IS-irregular-   作:背筋悪太郎

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お待たせしました、第6話です。
かなりの期間お待たせして申し訳ありません・・・!


第6話 銀と金の転校生(ギャンブル漫画の主人公ではありません)

「転校生!? この時期に!?」

 水鏡の素っ頓狂な声が、職員室に響いた。

「中間の問題も作らなきゃならんのに、なんでまたよりにもよって・・・!」

「仕方ないだろう。我々だって寝耳に水。まあ、うち一人が知り合いなのが救いではあるが・・・」

 千冬の知り合い。それは、ラウラ・ボーデウィッヒである。

 プロローグを読んでいただいた方にはお分かりだろうが、本作のラウラは、少年漫画にどハマりしている。しかし、諸事情からドイツで教官を務めることになった千冬の手によって、ラウラだけでなく、黒兎隊の練度は驚くほどに上昇した。その事実から、ラウラは千冬を、「激伝のメフィラス大魔王」、「ドラゴンボールのピッコロ」、「ジョジョのツェペリさん」のような師匠として尊敬している。しかし、立場上師匠と呼ぶことは憚られたため、本作でも原作と同じく「教官」と呼んでいる。

「ふーむ、こりゃまた個性的な・・・。で、うちのクラスで?」

「受け持つ。だが、気掛かりなのがもう片方」

 そう言って、千冬は写真を差し出した。書類に貼り付ける、証明写真である。

「どれどれ・・・? ・・・ふーむむ」

「どう見える?」

「どう、と言われても。ああ女子かとしか」

「そうだろう? だが、書類上は男だ」

「ハァ!?」

 水鏡は、驚愕した。全身写真も書類に同封されているのだが、肩幅など、どうみても女子にしか見えない。

「一体全体どういうことだってばよ・・・」

「なんにせよ、注意しておいて損はないだろう。私たちは、できる限り監視する」

「奴が手を出して来なけりゃいいんだが・・・」

「あいつか。それはもう、その通りだ。手を出されたら、事態はねじれ、狂うだろうからな」

 そのような会話を交わしつつ、二人は真耶を伴って教室へ向かった。

 

***

 

「えー、本日は、転校生が二人来る。入れ」

 千冬が号令をかけると、二人の生徒が入ってきた。片方は銀髪の、一見すると幼女。もう片方は、男子? である。

「では、自己紹介をしろ。まずは、デュノアからだ」

 教室に、ざわめきが起こる。まず、見かけは男であること。そして、デュノア。これは、フランスのIS関連企業の一つ、デュノア社を連想したからだ。ラファールなど、第2世代ISのシェアはトップクラスを誇る。その上、従来のISとは全く異なる、地底を目指したISも開発中との噂である。

「皆さん、初めまして。ボクの名は、シャルル・デュノア・・・というのは、あくまで趣味。本当は、シャルロット・デュノアです。趣味は男装で、こうしている時はシャルルって呼んでほしいな」

「・・・うそーん」

 水鏡の呟きはもっともだ。何かやんごとない事情でもあるのかと思ったら、まさかの趣味。そう、本作では、デュノア社絡みのいざこざは全カットである。

「なかなかに個性的だな・・・。さて、次はボーデウィッヒだ」

「了解です、教官。私の名は、ラウラ・ボーデウィッヒ。日本の漫画やアニメが好きだ。現時点の目標は、教官を超えることだ!」

「教官というのは、私のことだ。かつてドイツ軍で教官をやっていたことがあってな。ボーデウィッヒは、教え子だ」

 千冬が、補足を入れた。

 現在、拡大版SHR(いつもより早くHRを開始する)中である。早速、質問タイムが始まった。

「どうして男装しようと思ったの?」

「前に、日本のミュージカルを見たんだ。どの劇団かは忘れてしまったけど、、その演技がかっこいいって思って、ボクもああなりたいな、と思ったんだ」

「男装してる時は、デュノア君でいいの?」

「好きに呼んでくれて構わないよ」

「初めて呼んだのは何?」

「副官のクラリッサという奴がいてな、そいつが渡してきたジョジョの奇妙な冒険だ。一番気にっているのは、ドイツ軍人が活躍する第2部だ。まあ、ナチスなのは少し思うところがあるがな・・・」

「日本語で読んどるんか? それともドイツ語?」

「日本語だ。慣れないうちは、辞書を片手に読んでいたな」

「最近は何を読んだ?」

「巨人の星だ。大リーグボール養成ギプスは、少し改造すれば軍でも採用、実用できるだろう」

「特撮は見ないのか?」

「あー、特撮には疎い。私が見たのは、偶然DVDを入手できた流星人間ゾーンくらいだ」

「めちゃくちゃマニアックじゃねえか。ゴジラも出てくるんだよな」

「まさか怪獣王が登場するとは、夢にも思わなかった。何か、おすすめはないだろうか」

「そうだな、やっぱり『ガメラⅢ 邪神覚醒』かね。かなり面白いから、見るといい」

「わかりました」

「DVD買う金はあるのかね?」

「ええ。軍属なので、給料はかなりいい。部屋もそこそこ広いから、趣味も怒られん」

「羨ましい!」

 ・・・一応言っておくと、シャルとラウラ、二人には平等に質問が来ていた。だが、シャルは生徒からの質問が多かったのに対し、ラウラはほぼ水鏡との1対1となっていた。それだけ、馬が合うということだろう。

 そうしている間に、チャイムが鳴った。

「よし、それでは、これ以降の質問は個人的に行うように。水鏡、お前もだ」

「え、もうこんな時間!? まあ、同好の士ができただけよしとするか」

「じゃあ、改めてよろしくね」

「私も、よろしくたの・・・!」

 ラウラの視線が、ある一点で固定された。

「教・・・官・・・? いや、ドッペルゲンガー・・・?」

 そう、妖夏である。織斑千冬と瓜二つな姿のため、戸惑いを覚えたのだ。

「ああ、西行寺については、いわゆる他人の空似だ。世の中には、同じ顔の人間が三人いるという。そうだろう、西行寺?」

「はい、そうですね。織斑先生は確かに憧れですけど・・・」

「しかし、目元など、水鏡先生も似ているような気が・・・」

「時間が押している。授業の用意をしろ」

 千冬の一言により、ラウラは疑問を解消する機会を失った。

 そして、妖夏は、その疑問を受けて、自らの「本質を見抜く程度の能力」を水鏡に使用した。

「・・・! 根本は、同じ・・・? お兄さん・・・」

 本質を見抜いた結果だが、その呟きは、誰にも聞こえなかった

 

***

 

 さて、本日の授業一発目は、実習である。一、二組合同授業だ。

「よし、それでは、オルコットと凰。前に出ろ」

 そして、専用機「ブルー・ティアーズ」と「甲龍(シェンロン)」をそれぞれ展開させた。

「模擬戦をせよ、と? 相手は、凰さんですの?」

「違う。そろそろ来るはずだが・・・」

 その瞬間である。

「ぅゎぁぁぁぁぁあああああああああああああ!!! 誰か、止めてくださいぃぃ!!!」

 緑のラファールを纏った真耶が、上空より落下してきた。

「生徒に向けて落ちてきてんじゃねえか危ねぇなコノヤロー!」

「ぐえっ」

 水鏡は、迷わず真耶を蹴り飛ばした。真耶は、グランドの端にまで滑った。だが、絶対防御のおかげで無傷である。しかし、蹴られた衝撃が強かったのか、気絶。ラファールも解除されてしまった。

「ぬぅわにをしてくれたんだ水鏡ォォォオオオ!!!」

「に、日本の男は漫画そのもの・・・」

「いや、こいつが規格外なだけだぞボーデウィッヒ。生身であんなことができるのは、こいつを除けばそれこそ私くらいしかおるまい」

「最強アピール?」

「・・・まあ、今はできなくなっているかもしれん」

 それはともかく。本来、この模擬戦の相手は真耶だったのだ。それを、水鏡が気絶させてしまった。さてどうするか。答えは簡単である。

「よし行くぞ! どこからでもかかってこい」

「お待ちくださいな!」

「待ちなさいよ!」

 即座に、二人の制止が入った。

「何だよ。せっかく、腕試しのチャンスだと思ったのに」

「だったら、ISをまずは纏ってくださいまし! 生身で挑むとか、正気ですの!?」

「だって専用機ないし」

「訓練機があるでしょ!?」

「申請してない。こんなことになるとか思わんじゃろ普通。じゃけん生身で行く」

『いや、その理屈はおかしい』

 クラス全員の心が一つになった瞬間である。

「ま、まあ、生身の人間には非殺傷モードが適用されるからな。まあ、生身だし多少は手加g「全力で来い!」自殺志願か貴様!」

「ワシは死なんわい。少なくとも、それは今じゃない」

 千冬は、思いっきり頭を抱えた。それはそうだろう。何を言っても、もはや意見が変わることは望めない。

「──────────はあ、仕方ない。もし怪我をしたとして、それはお前が悪いんだからな?」

「わかっとる」

 そして、戦いが始まった。

 

「どうした、この程度か! 非殺傷モードとはいえ、ワシにかすり傷ひとつ負わせられんとは!」

「あ、貴方が・・・」

「規格外すぎるだけよ・・・!」

 どうしてこうなったのか。二十分に及ぶ激闘をお送りしよう。

「セシリア、あんたは後ろから!」

「了解ですわ!」

 当然の分担である。セシリアはビット、鈴は肉弾。その判断は間違っていないのだが。

「ほう、役割分担は基本よの。しかし!」

「何ですって!」

「アタシをを踏み台にしたァ!?」

 鈴の頭を踏んで突破するとは、考えてもいなかっただろう。

「しかし! スターライトMk-Ⅱ!」

「近接が苦手という弱点を一応は克服できているか。だが、それじゃあワシは倒せぬ!」

 振り下ろされたブレードであるスターライトMk-Ⅱを白刃取し、さらに腕を蹴って引っこ抜く。

「嘘ですわよね!?」

「ところがどっこい、嘘じゃない! そぉら!」

 その上、迷うことなくそれを投げ飛ばした。真耶の落下地点付近に、垂直に刺さった。

「あーもう、アンタホントに人間なの!? アタシはもうそう思わないことにするけど!」

 鈴は、生身の人間の血で手を汚すことを覚悟した。

 水鏡も、雰囲気の変化を感じ、警戒を強める。

 セシリアは、ブレードを拾いに向かった。

「よし、それならばお前から片付けよう!」

「そう簡単に倒せると思わないことね!」

 直後、鈴は龍砲を放つ。だが、ネタはすでに割れていた。

「効かぬ!」

 空気の塊を、拳で霧散させたのだ。

 しかし、それはあくまでカモフラージュ。本命は、別だ。

「何ィ」

「直伝! 降華蹴!」

 以前見せた天龍脚とは、また違う蹴りだ。水鏡はそれを、左腕で受け止めた。ミシッと音が鳴った。流石にダメージを受ける。微細な骨折で、時間経過によって治るタイプであるため、心配は無用である。

 気にせずに、反撃行動に移行する。

「フライハイ!」

 そう叫んで、空に飛び上がる。

「何をするつもり・・・?」

 200mの高さまで上昇した水鏡は、体を大の字に広げ、勢いよく下降する。その目標は、鈴だ。

「え、ちょ、ま、え!? でも、ISなら潰れないはず・・・」

 戸惑いを隠すことはできない。

 そして、水鏡はこう叫んだ。

「聖帝十字陵ォ!」

「それは建物の名前でしょうがァァ!」

 鈴は、その肉体をグラウンドに垂直に打ち込まれ、戦闘不能となった。

「お行きなさい、ブルー・ティアーズ!」

 しかし、その隙をついて、セシリアがビットよりレーザーを発射する。

「もう貴方は生身だと思わないことに致します! そうでなければ、私が殺されてしまいそうですから!」

「その判断やよし! だが、そんな豆鉄砲・・・」

 水鏡は、上裸になった。その鍛えられた大胸筋と腹筋が顕になる。そして、胸を逸らした。大胸筋で、レーザーを受けるつもりだ。

「ワシに効くと思うてか!」

「どーなってますの!?」

 非殺傷設定とはいえ、当たると火傷は免れぬレーザー。それを水鏡は、大胸筋で弾き返した。

「WAHT!?」

「シュワッハッハッハ! ビームなんぞ、筋肉で十分じゃい!」

『できるか!』

 一同からのツッコミが飛んできたのは、言うまでもないだろう。

 そして、水鏡は、エネルギーを胸の前に上下に組んだ手の中に溜める。

「・・・? 何をするつもりですの?」

 その塊を、片手で構えた。ドッジボールで、相手にボールを投げ飛ばすかのように。

「ボールを相手のゴールに・・・シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥウウウウウウ!」

 実際に、セシリアに一直線になげた。だが、そこは空を飛べるIS、簡単に避ける。

「何がしたかったんですの? そのようなもの、当たりはしませんわ」

「それはどうかな?」

 水鏡は、人差し指と中指を立て、手首をクイクイと動かした。すると。

「グボは!?」

 セシリアが大地に落ちた。

 そう、先ほどのエネルギーの塊を、水鏡は指で操作したのだ。

「超! エキサイティン!」

「訳がわかりませんわ・・・。わいじゃぱにーずぴーぽー・・・」

 そう呟いて、セシリアは戦意を喪失した。

 そして、現在に至る。

「う、うむ。いいかお前たち、学園の教師というのは、私やこいつが規格外に強いだけで、基本的にお前たちより強い。今後は、敬意をもって接するように」

 千冬がそう模擬戦を〆た。

 そしてここからは、実習タイムである。

 学園に配備されているISは、ラファールと打鉄。共に量産機で、それぞれフランス産と日本産だ。約500機しかないうちのなんと3%を占めている。この学年に、専用気持ちは5人(実際は6人だが、その人物は現在謹慎中である)。現在ここには専用気持を除いて74名。そのため、15人×4班、14人が1班、それぞれ専用気持ちで受け持つことになる。

 実習といっても、何も某ドッグファイトの金字塔たるサーカスをやれというわけではない。ISを動かす感覚を身につけるためのものだ。

 そして、意外なことに、水鏡はこれまでISに搭乗したことは、ほとんどない。そう、適性検査以来なのである。彼は、ラウラの班に振り分けられた。

「ここだけの話な、ワシは別にISにゃ乗れんでもええんよ」

「まあ、さっきのを見れば・・・」

「じゃが、生身じゃ成層圏を越えれんし、宇宙でも活動できん。じゃけえ、乗れるようにしようかと思うんよ」

「なるほど。ですが、なぜ、このタイミングまで乗らなかったんです?」

「色々忙しかったんよ」

「そうでしたか。それにしても、筋がいいですね」

「そうか?」

 そう、彼は今、ラウラと並走している。ISを纏った状態でだ。

 幼いころ、水鏡は竹馬で遊ぶ機会があった。その経験が、一部活きているのだ。尤も、感覚としては、高下駄を履いているのに近いのかもしれない。

 そんな水鏡のISスーツは、ない。だからと言って、全裸ではない。男性用競泳水着とラッシュガードの袖を改造したものを纏っている。

「しかし、重いな・・・」

 所定の位置で、ISから降りる。もちろん、膝をついた体勢でだ。

「何がです?」

「何ってそりゃあ、ISよ。PICというのがあるとはいえ、見かけが重い」

「初心者にありがちな心理、ですね」

 ラウラも、初めてISに乗った時のことを思い返す。自らの肉体から延長された腕と足。そして、拘束具のように思わせる心理。

「私は、『これはMF(モビルファイター)だ』と思うことで克服しました」

「あー、確かに。ドラゴンとか腕めっちゃ伸びるもんな。それに、腕が欠けた時でも動かねばならん」

「そうです。ISというのは、最終的にはイメージですから」

「イメージか・・・。わかった、参考にしてみよう」

「ありがとうございます」

 ラウラは、周囲を見渡した。後続がいるかどうかを確認するためだ。

「ワシで最後みたいじゃの」

「ですね。他の班も終了しているようです」

「じゃあ、ワシが片付けてくる。多分織斑先生から指示があると思うけん、それまで待機しときんさい」

「わかりました」

 水鏡は、ISを米俵のように担いで、格納庫へ向かっていった。




いかがでしたか?
正直に言いますと、彼ら彼女らのキャラはこれであっているのか心配です。
水鏡が山田先生を蹴り飛ばしたのは、予定通りです。
セシ鈴とドンパチやらかしたのも、予定通りです。
ちなみに私、日本史の授業で多分源平あたりで、「ドンパチやらかした」って発言したんです。すぐに先生に、「授業でそんな言葉使わない」みたいな感じで注意を受けました(笑)。
シャルを男装趣味にしたのは、シャルルとして登場させるための苦肉の策です。宝塚か何かの男役を見て憧れたということにはしています。
ラウラがオタクなのは、プロローグの通りです。
水鏡も、オタクです。ただし、時代がかなり偏っています。
少しブツ切りになっていると思われるかもしれませんが、この後にタッグマッチがあることを考えると、こうするほかありませんでした。未熟!

・・・うーむ、後書きの書き方がわからなくなってしまっている。何か面白い後書きが書ければいいのですが。
感想・評価をよろしくお願いします。

第4話「クラス対抗戦+異常発生」は、どうでしたか?

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