る気持ちもわかるけど…!)

 

途中でサンドがピッグやゴリと違うルートを走り、ハウドゥはサンドを追いかけながらゴリにスパイダーフォンで連絡する。

 

 

「伊井森さん!渡辺さんと僕は別ルートでジャマトを倒しに行きます!」

 

「何!?…わかった。だがそっちにはボスの反応がある!まずいと思ったらすぐに私を呼ぶんだ!」

 

 

ゴリは迫り来るジャマトに対し、ゾンビブレイカーのカバーを操作。

 

《POISON CHARGE》

 

禍々しい音声が鳴り、トリガーを引く。

《TACTICAL BREAK》

 

振り抜かれたゾンビブレイカーがジャマトの体を削り、木片となって散らばるのだった…

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

一方、青華はジャマトの動きを観察しながら変身の機会を伺っていた。

 

 

(…ミッション達成できるなら今のうちにこなした方がいいか。あのゴリラが使ってたようなアイテムが手に入るなら)

 

 

全員のスパイダーフォンには特殊ミッションなるメールが届いており、それをクリアすることで強力なレイズバックルが入手できるというものだった。

 

 

「マグナムバックル…条件は発見されずにジャマトを一体倒すか」

 

すると、山賊ジャマトが二人組の女子高生に襲いかかっていた。

 

(あの制服…)

 

ベージュを基調とした、赤いリボンを着けた制服姿を見て思わず舌打ちをする青華。

 

抵抗していた女子高生達は数分もせずジャマトの持つ曲刀により無惨な死体に変えられ、それを確認した青華はシールドバックルをドライバーに装填。

 

 

「変身」

《ARMED SHIELD》

 

イーグラップに変身すると、すぐさまバックルのエンブレムを押し込む。

 

 

《SHIELD STRIKE》

 

 

青いエネルギーが集まったレイズシールドをまるでブーメランのように投げ、ジャマトは粉々に粉砕。

 

 

レイズシールドが手元に戻り、イーグラップのスパイダーフォンに通知が来る。

 

《MISSION CLEAR》

 

すると目の前にピンクのミッションボックスが現れ、中身を確かめるべく開封するイーグラップ。

 

 

「これは…見るからに当たりって感じだな」

 

銃のグリップとリボルバーが一体化したような形状の白いバックル。

イーグラップは『マグナムレイズバックル』を腰のホルダーに提げ、再び動き出した。

 

 

ーーーーー

 

 

町中のジャマトに襲われた人を助けながらサンドを追いかけていたハウドゥだったが、その中で偶然にも見知った顔と出会ってしまう。

 

「み、ミズキさん!?」

「はぁ!?その声、もしかして柳斗なの!?」

 

バイト先の先輩、中原ミズキがデザイアグランプリに巻き込まれていた。

服装はお店の制服なので、恐らくは買い出しの最中に巻き込まれたのだろう。

 

「あんた、何その格好…コスプレ?」

「えっと…あ、後で説明します!」

 

現れたジャマトをハンマーで殴り、ミズキに叫ぶ。

 

「とりあえずリコリコの方まで走ってください!後で追い付きますから!」

「わかったけど…逃げるんじゃないわよ!」

 

 

ミズキが走り去ってホッとするなか、柳斗のスパイダーフォンに通知が来た。

 

 

《SECRET MISSION CLEAR》

「シークレットミッション?でもマグナムもニンジャもクリアされてたはずだけど…?」

 

メールに記されていたのは『ジャマトに襲われた人を5人救出せよ』という隠しミッションをクリアしたという通知。

 

そして現れたピンクのボックスを開けると…

 

 

「これって…何か凄そうなやつ?」

 

バイクのハンドルとマフラーをイメージしたデザインで、メタリックレッドの大型レイズバックル。

 

すると、ツムリから連絡が入った。

 

『おめでとうございます!それは仮面ライダーのスペックを大幅に引き上げるレアアイテム、ブーストバックルです!』

 

ブーストレイズバックル。

桁違いの力をどのライダーにも与える最強クラスのバックルだが、必殺技を使うと強すぎる力が爆発してどこかに飛んでいってしまう弱点もある。

 

 

 

 

「これなら…早く急がないと!」

 

 

ハウドゥはサンドが焦る気持ちもわかっていた。

 

ジャマーエリアの内部にあったのは、自分達の通う学校が入っていたこと。

そして今日、この学校にいるのが誰なのか…

 

 

 

 

 

 

「あああああ!」

 

 

学校にたどり着くと、多くの生徒を守りながら10体のジャマトに襲われてるサンドがいた。

 

「渡辺さん!」

《SET》

 

ハウドゥはブーストバックルをドライバーの左側に装填。

そのままバックルのハンドルを二回回し、バイクのエンジン音が鳴り響く。

 

 

《DUAL ON》

 

下半身にバイクのマフラーを模したような装甲が追加され、脚部から炎が吹き上がる。

 

 

《BOOST!ARMED HAMMER!》

 

強化形態『ハンマーブーストフォーム』に変身したハウドゥは加速しながらサンドを助けだし、近くのジャマトを全員蹴り飛ばして撃破する。

 

 

 

「渡辺さん!渡辺さん、大丈夫!?」

 

物陰に隠れ、ハウドゥは慌ててサンドのドライバーからバックルを外すと足や腕、頭から大量に出血している由奈がいた。

 

 

「う…これくらい、どうってこと…っ!」

 

 

足の傷が深いのか、歩く度に切り傷から血が流れる由奈。

 

「もうやめなよ…渡辺さん、もうこれ以上戦ったら…」

 

 

 

「わかってるよ…!それでも、今逃げるわけにはいかないんだよ!」

 

 

由奈はTシャツの袖を破って足の傷に巻き、柳斗に声をかける。

 

「藤木…そのバックル、貸してくれない?」

 

 

ーーーーー

 

 

 

サッカー部のグラウンドで暴れまわっているジャマト達から必死で逃げ回っている部員達。

 

その中で松葉杖を突いた制服姿の少年が逃げ遅れ、ジャマトによる矢が少年の頬を掠める。

 

「ひっ!?」

 

 

 

明確な死の恐怖が少年に近づき、後退りながら逃げようとし…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「止めなさいよ!」

 

 

刹那、少年を守るように由奈が間に入る。

 

 

「ゆ…由奈?」

「伶…」

 

少年…芦川伶は目の前に現れた由奈に驚きを隠せない。

 

 

「藤木!伶のこと、お願い…」

「…わかった」

 

柳斗は伶に肩を貸し、距離をとる。

 

 

「ふ、藤木…?由奈…?」

 

 

突然のことに混乱する伶だが、由奈は二つのバックル…アローと柳斗から借りたハンマーバックルを装填。

 

 

(…ごめんね、藤木。伶…それでも!)

「今は退いちゃいけないんだ。変身っ!」

 

《DUAL ON》

 

《ARMED HAMMER》

 

上半身にピンクのプロテクターが装備され…

 

《ARMED ARROW》

 

左足にライトグリーンのプロテクターが装着された強化形態『仮面ライダーサンド・アームドハンマーアロー』に変身し、右手のハンマーでジャマトを殴りながら他のジャマトをアローで撃ち抜く。

 

 

(守るんだ!絶対に…)

 

背後から鉈で斬りつけられ、激痛に叫び声を上げたくなるが唇をマスクの下で噛み叫びを堪える。

 

 

「負けて…たまるかああああ!!」

 

振り向き様にハンマーで殴り飛ばし、倒れたジャマトにゼロ距離でアローを連射。

 

 

 

鬼のような気迫でジャマトを次々と倒していくサンドだったが…

 

 

 

 

 

「ピアーブファ!」

 

「っ!?」

 

巨大な斧が振り下ろされ、アローとハンマーのバックルが宙を舞った…

 

 

 

 

後編に続く

 

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