元褪せ人のスローライフ(願望) 作:Crimson Wizard
毎日の11時間労働が祟ったか。
ちなみに作中で登場する武器達は当然最終強化済みです。……DLCのトレーラーみて帰って来やした。
あれからも、私が休みの日などには定期的にフィンに祈祷を教え、リヴェリアには魔術の指導をしていた。
「……貴公らは、本当に末恐ろしいな。」
リヴェリアに関しては最初から分かっていた事だが、本当に才能に溢れている。既に実践的な輝石魔術は殆ど網羅したのではなかろうか。
まだ私が教えれるものがあるとすれば、切り札になりうる魔術だけか。そうだな……後はほうき星と、彗星アズールくらいか。
リヴェリアが突出しているが、フィンの才能も大概のものだ。信仰心という曖昧なモノを理解し使いこなせている。
既に黄金樹に誓ってや雷の槍といった実践的な祈祷はモノにしている。今回で黄金樹系の祈祷の、実践的なものは全て覚えてしまった。
だが、古龍の祈祷などは相性が悪いのか発動そのものが出来ない様だった。竜雷の加護は使えるのに何故だろうか……
フィンに関していえばもう私から教えられる事は無いだろう。流石に竜餐祈祷や狂い火などのおぞましい祈祷は覚えたがらないだろうしな。
「フィン、もう貴公に教えられる事は無い。他に私の知っている祈祷は貴公には向かない。……人を辞める覚悟があるのならば教えられるが。」
私がそう言うと、フィンは苦笑しながら首を横に振った。
「いや、辞めておくよ。僕は人のまま強くならなくちゃならないんだ。……シルヴィア。心から、君に感謝を。」
「そう畏まらないでくれ。だがまあ、貴公らの才能には本当に驚いたよ。だがリヴェリア。貴公にはまだ教えられる事が残っている。」
今はロキ・ファミリアのホームである黄昏の館にいる。定期的に行っている報告会の様なものだ。
「だがその前に、フィン。貴公の成長と門出を祝って私からの餞別だ、受け取れ。」
そう言って私が渡したのは黄金樹の聖印。フィンの在り方を考えれば黄金律の聖印をでもと思ったが、
フィンの使う祈祷を考えるとやはり此方の方が恩恵が大きいだろう。
「……これは?」
「黄金樹の聖印だ。貴公の使う祈祷、特に黄金樹系の祈祷の効果を強化する補正がかかる。」
そう言うとフィンはまじまじと黄金樹の聖印を眺めはじめた。
「……そんな特殊効果の付いている触媒を貰っていいのかい?」
「そのような触媒など、生憎腐るほど持っている。貴公は黙って受け取ればいい。師から最後の餞別だぞ。」
「そういう事なら、有難く受け取っておくよ。……全く、君には返しきれない程の借りが出来てしまったね。」
元々私の気紛れなので気にするなと言ってはいるが、こればかりはフィンとリヴェリアも頑なに譲らない。
何かあればすぐに力を貸すと言われている。……何かあればすぐに都市最大派閥が動いてくれるのだ、これ程心強い事も無いだろう。
「では、リヴェリア。貴公に教えられる事ももう多くは無い。後はそうだな……切り札となる魔術を最後に二つ、教えておこう。」
「……心してかかるとしよう。」
そうして、リヴェリアは難なくほうき星と彗星アズールを一日でマスターした。これで、祈祷も魔術も私だけの技術では無くなったな。
何か必要だな、私だけのアイデンティティが。……本格的に考えた方が良さそうだ、
「……リヴェリア、貴公にも餞別をやる。好きな杖を選べ。」
そう言って私が取り出したのはカーリアの王笏、アズールの輝石杖、ルーサットの輝石杖。リヴェリアに最も恩恵のある杖を選んだつもりだ。
「これは?」
「アズールの輝石杖か。その杖は詠唱速度が上がるが魔力消費が増える。」
「こっちの杖は?」
「ルーサットの輝石杖は瞬間火力が高いのと、魔術補正が高い。……燃費を犠牲に威力が上がるという認識でいい。」
「……ではこの杖は?」
「カーリアの王笏は固有戦技があるのと、特定の魔術を強化する。前に教えたレナラの満月。あれの威力が上がるぞ。」
全て説明したが、リヴェリアは未だ迷っているようだ。
「……お前のオススメはどれだ?」
……ふーむ。最も似合うのはカーリアの王笏だろうが、恩恵が大きいのはルーサットの輝石杖だろうな。
「これだな、ルーサットの輝石杖。貴公に似合うかは置いておいて、恩恵は一番大きいだろう。」
「そうか……そうだな、確かに私には火力を底上げする杖が良いようだ。」
という事で、杖を受け取ったリヴェリア。
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だが、ここで突如シルヴィアがおかしな事を言い始める。
「……リヴェリア、魔術師……ここでは魔導師というのだったな。の最大の弱点は何か分かるか。」
「は?……そうだな、詠唱中の隙が大きい事か?」
此奴は唐突に何を言い始めるんだと思いながらも魔導師という存在の弱点を考える。
「違う。」
ふむ、私の師は変わり者だが、確かにその教えは全て私自身の為になっている。この問いにも、何か意味があるのだろう。
「……前衛の存在を必要とする事か?」
「違うぞ、リヴェリア。魔導師の最大の弱点……それは、魔力が切れるとただのカカシになる事だ。」
ここでリヴェリアの頭は疑問符で一杯になった。魔力が切れるとただのカカシ……それはそうだろう。
その代わりに、高い火力と範囲攻撃を行える。そんなものはオラリオの魔導師でなくとも当然知っている。
というか、後衛とはそもそもそういうモノだろう。
「……何を言っているんだ?」
「つまりだ、魔導師の最大の弱点を貴公は未だ克服出来ていない。」
……それは幾ら私でも不可能だろう。魔導師は魔力が無くては戦えない。そんなのは常識だ。
私の場合は護身術として習った為にある程度近接戦闘もこなせるが、当然本職には及ばない。それはそうだ。
戦士と魔導師は古来よりそういった棲み分けがされてきた。
どれほど優れた魔法戦士でも魔法の火力では絶対に魔導師には及ばない。
どれほど優れた魔導師であっても近接戦闘ではどう足掻いても戦士には敵わない。
御伽噺では魔法戦士が近接戦闘を行いながら魔導師顔負けの魔法をバカスカ撃っているがそれこそ御伽噺だからだ。
「……まさか、私に近接戦をしろとでもいうのか?」
「正解だ。私は弟子である貴公に死んで欲しくない。という事で、戦士としても私が鍛えてやろう。」
……魔法と近接戦の両方を極める。そんな馬鹿げた事が可能なら戦士と魔導師としての棲み分けなどあるはずが無い。
実際、それを実践したものはいる。……通常であれば、ただの器用貧乏で終わるのが関の山だろう。
「貴公は魔導師なのだから、近接戦も魔法で行うのは別にいい。ついこの前教えたカーリアの速剣などはその為の魔術だ。
……私が言っているのは一人の時の話だ。パーティで行動する分には前衛が居る。だが、ダンジョンとは何処までも未知なのだろう?
いつ仲間と分断されるか分からない。実際、分断されてしまったとしよう。
そんな時、仲間と合流出来るまで魔力を温存する術を教えてやる。そう言っているのだよ。」
いや……別に頼んでいないが。それにどれほどのイレギュラーを想定しているんだ。実際にその状況になった場合、普通は温存なんて考えない。
それに私とてこれだけ長く魔導師をやって来ていれば魔力の分配に気を使って戦うのは身体に染み付いている。
「……何か一つでいい。常に武器を身につけて、それを使う事を癖付けるといい。咄嗟に剣を抜ける位には。」
「一応、遠征などの時は剣を持って行っているが……」
「その程度では駄目だ。……道中の雑魚共には剣を使って戦うといい。なに、貴公ならすぐ慣れるさ。」
……剣とはいっても、大抵使うのはファミリアの備品だ。
「……別に剣で無くともいい。何なら武器は私が見繕ってやるさ。」
「いや、逆に近接武器は剣以外扱えないんだが……弓ならば多少得意なんだがな。」
私がそういうとシルヴィアはまたしても幾つか剣らしきモノを取り出した。……何処から出してるんだろうな、あれは。
「……刀と大剣は勘弁してくれ。流石に扱えない。」
「この曲剣は扱えそうか?」
……何で曲剣なんて扱いの難しい物をチョイスするんだ。
私は無言で首を横に振る。
「ではこの二つをやろう。」
…短剣と、レイピアか?
「輝石のクリスとロジェールの刺剣という。私としてはその刺剣を使いこなせるようになって欲しいので、鍛錬するならば付き合おう。」
……何でそんなに私に近接戦をさせたがるんだ。だが、レイピアか……また扱いの難しいものを。
「では……私が壁となろう。魔術も魔法も禁止だ。その剣だけで掛かって来い。」
……いや流石に無理がないか?私は魔導師だぞ?
「来ないのならば此方から行くぞ!」
……なんか私の師匠テンションおかしくないか?こんなキャラでは無かったと思うんだが。
と、何故か近接戦の訓練をさせられるリヴェリアなのであった。……リヴェリアは思った。この訓練こそフィンにしてやれよと。
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……ふふ、あれからリヴェリアには近接戦の訓練をしてやっている。魔力が無くても戦えるように。
かなり動きは良くなった。やはり才能に溢れている。フィンにも近いうちに近接戦の訓練をしてやろう。
私は当然戦技などは使わずに技量のみで相手をしているが、時折油断していると不意をつく攻撃をしてくる位には剣を扱える様になった。
ロジェールの刺剣に付いている戦技はそのままだが、魔力派生にはしてある。
どうやら状態異常の蓄積は私にしか扱えないらしい。冷気派生も意味が無かった。
「……輝石のクリスを使っている所を見た事が無いな。」
私としてはついでに渡しただけだし別に構わないんだが。
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「……なんか最近やけに明るくないかい?」
フィン・ディムナは恩人であるシルヴィアの様子がここ最近少しおかしい事について疑問を持っていた。
「いや、確かに私も感じていた。特に訓練の時なんかは狂気的な笑みを浮かべていたぞ。」
「……いやまあ、楽しそうな分には良いんだ。彼女の過去は聞くだけでもかなり壮絶だったからね。」
彼女に恩のある身としては幸せになって欲しいし、楽しそうにしている分には良いんだけどね。
「私としては、最初の落ち着き払った姿を知っている分、少し明るくなっただけでかなりギャップを感じるな。」
「まあとりあえず、良い事じゃないか。というか最近よく考えているんだけど、彼女が他のファミリアに入ったらどうしようか。」
とてもじゃないが、敵対なんて考えたくも無い。近接戦も中距離戦も化け物じみて強いのは知っているし、恩のある身として絶対に敵対などしたくない。
「……まあ、そこは私達が口を挟む事じゃない。シルヴィアが別のファミリアに入りたいと言うんだったら、素直に受け入れようじゃないか。」
「……そう、だね。別に繋がりが無くなるわけではないんだ。まあ、それでも別のファミリアに入ると言われると少しショックだけどね。」
フィンは本格的にシルヴィアをどうファミリアに引き入れようかと団長として培ったスキルとその優秀な頭脳をフル回転させるのだった。
あせんちゅはどのファミリアに加入するか。
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ロキ・ファミリア
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ヘスティア・ファミリア
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ヘルメス・ファミリア
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フレイヤ・ファミリア
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ヘファイストス・ファミリア