創造のハジメと破壊の光輝   作:大トロ

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第三十二話 再会する紅と黄色

 

大迷宮巡りの旅に雫も同行することが決まった翌日

 

雫は自身もついていくとクラスメイト達に謝りながら告げた

 

クラスメイト達も思うところはあるようだが、この旅を無事終えたその先に、地球へ帰還できる方法を見つけられるかもしれないとカズマが告げた事で、彼らは納得した(約一名を除いて)

 

これには親友と一緒に旅ができると香織は喜んでいた

 

早朝、カズマはウルの方へ行き、ティオを連れて戻ってきた

 

そして出発のときにハプニングが発生した

 

それは、人数の多さ(ハジメ、光輝、ユエ、シア、ティオ、ミュウ、カズマ、アクア、香織、雫)に魔力駆動二輪(軍用車両)では乗り切れず、約2名はバイクで行くことになる

 

だがそこでこのパーティーのまとめ役(ハジメ指名)のカズマが何を思ったのか光輝はバイクでしかも乗り物事情が改善されるまでは雫とふたり乗りをするよう頼んだ

 

これには一同はもちろん、雫も驚いた

 

それを言われた光輝は最初無言でカズマを見たが数秒の沈黙後

 

光輝「……早く改善しろ」

 

それだけ言い雫を乗せた

 

この光輝の対応にはカズマの光輝への頼み以上に周りが驚いていた

 

その後一行は次の大迷宮である【グリューエン大火山】のある【グリューエン大砂漠】に向け出発した

 

道中、無言でバイクを走らせている光輝の背中にしがみついていた雫だったが、思えば家族以外の異性にここまで密着したのはこれが人生初だった事に気づき、走行中ずっと頬を赤くしながらしがみついていた

 

雫「……(光輝の背中……いつの間にかこんなに大きくなったのね…)」

 

そう思いながら雫は光輝の背中に顔を押し付けていた

 

砂漠へ到着した一行は道中襲ってきた魔物をハジメがドンナーで射殺したりシアが叩き潰したり光輝が轢き殺したり(後ろにいた雫は目をしかめていた)と戦いが続いていたが、そんな中、砂漠で行き倒れになっていた【グリューエン大砂漠】最大のオアシスである【アンカジ公国】の領主の息子であるビィズ・フォウワード・ゼンゲンを救助した

 

しかしビィズは謎の状態異常を起こしており、魔法でも治療ができず香織は困惑していた

 

が、

 

アクア「『セイクリッド・ハイネス・ヒール』!」

 

この世界でもトップクラスの治癒魔法が使える香織ですら治せなかったビィズの身体をアクアがあっさりと治療した

 

これには転落した想い人や幼馴染を助けられるくらい強くなろうと2ヶ月間必死に努力してきた香織のプライドをズタズタに切り裂き、わかりやすいくらい落ち込んだ

 

そんな香織を雫は肩に手を置きながら慰めていた

 

曰くビィズと父が納める【アンカジ公国】で住人達が生活用水にと使っているオアシスの水源から原因不明の汚染水が流れ、それにより数多くの住民が汚水の毒により死にかけていると、ビィズも汚染水を飲んでおり、苦しんでいたが、王国に救援要請するために砂漠を歩いていたそうだ

 

ちなみに状態はというと『魔力の過剰活性と体外への排出不可、発熱と意識混濁に全身の疼痛と毛細血管の破裂、それに伴う出血』であった

 

一応解決策として魔力の活性を鎮める効果を持っている特殊な鉱石『静因石』を粉末状にしたものを服用すれば体内の魔力を鎮めることが出来る

 

しかしこれは砂漠のずっと北方にある岩石地帯か【グリューエン大火山】で少量採取できる貴重な鉱石であり、手に入れるのに苦労する代物であり、採取に困っていた……のだが…

 

カズマ「……この問題…アクア居ればどうにかなるな」

 

ビィズ「え?」

 

カズマ「アクアならさっきみたいに状態異常治せるし何だったらオアシスの汚染を浄化できるな……」

 

ビィズ「ほ、ほんとうですか!?」

 

カズマ「ああ…お前ら…悪いがちょっと寄り道してもいいか?……ほうっておけないからさ」

 

こうしてカズマ達一行はアンカジへ向け乗り物を走らせた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数時間も経たずに一行はアンカジへたどり着き、宮殿の中へ入った

 

宮殿の中の一室では、ビィズの父であるランズィが執務にあたっていた

どうやら治癒魔法と回復薬を多用して根性で執務に乗り出していたらしい

 

早速アクアにランズィの治療を頼もうとビィズが振り替えると

 

カズマ「……」

 

カズマがアクアの手を引き、部屋から出ていった

 

それに驚くビィズだったがそこへハジメが待ったを掛けた

 

ハジメ「聞きたいんだが……この宮殿にはアンタら以外にも誰かいるか?」

 

ビィズ「あ、はい…今この宮殿には使用人と寝室には母上……そして姉上と義妹が……」

 

ハジメ「……なあ…もしかしてだが…お前の姉と義妹

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ものすごく強かったりしないか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カズマ「……」

 

アクア「ね、ねえカズマ…どうしたの急にこんなところにまで連れ出して」

 

宮殿の奥へと進むカズマとアクア

 

アクアはなぜか無言で宮殿の奥へ連れて行くカズマに困惑していた

 

やがてふたりは宮殿のとある一室前にたどり着いた

 

カズマ「……」

 

そしてカズマが扉にノックを数回した

 

すると

 

???「私の種族は?」

 

アクア「!!」

 

ドアの向こう側から聞き覚えのある声が来た

 

カズマ「紅魔族」

 

???「私の得意魔法は?」

 

カズマ「爆裂魔法」

 

???「私の宗派は?」

 

今度は別の聞き覚えのある声が来た

 

アクア「エリス教!」

 

???「私はSかMかで言えば?」

 

アクア「ドM!!」

 

そして少しの沈黙の後に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???/???「「私達は誰(ですか)だ?」」

 

ふたり同時に言ってきた

 

カズマ/アクア「!!」

 

その瞬間、カズマとアクアは扉を開け、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カズマ/アクア「「めぐみんとダクネス!!!」」

 

扉の奥の人物達に抱きついた

 

めぐみん「カズマぁぉ!!アクアぁぁ!!会いたかったです!!」

 

カズマ「ああ!!俺達もだ!」

 

アクア「久しぶりね!!私達がいない間、良い子にしてた?」

 

ダクネス「再会してそうそうに聞くことがそれか!?そう言うアクアこそカズマに迷惑かけなかったか?」

 

アクア「そんなこと無いわよ、ねえカズマ?」

 

カズマ「いや?いっぱいかけた」

 

アクア「カズマさーん!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

めぐみん「ふふふ…」

 

ダクネス「ふふ…」

 

カズマ「……ははは…」

 

アクア「…ふ…ふふ…」

 

カズマ/アクア/めぐみん/ダクネス「ハハハハハハハ!!!」

 

久々にかつての世界でのノリでの会話をした所、つい可笑しくなって笑い合う4人

 

そして4人は互いに見つめ合い

 

カズマ/アクア「「ただいま、俺/私の大切な家族達」」

 

めぐみん/ダクネス「「おかえり、私達の愛しい家族達」」

 

かつて一時の別れの前に告げた言葉と似たような言葉を言い、4人は互いの再会を喜びあった


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