元褪せ人のスローライフ(願望) 作:Crimson Wizard
あと今回はアイズが前線に出てないので精霊の分身は出てこないです。……後の展開に影響あったらやばいかな。
それとぼざろにも手を出してしまったので暇な方は読んでみてください。
「……うん。分かった。でも、一つだけ条件がある。」
「何だ?私が叶えられる範囲でなら叶えてやる。」
アイズ・ヴァレンシュタイン
私の印象では、力を求めるあまり手段を選ばない危うさがある子供。だが、その貪欲さは好ましい。
かつて、私の居た狭間の地では神と王は基本的に一対だった。影の地にてミケラがラダーンの魂を自らの王として呼び戻したように。
マリカにはゴッドフレイという伴侶が居たように。そして、ラニが律を掲げる時、私を自身の王として選んだように。
私は神になるつもりなど無いが絶対に裏切らないと断言出来る関係性が少し羨ましかった。
勿論誰でもいい訳ではない。だが、私もまた、この地に来て新たな生を始めようとしている。
思えば私は常に独りだった。ラニは例外だ、彼女とは心は常に共にあったが、一緒に居れる時間は短かったしな。
「……シルヴィアが、私の、私だけの英雄になって。」
……まさかそう来るとは。英雄、か。かつて、その名で呼ばれた事は幾度とある。
だが……
「……大衆の英雄ではなく、あくまで貴公の英雄であれと?」
アイズは、小さく頷いた。
「良いだろう。皆の英雄になれと言うのならば私には不可能だったが、貴公……いや、お前だけの英雄という事であれば……
私は誓う。アイズ・ヴァレンシュタインを決して裏切らず、常に共にあることを。そして、貴公だけの英雄で有り続ける事を。」
「……私も、誓います。シルヴィアを、絶対裏切らない事を。」
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リヴェリア・リヨス・アールヴは困惑していた。
大遠征の最中、本格的にダンジョン攻略が始まる今日、何故かアイズがシルヴィアにベタベタと引っ付いている。
「あ……リヴェリア、おはよう。」
「あ、ああ。おはよう。ところで、なんかさっきからシルヴィアと距離が近くないか?」
「……え?あ、そう……かな?」
……やはりこの反応、何かあるな。だがまあ、今は遠征中だ。帰ってから問い詰めるとしよう。
アイズが駄目ならシルヴィアを問い詰めるしかない。
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シルヴィアとアイズの誓いの翌日、この先の階層へ進むメンバーの選別を終えたフィンは団員達を率いながら先へと進む。
「さて、ここからがいよいよ51階層だ。誰一人として気を抜くな。」
フィンがそう言った直後、黒い犀の様なモンスターが群れになってこちらに突進してきた。
「ブラックライノスだ!数が多い!突進は前列で抑えるんだ!魔法を使える者は詠唱を始めろ!」
基本的に、このようにパーティでの戦闘では冒険者達は各々役割が決まっている。
だが、役割が決められていては私が活躍する機会は来ない。
レベル上げを兼ねて、少し前に出てみるか。
「フィン、私にやらせてくれ。」
フィンの了承を得る前に、私は前に出る。そして神の遺剣を手に取り、前方に大きく薙ぎ払った。
戦技『黄金波』によって突進してきたブラックライノス達はもれなく魔石すら残さずに霧散して消えた。
「……まずシルヴィア、ダンジョンでは独断で動くのはやめてくれ。それと、やっぱり君を陣形に組み込むのは間違っていた。
君は単独でこそその力を発揮する。違うかい?」
「その通りだ。」
白霊とは違って味方に攻撃が当たってしまうリスクがある以上、私は無闇矢鱈と技を出せない。
だが、私が単独で全て倒してしまってはファミリアの者の成長を阻害してしまう可能性がある。……難しいな、これは。
「……とりあえず、反省会は帰ってからだ。シルヴィアは今回サポートに徹してくれ。君の力が必要な時は指示を出す。」
その後、私は言われた通り援護に徹し、味方の回復や隙を見て投げ物でモンスターを怯ませたりといった役割を担うこととなった。
それからは順調にモンスターを倒していき、フィン達が受けた依頼であるカドモスの泉の泉水を確保するためにエリアを移動しようとした時だった。
「何だあのモンスターは!?」
「何あれぇ!気持ち悪っ!」
団員達のこの反応を見るに、
「うわぁああ!」
「くっ!聞け!総員、あの新種のモンスターには近付くな!魔法か、魔剣で仕留めるんだ!武器で攻撃すると溶かされるぞ!」
いつの間にか私の周りは地獄絵図に……
「フィン、私を忘れてないか?」
「……あの芋虫の様なモンスターの不可解な行動にこの指の疼き、恐らく待機組の方も襲撃されている。シルヴィア、殿を任せてもいいかい?」
「任せてくれ。少し退屈していた所だ。」
そうして、フィンの指揮の下団員達が下がっていくのを見て、私は逆手剣を手に取る。
大技で雑魚を処理するのも良いが、剣を振らねば腕は鈍っていくばかり。
あのモンスターの吐き出す腐食液は武器をも溶かすらしいが、私の使う武器は全て神を殺せるまでに鍛え上げてある。
腐敗の眷属共の相手も問題なく出来ていた以上、この芋虫共に私の武器をどうにか出来るとは思えない。
とはいえ、あの腐食液を浴び続ければ幾ら私とて死ぬだろう。
だが……
「さて、この数相手にどこまで粘れるか、魔術も祈祷も縛るとしよう。」
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シルヴィアを殿にして実行組と待機組が合流したロキ・ファミリア
やはりフィンの予想通りキャンプも襲撃を受けておりリヴェリアの指揮もあって団員達は無事なものの遠征用の物資は破壊し尽くされていた。
アイズは愛剣のデスぺレートでキャンプを襲撃しているモンスターを切り伏せながらシルヴィアを心配していた。
「……シルヴィア、大丈夫かな。」
「大丈夫さ、アイズ。君はまだ彼女の本当の実力を知らない。僕らが本気を出しても叶わないレベルの高みにいるんだ。彼女は。」
そうして、リヴェリアの魔法で拠点を襲撃していたモンスターは殲滅出来た。だが、遠征用の物資はなく、
多数の団員達が武器を駄目にしてしまっているのでフィンはこれ以上遠征を継続するのは不可能だと結論付けた。
「悔しいが、今回は撤退するしかない。物資もなく、予備の武器もかなりの数が駄目になってしまった。
それにこの先にいるのは通常の武器では倒せないモンスターだ。情けない限りだが、後はシルヴィアに全て任せるしかない。」
「フィン、シルヴィアならモンスターは問題ないと思うが、一人では帰れないだろう。私とアイズが残る。先に帰還していてくれ。」
「……まあ、あのモンスターがいなければ帰りは僕たちだけでも大丈夫だろう。ただアイズ、リヴェリアの言う事は聞くんだよ?」
「……わかってる。」
そうして、先に18階層へと帰還したフィン達ロキ・ファミリア。
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シルヴィアと合流するべく、先程別れた地点まで歩きながらリヴェリアは問いを投げかける。
ちなみに、モンスターはシルヴィアが全て倒したのか、未だに湧いてきていない。
「さて、アイズ。お前はシルヴィアについて何処まで知っている?」
「……まだあんまり知らない。」
「そうか。……あいつの出自については本人から聞いた方が良いだろう。あまり吹聴するような事ではないしな。」
「む。でも、これから知っていく、から。問題ない……はず。シルヴィアは、私の英雄になってくれる人だから。」
その言葉に、軽く驚いた様な表情をしたリヴェリアだったが、少しすると軽く微笑んだ。
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「……はぁ……はぁ。流石に、この数相手に範囲攻撃なしは舐め過ぎたか。だがまあ、私の勝ちだ。」
そうして、聖杯瓶を軽くして元来た道を歩いていると、何故かアイズとリヴェリアが居る。
「……お前、ボロボロじゃないか。普通に倒すだけだったらさっきの技を使えば良かったんじゃないか?」
「いや、私も剣の腕を鈍らせたくないからな。まあ、いい練習になった。」
「シルヴィア……大、丈夫?」
「ああ。装備はボロボロだが、私に傷はない。負った傷は全て癒してある。それにしても、フィンはわざわざ貴公らを残していったのか?」
あのフィンがファミリアの幹部二人というリスクを負ってまで私の為に残らせたのか?
「ああ見えて、フィンはかなりお前を信用している。だがお前にとってダンジョンは初めての場所だ。ダンジョンの構造はかなり複雑だからな。
実力を知っていたとしても一人で帰れるかは不安だったんだろう。」
と、自分も不安だった事は棚に上げてフィンのせいにするリヴェリア。
「……さて、では帰りは少し楽をするか。」
私はトレントを呼び出すといつも通り背に跨り、頭を撫でる。
「久しいな、トレント。また頼むぞ。」
そうして、二人が乗るのを待っているが、いつまで経っても乗ってこない。振り向くと、何故か固まっているリヴェリアとアイズ。
「……これは、精霊か?」
「精霊……どうだろうな、トレントは霊馬と呼ばれる存在だが。」
「それにしても……お前はいつも無表情でとんでもない事をやらかすな。」
む、何故お説教モードに入った?分からんが時間の無駄だ。早く移動したい。
「リヴェリア、ここは深層だぞ。良いから早く乗れ。」
「く、正論だから言い返せない。」
「……私も乗っていいの?」
とはいえ、トレントが嫌がらないのも珍しいな。基本的に私には従順だが、他人にはかなり神経質な子なのに。
「ああ。早く乗れ。」
そうして、私達はかなりのスピードでフィン達の居る18階層へと戻れたのだった。
風邪辛い。ちなみに、物資がないのでフィン達は速攻で帰ってます。
多分移動するだけならそこまで時間かからない……筈。
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