創造のハジメと破壊の光輝   作:スカイハーツ・D・キングダム

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第五十五話 もう一人の自分

 

虚像のハジメ「チッ…揺さぶりかけるつもりで言ったっていうのにあんまし効果無いか」

 

ハジメ「当然だ。自覚しているからな」

 

別の空間では、ハジメと虚像のハジメのふたりが戦っていた

 

虚像のハジメの姿はまだ眼と腕を無くす前の『僕』だった頃の南雲ハジメそのものだった

服装も髪も黒く、白のハジメとは対象的だった

 

虚像のハジメはハジメに揺さぶりを掛けようと『ユエを愛することはただ安心感が欲しかったから』と言うがそれに意を返さない

 

ハジメ「確かに、俺は帰郷を心底願いながら、同じくらい恐怖している。そして、望んだ結果にならなくても、ユエがいる……そう、思ってしまっていることも事実だ」

 

虚像のハジメ「なら、どうして動揺しない。人間は、己の醜く、汚い部分を直視できない生き物だ。容赦なく晒されれば、それだけで目を閉じ、耳を塞ぎ、蹲って動けなくなるような、それでも無理に直面させれば壊れてしまうような、そんな生き物だ」

 

ハジメ「随分と、〝全てじゃない〟部分が出てきているな? 俺にしては口調が真面目すぎるぞ?まぁ、いいか。どうして動揺しないか、だったな。そんなもん考えるだけ無意味だからに決まってるだろう?確かに、拒絶される可能性はあるし、それは恐ろしいことだが、そんなもん未来のことだろう? 今考えても答えなんて出ない。考えるだけ無駄だ。なら、恐怖を抱えたまま、ぶつかってみるしかない。俺はな、もう、帰ると決めたんだ。誰にどんな事情があろうと、俺自身が恐怖を抱えていようと、そんな些事には構わず帰る。そうと決めた以上、押し通る。それだけだ」

 

そうはっきりと返すハジメ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

虚像のハジメ「内心では帰る意思が揺らいでいる(・・・・・・・・・・・)癖に良くそんな事が言えたな?」

 

ハジメ「!」

 

が、虚像のハジメのその言葉に動揺を見せた

 

虚像のハジメ「なんだ?ユエの事には動揺しねえのにそれには動揺するとは、自覚してなかったのか?……いや、見た所自覚してはいるものの迷いがあると見たな…」

 

ハジメ「……」

 

虚像のハジメ「帰る意思はある。だがその反面カズマ達を残して帰ることに負い目を抱えたままこの試練を受けてしまった事が災いだったな!」

 

その瞬間、虚像のハジメの動きが突如速くなりハジメに襲いかかり、ハジメはその攻撃をモロに受けてしまう

 

ハジメ「がぁっ!?」

 

虚像のハジメ「迷っているな?これは己を乗り越える試練だ。自らが抱える負の感情を乗り越える度に、負の虚像である俺は弱体化していく。逆に、目を逸らせば逸らすほど強化されていく。迷いを抱えたままのお前が俺に勝てるかよ」

 

そう言いながら虚像のハジメの拳が振り下ろされる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雫「はぁあああっ!!」

 

虚像の雫 「あら、また剣筋が乱れたわよ?」

 

気合の入った雄叫びと共に、神速の抜刀術が放たれる

一瞬で宙に幾筋もの黒線が引かれるが、その鋭い剣閃は唯の一筋も相手には届かない。 それどころか、一瞬の乱れを指摘されると同時に、縫うように伸びて来た突きによって眉間を貫かれそうになる。咄嗟に頭を振ってどうにかかわすが、こめかみを浅く切り裂かれてしまった

 

雫「っ、〝焦波〟!!」

 

先に受けた突きは八重樫流の刀技の一つ。故に、その突きが三段構えであることを、雫は誰よりも理解している。こめかみを裂かれ、僅かとは言え崩された体勢では回避は困難だ。 故に、迫る閃光の如き二段目の突きが己を穿つ前に、雫は地面に鞘を押し当て衝撃を撒き散らした。砕かれた地面の氷片を即席の散弾に変えて、どうにか間合いから逃れる

 

虚像の雫「カズマ君からの贈り物があって良かったわね? それがなければ、とうの昔に私貴女は死んでいるものね?」

 

雫「はぁはぁ……」

 

揶揄するような口調で白金を納刀する白い雫に、黒髪ポニーテールの雫は肩で息をしながら無言のままだ

雫は現在、ハジメと同じく虚像の自分と戦っていた

相対する虚像はハジメの場合と異なり限りなく白かった。白髪ポニーテールに白磁のような肌。刀も衣服も全てが白だ。赤黒い炯々たる瞳がやけに映える。 その白い雫はニヤニヤと普段の雫から考えられないような嫌味ったらしい表情を見せながら口を開く。先程からずっと続けられていることだ。その内容は当然、雫の負の感情を曝け出すもの

 

虚像の雫『痛い? 苦しい? 恐い? 泣きたい? 隠さなくてもいいわよ? 私は貴女なのだから全て分かっているわ。そう、何でも分かっている』

 

雫「ぐぅ…」

 

虚像の雫「惨めね貴女私……こんな惨めな姿……いつ以来かしらね?……ああ!思い出したわ!!確かアレは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

勇輝を頼った結果よりいじめられた時や勇輝と光輝の兄弟喧嘩を泣きながら見ていることしか出来なかった時以来ね!!

 

雫「!!」

 

虚像の雫「今の貴女私も惨めだけどあのときの貴女私も惨めだったわね……なんだったかしら?勇輝と光輝が家に入門して来たとき、王子様がやって来たのかと思った。勇輝に『雫ちゃんも、俺が守ってあげるよ』って言われてカッコイイ男の子との絵本のような物語を夢想したわよね。彼なら自分を女の子にしてくれる。守ってくれる。甘えさせてくれる。そう思っていた。でも、勇輝がもたらしたのは、貴女私に対するやっかみだけだった。そうでしょう? 小学生の時から正義感と優しさに溢れ、何でもこなせる勇輝と光輝は女の子達の注目の的だった。女の癖に竹刀を振り、髪は短く、服装は地味で、女の子らしい話題にも付いていけない貴女私が、そんな彼達の傍にいることが、女の子達には我慢ならなかったのね。そうそう、あの言葉は今でも覚えているわ。勇輝と光輝を好いてる女の子の一人に言われた言葉。『あんた女だったの?』って。ショックだったわよね?」

 

雫「うるさい!!」

 

虚像の雫「そんな事を言われた貴女は光輝に頼ったわね。貴女私は光輝なら『自分が直接言って聞かせるよ』と言うと思っていたけれど返ってきた答えは貴女私の想像と違うものだった。確か『ええっとそうだな……とりあえず先生に頼るのがいいかな…出来れば信用のおける大人、例えばお父さんやお母さんとか』って。 そう言われた貴女私はまさかそう返されるとは思ってなかったから思わず聞き返したら『多分雫はお母さんとかに話して迷惑が掛かるかも知らないって思っているからこうして俺に相談すると思うんだ……確かにその気持ちはわかるけど、一人で解決しようとするのはどうかと思うんだ……どうかな?』 って言われた。そしたら貴女私ったら光輝の事をたよりないって思ってしまったわよね?だから今度は勇輝を頼ったら『きっと悪気はなかった』『みんな、いい子達だよ?』『話せばわかる』って言ってその言葉通り貴女に対するいじめについて勇輝が女の子達に話し合いに行ってこれでもういじめられないと安心した…………けど待っていたのはこれまで以上の陰湿なイジメだった……それまで振るわれることもなかった暴力も振るわれ、もうだめかと思っていたわね………でもそのいじめを終わらせたのは他でもない…貴女私が頼りないと思っていた光輝だった……光輝は貴女私をいじめた女の子たちを一人残らず殴って止めた……あの光輝が…今まで一度たりとも人に暴力を振るったことのなかった光輝がよ……馬鹿な貴女私はそれで思い知ったはず……光輝が自分ではなく大人に頼るように言ったのは『自分が動けば余計にいじめが酷くなる』ってわかっていたから……まあそれに気づかず馬鹿正直に勇輝に頼った結果ああなった貴女私も悪いけど」

 

雫「!ええそんな事私が良くわかっ」

 

虚像の雫「その結果が彼と勇輝の兄弟喧嘩からの絶縁、そして彼は夢を捨てた……『誰も傷つけず人々を救う正義の味方』を…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

虚像の光輝「自分が信じていた奴らからの裏切り、人の持つ悪意…その醜悪さを目に焼き付けたお前は奴らに…いや……人間そのものに失望………雫を傷つけた連中への暴力……それまで一度も感情に任せて暴力を振るったことのなかったお前がだ……そしてお前は理解したな」

 

場所は変わり

光輝は己の虚像と戦っておらず…ただ対話をしていた

 

虚像の光輝の姿は奈落に落ちる前の己の姿をしていた

 

光輝「……ああ……こいつらに救う価値なんかない………そして……『誰も傷つけず人々を救う正義の味方』を掲げていた俺がいざとなればその理想なんてものを無視して平気で相手を傷つけることができる……それが本当の自分だってな…………そんな人間がなれるわけがない……だから夢を捨てた……その結果に後悔はしていない……自分がいかに理想主義の現実を見ないガキだったかを理解することが出来たからな……」

 

虚像の光輝「そうだな……お前は自分の夢を綺麗さっぱり捨てた…人が生きるのは心に原動力があるからだ…それが夢を叶えるだったり人生を謳歌することだったりな……だが夢も捨て…人を信じきれず失望したお前にはその生きる原動力がこれっぽっちも存在しない……南雲は生への執着が大きかったがお前には生への執着も死への恐怖も存在しない……乾いてしまってるな……」

 

光輝「………」

 

虚像の光輝「だがそんなお前が再び人を信じようとしている……あいつらと出会ってな………だがお前は恐れている……また裏切られるのではないか……信じていたのは自分だけだったのかってな……」

 

光輝「……」

 

虚像の光輝「雫に対してもそうだ………自分が傷つける原因を作り…そんなあいつへの罪の意識からお前は陰ながらずっと守ってきた……許されたいからか?……それとも感謝されたいからか?そしてあいつに抱いた想いは果たしてただの罪悪感だけか?…………この試練は本来自らが抱える負の感情を乗り越える度に、負の虚像である俺は弱体化していき、逆に目を逸らせば逸らすほど強化されていく……が…お前は他の挑戦者と違い己の負に目を逸らしておらず自覚しているが乗り越えていない……お陰で俺は強くもなれねえし弱くもなれねえ……つまり今のお前と同等ってことだ……だからこその対話だ……お前に問う………さっきの質問に嘘偽り無く答えろ」





最後の試練はカズマとハジメに光輝、雫視点でのみ語られますが他のメンバー達は大体原作通りの内容となっています。ちなみにアクア達3人は前世の世界での経験で精神面が完成されてる為カズマ同様試練を受けずに突破しました。

本作の投稿が四十話を超えました。これから出す原作改変キャラクターの中で誰が好きですか?

  • 友達と優しさを持つハジメ
  • 闇を抱えた孤独の光輝
  • 物凄く動いてまわってるカズマ
  • カズマを支える相棒兼正妻のアクア
  • 影薄だけど友達思いの浩介
  • 原作と違い闇を感じない恵里
  • 原作と違い救済され闇を祓われた幸利
  • ティオに惚れられた心優しきウィル
  • 光輝を孤独にさせない一途な雫
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