カズマの言っていた明後日のホルアドへと行く当日
ハジメ達はギルドに来ていた
ちなみにカズマとアクアは買い物があると出ていき、それにすれ違うタイミングで浩介がギルドに駆け込んできた
浩介「い、いやまあ…お前と天之河が生きていることはカズマから聞いていたし、そこは驚かねえんだけど……なんで子供抱いてるんだ?…それと周りの女子達は?」
ハジメ「ああ…色々あった…簡単に言えば惚れられてパパになって一緒に旅してる」
浩介「……ああ…(詳しく聞きたいが今は駄目だな)」
シア「(やっぱり困惑しちゃってるですぅ)」
ハジメ「それより浩介、何があった…お前がそれだけボロボロになってるのには何かあったってことだろ?」
浩介「ああ!!そんなんだ!!」
そこで浩介はこれまでの事を事細かに話した
ハジメ「……何やってるんだあの馬鹿は」
ユエ「ん…酷い……とても光輝と同じ日に生まれた双子とは思えない…」
シア「はわわ、ど、どうしますかハジメさん光輝さん!?」
ハジメ「どうしたもこうしたもないだろ。さっさと戻るんだよ!」
そう言うとハジメはミュウをシアに預け、自身とユエも行こうとした
浩介「あれ?そういえば天之河は?」
が、そこでさっきまで居たはずの光輝の姿が見えないことに気づき、辺りを見渡す
ハジメ「!……あいつ…まさか……(あいつ…わかってるだろうな……昨日カズマが話していたことを…)」
所変わってオルクス大迷宮
浩介が救助を呼びかけたその数時間後
勇輝達を追い詰めた魔人族の女性カトレアとカトレアが率いる魔改造の魔物達に再び見つかり交戦
更には彼女達は合流してきたメルド達騎士団を品詞に追い込み人質に使い、ただでさえ劣勢だった勇輝達は更に追い込まれた
極めつけは土壇場で能力の覚醒を果たした勇輝の攻撃により形勢逆転され、後はとどめを刺すだけとなったのだが
カトレア「ごめん……先に逝く……愛してるよ、ミハイル……」
愛しそうな表情で、手に持つロケットペンダントを見つめながら、そんな呟きを漏らす魔人族の女に、勇輝は思わず聖剣を止めてしまった
覚悟した衝撃が訪れないことに訝しそうに顔を上げて、自分の頭上数ミリの場所で停止している聖剣に気がつく魔人族の女
勇輝の表情は愕然としており、目をこれでもかと見開いて魔人族の女を見下ろしている。その瞳には、何かに気がつき、それに対する恐怖と躊躇いが生まれていた。その勇輝の瞳を見た魔人族の女は、何が勇輝の剣を止めたのかを正確に悟り、侮蔑の眼差しを返した
カトレア「……呆れたね……まさか、今になってようやく気がついたのかい? 〝人〟を殺そうとしていることに」
勇輝 「ッ!?」
勇輝にとって魔人族とはイシュタルに教えられた通り、残忍で卑劣な知恵の回る魔物の上位版、あるいは魔物が進化した存在くらいの認識だった
が、実際魔物と共にあり、魔物を使役していることが、その認識に拍車をかけた
しかし、自分達と同じように誰かを愛し誰かに愛され、何かの為に必死に生きている、そんな戦っている〝人〟だとは思っていなかったのである
あるいは、無意識にそう思わないようにしていたのか…… その認識が、魔人族の女の愛しそうな表情で愛する人の名を呼ぶ声により覆された
否応なく、自分が今、手にかけようとした相手が魔物などでなく、紛れもなく自分達と同じ〝人〟だと気がついてしまった。自分のしようとしていることが〝人殺し〟であると認識してしまったのだ
カトレア「まさか、あたし達を〝人〟とすら認めていなかったとは……随分と傲慢なことだね」
勇輝「ち、ちが……俺は、知らなくて……」
カトレア「ハッ!『知ろうとしなかった』の間違いだろ?」
勇輝 「お、俺は……」
カトレア「ほら? どうした? 所詮は戦いですらなく唯の〝狩り〟なのだろ? 目の前に死に体の一匹・・がいるぞ? さっさと狩ったらどうだい?おまえが今までそうしてきたように……」
勇輝「……は、話し合おう……は、話せばきっと……」
カトレア「アハトド! 剣士の女を狙え! 全隊、攻撃せよ!」
その言葉とともにカトレアの率いる魔物は勇輝の次に厄介な存在である雫を狙う
雫「ぐぅぅ!!」
魔物の腕が雫の首を掴み、動きを止められた
勇輝「雫ぅぅぅ!!!」
すぐにでも助けに行きたかった勇輝だったが、ただでさえ自身は基本ステータスの三倍の力を発動できる『限界突破』の上位互換である『覇潰』を使い基本ステータスの五倍の力を得たが発動の副作用により身体が自由に動けなかった
香織「雫ちゃん!!」
谷口「シズシズ!!」
他の面々も助けに行こうとしたが周りの魔物が邪魔で助けに行けない
この時
雫は自身の死を覚悟した
そしてこれまでの人生が頭の中を駆け巡った
そんな彼女が唯一…後悔しているものがあった
それは…
雫「(……光輝)」
自身の幼馴染であり…自身が何年も何年も気にかけ続けてきた男だった
自身がいじめられたあの事件をたった一人で解決した
しかしその代わりに彼は道場をやめ、兄である勇輝とも険悪になり、しまいには自身を含めた多くの者と関わろうとしなくなり、人を嫌うようになり…一人になってしまった
雫「(あれ以来……私と光輝の間に距離ができた………私が…私のせいで!…光輝をあんなになってしまう位に追い込んじゃった!!……私は……貴方を一人になんてさせたくなかったのに!……ごめん…ごめんなさい!……光輝…)」
涙を流しながら、心のなかで光輝に謝った
そして魔物の攻撃が雫に止めを刺そうと迫りくる
雫は目を瞑りながら最後の瞬間まで
雫「(もう一度………貴方に会いたかった……)」
彼を思う
しかし
いつまで経っても自身に迫りくるはずの痛みの衝撃が来なかった
思わず目を開くと目の前には自身を掴んでいた魔物の首が無くなっており、その魔物の身体が地面に倒れ、雫は腕から開放された
そして魔物が倒れたことにより、その背後に立っている者の存在に気がつく
その者は白い髪をし、手には刀を握り雫を見下ろしていた
この突然の自体に周りも雫も困惑していた
が、彼女はその者の顔を見て呟く
雫「!………こう…き…なの?」
光輝「……」
そんな雫の言葉に返答をせず、魔物達に目を向ける光輝
そこへ
ドォゴオオン!!
轟音と共に天井が崩落し、同時に紅い雷を纏った巨大な漆黒の杭が凄絶な威力で飛び出し 、そのまま地面に突き刺さった
パイルバンカー
ハジメの作った物の一つであり、今回はショートカットの道具として利用された
そして崩落した天井から人影が飛び降りてきた
その人物とは
ハジメ「全く…人の話を最後まで聞かずに一人突っ走りやがって…」
光輝「フン……連中がどの程度やれるのか見てみたかっただけだ」
ハジメ「……そうかい……んで、評価の程は?」
光輝「駄目だな……よく今日まで生き延びたなとしか言えん……」
ハジメ「やっぱそう思うか…んじゃ、ここからがハイライトだ……ユエ、お前は後ろの面々を守りな」
ユエ「ん…了解…ハジメ、光輝…言う必要がないと思うけど……カズマの言葉を忘れずにね…」
ハジメ「わかってる…それより天之河、お前分かってんだろうな…」
光輝「フン!言われずともな!」
その言葉とともに光輝は刀を握りしめ、ハジメはドンナーを構えた
ハジメ/光輝「「行くぞ」」