創造のハジメと破壊の光輝   作:スカイハーツ・D・キングダム

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第三十九話 異端者

 

???「香織!雫!!カズマさん!アクアさん!!」

 

香織「リリィ! やっぱり、リリィなのね? 見覚えが有ると思ったの。まさか、こんなところにいるとは思わなかったから」

 

雫「嘘!?」

 

カズマ「リリィ……王女のお前が護衛もつけずに一人で来るってことは……なんかあったな?」

 

アクア「どうしたの?一体何があったの?」

 

ミュウに別れを告げ、また会いに来ると伝え、エリセンを立つ一行はホルアド付近までテレポートで移動した

 

そこでローブを着た少女が話し掛けた

 

ユエやシアにティオと言った面々は誰なのか知らなかったが、地球組や貴族の娘だったダクネスとめぐみんはそれが誰なのか分かった

 

リリィと呼ばれる彼女は『リリアーナ・S・B・ハイリヒ』

ハイリヒ王国の王女であり、王国内でも数少ない、地球組を戦争の道具として見ず、自分達の勝手な都合で呼び出してしまった面々に罪悪感を感じるなどの人格者であり…かなり気さくで香織達からはリリィと愛称で呼ばれていた

 

そして王族であるための苦悩や重圧によるストレスや悩みの相談をしたりするカズマとアクアを内心ではまるで兄や姉のように思っている

 

そんな彼女がなぜ身を隠していたのか

 

ことの発端は少し前

 

王宮内での様子がおかしくなったとリリアーナは感じていた

父親であるエリヒド国王は、今まで以上に聖教教会に傾倒し、時折、熱に浮かされたように〝エヒト様〟を崇め、それに感化されたのか宰相や他の重鎮達も巻き込まれるように信仰心を強めていった

それだけなら、各地で暗躍している魔人族のことが相次いで報告されている事から、聖教教会との連携を強化する上での副作用のようなものだと、リリアーナは、半ば自分に言い聞かせていたのだが…… 違和感はそれだけにとどまらなかった。妙に覇気がない、もっと言えば生気のない騎士や兵士達が増えていったのだ。顔なじみの騎士に具合でも悪いのかと尋ねても、受け答えはきちんとするものの、どこか機械的というか、以前のような快活さが感じられず、まるで病気でも患っているかのようだった。 そのことを、騎士の中でもっとも信頼を寄せるメルドに相談しようにも、少し前から姿が見えず、時折、勇輝達の訓練に顔を見せては忙しそうにして直ぐに何処かへ行ってしまう

 

結局、リリアーナは一度もメルドを捕まえることが出来なかった。 そうこうしている内に、ウルに居た愛子と愛ちゃん護衛隊(ウィルも護衛のメンバーとしてついてきた)達が王国へ帰還

 

帰還後ウルの町での詳細が報告され、その席にはリリアーナも同席したらしい。そして、普段からは考えられない強行採決がなされた。それが、ハジメ達の異端者認定だ。ウルの町や勇者一行を救った功績も、〝豊穣の女神〟として大変な知名度と人気を誇る愛子の異議・意見も、全てを無視して決定されてしまった

 

自分達が異端者認定されたことにハジメ達はあまり驚きはしなかった

元々いつかはそうなると思っていたのでむしろやっとかと感じていた

 

その有り得ない決議に、当然リリアーナは父であるエリヒドに猛抗議をしたが、何を言ってもハジメ達を神敵とする考えを変える気はないようだった。まるで、強迫観念に囚われているかのように頑なだった

むしろ、抗議するリリアーナに対して、信仰心が足りない等と言い始め、次第に、娘ではなく敵を見るような目で見始めたのだ。 恐ろしくなったリリアーナは、咄嗟に理解した振りをして逃げ出した

 

そして、王宮の異変について相談するべく、悄然と出て行った愛子を追いかけ自らの懸念を伝えた。すると愛子から、ハジメと光輝が奈落の底で知った神の事や旅の目的を夕食時に生徒達に話すので、リリアーナも同席して欲しいと頼まれたのだそうだ

愛子の部屋を辞したリリアーナは、夕刻になり愛子達が食事をとる部屋に向かい、その途中、廊下の曲がり角の向こうから愛子と何者かが言い争うのを耳にした。何事かと壁から覗き見れば、愛子が銀髪の教会修道服を着た女に気絶させられ担がれているところだった

リリアーナは、その銀髪の女に底知れぬ恐怖を感じ、咄嗟にすぐ近くの客室に入り込むと、王族のみが知る隠し通路に入り込み息を潜めた。 銀髪の女が探しに来たが、結局、隠し通路自体に気配隠蔽のアーティファクトが使用されていたこともあり気がつかなかったようで、リリアーナを見つけることなく去っていった。リリアーナは、銀髪の女が異変の黒幕か、少なくとも黒幕と繋がっていると考え、そのことを誰かに伝えなければと立ち上がった

 

ただ、愛子を待ち伏せていた事からすれば、生徒達は見張られていると考えるのが妥当であるし、頼りのメルドは行方知れずだ

 

そこで思いついたのが、今王国にいない頼りになる友人である香織や雫、更には話をするとまるで兄や姉のような安心感と優しさを感じさせるカズマとアクアを頼ろうと王宮を出て探し出した

 

そして偶然ホルアドにたどり着いたタイミングで彼らと再会を果たしたのだった

 

リリアーナ「私は……今は……教会が怖い……一体、何が起きているのでしょう。……あの銀髪の修道女は……お父様達は……」

 

自分の体を抱きしめて恐怖に震えるリリアーナは、才媛と言われる王女というより、ただの女の子にしか見えなかった。だが、無理もないことだ。自分の親しい人達が、知らぬうちに変貌し、奪われていくのだから

 

そんなリリアーナにカズマとアクアがそばに駆け寄り、アクアは優しく抱きしめ、カズマが頭を撫でながら言い聞かせた

 

カズマ「大丈夫……後は俺達に任せな………リリィはゆっくり…おやすみ…」

 

その言葉を聞き終えるとリリアーナは少しずつウトウト下かと思うと、やがて眠りについた

 

カズマ「……よっぽど怖かったみたいだな……それも、恐怖心で眠らず奔走するくらいに」

 

リリアーナの寝顔を見ながらカズマはそう呟く

 

光輝「……まるで神に魅入られた奴らの末期状態だな……今王宮は非常に危うい状況だと言える」

 

カズマ「……ああ…愛子先生が攫われた理由は十中八九、神の真実と俺達の旅の目的を話そうとした事が原因だろうな…おそらく、駒としての天之河兄達に不審の楔を打ち込まれる事を不都合だと思ったからだろうな……」

 

ハジメ「……これは…早急に王国へ行く必要があるな……ま、『神山』に行く予定があったから寄り道みたいなものだけどな」

 

そもそも彼らがホルアドによったのは【神山】も七大迷宮の一つだからである

しかしそこは聖教教会の総本山でもあり、【神山】の何処に大迷宮の入口があるのかわからない

探索するにしても、教会関係者の存在が酷く邪魔で厄介だった

だが今回の王宮で起きている状況を聞き、カズマ達は予定変更を決めた

 

そしてカズマはそれぞれ役割分担を言い渡した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

薄暗く明かり一つ無い部屋の中に、格子の嵌った小さな窓から月明かりだけが差し込んで黒と白のコントラストを作り出していた。 部屋ののベッドの上で壁際に寄りながら三角座りをし、自らの膝に顔を埋めているのは畑山愛子その人だ

この部屋に連れて来られて三日が経とうとしている。 愛子の手首にはブレスレット型のアーティファクトが付けられており、その効果として愛子は現在、全く魔法が使えない状況に陥っていた。それでも、当初は、何とか脱出しようと試みたのだが、物理的な力では鋼鉄の扉を開けることなど出来るはずもなく、また唯一の窓にも格子が嵌っていて、せいぜい腕を出すくらいが限界であった

 

もっとも、仮に格子がなくとも部屋のある場所が高い塔の天辺な上に、ここが【神山】である以上、聖教教会関係者達の目を掻い潜って地上に降りるなど不可能に近いのだが。 そんなわけで、生徒達の身を案じつつも、何も出来ることがない愛子は悄然と項垂れ、ベッドの上で唯でさえ小さい体を更に小さくしているのである

 

こうして何もない部屋で監禁されて、出来る事と言えば考えることだけ

そうして落ち着いて振り返ってみれば、帰還後の王宮は余りに不自然で違和感だらけの場所だったと感じる。愛子の脳裏に、強硬な姿勢を崩さない、どこか危うげな雰囲気のエリヒド国王や重鎮達のことが思い出される。 きっと、あの銀髪の修道女が何かをしたのだと愛子は推測した。彼女が言っていた、〝魅了〟という言葉がそのままの意味なら、きっと、洗脳かそれに類する何かをされているのだ

どうか無事でいて欲しいと祈りながら、思い出すもう一つの懸念。それは『イレギュラーの排除』という言葉。意識を失う寸前に聞いたその言葉で、愛子は4人の生徒を思い出した

 

強気な物言いで圧倒的な力を持ちながらも、友人への情を捨てきれなかった南雲ハジメ

 

それとは反対に冷酷に容赦のない選択を取り、同じく圧倒的な力を持つ天之河光輝

 

前世の記憶を持つ転生者にしてこの世界の真実を誰よりも速く知り、神殺しを果たそうとする佐藤カズマ

 

同じく転生者でありカズマと共に神殺しを果たそうとする前世が女神の水神アクア

 

彼らは強い…それは理解しているものの、内心では心配する気持ちを抑えきれずにいる……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カズマ「ここであってるよな?」

 

浩介「おお!ここだここ。前から少しずつここの構造や警備の配置を調べながら進んだから間違いない!」

 

愛子「!?」

 

聞き覚えのする声に愛子が驚きベットから飛び起きた

 

そこにいたのは自身が心配していた4人の生徒の一人である佐藤カズマ、そしてクラスでもトップクラスのステルス能力を持つ遠藤浩介のふたりだった

 

愛子「さ、佐藤君!遠藤君まで!?」

 

カズマ「あ、先生…無事みたいだな」

 

愛子「ど、どうして…ここへ?」

 

浩介「おかしなこと聞くなあ…助けに来たに決まってるでしょ先生」

 

ホルアドでそれぞれの役割を言い渡したカズマはどこかに囚われている愛子を探し出していた

 

そこへ丁度ステルス全開で神山に潜入中だった浩介と再会を果たした

なんでも実は浩介、愛子が見知らぬ修道女に誘拐されているのを見かけた

最初は助けようとしたものの、その修道女が明らかに桁違いに強いことを感知することができ、立ち向かえば間違いなくやられると思い見てることしかできなかった

 

しかし、殺すことが目的なら攫わずその場でやるはずだったので、殺しが目的ではないと考え、とにかく修道女の行先をつけていき、その場所が神山だとわかると更に慎重に行動していた

 

カズマは愛子に近づくと腕に取り付けられていたアーティファクトを破壊した

 

カズマ「はい、これでもう大丈夫だ……んじゃ、俺はもうひと仕事してくるから、愛子先生の事任せたぞ」

 

浩介「ああ任せろ」

 

愛子「さ、佐藤君……その…た、助けてくれて…ありがとうございます」

 

カズマ「……気にしないで欲しい……アンタはどっちかって言うと俺達のせいで巻き込まれたようなもんだから…むしろ……謝らなきゃいけないくらいなのに…」

 

愛子「そ、そんなことありません!!貴方方は世界の為、多くの人のために奔走してるじゃないですか!!……貴方達と比べたら…私なんかとても非力です……ですが…私にだってできることはある……そう信じて動こうとしたまでです…だから…貴方達を感謝したり褒め称えることはあっても恨みを吐いたりなんかしません!!」

 

カズマ「……フッ……やっぱアンタはいい先生だよ……アンタが俺達の担任なら本当に良かったくらいにさ…」

 

それだけ言うとカズマは壁を魔法で破壊してそのまま飛び降りた

 

愛子「ええ!?こ、ここすごく高いところなんですよ!?」

 

浩介「か、カズマだから大丈夫だと思う……」

 

 

本作の投稿が四十話を超えました。これから出す原作改変キャラクターの中で誰が好きですか?

  • 友達と優しさを持つハジメ
  • 闇を抱えた孤独の光輝
  • 物凄く動いてまわってるカズマ
  • カズマを支える相棒兼正妻のアクア
  • 影薄だけど友達思いの浩介
  • 原作と違い闇を感じない恵里
  • 原作と違い救済され闇を祓われた幸利
  • ティオに惚れられた心優しきウィル
  • 光輝を孤独にさせない一途な雫
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