創造のハジメと破壊の光輝   作:スカイハーツ・D・キングダム

45 / 108
第三十七話 クリオネの最後

 

雫「ごめんなさい…光輝」

 

光輝「……謝るな……」

 

雫を乗っ取っている者を排除した光輝は、そのまま雫を背負って先を進んでいた

 

しばらくして目を覚ました雫は驚き、自分で歩こうとしたが、身体が想像以上に疲弊しており、まともに立つこともできないでいた

 

これはここまでの精神的疲労と乗っ取っている間に光輝の月読を受けた上に乗っ取っている者への制裁による体感がわずかばかりだが雫にも影響が出ており、それが身体にきていた

 

雫が今の状態になったのは自身にも責任はあると思っている光輝はそのまま雫を背負った

 

雫「……ねえ光輝……人って…あんなにも怖い生き物なのね…」

 

光輝「……」

 

雫「昔…私をいじめていたあの娘達だってそう……皆最初はなんの悪意も知らない赤ちゃんから始まったのに……成長したら…あんなにも豹変してしまう……あの人達だってそう……狂信に走ってしまった結果……かつての面影も、優しさも感じられないくらいに…人の悪意に染まりきっちゃう………何かが違えば……私もあんなふうになっていたかも知れない……」

 

雫は、さっきまで自身の見ていた光景…そしてかつて自身をいじめていた者達を思い出し、少し怯えていた

 

光輝「……いや……多分……お前はああなってなかっただろうな……」

 

雫「え?」

 

光輝「お前は人の悪意や狂気を恐れている……言ってしまえば臆病だ……だが言い方を替えれば自分もそうなるのを恐れている……そういうやつは自分が他人を傷つけたりする事を嫌う……痛みを負う者の気持ちを理解している証拠だ………お前は昔っから、他人に傷つけられたとしてもやり返したりしなかった……それは…そうすることで他人が傷つくのが嫌だったからだろ?」

 

雫「!そ、それは…」

 

光輝「俺はやられっぱなしが嫌いだからお前みたいには出来ない………だが…お前は他人の悪意を受けたとしても……決して染まることがなかった………だからこそ……ああいう輩は…そのお前の優しさを付け込んでいじめた……本人達は無意識だろうが…自身と同じ存在をああやって増やしていこうとしてる」

 

雫「……」

 

光輝「……昔…俺の無くなった祖父が最後に俺に残した言葉にこんなものがある……『この世は決して綺麗事ばかりではない……生きていれば否が応でもどうしても汚いものも見てしまう………正義は決して一つだけじゃない…正義はあっても正解というものはない……人の数だけ考えも夢も価値観も無限に存在する………決して自分の考えこそが正しいと思うな』……あの言葉を聞いて以来……その事をずっと考えていた……今でも答えは見つからない……それと…それ以来……俺の目には、周りの人間の多くが汚く醜く見えるようになった………」

 

雫「……光輝…」

 

光輝「雫……お前はそんな風にはなるなよ……俺の嫌いな人間にはな…」

 

そこから先は無言で雫をおぶって進むのだった

やがてふたりは魔法陣の前までたどり着き

躊躇いなく魔法陣へと足を踏み入れた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔法陣を抜けると既に他の面々も揃っていた

神殿のような空間に彼らは集っていた

 

他の面々にも聞くとどうやら彼らもこの世界で起きた悲劇や裏切り、口にするのも惨たらしい光景を見せられたようだった

 

また、劣等感を感じ落ち込んでいたはずの香織はハジメと共に進み、その先で色々あり、今は元気を取り戻し、自信を持つようになっていた

 

そして皆が神殿中央の魔法陣に入り、皆の脳内に新たな神代魔法が刻み込まれていった

 

ハジメ「ここでこの魔法か……大陸の端と端じゃねぇか。解放者め」

 

ユエ「……見つけた『再生の力』」

 

ハジメが悪態をつく

それは、手に入れた【メルジーネ海底遺跡】の神代魔法が『再生魔法』だったからだ

思い出すのは、【ハルツィナ樹海】の大樹の下にあった石版の文言。先に進むには確かに〝再生の力〟が必要だと書かれていた。つまり、東の果てにある大迷宮を攻略するには、西の果てにまで行かなければならなかったということであり、最初に【ハルツィナ樹海】に訪れた者にとっては途轍もなく面倒である。ハジメ達は、魔力駆動車という高速の移動手段を持っているからまだマシだったが

 

カズマ「ふ〜ん…これが神代魔法か…」

 

めぐみん「……私はあまり使えなさそうですね」

 

ダクネス「私もだ…そもそも前世でも魔法は使えなかったからな…」

 

アクア「私は使えそうね」

 

カズマ達が手に入れた神代魔法にそれぞれが感想を述べると魔法陣の輝きが薄くなっていくと同時に、床から直方体がせり出てきた。小さめの祭壇のようだ

 

その祭壇は淡く輝いたかと思うと、次の瞬間には光が形をとり人型となった。どうやら、オスカー・オルクスと同じくメッセージを残したらしい。 人型は次第に輪郭をはっきりとさせ、一人の女性となった。祭壇に腰掛ける彼女は、白いゆったりとしたワンピースのようなものを着ており、エメラルドグリーンの長い髪と扇状の耳を持っていた。どうやら解放者の一人メイル・メルジーネは海人族と関係のある女性だったようだ

彼女は、オスカーと同じく、自己紹介したのち解放者の真実を語った。おっとりした女性のようで、憂いを帯びつつも柔らかな雰囲気を纏っている

やがて、オスカーの告げたのと同じ語りを終えると、最後に言葉を紡いだ

 

メイル「……どうか、神に縋らないで。頼らないで。与えられる事に慣れないで。掴み取る為に足掻いて。己の意志で決めて、己の足で前へ進んで。どんな難題でも、答えは常に貴方の中にある。貴方の中にしかない。神が魅せる甘い答えに惑わされないで。自由な意志のもとにこそ、幸福はある。貴方に、幸福の雨が降り注ぐことを祈っています」

 

そう締め括り、メイル・メルジーネは再び淡い光となって霧散した。直後、彼女が座っていた場所に小さな魔法陣が浮き出て輝き、その光が収まると、そこにはメルジーネの紋章が掘られたコインが置かれていた

 

「証の数も四つですね、ハジメさん。これで、きっと樹海の迷宮にも挑戦できます。父様達どうしてるでしょう~」

 

シアが、懐かしそうに故郷と家族に思いを馳せた。しかし、脳裏に浮かんだのは「ヒャッハー!」する父親達だったので、頭を振ってその光景を霧散させる

 

ハジメは、証のコインを〝宝物庫〟にしまうと、シアと同じように「ヒャッハー!」するハウリア族を思い出し、頭を振ってその光景を追い出した

 

と、証をしまった途端、神殿が鳴動を始めた。そして、周囲の海水がいきなり水位を上げ始めた。

 

ハジメ「うおっ!? チッ、強制排出ってかっ。全員、掴み合え!」

 

ユエ「……んっ」

 

香織「わわっ、乱暴すぎるよ!」

 

シア「ライセン大迷宮みたいなのは、もういやですよぉ~」

 

ティオ「水責めとは……やりおるのぉ」

 

光輝「離れるな雫!!」

 

雫「!え、ええ!!」

 

カズマ「アクア!手はず通りに頼むぞ!」

 

アクア「ええ!!任せて!」

 

めぐみん「こっちもしっかりとやることこなします!!」

 

ダクネス「気をつけろアクア!」

 

凄まじい勢いで増加する海水に、ハジメ達は潜水艇を出して乗り込む暇もなく、あっという間に水没していく。咄嗟に、また別々に流されては敵わないと、全員がしっかりお互いの服を掴み合い、〝宝物庫〟から酸素ボンベ取り出して口に装着した

 

しかし、水中でも問題なく動けるアクアはカズマの手を掴み、そのカズマは片手でめぐみん、ダクネス、ティオ、シア、ユエ、光輝、雫、香織、そしてハジメといった具合に空いた片手で他の者の手を握り

 

アクアはそのまま水中を突き進む

 

水中で無類の強さを誇るアクアの手にかかれば、一人で10人を引っ張ることも楽勝であり、水中を進み続けた

 

そこへ会いたくない者と遭遇した

ハジメが向けた視線の先には、一見妖精のような造形でありながら、全てを溶かし、無限に再生し続ける凶悪で最悪の生物――巨大クリオネがいた

 

クリオネが攻撃をしようとした瞬間

 

アクアがクリオネに手を向け呟く

 

アクア「『水牢』!」

 

その瞬間、クリオネの周りの海水が渦状に回転したかと思うと、クリオネを閉じ込めた

 

ハジメ「!(あのクリオネ……アクアの水魔法を溶かせてないだと!?)」

 

ハジメはそれに驚きつつも、急いで潜水艇を宝物庫から取り出し、急いでハッチから乗り込む

 

船内にはアクアを除いた面々が揃う

 

カズマ「…やっぱ来たかクリオネ…念の為討伐法を考えといて正解だったよ」

 

ハジメ「どういうことだ…?なぜあのクリオネはアクアの水魔法を溶かせてない?」

 

カズマ「なに、簡単なことだ…あのクリオネはあくまで魔力や魔力で生み出した物を溶かす(・・・・・・・・・・・・・・・・)のであって魔法で操る物を溶かせないだけだ(・・・・・・・・・・・・・・・)。あの魔法は生成した水か、その場にある水を操って閉じ込める魔法だ……さて、後は」

 

カズマは外にいるアクアに目を合わせると、アクアは頷き、水の牢をそのまま海上へと移動させた

 

カズマ「ハジメ、あのクリオネは確実に仕留めるぞ…このまま海上にあげてくれ」

 

ハジメ「あ、ああ…」

 

カズマの指示を受け、ハジメは潜水艦を操縦し海上へと上がった

 

そしてアクアの水牢はと言うと

 

シア「うわぁ…空に打ち上げてますね…」

 

カズマ「ま、このくらい距離あったほうがいいか…んじゃめぐみん。久しぶりに見せてくれよ……お前の魔法をよ」

 

カズマがそういうと言うとめぐみんはウキウキした様子で甲板へと出て

 

めぐみん「それではハジメ達……今から私がお見せするのは……私が前世で唯一使えた魔法にして……最強の魔法です……とくとご覧ください」

 

そういうとめぐみんは杖に魔力を込め始めた

すると杖から巨大な魔法陣が出現した

 

ハジメ「!!」

 

光輝「!!」

 

ユエ「!!」

 

ティオ「!!」

 

その込められた魔力量とその威圧感に、魔力に敏感な面々の表情は変わった

 

ハジメ「(なんだこのバカみたいにデカい魔力の集束は…)」

 

光輝「(恐ろしく強く、恐ろしくデカい魔力だ…)」

 

ユエ「(凄い……こんな魔法初めて…)」

 

ティオ「(な、なんじゃこれは……大き過ぎる…)」

 

香織「し、雫ちゃん…な、なんだか潜水艦が揺れてない?」

 

雫「そ、そうね……何かの前兆みたい…」

 

ダクネス「みんな…良く見ておいてほしい……これが、かつて私達の世界で強敵や大物達を仕留め、めぐみんを最強のアークウィザードにまで上り詰めさせた。最強にして究極の極地」

 

カズマ「そして味わいな……あいつの、めぐみんの最強魔法

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

爆裂魔法をな」

 

めぐみん「『エクスプロージョン』!!」

 

そしてめぐみんの杖に現れた魔法陣から、とてつもない光とともに分厚い光線が放たれ、水牢に閉じ込められたクリオネを飲み込んだ

 

その威力は凄まじく、余波で津波が発生するだけではなく、爆裂魔法の放たれた先の空の雲が晴れてしまうほどだった

 

やがて魔法が終わり、クリオネのいた方を見ると、クリオネは影も形もなく、消滅していた

 

カズマ「ふう……やっぱすげぇなめぐみんの爆裂魔法は……」

 

めぐみん「ふ、ふふふ…私も……久々に撃てて…気分がいいですぅ…」

 

ハジメ「は…ははは……マジかよ……クリオネ消失しちまったよ…」

 

光輝「クリオネですら溶かすことのできないほど……高威力かつ高濃度の魔法攻撃か……俺の須佐能乎で防ぎきれる威力じゃないな…」

 

アクア「久しぶりに見るとやっぱりめぐみんの爆裂魔法は凄いわね……」

 

ダクネス「それはそうとめぐみん…お前あれは全力じゃないな?」

 

ハジメ達一同「「「「「!?」」」」」

 

めぐみん「はい……全力で撃ったら次元の空間を粉々にしたり余波で私達のいる場所もまきこまれるので加減しました」

 

ユエ「!!…これで加減…って…」

 

シア「す、凄すぎません!?」

 

ティオ「な、なるほどのう……これが…伝説のパーティーの魔法使いの実力なんじゃな…」

 

香織「雫ちゃん…私怖いわ…」

 

雫「香織…私も怖いわ」

 

とにかくこうしてクリオネを倒した一同は、ミュウ達のいるエリセンへと帰還した

本作の投稿が四十話を超えました。これから出す原作改変キャラクターの中で誰が好きですか?

  • 友達と優しさを持つハジメ
  • 闇を抱えた孤独の光輝
  • 物凄く動いてまわってるカズマ
  • カズマを支える相棒兼正妻のアクア
  • 影薄だけど友達思いの浩介
  • 原作と違い闇を感じない恵里
  • 原作と違い救済され闇を祓われた幸利
  • ティオに惚れられた心優しきウィル
  • 光輝を孤独にさせない一途な雫
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。