大樹の中の大迷宮を進んでしばらく経つが、未だにカズマ達の姿が見えない
その道中虫型の魔物が襲ってきた
虫型の魔物は地上の魔物以上の強さと数で攻めてくる
おそらくこれが他の者達が攻略に来ていたら数の暴力ですぐに壊滅していただろう
しかし…
ズドォオオオン!! ドォゴォオオン!! ゴォバァア!!
樹海の中に地を揺らす程の轟音が幾度となく響き渡り、生息する生き物が半ば恐慌に陥ったかのように爆心地からの必死の逃亡を図っていた
ハジメ 「オラァ!! 森ごと果てろやァ、ドカス共がァ!!お前ら雑魚は数に入んねえんだよ!!さっさと失せやがれ!!」
絶えず響き続ける轟音に混じって、そんなガラの悪い叫びが聞こえる。 声の主はハジメだ
その両手にオルカンを持ってロケットやミサイルを乱発している
アクア「来るなら手加減しないわよ…今私達ものすごく機嫌が悪いから」
アクアは向かってくる魔物に魔法で生成した大量の水を圧縮した水の塊を操って魔物に高速でぶつけていく
とてつもない量を圧縮した水の塊により魔物は身体を次々と潰され絶命した
めぐみんは杖から超加減した爆裂魔法を魔物の群れに放ったり近づいてきた魔物の身体に直接触りその身体に爆裂魔法(威力超加減)をエンチャント(魔法の付与)させ、身体を爆散させた
ダクネスはというとデコイ(挑発スキル)を発動し向かってきた魔物を特にスキルも使わず長剣で斬り裂く
しかしその一つ一つの攻撃に殺意が込められており、地面に叩きつけると地面にクレーターができるほどの威力で魔物を切り裂いていた
そして光輝はというと無言だがその目には怒りと殺意が籠もっており魔物を刀とクナイで一撃で仕留めていた
群れが向かってくれば天照で焼き尽くしたり、須佐能乎の弓矢で仕留めるなど、大した苦戦はしていないものの5名共に苛立ちと怒りの空気を放っていた
皆大樹をこのまま滅ぼす勢いで攻めていた
シア「あ、あの、ハジメさん、光輝さん、アクアさんにめぐみんさんダクネスさん、もうそれくらいで……」
香織「そ、そうだよ、皆。きっとあの魔物も、もう死んじゃってると思うし……やり過ぎだし」
オロオロしながらシアと香織が制止の声をかける。 しかし……
ハジメ 「あ゛ぁ゛?」
アクア「ごめんなさいシア、香織…なにか言ったかしら?」
めぐみん「すみません。爆音でよく聞こえてませんでした…なにか言いましたか?」
ダクネス「すまない、なにか言ったか?」
光輝「……」←苛立ちと殺意の目を向けた
シア「ヒィッ!!い、いえ、何でもないですぅ!!」
香織「う、うん!じ、邪魔しちゃってごめんなさい!!」
血走った目で振り返ったハジメに、威圧感のある声で話す3人娘に無言だが目に苛立ちと殺意に満ちていた光輝の5人に臆し即行で前言を撤回してすごすごと引き下がったシアと香織
シア「い、いつものアクアさん達じゃないですぅ!!」
香織「う、うん。あんなに怒ったアクアちゃんなんて初めて見たわ……でも無理ないよね」
荒れてるのには訳があった
それはカズマ達を探しながら大迷宮の探索した時のことだった
とある魔物と邂逅したことが発端である
その魔物は猿型の魔物で群れをなして襲ってきた。樹々を足場に縦横無尽に飛び回って、あらゆる角度から飛んでくる攻撃は中々に厄介で、どこから手に入れたのか棍棒や剣なども装備していた
猿型の魔物はそのトリッキーな動きで一行を翻弄しようとしたが、当然それでもハジメ達の敵ではなかった。 出来るだけ早くユエ達と合流したかったハジメや光輝にアクア達はさくさくと片付けていった
仲間があっさり殺られていくことに危機感を覚えたらしい猿型の魔物は、この時点で最優先目標をハジメ達5名に変更
猿型というだけあって知能は高いのか、人質を取ろうと行動し始めた。しかし、ハジメにとっては、その程度の浅知恵などお見通しであり、むしろ人質を取ろうとする猿型の魔物の思考すら利用して瞬殺していった
その辺りで、猿型の魔物もどうあっても敵わない相手だと気が付いて撤退すれば良かったのだが……中途半端に知恵が回るものだから選択を誤ってしまった。そう、彼等にとって最悪の選択をしてしまったのだ。 その主たる原因は猿型の魔物が持つ固有魔法――〝擬態〟である
あのハジメ達を怒らせた赤錆色スライムと同じだ。 転移陣が読み取ったユエ達の情報も受け取って、はぐれた大迷宮挑戦者の仲間に成り済ますことが出来る
ただ、赤錆色スライムと異なるのは猿型の魔物達が先に述べたように知恵が回るという点だ
すなわち、どのような人物に擬態して、どのような行動をとれば相手が心を乱すか、という点を考えることが出来るのである。考えることが出来てしまったのである
結果、彼等は擬態した。最も危険な敵が、最も大切にしている者に。激しく動揺させるために最低の方法で。 猿型の魔物達は、奥の茂みから擬態した同胞を引きずって来たのだ。その姿はユエと雫だった。あられもない格好で傷だらけとなり、なされるがままに引きずられる姿。赤錆色スライムと同じく、転移陣によって読み取られた情報をもとにしているので見た目は本物と寸分違わない
当然、ハジメ達はそれがあっさり偽者だと見抜いたくらいであるから、猿型の魔物達が引きずって来たそれがユエでないことはわかりきっている
それでも、本物と寸分違わない以上はユエと雫はほとんど裸とも言える悲惨な姿を見ているのと変わらないので、取り敢えずユエ(擬態)の裸が目に映らないよう光輝の目を潰そうとしたが、そのハジメの腕を掴み受け止めた
ハジメ「お前…なんのつもりだ?」
光輝「お前の方こそなんのつもりだ…」
ハジメ「偽物とはいえユエの裸体を俺以外の男の視界に入れさせたくないだけだ。大人しく潰れてろ。そっちこそ雫の裸体を俺に見せたくないんじゃないか?」
光輝「それを俺に言ってどうする。あいつを俺の女かなんかだと思っているなら今ここで消すぞ」
互いに人場離れした握力で掴み合っていた
この時点で既にハジメ…そして光輝もキレかかっていたが、まだ十分に理性は利かせられていた。しかし、知能はあっても空気は読めない猿型の魔物達。ハジメと光輝の目の前でユエ(擬態)と雫(擬態)を殴りつけると下卑た笑みを浮かべ、更に擬態した魔物がハジメと光輝に目を向けながらユエと雫の声で
ユエ(擬態)「……ハジメ、助けて」
雫(擬態)「助けて……光輝」
などと言ってしまった
その時、誰もが確かに耳にした。ブチッと何かが切れる音を
その瞬間ハジメと光輝の姿が一瞬で消えたかと思うと
ハジメが上空に飛びドンナーをユエ(擬態)と後方の猿共に放つ
それとほぼ同時に光輝が雫(擬態)と後方の猿共の首を一瞬ではね、振り返りざまに天照で徹底的に焼き尽くした
その直後にボロボロに痛めつけられたカズマまで引きずり出された
目は潰され両手両足は切り落とされ、達磨と化していた
それを目にしたアクア達は相手のカズマ(擬態)が何かを言う前に大量に圧縮した水(一粒重さ20トン)の雨、威力と魔力を抑えつつ分裂する爆裂魔法の雨を、衝撃と斬撃の雨を降らせた
そして現在、業火に包まれる樹海の一部を見れば、何があったか一目瞭然だろう。 既に、四方五百メートルが完全な焼け野原となっている。よく見れば、人型の炭化した何かがあちこちに転がっている。他にも蜂型の魔物やアリ型の魔物らしき残骸もちらほら見られた
これだけの惨劇を生み出した5人に対し、シアと香織は色んな意味でひいていた
その時、何かがこちらに向かってくる気配を感じたハジメと光輝はその方向へ目を向けた
すると現れたのは3匹のゴブリンだった
突然現れたゴブリン達にに警戒するシアと香織だったが、さっきまで暴れていた5人はなぜかそのゴブリン達を攻撃しようとしなかった
そのうちの一匹のゴブリンにアクアとめぐみんとダクネスは抱きついた
そして叫ぶ
アクア/めぐみん/ダクネス「「「カズマー!!」」」
シア/香織「「ええええ!?」」
3人娘がゴブリンに抱きつきそれをカズマと呼ぶ姿に驚くふたりだったがその傍らで
ハジメ「……ユエだよな?」
ゴブリン1「グギャ!」
シア/香織「「……は?」」
今度はハジメがゴブリンをユエと呼んだ
そして
光輝「……雫か…」
ゴブリン2「!……グギャ」
光輝「……そうか…」
最後に残ったゴブリンを雫と呼ぶ光輝
シア「えっと、ハジメさん。まさかと思いますがユエさんなんですか。その、私には魔物に見えるのですが……その…アクアさん達もその魔物をカズマさんって呼んでますが…」
香織「わ、私も魔物に見えるよ。本当にユエなの?…それに……本当に雫ちゃんなの光輝君…?」
疑問の声を上げて目の前のゴブリン達を見るシアと香織
そんな二人を、ユエと呼ばれたゴブリンはチラリと見たあと何かを訴えるように「グギャ、グゴゴ、ギャアギャ」とハジメに向けて鳴き始めた
そして、やはりまともに喋れないことに悄然と肩を落とす。 しかし、そこはハジメ。ユエをこよなく愛する彼の前に不可能はない
ハジメ「ん? ん~、転移したあと気が付けばその姿に変えられていたって?」
ゴブリン1「! グギャ! ……グゴゴ」
ハジメ「ふむ、肉体そのものが変質したってところか……」
ゴブリン1「グギャ……ギャギャ、グギ」
ハジメ「装備品も失ったのか。……ああ、爆音が響く場所にハジメありってか? まぁ、間違ってないか……」
ゴブリン1「……ギュウウ、ゴゴ」
ハジメ「そうか、魔法も使えないと……でも、これ以上変質するような感覚もないか」
ゴブリン1「ギギギ、ガギ」
ハジメ「まぁ、大丈夫だろう。これもおそらく試練の一つだろうしな。不可避のスタート地点に立った時点でゲームオーバーとか試練の意味がない」
ゴブリン1「……ギュウウ?」
ハジメ「ああ、あとティオはいないんだ。おそらくユエ達と同じだろう。何の魔物かまでは分からないが……まぁ、そう心配するなよ、ユエ。いつも通り何とかするさ」
ゴブリン1「……グギャ!」
普通に会話が成立していた
ちなみにその横では
ゴブリン3「ゴガガガ!!ガ!」
アクア「そうね、魔物に姿変わるなんてあっちの世界以来よね」
めぐみん「あのときはウィズの魔導具の影響でゴブリンになってましたね」
ダクネス「ゴブリンなのにやたら強かったのがすごい印象的で何十年たった今でも鮮明に覚えてるぞ」
ゴブリン3「ギャ!ゴグゥ、バグッ!!」
アクア「フフ、確かに…正直一生ゴブリンのままかと思って焦ったわ…」
めぐみん「たしか戻るのに5日は掛かったはずです」
ダクネス「屋敷の中にゴブリンがいるのは絵的に違和感を覚えたが3日くらいで慣れたな」
ゴブリン2「ゴギィ……」
光輝「……なんだ…」
ゴブリン2「!!ジギャ!?」
光輝「普通に話せ…普段通りのつもりで話せ…」
ゴブリン2「ジジャア、ジョウゴ……」
光輝「……なってしまったものは仕方ないだろ……気を落とすな……試練が終われば戻れるはずだ」
なんか思い出話に花を咲かせているゴブリン(カズマ)とアクアめぐみんダクネスと人の言葉が話せなくて落ち込むゴブリン(雫)を慰めている光輝
シア「いやいやいや!!なんで話が通じてるんですか!?」
香織「そしてなんで見分けつけるの!?」
あまりにも普通に見分けた上に会話までしている5人に驚きながら聞くふたり
そんなふたりに対しハジメとアクア、めぐみんとダクネスはというと
ハジメ「は?姿形が変わったくらいで、俺がユエを見失うわけない。それだけのことだ」
アクア「だから言ったでしょ?何年連れ添ってると思ってるのよ…」
めぐみん「確認せずとも彼が私達の男であるカズマだとわかりますよ」
ダクネス「ああ、それにカズマがゴブリン化するのはこれで二度目だから……もっともそれが無くとも見分けがつくが」
シア/香織「「……さいですか…」」
ほとんど惚気に近い事を言われふたりは口から砂糖が出そうになった
ちなみに光輝はというと
光輝「知らん…目にした瞬間にそれが雫だと考えるよりも先に気付いただけだ」
本人すらもよくわかってないが雫だと見分けたようだった
その光輝のセリフに心なしかゴブリン(雫)の頬が紅くなったように見えた
その後再生魔法を使って元に戻そうとしたが上手く行かず、一行はそのまま先へ進むのだった
余談だが道中ゴブリンの群れにいたぶられて喜んでいるゴブリンを見かけた一行はそれがティオであると気づくがあまりにも酷い絵面に助けようか迷ったという
なおそれを見たダクネスが軽く息を荒らげているとゴブリン(カズマ)がまるで『こいつ年のせいで無くなったと思っていた性癖が再発し始めてるな』とでも言いたげな目をダクネスに向けたのだった
本作の投稿が四十話を超えました。これから出す原作改変キャラクターの中で誰が好きですか?
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友達と優しさを持つハジメ
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闇を抱えた孤独の光輝
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物凄く動いてまわってるカズマ
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影薄だけど友達思いの浩介
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原作と違い救済され闇を祓われた幸利
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ティオに惚れられた心優しきウィル
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光輝を孤独にさせない一途な雫