神域の最深部
エヒトの居る空間は荒れに荒れ、辺りには激しく繰り広げられていたであろう戦闘の爪痕を示す瓦礫や残骸が散りばめられており
空間で鎮座するエヒトの目の前には
血を流して倒れている3人の姿があった
神域内は瓦礫、もといハジメの生み出した樹木までもが残骸と化し、戦いの激しさを物語っていた
光輝「ッッッッ(チッ、今ので右腕をやったか…なんなんだ今の攻撃は)」
瓦礫に埋もれていたが自力で這い出た光輝だったが、片腕に痛みを感じ抑えながら何が起きたのかを理解しようと頭を働かせた
ハジメ「ユ…エ…」
ユエ「ハ…ジメ…」
その横では同じく這い出たであろうハジメが大きく負傷しているユエを引きずり出していた
ふたりを見るとハジメは口から血を吐き、恐らく先程生み出した樹木の大枝が刺さったのか腹には何かが刺さった跡かのような傷が出来ていた
しかし、ハジメは木人、光輝は須佐能乎を出していた為エヒトルジュエの攻撃をある程度ガードでき、ユエほど大きな負傷はしていなかったが、ユエの方は何かで防ぐ間もなく直撃し、ふたり以上に大きな怪我を負っていた
頭から血が流れ、身体を強く打った痛みで今にも意識を失いかけており、身体を満足に動かせずにいる
ハジメ「なんだ…あの攻撃は」
ユエ「…エヒトが……何かを…呟いた瞬間…全身に強い衝撃…がきて…感じ…て気がつい…たら瓦礫…の中…」
3人がエヒトルジュエに同時攻撃を仕掛け、確実に当てることができると確信した
その瞬間、突如3人をこの神域をも巻き込んだ不可視の衝撃に襲われ、回避する間もなく直撃してしまった
光輝「…ッ…そういうことか…」
と、ここでずっと頭を働かせていた光輝が気が付く
ハジメ「わかったのか、天之河?」
光輝「ああ…実にシンプルなからくりだ」
ユエ「な…に?」
光輝「斥力…それが奴の不可視の攻撃の正体だ」
ハジメ「!」
ユエ「せき…りょく?」
ハジメ「簡単に言えば弾く力。重力魔法は言ってみれば引力、引っ張る力。その反対が斥力。あの瞬間、アイツは俺達全員を弾きやがった」
エヒト「そのとおりだ」
負傷している3人をそれまで黙ってみていたエヒトルジュエがここに来てやっと口を開いた
エヒト「今のは我の持つ輪廻眼と転生眼の持つ瞳力を従来の重力魔法を発動する際、魔力に練り込むことでその威力と効果を拡大させた物だ」
光輝「……それだけじゃない。重力魔法の効果を反転させ斥力を生んだな」
エヒト「それも正解。今のは我の世界の技術、いわゆる『反転魔法』と呼ばれる物だ。魔法効果を反転させることができるが高度な魔力運用技術と発動させる魔法に必要な魔力を倍近く消費させることでのみ発動可能だ。最も、この技術は我が魔法を広め長い年月が経った今においても類稀な才を持つ者の中ですら使える者が限られる」
エヒトルジュエは己が見せた不可視の攻撃の種明かしを得意げに話したが3人は内心気が気ではなかった
ハジメ「(おいおい、ならアイツはユエの肉体を乗っ取っていた時以上の魔法を行使出来んのかよ。あくまで輪廻眼転生眼の力は知ってはいたが瞳力に魔力を組み合わせての威力拡大なんてマジか)」
ユエ「(反転魔法…エヒトから得た知識の中にあったけど、流石にまだ物に出来ていない。例え物に出来たとしてもまだ身体が治りきってない今使えない)」
光輝「(クソ、あの魔法。魔法、物理全てを弾くだけでなくカウンターにもなる。しかも直撃すると全身に来る。あんなものを連発されれば攻撃が届かない。いや、流石に連発は不可能と見るべきか。あの規模の魔法を発動するなら発動までのインターバルがある筈。むしろそうであってくれ)」
エヒト「正直これは使うつもりはなかったのだがなぁ…お前達があまりにも我に歯向かうので、少し本気になってやった。認めよう。お前達はこの我をも殺しかねない力を有している。まさしく神殺しにふさわしき者達よ。だが、我が少し本気を出せば、今のように簡単に崩れてしまう脆き存在よ。それではまだまだ我の命に刃は届かん」
ハジメ「(マジィな…今の攻撃で俺達はかなり負傷した上ここまで消耗した。俺達だけでこの状況を切り抜けるのはかなり厳しい)」
エヒト「さて、次はどうする?お前達のことだ。まだまだやれるであろう?抗ってみせよ」
エヒトルジュエがニヤッと笑いながら魔法陣を大量に展開させる
ユエ「!」
ハジメ「まずい!(今手持ちの魔力じゃあれを防ぎ切るのは難しい!)」
光輝「!(消耗した今の状態では須佐能乎も第二形態が限界。防ぎきれねえ)」
エヒトルジュエが指を3人に向けたその瞬間魔法陣から大量の魔法弾が放たれた
その一つ一つが今の負傷しきった3人の命を容易く奪いかねない威力を誇っており、これが普段ならば避けるか防ぐかで解決しただろう
しかし、魔力も体力も大きく消耗しきり、更には身体も大きく傷ついている今、避けきるだけの気力が残っていない
ハジメ「(クソが!かくなる上は)天之河!」
光輝「(やむを得ないか)南雲!」
ふたりが何かを考えつき、互いに接近する
そんなふたりとユエを魔法弾の雨が降り注ぐのだった
エヒト「ほう…負傷しきった身体でどう防ぐか見物だったが、まさかそのような方法で防ぐか」
魔法弾の雨が止みソレによって生まれた土煙が晴れたエヒトルジュエが3人がどうなったのかを見た
そこには
ハジメ「はぁ…はぁ…はぁ…」
光輝「はぁ…はぁ…」
ハジメ「はぁ…はぁ…(俺の木人は、須佐能乎ほどの強度は無いが生産させるコストは割と安く済む)」
光輝「はぁ…はぁ…(俺の須佐能乎は高い攻撃と強度を持つが形を作り顕現させるだけで魔力をバカ見たく消耗する)」
ユエ「(ハジメが木人を出して
エヒト「やるな…ではもうしばらく楽しませてみよ?」
そう呟くとエヒトルジュエは3人に急接近する
ハジメ「冗談じゃねえぞ。こっちの残りの力知ってて言いやがるな」
ユエ「でもやるしかない」
光輝「ここまで来たら全て出し切ってでも潰してやる!」
3人はそれぞれ残りの魔力を全て出しきるつもりで攻撃しようとする
その少し前
トータスの地上を無限月読の光が照らし尽くす
地上、地中、地下、海、建物
光が届かないはずの影すらも無限月読の光の前では全て照らし尽くされた
光を浴びた全ての生物
戦場にいる人間、亜人、竜人、魔人、魔物、神の使徒全ての瞳は月に浮かんだ輪廻写輪眼の紋様と同じ物が刻まれその動きを止めていた
そして、その無限月読の光が地上に照らされる直前に回避しようとした面々はというと
カズマ「お前らこっちこい。ひとかたまりになるぞ」
無事全員が無限月読の光を回避することが出来ていた
シア「か、かなりギリギリでしたが回避できて助かりました」
めぐみん「本当に一時はどうなるかと思いましたよ」
ティオ「うむ、アクアのとっさの結界が無ければ今頃妾達も外の者達同様幻術に囚われておったな」
幸利「正直助からないかと思った」
浩介「俺もだ。危うく幻術の中に囚われるとこだったな」
恵理「もう駄目かと思ったよ」
ダクネス「それにしても、よくこんな結界をとっさに生み出せたな。流石はアクアだ」
アクア「フフッ、私も即席で作ったものだけど効果があってよかったわ」
現在一同はアクアの作った結界の中(ただし中は真っ暗で光を通してない)にいる
カズマ「てかアクア、お前あんな神様レベルの幻術を放つ無限月読から身を守る結界は作れないとか言ってなかったか?」
アクア「まあたしかにそうよ。ただそれはあくまで無条件の幻術ならの話よ。そもそも無限月読の幻術にかかる条件って覚えてるかしら?」
香織「ええっと、月からの光を浴びたら、だよね?」
アクア「ええ。普段使っている結界は外部からの物理攻撃や魔法攻撃を防ぐための奴だけど無限月読の光はあらゆる障害物をもすり抜けて光を浴びせる効力があるから意味がなくてね。だからこそ私は普段の
アクアの発想を聞き、伝説パーティーメンバーの中でも頭脳担当だっためぐみんとカズマがショックを受けた
カズマ「!ああそうだ!その手があったか!!だからこの結界の中は光がないわけか!」
めぐみん「まさか…アクアに発想と知恵で負けてしまうなんて…ショックです」
カズマ「同じく、まさかパーティー1の知能指数が低いアクアにアイディアで負けるとは…屈辱だ」
アクア「ねえ!?なんでふたりしてそんなショック受けてるのよ!しかもなに凄く失礼なこと言うの!泣くわよ!!」
雫「え、ええっと…その…言い過ぎじゃない……?」
ダクネス「(まあ…前の世界じゃ散々アクアの突拍子な発想とかで何度もピンチを引き起こされたことがあったからな…)と、とにかく。無限月読は発動してしまった。ということは、今ハジメ達はエヒトに追い込まれているということではないか?」
カズマ「あぁ…むこうが今どういう状況かは分からねえが、とにかくこちらも急いで加勢しなきゃいけねえんだが…まいったな…無限月読が発現してしまった以上。その解除方法も模索しなきゃなんねえ……一応神樹が出て来てねえからトータス中の人類はみんな幻術に掛かっている状態ってだけであって命に別状はない…が、解除しなきゃ一生このままだ…少し待ってろ」
カズマは目を瞑ると何かを探るかのような仕草をする
それからほんの少し経つとカズマは目を開く
カズマ「よし、決めた。シアとティオと香織と雫。お前達を今からハジメ達の所に飛ばす。俺達はここでやる事やってからすぐそっちに加勢に行く」
シア「いや待ってください!いきなり過ぎませんか!?それになぜ私達だけ」
カズマ「人選的な理由としては、回復役の香織。サポートの雫。盾役のティオに攻撃役のシアってな具合で決めた。それ以外はここでやる事があるから残る」
雫「でも送るって言ったってどうするの?」
カズマ「なに、そこは『避雷針』を使えばどうにかなる」
雫「え?」
カズマ「光輝に渡したクナイには俺が施した避雷針のマーキングがされてる。俺が一度触れた相手なら避雷針のマーキングがされた場所まで瞬間移動させることが可能だ。本当は無限月読が発動する前に光輝に渡した避雷針入りのクナイを通して俺が全員を瞬間移動させて行くはずだったが今回は送るだけだ」
雫「あのすみません。なんで私が作ったはずの術を私以上に使いこなしていてなおかつ私ですら知らないやり方をマスターしてるのでしょうか?」
香織「雫ちゃん!?」
なんてことないかのように言うカズマにあまりのショックでつい敬語で話してしまう雫に香織が思わずたじろぐ
カズマ「とにかく、4人とも集まれ。飛ばすぞ」
カズマに言われ、4人は集合する
めぐみん「これは餞別です。持っていってください」
めぐみんがそう言うと懐から取り出した神水入りの瓶を渡す
それに続く形でダクネスとアクアも渡した
アクア「それ使って、多分向こうじゃハジメ達はだいぶ消耗しているはずだから」
ダクネス「そして…もしユエを取り戻せたのならユエにも飲ませてやれ」
渡された神水を受け取るシアと香織と雫
カズマ「じゃあ送るぞ4人とも。後で落ち合おう。それともう一つ。生き延びろ、いいな?」
シア「!はい!!」
ティオ「うむ。必ず会おうぞ」
香織「言ってくる!」
雫「ええ、後でね!」
返事した4人を見届けたカズマは
カズマ「『避雷針の術』!」
術を発動させ、4人を神域まで飛ばすのだった
エヒトルジュエが3人に急接近し、互いが衝突するまでほんの数メートルに到達したときだった
エヒトルジュエ、ハジメ達の目の前にこの場にいないはずの面々が突如なんの前触れなく出現した
突然のことでエヒトルジュエもハジメ達も反応しきれずにいた
カズマが避雷針の術を発動するほんの2秒ほど前
シアの『未来視』は発動する
シアの見たその未来の映像には、ボロボロとなったハジメと光輝、そして無事救出されたユエの3人が見知らぬ男性、恐らくエヒトルジュエと衝突する光景が映っていた
なんの前触れなく現れたがためにエヒトルジュエは反応しきれなかった
だからこそ、未来視により誰よりも早く避雷針により飛ばされた先で何をすべきか知っていたシアは神域に入った瞬間他の誰よりも早く
シア「でゃあああああ!!!」
己の手に握る武器を思いっきり振り、エヒトルジュエに攻撃を当てることができた
エヒト「ごっ!?」
突然の乱入、突然の不意討ちに驚きながら吹き飛ばされるエヒトルジュエ
そんなエヒトルジュエの姿に一瞬香織達も反応が遅れた
が
シアの次に反応した雫はすぐに両手に握っていたクナイのうちの一本を地面に、もう一本を吹き飛ばされたエヒトルジュエに向け投擲
それにエヒトルジュエは飛んできた物が何か思考しつつも防ごうとしたが
雫「『避雷針斬り』!」
エヒト「ぐぉ!?」
続く雫の最速の攻撃に不意を突かれまともに肩から胴を斬られた
すぐに反撃しようとエヒトルジュエは片手から魔法弾を放つ
咄嗟だったため思う程威力が出なかったが、すぐに反撃された為雫も回避出来ずにいた
だが、その魔法弾と雫の間に香織が障壁を築いた為ほんの僅かだが雫に当たるまでの時間を稼ぐことが出来、この隙に雫は最初の避雷針を発動前に足元に刺していた避雷針入りクナイの所に瞬間移動し回避した
そして、障壁を突破した魔法弾をティオの持つ黒隷鞭が魔法弾を貫通し破壊しただけに飽き足らず、魔法弾のお陰でエヒトルジュエの斜線の先が遮られていた為、反応し切る直前にエヒトルジュエの肩を貫きながら身体に巻き付き
ティオ「はああああああ!!」
思いっきり振り回しそのまま地面に叩きつけた
それを見届けたシアは後ろにいるハジメ達の方を向くと
シア「どうやら、間に合ったみたいですね。ハジメさん、光輝さん、ユエさん。遅くなってすみません!助けに来ましたよ!!」
満面の笑みを浮かべながらそういうのだった
まさかの乱入者達のコンボ炸裂
ちなみに反転魔法の元ネタは皆さんご存知某呪いバトルの『反転術式』から来ています。
もう75話を超えたのでここからは攻略者パーティーメンバーの人気投票のアンケートを取ります。正直出番の少ない恵里がかなり人気なのが驚きでした。そして光輝と雫の人気具合が想像以上でしたww正直作者の中ではもう光輝がハジメを抜いて主人公なのではとすら思いかけてますwww
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誰よりも夢に突き進むリーダー カズマ
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友達と優しさを持つ主人公 ハジメ
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闇と孤独を抱えた主人公 光輝
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ハジメを愛し光輝を想う優しき吸血鬼 ユエ
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ハジメを愛するバグ兎 シア
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ハジメを愛する突撃娘 香織
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光輝をただ一途に愛する剣姫 雫
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ウィルを愛するドM竜人族 ティオ
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カズマを支える最強の女神(嫁) アクア
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カズマを支える最強の杖(嫁) めぐみん
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カズマを支える最強の盾(嫁) ダクネス