オッス!おら、海の民!   作:maybear

8 / 9

 流れる汗も綺麗なアクア
 
 ルビーに隠したその瞼
 
 歌い踊る舞う私はマリア
 
 そう嘘はとびきりの愛だ。 


 
 IDEAL
 
 偶像やおおいに賞賛され、愛され、傾倒される人や物。


バーチャルアイドル “ウル” 

 

 アイドル。

 

 アイドルとは、偶像であり、嘘を身に纏い、

 

 愛や恋や勇気や希望などを撒き散らし、相手に生きる糧を与える素晴らしき存在。

 

 目標とするべきもの。

 

 そう。()()()である。

 

 アイドルの戦闘服は、である。

 

 己の嘘をいかに価値のあるもの、

 

 綺麗に魅せるもの、

 

 真実味をもたせるものに仕立て上げ、

 

 苦労のくの字も見せず、

 

 ただ、

 

 大衆?金づる?ファン?リスナー?

 

 要は、己の価値を認めてくれる人、有意義であるとさせた人に

 

 魅せる。

 

 キラキラした穢れも知らない顔で、現実にはない理想像を思い描く。

 

 

 

 そう。嘘は、とびきりの愛、EYE、アイなのだから!

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 バーチャルアイドル ウル

 

 性別:不詳

 

 年齢:不詳

 

 出身国:不明

 

 10年前。

 広いネットの海の世界にいきなり現れた歌姫(セイレーン)

 

 ウルの出現は、ネットの海に津波を起こした。

 

 初投稿曲

 

 『命に嫌われている。/カンザキイオリ 歌:ウル』

 

 その当時、あまり素人が歌をネットに上げるというのは、珍しかった。

 

 皆、物珍しさに歌を再生した。

 

 俺もその一人だった。

 

 それが引き金(トリガー)であり、ウルの始まりだった。

 

 “「死にたいなんて言うなよ。諦めないで生きろよ。」

 

  そんな歌が正しいなんて馬鹿げてるよな。”

 

 ツイステッドワンダーランドは、歪んだ世界といえど、

 

 恋に歌を歌い、幸せを綺麗な言葉で紡ぐのが当たり前。

 

 プリンセスと王子が愛の歌を歌う。

 

 しかし綺麗事では、済まされない綺麗な側面が少ないこの世界。

 

 けれど、恋歌や紡ぐ歌はきれいな言葉を美しく羅列させた、

 

 所詮、綺麗事の歌だった。

 

 この最初のワンフレーズで胸ぐらを掴まれたような感覚に陥った。

 

 目が開く。

 

 瞳孔が開く。

 

 “実際、自分は死んでも良くて。

 

  周りが死んだら悲しくて。”

 

 そう。自己犠牲は、いいのだ。

 

 自分が死んだあとは、知らないから。

 

 残されたあとの人の気持ちも、その痛みと苦しみを耐え続けて生きる必要がないから。

 

 無知とは、()であるが、()()でもある。

 

 恐ろしい言葉と僕は思う。

 

 そんな苦しみ…息ができない感覚が「嫌」だからっていう僕のエゴ。

 

 もう、あんな奇跡は起きない。

 

 もう、二度とあのような惨劇は起こさない。

 

 “他人が生きてもどうでもよくて

 

 誰かを嫌うこともファッションで。”

 

 あはは。

 

 笑ってしまった。

 

 結局ワタシは、我が身が大事で。

 

 それを脅かすあの子が大嫌いで。

 

 努力を知らない顔が嫌で。

 

 そんな醜いワタシがファッション…?

 

 負けず嫌いで悔しくてッその醜さが露呈して、悪役しか役が来なくて…?

 

 そんな嫉妬を抱えて生きて脅かしてくるものに()()()()()()()??

 

 あは…。

 

 そんなの…なんて素敵なんでしょうね。

 

 “画面の先では誰かが死んで

 

  それを嘆いて誰かが歌って。”

 

 ウルは、止まるとこもなく鮮烈に悲しそうに歌う。

 

 “それに感化された少年がナイフを持って走った。”

 

 ああ。それは、俺の理想像だ。

 

 目の前の脳天気な奴を…あいつを…主を…刺して…殺めてしまったら。

 

 お前は、どんな顔で死んでくれる?

 

 この思いはどうすればいい?

 

 衝動的に感化されて出来たら…どんなに楽なんだろうなぁ…。

 

 “僕らは命に嫌われている。

 価値観もエゴも押し付けて。

 いつも誰かを殺したい歌を。

 簡単に電波で流した。”

 

 “僕らは命に嫌われている。”

 

 “軽々しく死にたいだとか

 軽々しく命を見てる 僕らは命に嫌われている。”

 

 

 

 “一日中惰眠を謳歌する。

 

  生きる意味なんて見出せず、

 

  無駄を自覚して息をする。”

 

 忌み嫌われの第二王子。

 

 恐ろしいユニーク魔法()をもって。

 

 影では、根も葉もない噂が独り歩きして。

 

 兄貴とは、違う待遇、違う目を向けられる。

 

 暖かみのない生活…「寂しい」?

 

 アハッ。俺が…?

 

 この()はそんなんじゃねえ。

 

 そんなもんじゃ…チッ。

 

 考えても()()だ。

 

 はあ。一人で寝るには…このベットは、広すぎる。

 

 ・・・。

 

 ふぁあ。眠い。

 

 “少年だった僕たちはいつか青年に変わってく。”

 

 僕もあの時から変わっていった。

 

 クズでのろまなタコ…。

 

 もうそんな事は、言わせない。

 

 二度とだ。

 

 僕には、優秀な後援者(パトロン)もいる。

 

 もう。()()()じゃない。

 

 僕を馬鹿にしてきた彼奴等をきっと見返してやる。

 

 僕はもう…あの頃には戻らない。

 

 もう…戻りたくもないんだッ!

 

 “矛盾を抱えて生きてくなんて怒られてしまう。”

 

 この気持はなに?

 

 トレイやチェーニャと食べたあまーいあまーい夢のような苺タルト。

 

 いつもお母様が用意してくれる僕のためのご飯。

 

 お母様の言うことは、絶対正しくて。ルールを守るとこは、正しいこと。

 

 

 だから、僕のルールを決めるお母様は絶対正しい。

 

 

 これは、言われるまでもない僕の当たり前。

 

 でも、あの時がとても楽しかったんだ。

 

 だから、あの時間をもう一回。

 

 渇望したあの時を手にいるために今日も僕は、ルールを守る。

 

 ・・・苦しいなぁ…。

 

 もう、どうすればいいんだろう?

 

 こんな矛盾な感情を持っていたら、怒られてしまうのかな?

 

 怒る人がいなければいいのかな?

 

 ねぇ、お母様。教えてよ。ある評論でこんな主張があったんだ。

 

 【この世に全て正しい人なんて存在しない。】

 

 これは、本当?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 “「正しいものは正しくいなさい。」

 「死にたくないなら生きていなさい。」”

 

  

 

  “悲しくなるならそれでもいいなら”

  

 

 

 

 

 

 

 

 

  “                 ずっと一人で笑えよ。”

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 “僕らは命に嫌われている。”

 

 俺は、ワタシは、“()()()()()すらわからず”

 

 僕は、俺は、“()()()()()()ばかり憎んで”

 

 僕は、“簡単に()()ばかり呪う。”

 

 

 

 “僕らは命に嫌われている。”

 

 

 

 

 しかし。

 

 これは、ウルの紡ぐ救いの歌。

 

 “それでも僕らは必死に生きて

 

 命を必死に抱えて生きて

 

 殺して、足掻いて、笑って、抱えて、

 

 生きて、

 

     生きて、

 

         生きて、

 

             生きて、

 

                 生きろ。

 

 

 

 

 

 

 この歌は、ネットの民の心に刺さりまくった。

 例えるならば、ある氷魔法を使用できる氷の女王が自身の妹にその氷魔法を心にぶ刺さったくらい、刺さった。

 

 コメント欄は、WWWなんてふざけたものはなく、救世主(メシア)だ!や歌姫(セイレーン)の発掘だ!等絶賛の嵐。そして、心のなかで、SAN値は死ぬ。

 

 SAN値を回復して、そこから、皆思う。

 

 

 この曲を歌う歌姫は何者なのか?

 

 

 皆探した。

 考察も何度もされた。

 スレも沢山立って討論が行われた。

 されど見つからぬ。

 ネットという広く深い海の中では、個人を特定するには難易度が高すぎた。

 その後、白熱しウルの正体探しは一ヶ月続いた。

 

 そして、ほとぼりが冷め始めた一ヶ月後・・・

 

 次回作(起爆剤)投稿。

 

 『あの夏が飽和する。/カンザキイオリ 歌:ウル』

 

 穏やかなイントロに皆、前回のように号泣しないだろうとフラグを立てた。

 

 ♪〜♫〜♬〜

 

 ”殺したの”

 

 「ミ゛ッ゛。」

 

 動画停止。

 いやいや。どうした何があったいきなり(フラグ回収)

 今回もSAN値を削るのかぁ〜と視聴者は、悟る。

 

 再び動画を再生する。

 

 歌のストーリーは、ある夏の日、中学生の少女は自分をいじめていた子を誤って殺してしまう。

 「どこか遠いところに行って死ぬ」と口にする少女に対し、僕は「僕も連れてって」と二人きりの逃避行の旅に出る。

 だが、警察官に追いつめられたところで少女は僕を残し、命を絶ってしまう。

 

 んん〜。重い。

 最初のイントロとバックに流れる音楽とのギャップがことの深刻さを表している。

 

 でも、心にぶっ刺さる。

 

 

 新たなジャンルの出現?

 

 目新しさ?

 

  

 それもそうだと思う。

 

 だけど、

 

 ウルの歌い踊り舞う、歌詞や歌い方が、曲全てが。

 

 俺達(ネットの民)に刺さるのだ。

 

 「うん。チャットの箱立てよ。」

 

 

 

 『ウルの新曲“あの夏が飽和する”を語ろうの会チャット。』

 注意事項:歌い手;ウルのことは、ウル様呼びすること。

      アンチコメは、BAN対象。不愉快な言葉は言わない。

      ここでは、皆の意見を全肯定すること。

 

 ^今だったらウル古参リスナーになれる嬉しいさん^

 ー今回の新曲も色々な意味でやばかった…。

  いつか、心臓が破裂するんじゃないかと思う。

 

 ^カレースネークヘッドさん^

 ー俺は、爆発して修復中だ。

  二回目だから、コツを掴んだな。早めに終わり…そうもないな…。

 

 ^今だったらウル古参リスナーになれる嬉しいさん^

 ーあ。リピートしましたね?修復早く終わることを願ってます〜。ニコッ。

 

 ^ネクラ侍氏^

 ースレ立てあざまーす。お二方WWWどんな会話されてるんですかWWW

 

 ^今だったらウル古参リスナーになれる嬉しいさん^

 ーウル様の歌が神すぎるっていう話を。

 

 ^カレースネークヘッドさん^

 ーウル様、セイレーン様だな。人生の女神。

 

 ^ネクラ侍氏^

 ーそれな。まじ、人生に影響を釘でガンガン打って来ますわWWW

  そして、主様の話が意訳すぎるWW

 

 ^今だったらウル古参リスナーになれる嬉しいさん^

 ーあながち間違っては、ない。

 

 ^ネクラ侍氏^

 ーないけどもWWW

 

 ^カレースネークヘッドさん^

 ー^ネクラ侍氏^は、タイピング早いですね。会話に付いてくのが一番早い。

 

 ^ネクラ侍氏^

 ー慣れでござるよ〜。^カレースネークヘッドさん^も、慣れれば、このくらいいけますぞ!

 

 ^カレースネークヘッドさん^

 ー尊敬…。

 

 ^ネクラ侍氏^

 ーうれぴ。あ。まて。話しそれた。ウル様の新曲“あの夏が飽和する”について語らんと・・・。

  拙者の一押しは、いつか夢見た優しくて、誰にも好かれる主人公なら、

          汚くなった僕たちも見捨てずにちゃんと救ってくれるのかな?

  の部分でござる。綺麗事信者のヒーローに縋ってしまう側の歌…。う゛〜なれるでござる〜。

  ってか、こんな悲しい歌を歌うウル様の環境を知りたい・・・。

  拙者が救うんだぁ〜…。

 

 ^今だったらウル古参リスナーになれる嬉しいさん^

 ー俺も仲間に入れてくれ。ウル様の幸せは俺達が守り貢ぎ、崇め、称えるのだ!!

  う゛〜。^ネクラ侍氏^の愛しポイントも分かりますわ〜!!

  ウル様の“救ってくれるのかな?”の部分・・・!!歌い方…!!!幼みを感じて幸せ…。

  歌詞も神っっっっっっ!!!

  僕の一押しは、“『殺したのは隣の席の、いつも虐めてくるアイツ。

          もう嫌になって、肩を突き飛ばして、打ち所が悪かったんだ。

          もうここには居られないと思うし、どっか遠いとこで死んでくるよ』”

 の部分かな…。感情の込め方が尊すぎる…。まだ、実感が湧いてなくて、でも、これからを考えると人殺しをした悪い少女だから、死なないと。と諦めも感じる…。何なんだ!この世界線…!!!

 

 ^カレースネークヘッドさん^

 ーわかるぞ。^今だったらウル古参リスナーになれる嬉しいさん^。

  ウル様の感情を込めた歌い方は、ツイステッドワンダーランド一だ!!最早、一種の芸術作品レベル…‼‼

  歌を歌うウル様を尊く、素晴らしい気持ちもわかるが、歌うに当たってこんなに感情を込めているウル様の心身が心配だ。

  宝石一つでも送らさせて欲しいくらいだ。そして、ウル様を守り貢ぎ、崇め、称えるのだ。ウル様を守るのは、俺達だッ‼‼

  そして、俺の一押しは、“君の無邪気さは頭の中を飽和している。

              誰も何も悪くないよ。君は何も悪くはないからもういいよ。

              投げ出してしまおう。

              そう言って欲しかったのだろう?

              なあ?”

  の部分だな。置いてけぼりにされてしまった僕の、懺悔の思い。君は、何も悪くないのに。

  悪いのは、いじめていああいつだろう・・。そう、あの時に言ってほしかったんだろう?

  大人になって自分の幼さを呪って。その代償か、僕は、少女の居ない世界で今日も息をする。

  今でも、鮮明に覚えている少女の無邪気な笑顔。

  “なあ。”でウル様が悲しそうに届かぬ思いを届ける声が…!!感情が・・・!!

 

 ^ネクラ侍氏^

 ー^カレースネークヘッドさん^・・・!!熱量が半端ないでござるううう〜!!流石、心臓が破裂した強者!!

 

 ^ネットの狩人くん^

 ーボーーーーーテっっっっっっっっっ!!!!!!

  素晴らしいね!三者の同様のウル様への愛を感じたよ!!!

 

 ^カレースネークヘッドさん^

 ーあ。^ネットの狩人くん^こんにちわ。ウル様への愛のポエム綴り終わったんですか?

 

 ^ネットの狩人くん^

 ーああ!今回のも自信作だよ!ウル様へ愛が本人に伝わるといいなと思い、曲をかけながら熟考したさ!

 

 ^ウルル・めめくちゃーん^

 ー多分本人、曲挙げたあとエゴサしてるから見てると思う〜。

  あ。言いたいあまり、打っちゃった。

 

 ^ネクラ侍氏^

 ー!!???まて。え。消され・・・?

 

 ^今だったらウル古参リスナーになれる嬉しいさん^

 ーは?今デーリトされたのって・・・?はあ?本人様???偽物???

 

 ^カレースネークヘッドさん^

 ー奇跡的にネットの回線が遅くてスクショできたんだが…いる者はいるか?

 

 ^ネクラ侍氏^

 ー待って・・・貴方が神か・・・?

 

 ^今だったらウル古参リスナーになれる嬉しいさん^

 ー^カレースネークヘッドさん^の回線の重さに感謝なんだが・・・?

  やはり、あなたが神か・・・?よし。今日から^カレースネークヘッドさん^の回線は呪術回線だ!

 

 ^ネクラ侍氏^

 ー不名誉か名誉なのかよくわからない呪いすぎるWWW

 

 ^カレースネークヘッドさん^

 ーウル様の呪いか???喜んで。

 

 このスレは、ご本人登場のスレとしてとても話題になった。

 

 余談・・・

 

 ^ネクラ侍氏^

 ーえま…ちょ待て。ウル様曲挙げたらエゴサしてんの!?

  待て待て…。ウル様の瞳にクソコメやアンチコメントが写っていると・・・?

  は?アンチ元々万死だったのに、更に万死???

 

 ^カレースネークヘッドさん^

 ーよし。アンチ勢は、全て通報だな。

 

 ^今だったらウル古参リスナーになれる嬉しいさん^

 ーこの世に、ウル様のアンチなどいらぬ!!!

 

 

     _人人人人人人人人人_

     > アンチに死を!! <

      ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄

 

 

 そこから、ウルの名は、曲数と比例してファンを増やしていった。

 真面目な曲だけでなく、単純に意味もなく楽しい歌も投稿していった。

 楽しい歌代表曲といえば、“かまってちょうだい。”

 

 ウルの愛らしい声で、かまってちょーだいと歌う曲は、ヲタクを殺した。

 ウ゛!心臓発作…!!!

 一番盛り上がったのは、寂しそうに甘えを粘らせた声で

 

 “ボクが飽きるまでは 寝るまでは 目移りしないでほしいだけ”

 

 と子猫が強請るように歌うのは、何度も聞き返したヲタクが五万といただろう。

 

 そして、ウルを真祖として、新たな沢山のネットシンガーが誕生した。

 それは、ウル〇〇派と派閥を形成し、どんどん大きくなっていった。

 しかし、未まだ真祖、ウルを超えるものがいない。

 それに、新たなネットシンガー達もウルを敬愛し、推しているので、越えようなんて思考にならない。

 

 

 ウル爆誕から、5年、そのネットシンガーの時代は、一時幕を閉じる。

 

 

 その間、ウルが“砂の惑星”という歌を投稿し、また話題を呼ぶ。

 今の静まってネットシンガー時代を皮肉った歌。

 今の状態を砂の惑星のようにカラカラで味気ないと真祖・ウルからの警告曲として、ネット界を振動させた。

 

 停滞期、安泰期。

 まるで、景気のように回復期、好景気、不景気、後退期くるくる回る。

 そして、今年は、ウル爆誕から今年は、10周年。

 10周年記念絵は、公式からも出たし、ありとあらゆる界隈の神絵師が祝福した。

 

 

 

 今日は、ウル爆誕日。

 本人様のチャンネルで、一週間前からカウントダウンが始まってリスナーもニワカも古参も今か今かと待っている。

 

 

 「ん?皆とてもそわそわしてない?」

 「えー?監督生知らねぇーの?

  今日は、ツイステッドワンダーランドの一番のバーチャール歌姫、“ウル”の10周年記念日なんだぜ?」

 「ああ。一週間前から、色々準備して今日という日を盛大に祝うらしい。」

 「え!?なにそれ!すごいね!全然知らなかった…。」

 「監督生ってホント何にも知らないよなー。」

 「すみませんねー。何にも知らなくてぇー!!」

 「そんなに怒るなよ!ほら、試しに聞いてみろよ。ウルの“命に嫌われている”。初投稿の曲。」

 「ん?命に嫌われている?どこかで聞いたことあるような・・・?まあ、聞いてみますか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「・・・。BAD BOY…。おい。そこの二匹子犬。その崩れた顔でよくこのクルーウェル様の授業に出ようと思ったな。」

 

 「グエッグスッ・・・。グスッ・・・。」

 

 「・・・トラッポラ。何があった。」

 

 「えっと…今日ウルの10周年記念日じゃないですか〜。

  監督生がウルのこと知らないっていうから、初投稿曲の“命に嫌われている”聞かせたらこんなんに…。」

 

 「GOOD BOY!トラッポラ!ウルを知らないのは人生の損失!俺のオススメ曲は、“ルマ/かいりきベア”や“ナイティナイト/まふまふ”だ。監督生!授業を止めた罰として、曲を聞いた感想を書いてくること!わかったか?BAD BOY!!」

 

 「ハイッ!」

 

 

 

 「・・・見事に2つとも犬を取り扱ってる曲だったな。」

 

 「推しになった…私は、ウル様の推しだああああああああ!!!!!!」

 

 「わっうるせー!!監督生‼・・・ウリエル先輩はどうなんだよ。」

 

 「推しと想い人は、別枠です。」

 

 「おし…?と好きな人は違うんだな・・・。」

 

 「はいはい。天然デュースくんは、置いといて。監督生!ウルが推しになったなら今日の10周年アニバーサリー特別ライブオンボロ寮で見ようぜ!」

 

 「!

  見よう見よう!!サムさんの購買でお菓子とか買って見よう!!

  この前、スクリーンと投影機見つけたの!スマホ繋いで大画面で見よう!!」

 

 「お!スゲーじゃん!じゃあ、授業後サムさんとこ集合な!」

 

 「はーい!あれ?エース?今日は、部活いいの??」

 

 「いーのいーの。今日は、ウルの記念日だから、ほとんどの部活は、やってねーよ。」

 

 「スゴッ!ウル様の影響力やんばぁ…。

  よし。見たあとに、クルーウェル先生の課題しよ。推し語りみたいなものだよね〜。

  ふふ〜ん。得意分野っ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『ジー…ジー・・・アーアーゴホン。

  え〜テステス…。聞こえてるかな?リスナー達?』

 

 『今日は、待ちに待った僕の10周年記念アニバーサリー!

  ウルちゃん初めてのおてて公開だよぉ〜!!いえーい!ちゃんと写ってる〜???』

 

 『うんうん。多分コメントとか、めちゃめちゃ早く流れてるんだと思う!これ、録画だからね〜。

  うんうん。でもぉ、ウルちゃんわかっちゃうよぉ〜!!

  後で、しっかり見るからね!!』

 

 『それでは、カウントダウン!

  10・・・9・・・8・・・7・・・6・・・5・・・4・・3・・2・1っ!!』

 

 『0!!!

  ありがと〜!!!!!

  ウルは、今年で10周年。長いような短いような激動の10年だった。

  ずーっと古参から見てくれた人、もしかしたら今日存在を見つけてくれた超新規の子もいるかもね…!

  そんなキミ達にウルから愛を込めて送るよ。

 

  ウルという偶像(アイドル♡)をもーっともっと愛してね。』

 

 

 

 

 『アイドル/YOASOBI』

 

 

 “無敵の笑顔で荒らすメディア

 

 知りたいその秘密ミステリアス

 

 抜けてるとこさえ彼女のエリア

 

 完璧で嘘つきな君は

 

 天才的なアイドル様♡”

 

 

 ポップなリズムでテンポよく進む音楽。

 謎多きウルを包むヴェールの如く紡がれる歌詞。

 

 

 「今日何食べた?好きな本は?遊びに行くならどこに行くの?」

 

 

 あまり己を見せないウルにリスナーが毎日思っている疑問を歌詞に紡ぐ。

 ウルとリスナーの関係は、一方通行に見えて相互監視状態にある。

 ウルは、害悪フィルターをかけてコメントは、毎回チェックしていると公言している。

 だから、ウルのこの歌詞は、この行動を裏付けになっているのだ。

 

 だが、ウルは、情報公開については、頑なにのら〜りくら〜り躱している。

 「それは・・・なーいしょ♡」

 と可愛くおねだりしてように言われれば…リスナーは、どうしようもないほど、ウルの奴隷(ファン)だ。

 だから…

 「そっかぁ〜。」

 と流れてしまう他ない。選択肢がない。

 そんなふうに。

 ただ、そう淡々と、だけど燦々と。

 

 しかし、ウルとて人間。のらりくらり躱していても見えそうになる。

 その時リスナーは、思うのだ。

 見えそうで見えないウルの秘密は蜜の味。

 生きる糧。その味を知ればもう後戻りはできない底なし沼。

 もうそれは、依存性の高い何か。

 推しのことを知りたい…!もっと見たい!

 

 もっと加速する。

 もっと探す。考察する。

 でも、それは、真実味のないフェイクをはらむ嘘。

 あれもないないない。これもないないない。

 

 「好きなタイプは?相手は?さあ答えて!」

 

 ウルは、よく恋や愛について歌詞がある曲を歌っている。

 しかし、ウルの恋沙汰は、あまり表に出てきていない。

 唯一出てきた情報は、“一緒に居て笑える人がいい。”

 でも、それは、文字だけであり、嘘か本当か知り得ない。

 

 だが、リスナーは歓喜する!

 その情報、歌、ウルの時々垣間見える行動…その全てに堕ちる。

 他愛のないそんな言葉にまた一人堕ちる。

 また好きにさせる!

 

 

 それは、ウルを象徴する言葉。

 

 

 “誰もが目を奪われていく

 

 君は完璧で究極のアイドル

 

 金輪際現れない

 

 一番星の生まれ変わり

 

 ああ!

 

 その笑顔で 愛してるで

 

 誰も彼も虜にしていく”

 

 

 

 その瞳がその言葉が

 

 嘘でもそれは完全なアイ

 

 

 

 暗転して、ダークネスなリズム調になり、ヘイトのような気分に陥る。

 完璧じゃない君(ウル)じゃ許せない。()()を許せない。誰よりも強い君(ウル)以外は認めない!

 ウルを真祖と崇める崇拝者(リスナー)は、多い。

 故にのしかかるリスナーからウルへの無意識の圧は強い。

 でも、ウルは重圧を押しのけて、最強で無敵のアイドルというバーチャルシンガーの理想像を10年続けてきた。

 弱点なんて見当たらせない徹底ぶりと、知りたくないとこは見せずに、唯一無二で、それこそ本物のアイドル像を魅せ続ける。

 弱いとこなんて見せちゃダメダメと。

 今までも。これからも。

 

 得意の笑顔、歌、曲…ウルという存在で沸かすメディア。

 ウルの正体と言うなのトップシークレット。

 10年…ウルが爆誕してから、隠しきるこの秘密だけは。

 愛してるって、嘘で積むキャリア。

 10年間の嘘は、どんな価値があるのかな?

 これこそ、その嘘は、ウルなりの愛なのだ。

 

 ウルが10年流してきた汗も努力も歌も綺麗なアクアのような宝石。

 ウルの2次元ビジュで明かされた真っ赤なルビーの瞳を隠したこの瞼。

 声で、歌詞で、歌い踊り舞うウルは聖母マリアのような包容力。

 

 歌と歌詞と音楽で数多の人を救ってくたウルの見せない見えないしかし魅せられる嘘…。

 

 そう嘘はとびきりの愛だ!

 

 ウルは、そう謳い続ける!

 

 ウルという存在の嘘を、本物にLimitで極限まで近づけるために!

 

 だって、ウルは、バーチャルシンガーで、アイドル。

 

 だって、アイドルは、偶像。

 

 嘘という魔法で輝き存在価値を得る生き物。

 

 何度でも、何度でも言ってやろう!

 

 嘘は、とびきりの愛!

 

 ウルという存在の正体を隠してこそ、一流のアイドル!

 

 嘘に嘘を重ねて、どんなにつらいことがあっても

 

 自分の居場所で、ウルの縄張りであるネットで、

 

 楽しそうに幸せそうに歌って皆に希望と救いと夢と、

 

 キミの生きる糧や意味すら与えてしまう!

 

 一番も、推し変も、三次元(リアル)に負けない!

 

 キミの推してる思いぜーんぶほしい。

 

 だって、ウルは…欲張りなんだもん♡





 こんなシリアスになるなんて…!!!

 この曲(命に嫌われている)に僕自身も救われてので…いや。まじ、いい曲だな…

 っていう2つの相反する気持ちがうす巻いていました。

 どこかの第二王子とか、世界的スーパーモデルとか、砂漠の国の従者とか、死者の国の番人とか…いろんな人が聞いてました。


 読んでいただきありがとうございました!!
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