創造のハジメと破壊の光輝   作:スカイハーツ・D・キングダム

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今回は本編でもちょいちょい出番があり、カズマとアクアの妹分にして、原作と違い救済されたキャラクター

中村恵里の過去と出会いを描いています。

なぜ本作の恵里は原作のような性格にならなかったのか、なぜ恵里はふたりの妹分になったのか

どうぞご覧下さい。


第七十三話 中村恵里という女/運命との出会い

 

中村恵里の幼少期は、世間の少年少女が送ってきたそれと比べても、実に悲劇的だった

既に夢も生きる理由も亡くしていた光輝とは別の意味で悲惨だった

 

彼女には娘に優しい父親と母親がいた(・・)

そう…いた(・・)のだ

 

恵里が五歳の時

父親と二人で公園に遊びに行って、はしゃいだ恵里が不注意にも車道に飛び出てしまい、悪魔的なタイミングで突っ込んで来た自動車から恵里を庇った父親が亡くなったという、ある意味、ありふれた交通事故の結果である

 

だが、結末としてありふれていなかったことが一つ。それは、その後の母親の態度だった

恵里の母親は幼心にも恥ずかしくなるくらい父親にべったり……それは単に夫を愛している、というだけでなく、もはや依存といってもいいレベルだったからだ

だからこそ、元々精神的に強くはなかった恵里の母親は、最愛にして心の支柱たる夫の死に耐えられず、その原因を作った幼い自分の娘――恵里に牙を向けるのだった

普通なら、父親の死を目の当たりにして傷ついているはずの娘を、涙を呑みながら支えるだろう

だがこともあろうに、恵里の母親はその憎悪を何のオブラートに包むこともなく恵里へと向けた

恵里の母親にとって、娘と夫を天秤にかければ後者に傾き、娘を愛していたのも、夫の娘だからという、それだけのことだった

 

そうして毎日のように行われる暴力と、吐き出される罵詈雑言に恵里は耐えた続けた

母親の「お前のせいで」という言葉を恵里は、納得してしまったからだ

自分の不注意が父親を殺した――誰よりも、そう信じていたのは、恵里自身に他ならなかった

 

そんな厳しい環境にいて笑顔になどなれるはずもなく、恵里は暗い雰囲気を纏う子として学校でも一人で大人しく、まるで嵐が過ぎ去るのをジッと蹲って待っているようなそんな様子で、それが同年代の子達には不気味だったのだろう

 

そんな孤独と自責と心の痛みと寂しさ……恵里の心は限界に近づいていた

 

そんな恵里に転機が訪れたのは九歳の頃だった――小学三年生になったある日

母親が家に知らない男性を連れて来たのだ。ガラが悪く、横柄な態度の大人の男。母親は、その男に甘ったるい猫なで声を発しながらべったりとしなだれかかっていた

 

誰かに支えて貰わなければ生きていけないほど心の弱い母親だからこそ…その父親の変わりを見つけた

 

男は典型的なクズそのものだった

そのうえ男の恵里を見る視線は、幼い少女に向けていい類のものではなかった

体を這い回るような気持ち悪さに、恵里は今まで以上に、家の中でも息を殺すようにして過ごした。それでも、男の言動は徐々にエスカレートし、やがて、恵里は自分を〝僕〟と呼び、髪を乱暴なショートカットにするようになった。それは、〝少女と見られなければ〟という小さな恵里のささやかな自衛手段だった

 

しかし、事件は起きた

恵里の母が居ない時に男が恵里に欲望の牙を剥いたのだ

幸い、恵里の悲鳴を聞きつけたご近所の人が警察に通報したおかげで、大事に至らなかった

 

いつかこんな日が来るのではないかと思っていた恵里だったが、これで母もようやく、目を覚ましてくれるはずだと思っていた

自分の娘を襲うような男とは縁を切って、父を思い出してくれるはずだとそう、思っていたのだ

 

だがそんな恵里に待っていのは母からの今まで以上の憎悪だった

誰かに依存しなきゃ生きていけない母親だからこそ……二度も依存先だった男を恵里が原因でいなくなってしまったことでついには恵里を自身の敵と認識するようになったのだった

 

この時になって、ようやく理解した

 

母は自分を愛さない。愛してなんかいない

 

昔の母になど戻らない。昔の穏やかな姿ではなく、眼前の醜さに溢れた姿こそが、母の本性だったのだ、と。

 

そう理解し――恵里は壊れた

 

信じていたものは全て幻想だった。耐えてきたことに意味はなかった。そして、この先の未来にも希望はない。幼い恵里が壊れるには十分過ぎる要因だった

 

その翌日

恵里は生きることに疲れ果て…自殺する決意をつけ、家を飛び出した

 

そうして当てもなくふらふらと彷徨い、川までたどり着いた

その上に架かる鉄橋の上からぼんやりと下方の流れる川を見つめていた恵里は、ここで死ねれば、その流れのままに、誰もいない場所へ運んでもらえるのではないかと思ったのだ

 

そうして恵里はその細腕によりどうにか持ち上がり、上半身が大きく欄干の外へとはみ出し、そのまま吸い込まれるように橋の下へ……というまさにその時

 

声を掛けてきた者がいた

 

その者こそ恵里もよく知っている、同じ学校で人気を一身に集める、輝いている男の子――天之河勇輝だった

振り返った恵里の暗い表情を見て、尋常ならざる事態と察した勇輝は、恵里を無理やり欄干から引き離し、その正義感を遺憾無く発揮した。 しつこく事情を尋ねる勇輝に、恵里はかなり省略した説明をした

 

端折りに端折った恵里の説明を聞いた勇輝は、こう理解した。 学校で孤立している恵里は、そのことで父親に厳しい躾を受けた。母親に助けを求めたら、母親まで父親と一緒に自分を叱った。味方がいなくて、悲しんだ恵里は自殺しようとした

 

断片的な情報だけなら間違いとは言えない

まだ幼く、性善説を前提とした思い込みが激しかった勇輝に、恵里の母親の行動原理など理解の埒外であったし、大の男が自分と同い年の女の子を欲望の捌け口にし、挙げ句母親が逆に子供の方を責めるなど想像も出来ない事態だった

そう理解した勇輝は、当時から女の子達を虜にした笑顔と力強さを以て、恵里の頬を両手で挟みながら至近距離で宣言した

 

勇輝『 ――もう一人じゃない俺が恵里を守ってやる』

 

言ってしまったのだ。壊れた少女の心に、自分は誰にとっても無価値なのだと理解した直後に、守るといつも通りに

 

学校で一番人気のある王子様のような男の子から劇的とも言えるシチュエーションで、そんなことを言われ、ずっと誰かからの愛情を求め続けた幼い少女にとって、その言葉は余りに強烈だった

 

しかも、その日、どうにか自殺を思い止まり、母親に追い出されるように学校へ行かされた恵里は、クラスの女子達が次々と明るく自分に話しかけてくるという状況に驚愕し、しかもそれが、勇輝の一言でなされたということを知って落ちたわけである

 

この時の恵里は有頂天だった

自分を守ると言った王子様

自分は、勇輝によって生まれ変わったのだと

だから、これからの人生は、輝く勇者のような彼と共に、同じように生きていけるのだと

 

だからこそ児童相談所の職員が恵里の母親の素行から虐待を疑い、幾度か調査に訪れることがあったときも

勇輝から引き離されることを拒むために全力で〝母親大好きな女の子〟を演じた

 

そんな恵里を母親は明確な恐怖へと鮮やかに変わっていくさまを見た恵里は幼いながらも理解した

やり方一つで、立場など、感情など容易く反転するのだと。今までの暗さが嘘のようにニッコリと笑ってやるだけで、母親は途端に目を逸らして口を噤む

 

母親をそれとなく脅して、家に生活費だけは入れるように仕向け、勇輝の傍にいられるよう環境を整えて……自分は王子様に選ばれた特別なのだと確信して……

 

だがそれもすぐに壊れるのだった

 

それは…いつものように近所のコンビニでお菓子買った帰りのことだった

 

丁度目の前を歩く勇輝の姿が目に入り駆け寄った

 

彼を抜き去り振り返り声を掛けようとして気がつく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼は勇輝……学校で女子から人気者の王子様天之河勇輝ではなく…その双子の弟でありかつては勇輝同様人気者だったもう一人の王子…否…墜ちた元王子、天之河光輝だった

 

自分の好きな人を見間違えたことについ呆然としていた所

 

光輝『……お前か…あいつの言っていた自殺未遂の同級生ってのは……あいつのそばをうろつく奴等といいお前といい、随分とめでたい奴らだな』

 

恵里『……え?なに言って…』

 

光輝『大方お前もあの偽善野郎に甘いセリフ言われた口だろ?……それで自分はあいつに救われた…あいつに選ばれたって都合よく解釈してるんだろ?……生きることから逃げたお前らしい…実に現実逃避な考えだな』

 

突如光輝の口から発せられたその冷たい言葉に思わず口を開き戸惑う恵里

 

光輝『言っておくがあいつに期待するだけ無駄だ…あいつにとってお前の自殺未遂や親からの虐待なんざ既に終わった問題…そしてお前自身終わった存在……あいつはそう認識している。アニメでヒーローに助けられた奴が、次の話からは全く出てこないのと同じようにな………』

 

恵里『え…いや…ちょ…ま、まって…よ…』

 

光輝の言葉を聞き、徐々に理解し始める恵里…いや…ずっと気づかないふりをしていたある事に気づき始めていた

 

それは……守ると言った勇輝自身は…まるで恵里をその他大勢と同じようにしか接してくれない

何故か勇輝の特別に見える女の子達

 

それを見るたびにその場所は「僕の居場所でしょう?」と思っていた

 

親しそうに話しかけてくれるクラスの女子は『勇輝の頼みだから』そうしているだけ

 

そして…恵里は理解した

 

勇輝の隣には、あの早朝の鉄橋で言葉を交わしたときよりもずっと前から、特別が侍っており、自分の居場所などなかったということを

 

恵里『あっ…ああぁ!!』

 

そのことを完全に理解した恵里は崩れ落ちる

 

光輝『……軽い気持ちでお前に甘いことを言ったあいつもあいつだが……目の前の現実から逃げたい一身で都合のいい解釈してあいつに縋ったお前もお前だな……一つ覚えておけ……人がヒーローやら救世主やら正義の味方を口にするが…そんな物は存在しない……それは辛い現実から逃げたい一身で人が思い描いた絵空事だ……そんな物が存在するなら……争いも憎しみも……この世の不幸も存在しない……結局頼れるのは自分だけだ。わかったらせいぜいあいつから離れておくんだな』

 

それだけ言うと恵里の前から消える光輝だった

 

それからの数日間

光輝の言葉が頭から離れずにいた恵里

 

改めて学校で女子達に囲まれている勇輝の姿を見て…

 

恵里の心はぐちゃぐちゃになっていった

 

結局、自分には居場所などなかった。〝特別〟など幻想に過ぎなかったのだということを。 それに気がついた途端、恵里は毎日狂ったように、否、文字通り狂いながら同じことを考え続けた

 

――もう一人じゃないって言ったよね?

 

――守ってくれるっていったよね?

 

――僕はあなたの特別なんかじゃないの?

 

――ねぇ、どうして、同じ言葉を他の人にも言っているのかな?

 

――ねぇ、どうして、僕だけ見てくれないのかな?

 

――ねぇ、どうして、今、こんなに苦しいのに助けてくれないのかな?

 

――ねぇ、どうして、他の女にそんな顔を向けるのかな?

 

――ねぇ、どうして、僕を見る目が〝その他大勢〟と同じなのかな?

 

――ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、ねぇ、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、

 

考えても考えても、結果は変わることはなく…恵里はとうとう…一度は実行しようとしてやめた自殺を実行しようとした

 

ただし今度は誰の邪魔が入らないよう…一気に死のうと考え、車の行き来の激しい車道の間へ飛び込もうとした

 

今度は勇輝のように邪魔するものが出てこないよう…確実に… そう思いながら恵里は車が目の前を通り抜ける直前を狙い飛び込もうとした

 

恵里『(ああ……結局……無駄に死ぬまでの時間が伸びただけだった……お父さん……ごめんね…お父さんが守ってくれた命だけど………もう…生きるのがいやになっちゃった…)』

 

飛び込む直前…恵里は心のなかであの世にいるであろう父に謝った… そうして恵里は目を瞑りながら歩道から車道へ飛び込んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その瞬間、背後から2つの力によって車道から歩道に引き戻された

 

恵里『痛った!』

 

瞑っていた目を開け前を見ると、そこには茶髪の緑色の瞳をした少年と水色の髪の瞳をした少女がこちらを見ていた

恐らくふたりが引き戻したのだろうと理解した恵里は思わずふたりに文句を言おうとしたが

 

恵里『いきなりなにするの!せっかく死のうとしたのに邪魔する『バシッ!』……ッエ?』

 

その瞬間少年からビンタされ、思わず引っ叩かれた方の頬を手で触れる

 

少年『この、馬鹿野郎が!!』

 

恵里『ビクッ!』

 

少年『なにがあったか知らないが、まだ大人になってもいないうちに命を粗末にするやつがあるか!!』

 

少年は恵里のおこなった愚かな行為に激怒していた

自分と同い年らしいその少年にビンタされたことや、同い年とは思えない迫力に恵里は思わずビビってしまう

 

最初はふたりを警戒していた恵里だったが、明らかに今まで自分が出逢った人達とはどこか違うふたりにやがて警戒を解き、少年と少女と一緒に近くの公園で話す気になった

 

そうして恵里は自分の身の上話(勇輝や光輝に言われたことを飛ばして)をすると

それまで黙って話を聞いていた少年と少女が恵里を抱きしめた

 

恵里『え…』

 

恵里は驚いていた

このふたりも勇輝のような甘いセリフかなんかを吐くと思っていたら抱きしめてきたのだから

 

すると恵里を抱きしめている少女からすすり泣く声と恵里の肩に水滴が垂れてきた

 

それが少女の涙だと気づくのにさほど時間はかからなかった

 

少女『………辛かったわね…』

 

恵里『!』

 

少年『…ああ……一人でよく耐えたな…』

 

恵里『ッ…』

 

少年『でもな………それでお前が死ぬのは駄目じゃねえか……お前の親父さんが…どんな思いでお前を助けたと思うか?……お前を……娘を守りたい…その一身でお前を守ったんだ…』

 

恵里『…ッ……君に…なにが』

 

少年『そうだな…俺はお前の親父さんじゃねえ…でも、お前の親父さんがどう思ってたかは…よく分かるよ』

 

恵里『……どうして……』

 

少年『それが親だからだ………理屈じゃねえんだよ……親にとって…子供は自分以上なんだよ…お前の母親はそうじゃなかったが……世の子を思う親は皆……子供を守るためなら命だって投げ出す……確かに……親父さんを亡くしたのは…お前のせいかもしれねえ……でもよ…親父さんがお前を命がけで守ったってことは……それだけお前のことを心から愛していたってことだろ?……その娘が…苦悩の末…自分よりも長く生きれず自殺なんてしちまったら……天国にいる親父さんが浮かばれねえよ…なんのために庇ったって思うか?』

 

恵里『!』

 

少年『お前が親父さんのことを思うなら……生きてみやがれ。それこそ親父さんの何倍もな…』

 

そう言いながら、少年は恵里の頭を優しく撫でた

 

その瞬間…恵里の頭の中を…生きていた頃の父親との思い出が巡った

父親は自分に優しく…いつもたくさんの愛情を与えてくれた

 

母にはあまり撫でてもらった記憶はなかったが…父にはよく撫でられていた

その父の大きな手が、恵里は大好きだった

 

そして今…自分の頭を優しく撫でている手は、父と比べてとても小さく弱々しく感じる…でも父を思い出させてくれる

 

恵里『う゛ぅ゛ぅ゛ぅ!……お゛と゛う゛ざ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ん゛ん゛!…ご゛ぶ゛ぇ゛ぇ゛ん゛な゛ざ゛あ゛ぁ゛ぁ゛い゛ぃ゛!!!』

 

気がつけば恵里も涙を流しながら今亡き父に謝っていた

そう

自殺すれば…自分を守った父の行為を無駄にしてしまうことに気がついた

そして…それは自分のことを愛してくれた父が望むわけがない

父の命と引き換えに生きてしまったのなら…自分は父よりも長く生きなければならない

それが…生き延びた自分の責任なのだから

 

親身になって話を聞き、自身の気持ちを汲んでくれた少年と、自分のことを抱きしめながら涙を流した少女

 

ふたりに触れられ、ふたりの暖かさを心の奥底まで感じ、もうずっと忘れていた…人の暖かさを思い出した恵里だった

 

そしてふたりにより、恵里の母親が引き起こした虐待を警察に通報し、程なくして恵里の母親は逮捕された

 

警察に連行される直前、警察に連れてかれる恵里の母親を見る恵里と少年少女達

 

恵里の母親は恵里を見つけると罵詈雑言吐き散らかし、挙句の果ては恵里に『お前なんか産まなければよかった!!死ね!』と暴言を吐かれ、既に母親への情を亡くしていた恵里だったが、流石に実の母親に吐かれた心無い言葉に泣きそうになった

 

その時だった

 

恵里の母『ガッ!!』

 

少年が飛び出したかと思えば恵里の母親の顔面にドロップキックをかました

 

そして地面に倒れた恵里の母の上に馬乗りし恵里の母を殴りつけた

 

少年『子供に死ねなんて言う親がどこにいやがる!!親は子に生きれっていうんだよ!!

 

恵里『!!』

 

そのまま恵里の母のことをまわりの大人達が止めに入るまで殴り続けた

一方少女の方は恵里を抱きしめながら母親の方へむかって大声で叫ぶ

 

少女『自分がお腹痛めて生んだ我が娘に、産まなければよかったなんて言うんじゃないわよ!!

 

恵里『!!』

 

少年と少女は、自分の事を思い、自分の為に怒ってくれている

 

これまで、母親から一方的な怒りや憎悪を受けて生きてきた自分を、ふたりはそんな自分の事を守ってくれた

 

その事実に恵里はただ涙を流すのだった

 

そうして恵里の母親は逮捕され、残された恵里は市内に住んでいた親戚の家に引き取られ、学校も転校するのだった

 

親戚の者は、虐待されていた恵里に対し優しく接し、暴力を振るうことはなかった

こうして恵里に、決して戻ることのないと思っていた平和な日常が訪れるのだった

 

しかし、たった一つだけ…恵里には心残りがあった

それは…自分の事を助け、守り、自分の為に怒ってくれた…ふたりの少年少女にお礼が言えなかったこと

 

もう一度、ふたりに会いたい

会ってお礼が言いたい

 

でも…ふたりはきっと…勇輝と同じように…自分のことは…終わった問題だって思っていそう……そう考えてしまうと…ふたりがいた…あの町に足を向けられなかった

 

しかし

 

親戚の家に来て2週間が経った頃

 

親戚の人に呼ばれ、玄関に行く恵里

 

そこには

 

恵里『……え…』

 

少年『よっ!元気そうだな恵里』

 

恵里『…なん…で…』

 

少女『なんでって……あんなことがあって……貴女のことが心配になって、どうにかして住所調べて会いに来たのよ』

 

会いたいと思っていた

自分のことは終わったことと思っていたふたりが…自分に会いに来たのだった

 

この日、恵里はふたりの前で3度目の涙を流すのだった…

 

その後…恵里と少年と少女の交流は続き、いつしか旧知の仲となった

それまで友達がおらず、あまり他人と関わることがなかったのだが…ふたりと関わる事により、それまで暗い雰囲気を漂わせていた恵里は、少しずつ明るくなり、転校先でも笑顔を浮かべ、人と関わることも増えていったのだった

 

自分を守り、優しくし、同い年のはずなのにまるで年上かのような振る舞いと空気にいつしか恵里はふたりの事を心のなかで兄や姉のように思うようになり、ある日ふとふたりに呟いてしまった

慌てて訂正しようとした恵里にふたりは笑みを浮かべながら自分達も恵里の事を妹のように思っていたと口にし、気づけばふたりが居るときにだけ恵里はふたりをそう呼ぶようになったのだった

 

やがて月日が経ち、高校に上がってすぐ、恵里にとって無二の親友となる谷口鈴と出逢ったのだった

 

そして高校には自分に対し甘い言葉と厳しい現実を突きつける言葉を吐いた天之河兄弟もいた

 

だが恵里にとって勇輝に吐かれた甘い言葉はもはや過去のモノと化し、光輝の吐いた厳しい言葉に対しても、思い返せば、あのまま勇輝に盲信していればいずれは駄目になっていただろうと想像することができ、あれは光輝なりに恵里の身を案じて言った言葉だったとわかった

なにより光輝の言葉がなければ、自分はふたりと出会うことはなかったのだから、感謝こそすれど恨みはない

また成長した少年から光輝の事を聞いていた為、光輝のことは皆が言うような札付き者だとは思わなかった

 

そして、高校二年生になったある時

クラス全体を巻き込む異世界転移に巻き込まれ、そこで様々なハプニングに見舞われつつも、乗り切るのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、王宮を攻めてきた神の使徒達から襲われていた鈴を守る為、恵里は立ち向かったが力及ばず敗北し連れ去られ…エヒトの前に連れ出されたのだった

 

エヒト…否、ユエの肉体を乗っ取ったエヒトは恵里を値踏みするかのような目を向けたかと思えば

 

エヒト『ふむ…お前……中々の闇を心に宿しているな……』

 

恵里『!』

 

エヒトの言う闇…それに恵里は心当たりがあった

 

かつて…勇輝に救われ、選ばれたと思っていたあの頃…勇輝の側にいたい、離れたくないという思いで母親を脅していたあの時…恵里の心の中でこれまで一度たりとも感じたことのないなにかを感じていた

 

あのドロッとした…真っ黒で…離したくない、その為なら何でもできると思える心

 

それこそ…恵里が忌み嫌う、かつての母親が持つ執着心にほかならなかった

 

恵里は、その時心に抱いていた負の感情その物を忌み嫌い、母親と同じ道を辿りたくない…なにより…そんな醜い姿を…心を…敬愛するふたりに…親友に見せたくない

 

その一身でこれまで無かったことにしてきた

 

エヒト『ふふ……せっかくだ…イレギュラー達に、土産を贈るとするとしよう』

 

そう言うとエヒトは恵里に手を向けるとなにかを唱えだした

すると恵里の足元から黒い魔法陣が出現し、

 

恵里『ぐぁぉぁぁぁ!!!』

 

恵里の身体に激痛が走り出した

特に背中から尋常じゃない痛みが走り、気を抜けば気絶してしまいそうだった

 

そして魔法陣から黒い瘴気が飛び出して恵里の身体に纏わり付く

 

恵里『あっ…ああああ…』

 

エヒト『ふふふ……やはり我の見た目通り…中々の闇を秘めている……その魔法は、掛けた対象の心の闇を引き出し、その闇が強ければ強いほど、自我と引き換えに力へと変換する……イレギュラー達もさぞ驚くだろう…そして絶望するだろう……仲間だった者が…牙を向くのだから』

 

苦しむ恵里に笑うエヒト

 

変化していく己の身体と意識

 

恵里『(だ…め……いし…き…が……なく…なる…す…ず……)』

 

少しずつ消えていく己の意思……彼女が最後に心の中で呼んだ名は…己の親友…そして

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お兄…ちゃん……お姉ち…ゃん

 

 

己が兄と姉と慕う少年(カズマ)少女(アクア)だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





学校設定
攻略者パーティーと勇者パーティーと幸利と恵里と浩介は皆同じ市内の学校に通っており

光輝や勇輝に幼なじみ達と恵里はA小学校(後に恵里はE小学校に転校)
幸利はB小学校
ハジメと浩介はC小学校だったがお互いに接点がなかった
カズマとアクアはD小学校
恵里はE小学校

中学校はそれぞれ3つに別れていた
A中学校は光輝達
B中学校はカズマとアクアと恵里
C中学校はハジメと浩介と幸利(ただしいじめによりほとんど不登校だった)
また中学時代にカズマは雫と知り合い、一方的に光輝を知り、ハジメと出会い友達となった(ここでハジメは恵里とも友だちになった)

そして全員が同じ高校に入り、ここで幸利と浩介と友だちになった



光輝と勇輝の記憶の有無について

勇輝は恵里のことは終わったことだと認識し記憶の奥へ消えていった(転校した時は流石に驚いたがそれもすぐに忘れ、同じ高校になって会った時も殆ど忘れていたがやがて思い出した)が光輝は恵里のことを覚えていた(人を嫌い、信じられなくなった辺りから人を見る目と人を覚える記憶力が向上した。あのまま勇輝に盲信していればいずれ破滅へと向かうと思っていた為忠告したが人嫌いだった為厳しく言ってしまった。さすがの光輝もあんな言い方したのは悪かったと思っていたが…カズマ達と笑う恵里の姿を見て黙っていることにした。奇しくもこの時の忠告のお陰で原作恵里のようなヤンデレと末路を辿ることはなかった)
また恵里も光輝と会ってもそのことに触れずにいた

少年と少女の言葉

少年と少女…もといカズマとアクアは転生する前の異世界で複数人の子供を持つ父親と母親(これはめぐみんとダクネスも子持ちで母親)だったこともあり、幼い子供に対して人一倍愛情を持っており、それゆえ恵里を守って死んだ父親のことを親の鑑だと思う反面、実の娘に心無い暴力と暴言を吐いた恵里の母親の行いに激怒した

もう75話を超えたのでここからは攻略者パーティーメンバーの人気投票のアンケートを取ります。正直出番の少ない恵里がかなり人気なのが驚きでした。そして光輝と雫の人気具合が想像以上でしたww正直作者の中ではもう光輝がハジメを抜いて主人公なのではとすら思いかけてますwww

  • 誰よりも夢に突き進むリーダー カズマ
  • 友達と優しさを持つ主人公 ハジメ
  • 闇と孤独を抱えた主人公 光輝
  • ハジメを愛し光輝を想う優しき吸血鬼 ユエ
  • ハジメを愛するバグ兎 シア
  • ハジメを愛する突撃娘 香織
  • 光輝をただ一途に愛する剣姫 雫
  • ウィルを愛するドM竜人族 ティオ
  • カズマを支える最強の女神(嫁) アクア
  • カズマを支える最強の杖(嫁) めぐみん
  • カズマを支える最強の盾(嫁) ダクネス
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