元褪せ人のスローライフ(願望) 作:Crimson Wizard
次はちゃんと書きます、多分。
「さて、リヴェリアも大分剣の扱いには慣れてきただろう。フィンも以前よりかなり動きが良くなった。」
「……っはぁ、はぁ。まさかこのレベルになって誰かに師事する事になるなんてね……」
今日はロキ・ファミリアの訓練スペースでリヴェリアとフィンと私で合同訓練をしていた。
リヴェリアに関して言えばあれからダンジョンに潜る際には基本的に剣を使って戦っているらしく、同じファミリアの前衛にも色々と相談しているようだ。
「フィン、そろそろ貴公には戦技の存在を教えておこう。」
教えられるのか分からなかったので少し迷ってはいたが、一応教えてみる事にした。
本来は武器に戦灰を付けなくてはならないが、同系統の武器と技量さえあれば同じ動きを模倣する事は出来る。
流石に固有戦技などは無理だが、レベル6であるフィンのステイタスならば武器と技量のみで再現出来るモノもあるだろう。
「フィン、私の動きを模倣してみろ。」
そう言って私はスピアを取り出し、戦技である貫通突きを使用する。
「……?それだけかい?」
そういってフィンは容易く私の貫通突きを再現した。
「ふむ……やはりな。」
武器を扱う技量さえあれば再現出来る戦技は多いかもしれないな。それか私がフィンの槍に戦灰をつけてやるか。
「リヴェリア、悪いが少し待っててくれ。フィンは槍を貸してくれ。」
「……これかい?君には少し短いと思うけど。」
「フィン、貴公の槍に一つだけ戦技を付けてやろう。貴公に合った戦技を幾つか見せる。何が良いかは自身で選ぶといい。」
そういって私は幾つか戦技を見せる。
「幻影の槍」「氷槍」「巨人狩り」「回転撃」「共撃の幻」「牙突き」「連続突き」「落雷」
「どれがいい?私としては巨人狩りか、祈祷よりも扱い易い落雷がおすすめだが。」
「……ちょっと待ってくれ。その戦技とやらは武器に付与出来る魔法の様なものなのかい?」
……まあ厳密には違うが、オラリオの常識でいえば戦技は魔法とそう変わらないか。
「少し違うが、大まかにはその認識で構わない。ただ、戦技は武器一本につき一つしか付けれない。」
「いや一つだけだとしても……魔剣鍛冶師が泣いてしまうよ。」
ふむ。魔剣か、高い上に使い捨ての道具だと聞いた覚えがあるな。興味はあるが今はいい。
「結局どれにするんだ?まだ他にも戦技はあるが、槍をメインで使っているのならこの辺りが良いと思うぞ。」
「そうだね……じゃあ、巨人狩りとやらにしておこうかな。落雷は祈祷で使えるしね。」
という事で、私はフィンの槍であるフォルテイア・スピアとやらに巨人狩りの戦技を付与した。
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「さて、フィンは兎も角、リヴェリアに関してはその武器に付与してある戦技が強力だしそのままでいいと思うぞ。
ああ、それとリヴェリアにはもう一つ短剣を渡した筈だが、
その武器の専用戦技は魔術より消費する精神力が少ないので道中の雑魚共には積極的に使うといい。」
「ちょっと待ってくれ、初耳なんだが。」
そういえば説明してなかったな。まあいい、とりあえず今日はこの位にしておくとしようか。
「今日はこの位にしておこうか。私もそろそろファミリア探しをしなくてはならないのでな。」
「あー、それなんだが、私達のファミリアに入らないか?実力的にもお前に釣り合っているファミリアはかなり少ないと思うぞ。」
私がそういうとリヴェリアがロキ・ファミリアに入らないかという勧誘をしてくる。
正直な話、ここ最近はかなり親しくなったので別に悪くは無いと思っている。初めての弟子もいる事だし……
「……フィン?リヴェリアも、何してるの?」
……誰だ?遠目に見た事はあるが。
「ああ、アイズか。見ての通り訓練をしていたんだ。最近は近接武器の扱いを覚えようと四苦八苦していてな。」
「……ずるい。私も誘ってくれれば良いのに。」
「だが、どの道もう終わる所だったんだ。……そういえば、まだ紹介していなかったな。アイズだ。」
リヴェリアの紹介で視線を此方へ向けた金髪の少女はペコリと頭を下げる。
「……どうも。」
「ああ、シルヴィアだ。よろしく頼む。」
そういうと、アイズと呼ばれた少女は再び視線を此方へ向けて私に問うた。
「あなたが、リヴェリアとフィンの師匠?」
ふむ、まあファミリアの仲間には流石に話しているか。まあ別に隠す様なことでも無いしな。
「そうだ。……かなり上達の早い弟子達だよ。」
揶揄うようにそう言うとフィンが苦笑しながら口を開く。
「シルヴィア、子供扱いはやめてくれ。アイズも、何か用があったのかい?」
「ううん、フィンとリヴェリアが見えたから来ただけ。」
何やら私とアイズから距離を取ったフィンとリヴェリアがコソコソと小声で話を始めた。
「……あなたは、冒険者?」
「残念ながら、今はまだファミリアを探している段階だよ。」
そういうとアイズは怪訝そうな顔をしながら口を開く。
「それはおかしい。フィンとリヴェリアを弟子にする様な人が冒険者じゃないなんて。」
「私は冒険者では無いだけだ。戦えないとは言っていない。」
そうか。ダンジョンに潜れるオラリオの冒険者と都市外の冒険者では実力に天と地の差があるという話を聞いた事がある。
そもそも冒険者以外の戦闘職など軍人位なものだろうしその程度の人間がレベル6である二人を弟子に取れるはずが無いのも道理か。
「言っておくが、私は対人戦に限って言えばまず間違いなくフィンとリヴェリアより強いぞ。
ダンジョンのモンスターは知らないので何とも言えないが、文字通りの意味で死ぬ程の修羅場は幾つも潜ってきた。」
「……外のモンスターよりダンジョンのモンスターの方が、強いよ?」
仮に狭間の地の化け物共よりダンジョンのモンスターが強ければ、私は冒険者などすぐさま辞めてやる。私に好き好んで死ぬ趣味は無い。
「……私も何れはダンジョンに潜る。その時が来れば分かる事だ。」
「そう……シルヴィア、さん。私と戦って……。ください。」
……?何故モンスターの話からいきなりそうなる。
「ほら、言った通りだ。」
「全く、だから出来る限りアイズに見付からないようにしていたというのに。」
先程までボソボソと話をしていたフィンとリヴェリアが戻って来た。
「シルヴィア、少しだけ付き合って貰っても構わないか?」
「……まあ構わないが。」
このアイズという少女はレベル5らしい。果たして私の相手になるのかどうか。
「じゃあ僕が合図を出すよ。アイズ、室内だから魔法は禁止だ。いいね?」
「……わかった。」
そういうとアイズは無言でサーベルを構える。私も打刀をルーンの業にて取り出す。
「では、始め!」
フィンの声が鳴り響くと同時にアイズは強く地面を踏みしめサーベルによる刺突を行ってきた。
私はそれに対して居合の構えを取ったまま軽く横に逸れて刺突攻撃を躱す。
私が刺突を躱した瞬間にアイズはサーベルを横に薙いで私の回避先に追撃を放って来るが、
私は刀を交える事無くローリングで再度攻撃を躱す。
私は一度も攻撃を仕掛ける事無くアイズの攻撃を全て捌いていく。その殆どは刀を用いず回避するだけだ。
アイズは次第にイライラしてきたのか攻撃が荒く、単調になってくる。
私は先程と同じように刺突攻撃を躱すと同時に漸く居合の構えを一度解き、体勢を低くしながらアイズの足元を蹴り払う。
不意打ち気味の反撃に驚いたアイズは軽く跳ねて蹴り払いを避けるが一瞬体勢が崩れる。
私は瞬時に体勢を戻しアイズの腹に前蹴りを放つとアイズはサーベルを構えて防御する。
急な攻めに驚いたのか体勢を整えようとアイズが私から距離を取った瞬間、私は居合の構えから高速の斬撃を繰り出す。
「……私の勝ちだ。」
……危なかった。もう少しで首を切り落とす所だった。居合を寸止めするのは難しいな。
「……負けた。」
アイズはしょんぼりしながらしゃがみこんだ。
「シルヴィアの勝ちだ!……アイズ、対人戦ではもう少し余裕を持った方がいい。今みたいに焦らしてくる相手だっているんだから。」
「……うん。わかってる。シルヴィア、さん。ありがとうございました。」
「ああ。技量は問題ない。対人戦に慣れていないだけだろう。」
まあ冒険者同士で本気の争いというのは中々ないだろうし、仕方の無い話か。
そうして、私はロキ・ファミリアのホームを後にしたわけだが、何かを忘れている気がする……
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シルヴィアの帰宅後、フィンは執務室でリヴェリアと共に頭を抱えていた。
「……タイミング悪くアイズが介入したせいで、ファミリアに加入するか否かの答えを引き出せなかったね。」
「だが、悪い反応では無かった。また今度聞いてみるとしよう。」
二人の辞書に諦めという文字は無かった。
あせんちゅはどのファミリアに加入するか。
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