カズマ「どうした急に俺を呼び出して」
ハジメと光輝と戦った翌日
よく眠れてなかったハジメが二度寝し時刻が夕暮れを過ぎたときだった
ハジメに呼び出され彼の部屋に行くとそこにはハジメと光輝、ユエにシア、幸利とティオがいた
ハジメ「……お前と話がしたくてここへ呼んだ……まず最初に謝らせてほしい……お前の強さは本物だ……それこそ俺達の強さが霞んでしまうほどに洗練されていた……あまりにも自分の力を過信し過ぎていた」
カズマ「理解できたなら結構だ……それで、俺とアクアも同行してもいいよな?」
ハジメ「その前にお前に聞きたいことがある……ここにいる面々は皆お前に対して色々思うところがあるが共通していることがある」
光輝「……お前の実力…その戦いの慣れ具合…そして一切無駄のない洗練された技術……とても異世界に来て約3ヶ月の熟練度ではない」
ティオ「うむ…妾はこう見えてもお主らの何十倍以上も生きているのだが…そんな妾から見てもお主の戦いは見ていて違和感を覚えておる」
幸利「思えばカズマ。お前は異世界転移したばかりの頃からずっと達観した姿勢だった……今まで剣も振るったことのない学生でありながら周りと違って戸惑いなんてものが無かった」
ユエ「ん…ハジメから聞いたけど……あなたは特別何か武道を嗜んでいた訳でもない……にも関わらず」
シア「圧倒的なステータスを持つハジメさんと光輝さんを終始圧倒しましたですぅ!!」
ハジメ「俺達は魔物の肉を食べた無理なステータス上げをしてこの世界の人類も魔人も遥かに上回るステータスを手にしたっていうのに…わかるか?……俺達のお前への共通認識が……『お前がやけに慣れすぎていることだ』…なあ…真面目な話だ……
お前は一体…何者なんだ?」
カズマ「………」
周囲のカズマを見る目は疑心と警戒心に満ちていた
そして
カズマ「………フッ…長ーい話になるんだがな」
語りだす
かつてこの世界とは違う異世界を救った冒険者の前日譚
《転生前》
こことは違う異世界『トータス』
そこでは人と魔人族が長い間争っている
しかし、そのふたつの種族は全てトータスの人間族が崇める神、『エヒト』が黒幕であり、人々に崇められていく内に神性を得たが、それによって人々が築き上げたものを壊すことに愉悦を感じる歪んだ性格になった
そしてこれから十数年後、エヒトは地球に住む日本のとある学校の高校生複数名を『遊戯(ゲーム)』の為に戦争の駒として召喚させる
エリス「そこでお願いします。貴方方にはそのエヒトの野望を阻止するため、それぞれ地球とトータスに転生して下さい!本来なら貴方方は魔王討伐を果たしこの世界の人類を救った英雄……にも関わらず死後も再び他世界を救うという大役を押し付けてしまうのは本当に申し訳ないと思っています。ですが……貴方方しか信用できないのです!!……ですからどうか………あ、ちなみに転生する場合、記憶はそのままで転生します」
死後の世界
魔王を倒し、その後の余生を過ごし、その生涯を終えためぐみんにダクネス……そして最後に死んだカズマを看取り天界へ帰還したアクアの4名は自分達と長く交流を深めていた幸運の女神エリスに呼ばれ、話を聞かされた
めぐみん「……どうしますか?……正直に言えば私は構わないのですが…」
ダクネス「うむ…私としても異世界でまた冒険者として振る舞えるのは悪くないし…エリス様の話を聞いて放っておけないのだが…」
アクア「……カズマはどうする?……カズマの意見が私達の総意見よ……」
カズマ「……エリス様…一つ聞きたいんだが、こういうのって本来神様のやるべき案件じゃないのか?……どうして俺達なんだ?」
エリス「そ、それが……本来神が世界に直接干渉していいのは制限こそあれど自分の管轄の世界だけであってトータス担当じゃない私達が干渉することができないのです。エヒトは元々はトータスとは違う世界から偶然訪れ、その世界の神を殺し神になりかわり人々に崇められていく内に神性を得て神へと昇華しました………ですのであの世界には奴を止められる神は一人もいません。彼を止めようとした者達も居ましたが皆全滅しました…その結果トータスはエヒトの遊び場と化し、今もなお数多くの命が犠牲となっています………人が他世界に干渉していいのは神の手によって転移転生させられた場合のみ……こちらにエヒトの動きを読むことのできる神が居ますので、エヒトがいつどこで誰を転移させようとするのかがある程度わかります……」
カズマ「……ちなみにだ…この話を断ることって」
エリス「はい。これは強制ではなく神々からのお願いです……無論…貴方方はこれを断る権利があり、私達には強制する権限はありません…その場合でも記憶をそのままに転生させます…私としては…出来ることなら受けて欲しいです……」
カズマ「……そっか…」
そこでカズマは目を瞑り考えた
自分達はただでさえ一つの世界を救った
にも関わらず転生後もまた救わなければならないのかと……たしかに大勢の人の命を見捨てるのは嫌だ…その話を聞いて助けたいとも思った
が、自分にとって世界よりも後ろの三人の方が遥かに大切だ
万が一があるかも知れないそれに巻き込みたくない……
アクア「カズマ…」
そこへアクアがカズマの手を握り、めぐみんが後ろから抱きつきダクネスがもう片方の手を掴む
アクア「カズマが何を心配しているかなんてよくわかるわ……私達を心配してくれるその気持ちは嬉しいわ…でもね」
めぐみん「カズマはこれまで自分の心に正直に生きてきたじゃないですか……諦めて妥協するなんて事をしてこなかったじゃないですか」
ダクネス「私達を助け、守ったように…カズマが心から望む事を…どうしたいのかを言って欲しい……何処へ行こうとも…何処へ辿り着こうとも、私達はカズマを信じているのだからな」
カズマ「…………エリス様」
エリス「はい…」
カズマ「もっとトータスについての情報、それとエヒトが異世界転移に巻き込もうとする場所と日時を教えてほしい」
エリス「!!」
カズマ「お前らも知っているとは思うが……俺にとってお前らは俺の命以上、それこそ世界よりも大事だ……けどな……見捨てられねえんだよ……この話を聞いたあと……他世界を救うことから逃げたとして……学校行ったり遊んでたり飯食っててふと気持ちが途切れた時『あぁ 今エヒトのせいで大勢の命が亡くなってるんだな』って凹んで『俺は関係ない』『俺のせいじゃない』って自分に言い聞かせる……そんなの俺らしくねえよな?自分が救いたいと思ったものを救い…自分が大切だと思ったそれを手放さない……それが俺なんじゃないのか?」
エリス「カズマさん…」
カズマ「俺は俺らしくありたい……お前らも巻き込むことになるかも知れない……それでも…俺のワガママについてきてくれるか!!」
その瞬間、アクアとダクネスがカズマを抱きしめた
アクア「フフッ…それでこそ私達の勇者様ね」
ダクネス「ああ…お前はそれでいい……お前はこれまで私達のワガママに付き合ってきた…なら…私達だってお前のワガママについて行こうか」
めぐみん「はい。他世界であっても見捨てない貴方は……本当にカッコいいですよ」
カズマ「……お前ら…」
エリス「フフッ…ありがとうございます…皆さん……それでは、私の知る限りのことを話します」
そうしてエリスはカズマ達に自身の知り得る事をすべて話し、やがて転生の為の魔法陣を展開した
その際本来なら女神であるアクアは上記のルールの為に一度神性を捨て人間に転生する事にした
そして人間に転生しその生涯を終えたあとは再び戻ることとなった
またトータスと地球へはそれぞれめぐみんダクネスとカズマアクアに別れることとなった
これは神が記憶持ちを転生させられる上限が一つの世界にそれぞれふたりまでが限度である為であった
めぐみん「………それでは…しばしの別れですね」
ダクネス「……そう、だな」
カズマ「何言ってんだよ…また会えるさ……そんでエヒトを倒したあとは、みんなで楽しい余生を送ろうじゃないか」
アクア「そうね……まあ私とカズマは地球に転生するからトータスに転移されるまではステータスがロックされてただの一般人になってるけど…ふたりはそっちで転生後若い時の力発揮できるからってハメを外さないでよ?」
カズマ「やりすぎて俺たちが来る前にエヒトに目を付けられたりしたらシャレにならねえしな」
そして魔法陣から強い光が漏れ出しエリスが声をかけてきた
エリス「それでは転生の儀を発動します……皆さん!ご武運を!!」
めぐみん「あの…カズマ……アクア…これで当分会えなくなります……ですので…今のうちに私にキスしてもらえますか!!」
ダクネス「ま、まて、そう言うことなら私にも!!」
めぐみんとダクネスが言い終える前に俺はめぐみんとダクネスの唇にキスを…アクアはふたりの頬にキスした
カズマ/アクア「「またな/またね………俺/私の大切な家族達」」
ふたりに一時の別れの言葉を告げ、それにふたりも返してきた
めぐみん/ダクネス「「また会いましょう/また会おう…………私達の愛しい家族達」」
その言葉を最後に、魔法陣の強い光がカズマ達を包み込み、やがて消えていった