今回から一旦戦いから離れたストーリーとなります。
エヒトによって造られた命達が生きた人生の追憶です
エヒト「よいか…今日よりお前の名はインドラ。そしてお前はアシュラだ……精々我の為に役立つのだ」
インドラ──それが彼に与えられた名だった
同じく同時期に生み出されたアシュラとは誕生経緯が一緒なこともあり便宜上は兄弟とされた
インドラとアシュラ
このふたりはエヒトルジュエが過去に生み出した種族や使徒達とは違い、輪廻眼と転生眼をもとに生み出された
いずれ己の器となる為だけに造られた存在
輪廻眼をもとに造られたインドラ
転生眼をもとに造られたアシュラ
エヒトルジュエは過去に生み出した亜人、竜人、魔人族は力不足により失敗作の烙印を押し、自身に従順な使徒達には自分に従う以外の自我が存在せず精神の成長を一切遂げずにいた為従順なだけの失敗作と評し器の成長の見込みがなかったことで、エヒトルジュエは肉体的な成長と同じくらい精神的な成長にも着目し、生み出したふたりには他の使徒たちと違い各々の自我を尊重した
例えいずれ自身に歯向かうことになろうとゆくゆくは己の器として育ってくれるのならばと思いエヒトルジュエにしては他の創造物(他種族や使徒)と比べても破格なほどの高待遇だった
万が一それぞれが輪廻眼と転生眼を開眼し器として完成したうえで歯向かったとしても己ならそれすら跳ね除け肉体を奪うこともできると過信していた
そうして生まれてから十数年間神域から地上の人類同士の争いを見て育った
同じ環境で育ったふたりだったがその感性は大きく異なっていた
弟アシュラはエヒトルジュエによって争わされている人類を憂い、人々がこれ以上争うことのないよういずれはエヒトルジュエを倒そうと考えていた
一方、兄インドラは人類の醜い争いや自分達の信じる思想こそ正しく、それ以外は全て悪と考え滅ぼそうとする様を見せられ人類に対し強い嫌悪感を抱いていた
いくらエヒトルジュエによって仕組まれた争いだとしても、それを含め人類の底が見えたように彼は感じていた
やがて造られてから何十年が経ち
エヒトルジュエが見聞を広げるという名目で地上に下ろしてくれた
だがそれも含めふたりの肉体と精神の更なる成長を地上の人類が施す要因となると考えてのものだった
それだけでなくエヒトルジュエはふたりの人類をどう思っているのかも含め監視役の使徒達から一言一句聞いていた為、地上に降りる少し前に自らを崇める宗教(後の聖教教会の祖)にて信託と言う形でふたりのことを伝えていた
ふたりを自身の力を分け与えた息子達と呼び、丁重に扱う様伝えた
無論この話はすぐに広まったがエヒトルジュエが伝えたのはそれだけでは無かった
兄インドラには破壊の力を
弟アシュラには創造の力を分け与えたとわざわざ伝えたのだ
結果地上に降りたアシュラは人間達から尊敬の目で見られ人々が集まり、逆にインドラには表立ってでは無かったが人間達から畏怖の目で見られ人々は恐れ近づくことは無かった
こうなることをエヒトルジュエはわかっていて敢えてやったのだ
人々を助けたいと願い人々を愛するアシュラと人々を愚かだと思い人々を嫌うインドラだからこそ、その心をより増長させる目的でふたりを見る人々の目を別々にさせるよう認識の誘導をさせたのだった
だがアシュラはそれに気づかずにいたが、インドラはこれがエヒトルジュエのやった企みであることに気づいていた
そのことに訂正する気は起きなかった
なぜならインドラにとって人類が自身をどう思おうがどうでもよかったのだから
人類に対し嫌悪感を抱くだけに飽き足らず、特に期待もしていなかった
やがてアシュラはこの地上にいる全ての種族が争わないよう救済の為の旅に出て、その先で出会った同じく争いを止めようとする者達、エヒトルジュエを倒そうとする者達を秘密りに集めるのだった(後にその中から、現代のトータスに伝わる解放者達の前任者達が誕生)
争いを止めようとする
平和を想い、人々が笑顔で暮らせる世界を作ろうと苦難に足掻く姿を見た人間族からは救世主と呼ばれるようになった
その中には彼に助けられ、彼が目指す世界を願う亜人族、竜人族、魔人族の姿も一部存在していた
しかし、一方のインドラは人間族だけでなく亜人族、竜人族、魔人族にもその存在が知られ、更に恐れられたのだった
どこへ行こうとアシュラのように尊敬や親しみは一切なく、まるで化物でも見るかのように見られていた
だが、それでもインドラは一度たりとも人類を殺すことは無かった
嫌いだから 気に食わないから 目障りだから
そんな理由で殺すのはまるで自分が嫌う人類のようだった
自分は人類とは違う 一緒ではない
そう内心強く想うのだった
だが日に日に増していく人類への嫌悪感は止むことはなく
しまいには一人だった自分と違い多くの同士を引き連れたアシュラがインドラの前に姿を現した
そしてインドラにも自分達と一緒に人類が争わない世界を作る為に、エヒトルジュエを倒そうと誘われた
しかし
インドラ「断る」
インドラはその誘いを跳ね除けた
アシュラ「ど、どうして!兄さんだって今の世界の現状は知ってますよね!人々が争いを続ける限り苦しみ続ける!」
インドラ「それで?」
アシュラ「それは俺達の父…いや、エヒトの企みが生んだ惨状。俺はこれ以上、奴のせいで犠牲になっていく人々を見てられない。世界の人々の為にも、エヒトは倒さなくちゃいけない。だから」
インドラ「だから共にエヒトと戦えと言いたいのか。尚更却下だ」
アシュラがどれだけ協力を呼びかけてもインドラがそれを頑なに拒む
アシュラ「なぜ、なぜなんですか!?なぜ人々の為に戦おうとしないのですか!?」
インドラ「簡単な話だ。私は人間が嫌いだから。いや、人間に限らず、亜人や竜人、魔人を含めた全ての種族が嫌いだ。存在そのものが吐き気を催すほど醜い奴らの為に、なぜ私が手を貸さなければならない…」
アシュラ「し、しかし…このままでは本当に人類が滅ぼ」
インドラ「私にとって人類が滅ぼうと心底どうでもいい…それとお前は勘違いしているようだが…人類が争うのはエヒトのせいだけではない」
アシュラ「……え?」
インドラ「いいか?エヒトのせいで人類同士争うのではない。人類が自らその道を選択し争うのだ。それが人の本質…自らの目的や欲しい物を手に入れる為なら平気で他者を踏み躙り、その命すら自らの欲の為の糧にする。自分に共感しない者は敵であるから潰しても良いと大義名分掲げてな……己の身の丈以上の幸福を求め、欲に走った結果が今の世界だ……例えエヒトが存在しなかったとしても、この世界の種族が人間だけだとしても、どうせ人類同士争う結末は変わらん。わかるか?これは自業自得だ。人類のな……やるならば貴様らで勝手にやるがいい」
それだけ言いインドラが去ろうとすればなおも呼び止めるアシュラ
アシュラ「兄さん!エヒトは俺達が器として成長することを望んでいる!このまま行けば、いずれは奴に身体を」
インドラ「そうなった時は、死ぬ気で抗う…それだけだ。自分の心配だけすればいい……それと、いい加減人を信用するのはやめろ。連中はお前の甘さに漬け込んで希望や期待を押し付けているだけだ……」
それ以上なにも言わずこの場を去った
それでも引き留めようとしたため殺気をアシュラとアシュラの背後にいた同胞たちにも向けた
アシュラの後ろで自身をまるで化物でも見るような眼はインドラにとって見馴れた物だった
恐らくアシュラは一度たりとも自身と同じように見られたことはなく、この先もインドラの気持ちや考えを理解する日は来ないだろうと、なんとなく分かっていた
別にその事に不満に思ったことは無かった
それも含め、輪廻眼を元に造られた命である自分の運命だと理解していた
だが
インドラ「……なぜ、こうも苛つく?」
今日、久しぶりに見たアシュラは地上に降りる前と変わらず世界中の人々の為に戦っていた
自分と違い、仲間を引き連れ人々から尊敬や信頼の目で見られるのはわかりきってはいたはずだが、仲間を引き連れるアシュラを見た時から言いようのない苛立ちを覚えたのだった
インドラ「……世界を救う……まるでハゴロモのようだな……」
輪廻眼を元に造られたインドラには、その眼の元の持ち主であるハゴロモの記憶が存在していた
反対に転生眼を元に造られたアシュラには、元の持ち主であるハムラの記憶があり、エヒトですら知らない事実をいくつも知っていた
だが、記憶を引き継ごうと歩む道は一緒では無かった
輪廻眼を持つハゴロモは世界を救い、ハムラの転生眼を引き継いでいるアシュラがハゴロモのように世界を救おうとしている
逆にハゴロモの輪廻眼を引き継いでいるインドラはハムラのように離れたところから傍観するだけ
アシュラから見れば世界を救える力を持ちながら何もしない者
だがそれ以外の者からすれば強大な力を持つ怪物
インドラ「……(……私は…いったいなんの為に生きてるのだろうな)」
人から恐れられ、人を信じず、世界がどうなろうが知ったことの無い、生きる意味や目的もなくただ一人で孤独に生きて行く
その生き方を選んだのは紛れもなく自分
だが時より感じる空虚さ…それがなんなのか、長く生きてきたインドラには決してわからないことだった
アシュラと別れて更に月日が流れ、トータス中を歩き回ったインドラ
どこへ行こうと種族同士の争いがあり、人々から恐れられ、自分にとって安住の地と呼べる場所はどこにもなかった
人からなんと思われようと関係ないが、せめて人の存在しないどこかを求めて
そうして歩き続けること更に数年
インドラ「……美しい」
ようやく辿り着いた 彼にとっての安住の地
広大な森
木々に囲まれ、草花が咲き誇り、目の前には広大な大滝があり、それが大きな虹を生んでいた
破壊の力を持って生まれた彼だが別に破壊そのものが好きというわけではなく、むしろこの様な壮大な大自然の風景を好んでいる
美しい風景が壊される
彼が争いを好まない理由の一つでもある
この地を安住の地に選んだインドラはまず自分の住むねぐらをどうしようか考えた
創造の力を持つアシュラならともかく破壊の力を持つ自分には家を建てる技量は持っていない
どうすべきか悩んだ末、いつの間にか夜になった為、適当な岩肌のある壁を破壊し穴蔵を作りそこで一夜を過ごした
翌朝、小鳥のさえずりを目覚ましに目を覚ましたインドラ
未だに眠気が残っており、脳が覚醒していなかった
少しの間ボーッとしていたが、いい加減起き上がろうと身体を動かす
ボンヤリしていたお陰で視界がぼやけて見えていたが、やがてまともに機能し完全に見えるようになると
インドラ「…は?」
普段何事にも動じないはずのインドラが何十年ぶりに動揺した
それもその筈、完全に見えるようになったインドラの目に真っ先に写ったのは
スヤスヤと眠る少女の姿だった
見た目は黒髪ロングの14〜15才ほどであり、亜人の尻尾や耳が無く肌も魔人特有のものでもなく、竜人の様な強さを感じさせない、この世界に存在する人類中最も弱く最も数の多い人間族だということが伺える
いつ どのタイミングでインドラの寝床に忍び込んで眠っていたか、そもそもなぜここで眠ったのか理解に苦しむが
インドラ「…おい」
少し乱暴に身体を揺すり起こそうとした
少女「う、う〜ん…」
少女は眠そうにしながら目をこすり目を覚ました
少しの間ボーッとしていたがインドラの存在に気が付くと
少女「あ、おはようお兄さん!」
なんてことないかのように挨拶してきた
インドラ「……お前、何者だ…」
このいつ自分に近づいてきたかわからない少女にインドラは警戒心を出しながら聞く
それに少女はまるで
ティア「私ティアっていうの!よろしくねお兄さん!!」
まるで太陽の様なはちきれんばかり笑顔を浮かべながら名乗りを上げるのだった
この時のインドラは知らなかった
この人間の少女との出会いが 人類を嫌い 信じなかった孤高で孤独だった自分の人生を大きく変えた
運命の相手だということを
もう75話を超えたのでここからは攻略者パーティーメンバーの人気投票のアンケートを取ります。正直出番の少ない恵里がかなり人気なのが驚きでした。そして光輝と雫の人気具合が想像以上でしたww正直作者の中ではもう光輝がハジメを抜いて主人公なのではとすら思いかけてますwww
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