創造のハジメと破壊の光輝   作:スカイハーツ・D・キングダム

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第五十四話 己に打ち勝つ

 

一行が迷路を進んでしばらくすると突如それぞれにしか聞こえない声が聞こえてきた

 

良く聞けばそれは自分達の声だった

それぞれに語りかけるかのような内容で一同は困惑した

 

さらに

 

勇輝「うわぁあああっ!?」

 

雫「ゆ、勇輝!? どうしたの!?」

 

突如奇声を上げて氷壁から飛び退いた勇輝に驚く一同

 

曰く氷壁に映る自分の顔に違和感を覚えよく見るとその表情は微動だにせず無表情であり、呟いた際に動いたはずの唇もそのままで硬直し、氷壁に映る勇輝は……スっと口元を割いていたという

 

カズマ「……大迷宮内は常に何が起こるかわからない非現実な場所だ……何が起きてもおかしくない……例えば氷壁に映る自身が飛び出して襲ってくるとかな……念の為壁から離れるか」

 

その後、特に氷壁に映る自分が異なる行動を取るという怪奇現象もなく、一行は遂に、通路の先に巨大な空間を発見した。部屋の奥には、先に見た封印の扉によく似ている意匠の凝らされた巨大な門が見えた

羅針盤を確認してもゴールで間違いはなさそうだ

 

ハジメ「ふぅ、ようやく着いたようだな。あの門がゴールだ。だが……」

 

ユエ「ん……見るからに怪しい」

 

シア「ですねぇ。大きい空間に出たら大抵は襲われますもんねぇ」

 

ハジメは、いい加減迷路にも飽きていたのでゴールが見えたことによりホッと息を吐きながらも、白眼をフルに使って索敵を行う。経験則上、ゴール手前の大きな空間で何もなかったためしがないのだ。それに、ユエ達も激しく同意し、警戒感をあらわにする

 

ハジメ「……相変わらず、反応はねぇのな。まぁ、行くしかないか」

 

やはり魔力反応は何も感知できなかったらしいハジメが、眉をしかめながら先陣を切った。ユエ達も後に続く。 そして、部屋の中央まで歩を進めたとき、案の定、それは起こった

 

ダクネス「む? ……あれは太陽?」

 

突如、頭上より降り注いだ光に、見上げたダクネスが発した言葉。ユエ達が頭上を見上げれば、そこにあるのは確かに〝太陽〟というべきものだった。 雪煙に覆われた迷宮の上空で、輝きを増していく一点の光。迷宮内ということを考えれば本物であるはずがないが、確かに感じる熱が〝太陽〟だと錯覚させるのである

 

ユエ「……ハジメ。周りが」

 

視線を険しくして擬似太陽を見上げていたハジメに、ユエが注意を促した。それに従って視線を周囲に巡らせたハジメの目に異常事態が映る。 何と、周囲の全てが煌めいているのだ。天空から空を覆う雪煙を貫いて差し込む陽の光が空気中の細氷に反射しているのだろう。いわゆる、ダイヤモンドダストというやつだ。 だが、自然界のダイヤモンドダストに比べると些か様子がおかしい。というのも、煌きが明らかに強すぎるのである。まるで宙に浮く無数のランプの如く、一部の氷片が強く輝き、しかも刻一刻とその光を強くしていく

 

カズマ「……ダイヤモンドダストと称するには少々危険な香りがするな。全員、防御を固めろっ!」

 

カズマの目には、それらの光輝く氷片が、まるでエネルギーを溜め込む砲台のように見えた

 

反射的に一塊になり、ユエとアクアと香織が〝聖絶〟を展開したその瞬間――閃光が駆け巡った。

 

ハジメ「っ、まるでレーザー兵器だなっ」

 

ハジメの言う通り、部屋の宙に浮かぶ幾百の輝く氷片は、溜め込んだ光をレーザーの如き熱線として解放したのだ。 特に、ハジメ達だけを狙ったわけではないようで、部屋の中を純白の細い光が縦横無尽に奔り、氷壁や地面にその軌跡を描いていく。ユエとアクアと香織が張った〝聖絶〟にも、ビッーー! と音を立てて傷を付けながら通り過ぎていった。 氷片から放たれる閃光の軌跡は完全にランダムのようで、宙に浮く氷片が回転したり移動したりするのに合わせて、無秩序に光の軌跡を奔らせた。氷壁や地面に、あっという間に幾条もの傷ができ、その度に新たな氷片が撒き散らされる。 更に、まるで天空の擬似太陽に落とされているかのように上空を覆っていた雪煙がハジメ達のいる広間に降りてきた。このままでは、数秒もしない内に【ハルツィナ樹海】並に視界を閉ざされてしまうだろう

 

めぐみん「まずいですね。このままでは煙に囲まれて立ち往生します」

 

カズマ「落ち着け。一応3重の結界で護られてるから対して問題はない。後こっちには白眼と写輪眼持ちのふたりがいるから煙で見えなくても進める。とにかく進むぞ」

 

カズマの号令と共に一斉に駆け出す。その間も、熱線は容赦なく盾状の〝聖絶〟を襲うが3人の中で特に強い結界術が使えるアクアのお陰で結界が壊れること無く、特に問題なく進めると思っていたが

 

ズドンッ!!

 

地響きを立てながら上空から迫る雪煙から、大型自動車くらいの大きさの氷塊が複数落ちて来たのだ。かなりの重量があるようで、落ちた衝撃により地面が砕けてクレーターが出来ている。向こう側が透けて見えるほど透明度の高い氷塊で、いわゆる純氷というやつなのかもしれない。胸元には、わかりやすく赤黒い結晶が見えていた

 

ハジメ「チッ、本命か」

 

ハジメが舌打ちをする。それに呼応でもしたかのように、直後、氷塊は一気に形を変えて体長五メートル程の人型となった。片手にハルバードを持ち、もう片手にはタワーシールドを持っている。その数は全部で12体。ちょうどハジメ達と同じ数だ。ゴーレムのようにずんぐりしていて、横列となって出口を塞いでいる

 

勇輝「!!あいつらが出口の番人!…なら今度こそ俺が(光輝)『天照』!?」

 

勇輝が聖剣を抜き今度こそ倒そうと意気込んでいたら突如全てのゴーレムの身体から黒炎が発生し焼き尽くしたのだった

 

振り返ると目を流血させた光輝がゴーレム達を睨んでいた

 

勇輝「!!お前また一人で倒したな!俺の相手を取るな!」

 

光輝「あのゴーレムは先程貴様が倒せなかった魔物よりも強い。どうせ結果は一緒だ……ならばさっさと倒したほうが効率的だ」

 

そう勇輝の事を意に返さない態度で言う光輝

 

勇輝「魔物を倒さなければ神代魔法は手に入らないんだぞ!!お前一人占めするつもりだっていうのか!?」

 

光輝「……そう思っているようなら貴様は無理だな」

 

勇輝「なっ!?」

 

ユエ「ん…確かに無理」

 

カズマ「天之河兄…お前なにか勘違いしているな?神代魔法獲得資格って言うのはなにも魔物を倒したかの有無で決まるわけじゃない。むしろ通過点でしかない。重要なのは大迷宮のコンセプトを理解し、試練を受けた精神面に左右される……今のお前は力を得ようと無理に動き回って焦っている……それじゃあ獲得はできない……狭い視点でしか物事見れないのはお前の欠点でしかない…頭に入れておけ」

 

そうカズマに言われた勇輝は何も言い返せずにいた

 

しかし、当の勇輝は、雫をチラリと見ると何か恐れるような眼差しを一瞬だけ向けて直ぐに逸らし、それから瞑目してしまった

 

だが、瞑目する直前に向けたハジメと光輝への視線……カズマとハジメと光輝だけが気がついたそれが憎悪に染まっていたと感じたのは、気のせいだろうか……

 

カズマ「……厄介なコンセプトだ……」

 

それからしばらくして、全員の回復がある程度終わったので光の出口へと進むことにした。完全回復とまではいかないが、それでも囁き声が続くこの迷路内にいて精神をすり減らすよりはいいだろうという判断だ

 

カズマ「さて、それじゃあ、行こうか」

 

カズマの言葉と共に、全員が光の門へと飛び込んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

視界を染め上げた輝きが収まり、カズマはゆっくりと目を開いた

 

カズマ「……分断されたか。まぁ、予想はしてたが……しっかし一人くらい一緒でも良かっただろうに」

 

周囲に仲間の姿はない。一人である。 視線を周囲に巡らせば、カズマのいる場所は細い通路のようだった

 

二メートル四方のミラーハウスで、上下左右に自分の姿が映っている。後ろを振り返って見ても、あるのは突き当たりの壁だけで、出入り口らしきものは一切ない。前に進むしかない場所だった。 おそらく、ハジメ達もそれぞれ一人で同じような別の通路に飛ばされたのだろうと推測し、カズマは先へ進むことにした

 

カツカツと鏡のような氷の地面を歩く足音が反響する

 

大体、十分くらい歩いただろうか。分かれ道のない一直線の道を歩き続けて、やがてカズマは、中央に天井と地面を結ぶ巨大な氷柱のある大きな部屋に辿り着いた。鏡のような氷壁と同じく、円柱型の氷柱もよくカズマの姿を反射している

 

カズマ「他に通路はい……ってことは、あの氷柱か……」

 

そう独りごちながら、カズマは氷柱に歩み寄って行った。直径が大きいので、正面から相対してもカズマの姿が歪曲することはなく、まるで鏡の奥の世界からもう一人のカズマがやって来ているかのように、カズマが近づくにつれ、その姿が徐々に大きくなっていく

 

カズマ「……」

 

カズマはそれを無言で見ていると氷柱の中のカズマもこちらを見ている

 

鏡写しに映るふたりのカズマ

 

そう沈黙すること数分

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鏡のカズマ「いや流石になんか喋れよ」

 

カズマ「あ、やっぱ喋ったか。なんとなくこういう事が起こるんだなあって思ってたから」

 

突如鏡の中のカズマが喋り出したがカズマはそれに驚かず話した

 

鏡のカズマ「……驚かねえんだな…」

 

カズマ「まあ伊達に100年生きてるからな。この程度じゃ驚かねえよ…んでお前が出てきたってことはここのコンセプトってやっぱりあれなんだな?」

 

鏡のカズマ「……ちなみに何だと思うか?」

 

カズマ「ん?お前は俺なんだから知ってるんじゃないのか?」

 

鏡のカズマ「生憎全部ではないからな……それで?」

 

カズマ「……『自分に打ち勝つこと』。己の負の部分、目を逸らして来た汚い部分、不都合な部分、矛盾……そういったものに打ち勝てるか。おそらく、神につけ込まれないためのやつだ……」

 

鏡のカズマ「正解!……そしてこういうコンセプトってことは己の闇である俺がお前と戦うことになるんだが

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お前とっくに精神面が完成されてるから闇とか負の部分とかがねえんだよ!!この試練受ける意味ねえよお前は

 

そう鏡のカズマが声を荒らげながら言う

 

カズマ「あー……まあ…前世じゃ色々あって自分の心の折り合いとかつけてたし…今は自分のやることに迷いとかないしな…」

 

鏡のカズマ「……この大迷宮の歴代挑戦者の中でお前みたいな奴は初めてだ…流石転生者……試練を受けずに突破するとはな」

 

カズマ「ん?」

 

鏡のカズマ「お前は闇だとか矛盾とか迷いとかが無いから受ける必要なんかない……だからお前はここへ来た時点で突破したことになる……たく…ここの大迷宮を作った解放者すらも予測できない突破方法だよ……」

 

カズマ「あー…なんかごめんな?」

 

鏡のカズマ「……まあ…本当に大変なのはこの先だ……お前のやりたいことは世界そのものを変える行為だからな?全種族の和解……ま、お前ならそれもよくわかってると思うけどな……せいぜい足掻けよ…それと嫁達を大切にな?」

 

そう言うと鏡のカズマは姿を消すのだった

 

 

本作の投稿が四十話を超えました。これから出す原作改変キャラクターの中で誰が好きですか?

  • 友達と優しさを持つハジメ
  • 闇を抱えた孤独の光輝
  • 物凄く動いてまわってるカズマ
  • カズマを支える相棒兼正妻のアクア
  • 影薄だけど友達思いの浩介
  • 原作と違い闇を感じない恵里
  • 原作と違い救済され闇を祓われた幸利
  • ティオに惚れられた心優しきウィル
  • 光輝を孤独にさせない一途な雫
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