IS-irregular- 作:背筋悪太郎
かなりの期間お待たせして申し訳ありません・・・!
「転校生!? この時期に!?」
水鏡の素っ頓狂な声が、職員室に響いた。
「中間の問題も作らなきゃならんのに、なんでまたよりにもよって・・・!」
「仕方ないだろう。我々だって寝耳に水。まあ、うち一人が知り合いなのが救いではあるが・・・」
千冬の知り合い。それは、ラウラ・ボーデウィッヒである。
プロローグを読んでいただいた方にはお分かりだろうが、本作のラウラは、少年漫画にどハマりしている。しかし、諸事情からドイツで教官を務めることになった千冬の手によって、ラウラだけでなく、黒兎隊の練度は驚くほどに上昇した。その事実から、ラウラは千冬を、「激伝のメフィラス大魔王」、「ドラゴンボールのピッコロ」、「ジョジョのツェペリさん」のような師匠として尊敬している。しかし、立場上師匠と呼ぶことは憚られたため、本作でも原作と同じく「教官」と呼んでいる。
「ふーむ、こりゃまた個性的な・・・。で、うちのクラスで?」
「受け持つ。だが、気掛かりなのがもう片方」
そう言って、千冬は写真を差し出した。書類に貼り付ける、証明写真である。
「どれどれ・・・? ・・・ふーむむ」
「どう見える?」
「どう、と言われても。ああ女子かとしか」
「そうだろう? だが、書類上は男だ」
「ハァ!?」
水鏡は、驚愕した。全身写真も書類に同封されているのだが、肩幅など、どうみても女子にしか見えない。
「一体全体どういうことだってばよ・・・」
「なんにせよ、注意しておいて損はないだろう。私たちは、できる限り監視する」
「奴が手を出して来なけりゃいいんだが・・・」
「あいつか。それはもう、その通りだ。手を出されたら、事態はねじれ、狂うだろうからな」
そのような会話を交わしつつ、二人は真耶を伴って教室へ向かった。
***
「えー、本日は、転校生が二人来る。入れ」
千冬が号令をかけると、二人の生徒が入ってきた。片方は銀髪の、一見すると幼女。もう片方は、男子? である。
「では、自己紹介をしろ。まずは、デュノアからだ」
教室に、ざわめきが起こる。まず、見かけは男であること。そして、デュノア。これは、フランスのIS関連企業の一つ、デュノア社を連想したからだ。ラファールなど、第2世代ISのシェアはトップクラスを誇る。その上、従来のISとは全く異なる、地底を目指したISも開発中との噂である。
「皆さん、初めまして。ボクの名は、シャルル・デュノア・・・というのは、あくまで趣味。本当は、シャルロット・デュノアです。趣味は男装で、こうしている時はシャルルって呼んでほしいな」
「・・・うそーん」
水鏡の呟きはもっともだ。何かやんごとない事情でもあるのかと思ったら、まさかの趣味。そう、本作では、デュノア社絡みのいざこざは全カットである。
「なかなかに個性的だな・・・。さて、次はボーデウィッヒだ」
「了解です、教官。私の名は、ラウラ・ボーデウィッヒ。日本の漫画やアニメが好きだ。現時点の目標は、教官を超えることだ!」
「教官というのは、私のことだ。かつてドイツ軍で教官をやっていたことがあってな。ボーデウィッヒは、教え子だ」
千冬が、補足を入れた。
現在、拡大版SHR(いつもより早くHRを開始する)中である。早速、質問タイムが始まった。
「どうして男装しようと思ったの?」
「前に、日本のミュージカルを見たんだ。どの劇団かは忘れてしまったけど、、その演技がかっこいいって思って、ボクもああなりたいな、と思ったんだ」
「男装してる時は、デュノア君でいいの?」
「好きに呼んでくれて構わないよ」
「初めて呼んだのは何?」
「副官のクラリッサという奴がいてな、そいつが渡してきたジョジョの奇妙な冒険だ。一番気にっているのは、ドイツ軍人が活躍する第2部だ。まあ、ナチスなのは少し思うところがあるがな・・・」
「日本語で読んどるんか? それともドイツ語?」
「日本語だ。慣れないうちは、辞書を片手に読んでいたな」
「最近は何を読んだ?」
「巨人の星だ。大リーグボール養成ギプスは、少し改造すれば軍でも採用、実用できるだろう」
「特撮は見ないのか?」
「あー、特撮には疎い。私が見たのは、偶然DVDを入手できた流星人間ゾーンくらいだ」
「めちゃくちゃマニアックじゃねえか。ゴジラも出てくるんだよな」
「まさか怪獣王が登場するとは、夢にも思わなかった。何か、おすすめはないだろうか」
「そうだな、やっぱり『ガメラⅢ 邪神覚醒』かね。かなり面白いから、見るといい」
「わかりました」
「DVD買う金はあるのかね?」
「ええ。軍属なので、給料はかなりいい。部屋もそこそこ広いから、趣味も怒られん」
「羨ましい!」
・・・一応言っておくと、シャルとラウラ、二人には平等に質問が来ていた。だが、シャルは生徒からの質問が多かったのに対し、ラウラはほぼ水鏡との1対1となっていた。それだけ、馬が合うということだろう。
そうしている間に、チャイムが鳴った。
「よし、それでは、これ以降の質問は個人的に行うように。水鏡、お前もだ」
「え、もうこんな時間!? まあ、同好の士ができただけよしとするか」
「じゃあ、改めてよろしくね」
「私も、よろしくたの・・・!」
ラウラの視線が、ある一点で固定された。
「教・・・官・・・? いや、ドッペルゲンガー・・・?」
そう、妖夏である。織斑千冬と瓜二つな姿のため、戸惑いを覚えたのだ。
「ああ、西行寺については、いわゆる他人の空似だ。世の中には、同じ顔の人間が三人いるという。そうだろう、西行寺?」
「はい、そうですね。織斑先生は確かに憧れですけど・・・」
「しかし、目元など、水鏡先生も似ているような気が・・・」
「時間が押している。授業の用意をしろ」
千冬の一言により、ラウラは疑問を解消する機会を失った。
そして、妖夏は、その疑問を受けて、自らの「本質を見抜く程度の能力」を水鏡に使用した。
「・・・! 根本は、同じ・・・? お兄さん・・・」
本質を見抜いた結果だが、その呟きは、誰にも聞こえなかった
***
さて、本日の授業一発目は、実習である。一、二組合同授業だ。
「よし、それでは、オルコットと凰。前に出ろ」
そして、専用機「ブルー・ティアーズ」と「
「模擬戦をせよ、と? 相手は、凰さんですの?」
「違う。そろそろ来るはずだが・・・」
その瞬間である。
「ぅゎぁぁぁぁぁあああああああああああああ!!! 誰か、止めてくださいぃぃ!!!」
緑のラファールを纏った真耶が、上空より落下してきた。
「生徒に向けて落ちてきてんじゃねえか危ねぇなコノヤロー!」
「ぐえっ」
水鏡は、迷わず真耶を蹴り飛ばした。真耶は、グランドの端にまで滑った。だが、絶対防御のおかげで無傷である。しかし、蹴られた衝撃が強かったのか、気絶。ラファールも解除されてしまった。
「ぬぅわにをしてくれたんだ水鏡ォォォオオオ!!!」
「に、日本の男は漫画そのもの・・・」
「いや、こいつが規格外なだけだぞボーデウィッヒ。生身であんなことができるのは、こいつを除けばそれこそ私くらいしかおるまい」
「最強アピール?」
「・・・まあ、今はできなくなっているかもしれん」
それはともかく。本来、この模擬戦の相手は真耶だったのだ。それを、水鏡が気絶させてしまった。さてどうするか。答えは簡単である。
「よし行くぞ! どこからでもかかってこい」
「お待ちくださいな!」
「待ちなさいよ!」
即座に、二人の制止が入った。
「何だよ。せっかく、腕試しのチャンスだと思ったのに」
「だったら、ISをまずは纏ってくださいまし! 生身で挑むとか、正気ですの!?」
「だって専用機ないし」
「訓練機があるでしょ!?」
「申請してない。こんなことになるとか思わんじゃろ普通。じゃけん生身で行く」
『いや、その理屈はおかしい』
クラス全員の心が一つになった瞬間である。
「ま、まあ、生身の人間には非殺傷モードが適用されるからな。まあ、生身だし多少は手加g「全力で来い!」自殺志願か貴様!」
「ワシは死なんわい。少なくとも、それは今じゃない」
千冬は、思いっきり頭を抱えた。それはそうだろう。何を言っても、もはや意見が変わることは望めない。
「──────────はあ、仕方ない。もし怪我をしたとして、それはお前が悪いんだからな?」
「わかっとる」
そして、戦いが始まった。
「どうした、この程度か! 非殺傷モードとはいえ、ワシにかすり傷ひとつ負わせられんとは!」
「あ、貴方が・・・」
「規格外すぎるだけよ・・・!」
どうしてこうなったのか。二十分に及ぶ激闘をお送りしよう。
「セシリア、あんたは後ろから!」
「了解ですわ!」
当然の分担である。セシリアはビット、鈴は肉弾。その判断は間違っていないのだが。
「ほう、役割分担は基本よの。しかし!」
「何ですって!」
「アタシをを踏み台にしたァ!?」
鈴の頭を踏んで突破するとは、考えてもいなかっただろう。
「しかし! スターライトMk-Ⅱ!」
「近接が苦手という弱点を一応は克服できているか。だが、それじゃあワシは倒せぬ!」
振り下ろされたブレードであるスターライトMk-Ⅱを白刃取し、さらに腕を蹴って引っこ抜く。
「嘘ですわよね!?」
「ところがどっこい、嘘じゃない! そぉら!」
その上、迷うことなくそれを投げ飛ばした。真耶の落下地点付近に、垂直に刺さった。
「あーもう、アンタホントに人間なの!? アタシはもうそう思わないことにするけど!」
鈴は、生身の人間の血で手を汚すことを覚悟した。
水鏡も、雰囲気の変化を感じ、警戒を強める。
セシリアは、ブレードを拾いに向かった。
「よし、それならばお前から片付けよう!」
「そう簡単に倒せると思わないことね!」
直後、鈴は龍砲を放つ。だが、ネタはすでに割れていた。
「効かぬ!」
空気の塊を、拳で霧散させたのだ。
しかし、それはあくまでカモフラージュ。本命は、別だ。
「何ィ」
「直伝! 降華蹴!」
以前見せた天龍脚とは、また違う蹴りだ。水鏡はそれを、左腕で受け止めた。ミシッと音が鳴った。流石にダメージを受ける。微細な骨折で、時間経過によって治るタイプであるため、心配は無用である。
気にせずに、反撃行動に移行する。
「フライハイ!」
そう叫んで、空に飛び上がる。
「何をするつもり・・・?」
200mの高さまで上昇した水鏡は、体を大の字に広げ、勢いよく下降する。その目標は、鈴だ。
「え、ちょ、ま、え!? でも、ISなら潰れないはず・・・」
戸惑いを隠すことはできない。
そして、水鏡はこう叫んだ。
「聖帝十字陵ォ!」
「それは建物の名前でしょうがァァ!」
鈴は、その肉体をグラウンドに垂直に打ち込まれ、戦闘不能となった。
「お行きなさい、ブルー・ティアーズ!」
しかし、その隙をついて、セシリアがビットよりレーザーを発射する。
「もう貴方は生身だと思わないことに致します! そうでなければ、私が殺されてしまいそうですから!」
「その判断やよし! だが、そんな豆鉄砲・・・」
水鏡は、上裸になった。その鍛えられた大胸筋と腹筋が顕になる。そして、胸を逸らした。大胸筋で、レーザーを受けるつもりだ。
「ワシに効くと思うてか!」
「どーなってますの!?」
非殺傷設定とはいえ、当たると火傷は免れぬレーザー。それを水鏡は、大胸筋で弾き返した。
「WAHT!?」
「シュワッハッハッハ! ビームなんぞ、筋肉で十分じゃい!」
『できるか!』
一同からのツッコミが飛んできたのは、言うまでもないだろう。
そして、水鏡は、エネルギーを胸の前に上下に組んだ手の中に溜める。
「・・・? 何をするつもりですの?」
その塊を、片手で構えた。ドッジボールで、相手にボールを投げ飛ばすかのように。
「ボールを相手のゴールに・・・シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥウウウウウウ!」
実際に、セシリアに一直線になげた。だが、そこは空を飛べるIS、簡単に避ける。
「何がしたかったんですの? そのようなもの、当たりはしませんわ」
「それはどうかな?」
水鏡は、人差し指と中指を立て、手首をクイクイと動かした。すると。
「グボは!?」
セシリアが大地に落ちた。
そう、先ほどのエネルギーの塊を、水鏡は指で操作したのだ。
「超! エキサイティン!」
「訳がわかりませんわ・・・。わいじゃぱにーずぴーぽー・・・」
そう呟いて、セシリアは戦意を喪失した。
そして、現在に至る。
「う、うむ。いいかお前たち、学園の教師というのは、私やこいつが規格外に強いだけで、基本的にお前たちより強い。今後は、敬意をもって接するように」
千冬がそう模擬戦を〆た。
そしてここからは、実習タイムである。
学園に配備されているISは、ラファールと打鉄。共に量産機で、それぞれフランス産と日本産だ。約500機しかないうちのなんと3%を占めている。この学年に、専用気持ちは5人(実際は6人だが、その人物は現在謹慎中である)。現在ここには専用気持を除いて74名。そのため、15人×4班、14人が1班、それぞれ専用気持ちで受け持つことになる。
実習といっても、何も某ドッグファイトの金字塔たるサーカスをやれというわけではない。ISを動かす感覚を身につけるためのものだ。
そして、意外なことに、水鏡はこれまでISに搭乗したことは、ほとんどない。そう、適性検査以来なのである。彼は、ラウラの班に振り分けられた。
「ここだけの話な、ワシは別にISにゃ乗れんでもええんよ」
「まあ、さっきのを見れば・・・」
「じゃが、生身じゃ成層圏を越えれんし、宇宙でも活動できん。じゃけえ、乗れるようにしようかと思うんよ」
「なるほど。ですが、なぜ、このタイミングまで乗らなかったんです?」
「色々忙しかったんよ」
「そうでしたか。それにしても、筋がいいですね」
「そうか?」
そう、彼は今、ラウラと並走している。ISを纏った状態でだ。
幼いころ、水鏡は竹馬で遊ぶ機会があった。その経験が、一部活きているのだ。尤も、感覚としては、高下駄を履いているのに近いのかもしれない。
そんな水鏡のISスーツは、ない。だからと言って、全裸ではない。男性用競泳水着とラッシュガードの袖を改造したものを纏っている。
「しかし、重いな・・・」
所定の位置で、ISから降りる。もちろん、膝をついた体勢でだ。
「何がです?」
「何ってそりゃあ、ISよ。PICというのがあるとはいえ、見かけが重い」
「初心者にありがちな心理、ですね」
ラウラも、初めてISに乗った時のことを思い返す。自らの肉体から延長された腕と足。そして、拘束具のように思わせる心理。
「私は、『これは
「あー、確かに。ドラゴンとか腕めっちゃ伸びるもんな。それに、腕が欠けた時でも動かねばならん」
「そうです。ISというのは、最終的にはイメージですから」
「イメージか・・・。わかった、参考にしてみよう」
「ありがとうございます」
ラウラは、周囲を見渡した。後続がいるかどうかを確認するためだ。
「ワシで最後みたいじゃの」
「ですね。他の班も終了しているようです」
「じゃあ、ワシが片付けてくる。多分織斑先生から指示があると思うけん、それまで待機しときんさい」
「わかりました」
水鏡は、ISを米俵のように担いで、格納庫へ向かっていった。
いかがでしたか?
正直に言いますと、彼ら彼女らのキャラはこれであっているのか心配です。
水鏡が山田先生を蹴り飛ばしたのは、予定通りです。
セシ鈴とドンパチやらかしたのも、予定通りです。
ちなみに私、日本史の授業で多分源平あたりで、「ドンパチやらかした」って発言したんです。すぐに先生に、「授業でそんな言葉使わない」みたいな感じで注意を受けました(笑)。
シャルを男装趣味にしたのは、シャルルとして登場させるための苦肉の策です。宝塚か何かの男役を見て憧れたということにはしています。
ラウラがオタクなのは、プロローグの通りです。
水鏡も、オタクです。ただし、時代がかなり偏っています。
少しブツ切りになっていると思われるかもしれませんが、この後にタッグマッチがあることを考えると、こうするほかありませんでした。未熟!
・・・うーむ、後書きの書き方がわからなくなってしまっている。何か面白い後書きが書ければいいのですが。
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第4話「クラス対抗戦+異常発生」は、どうでしたか?
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