元褪せ人のスローライフ(願望)   作:Crimson Wizard

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二徹目。子供の世話は大変です。今年の秋頃にアニメもあるので、1期から見返して来ました!
それはそれとして原作と外伝作品も復習しなきゃいけないので大変です。


第19話

 

「……またか。」

 

不躾な視線。まるで何かを探るような、私という存在を見透かそうとしているかのような視線。

オラリオに来て……そうだな。ベルと初めて接触した頃からか。この様な視線を感じ始めたのは。

 

まあ恐らく何処ぞの神の仕業だろうが、全く、私を見て何になるというのか。別に見られようと構わないが、気が散る。

少し脅すか?……いや、もう少し様子を見るか。

 

「ヘスティア、暇だ。この廃教会で一日中大人しくしておくのは、流石の私でも気が狂いそうだ。」

 

「そんな事言ったって……仕方ないじゃないか!ボクだって好き好んでこんな所に住んでるんじゃないやい!」

 

珍しくバイトが休みらしいヘスティアは文句を言いながらもソファーでぐーたらしているが。

まあこれが一日ならまだ私だって我慢するさ。だがもう一週間だ。不死である私が言うのもアレだが、普通に時間が勿体無い。

何か魔道具でも作ってみるか……

 

「ヘスティア、このオラリオで一番有名な魔道具作製者(アイテムメーカー)は誰だ?」

 

私の唐突な質問に首を傾げながらもヘスティアは迷うことなく即答した。

 

「そりゃあ勿論、万能者(ペルセウス)君だろうね。彼女は間違いなくオラリオ、いや……世界屈指の魔道具製作者(アイテムメーカー)だよ。」

 

「……やはりそうか。」

 

ふむ……出来れば魔道具製作の心得というか、基礎だけでもご教授頂きたいものだが、まず接触するのが困難だな。

 

アスフィ・アル・アンドロメダ

 

所属ファミリアは【ヘルメス・ファミリア】公表されているレベルは2……らしいが、鵜呑みにするのは危険だな。

あそこの主神、ヘルメスの事はヘスティアから要注意人物として聞かされている。レベルを偽る程度の事はやっていてもおかしくない。

神ヘルメスはどうやら裏で暗躍するタイプの神らしく、よく問題行動を起こしては証拠を残さず消え去るというタチの悪いムーヴを繰り返しているらしい。

万能者(ペルセウス)には接触したいが、ヘルメスには関わるなとヘスティアから口を酸っぱくして言われている。さてどうしたものか……

 

「どうしてそんな事を聞くんだい?」

 

「いや、私も魔道具製作に興味があってな。」

 

「ふ〜ん。じゃあ作ってみれば良いじゃないか。」

 

随分と簡単に言ってくれるな。ただの小道具を作るのとは訳が違うというのに。

 

……果たして本当にそうだろうか?確かに今まで考えたこともなかったが、私の作るアイテムの中にも術を込める類の物は数多くあった。

まあ製法書があったから作れる訳だが……。

 

やはり欲しいな、神秘の発展アビリティ。だが現状、私のステイタスではランクアップが不可能だ。

スキルとして似た様な効果を持つモノを発現させるか?スキルは強い願いで発現する事もあるというし……

 

だがまあ、とりあえずは神秘の発展アビリティ無しで魔道具が制作できる可能性に掛けてみるか。

 

「……そうだな、やってみるか。」

 

やってみない事には分からない。まず神秘の発展アビリティが無いと魔道具が作れないというのが私の思い込みの可能性もある。

それに今までオリジナルの何かを作ろうとした事は一度としてない。全て製法書に載っていた内容をそのまま作っていただけだ。

 

やってみる価値はある……では手始めに、私の魔術や祈祷の効果を込めたアイテムを作る事から始めよう。

製法書が無いだけで、やる事はいつもと変わらない。

 

まずどんな魔道具を作りたいかだが……何を込めるか。有り触れた術では意味が無い。

私の使える術の中で、魔道具に込めるという発想にはまずにならないモノはあるだろうか?牽制程度にしか使えない攻撃系は有り触れている。

それにこの世界には魔剣という存在もある。半端な性能の術を込めた所で魔剣の下位互換にしかならない。

 

「……見えざる姿。これを魔道具化出来れば一儲け出来そうだな。」

 

まあ稼ぐだけなら他に幾らでも手段はあるが、モチベーションを維持するにはある程度の目標は必要だ。

……当面は見えざる姿を魔道具化する事を目標としよう。

 

「ん?ヘスティア、来たぞ。」

 

ようやくか。これでギルドの遣いでは無かったら流石にホームを出るぞ、私は。

 

『お初にお目にかかる。異界の王よ。』

 

……おかしいな。ギルドに私の出自をそこまで詳しく明かしてはいない筈なのだが。それにあからさまに魔道具で声を変えているな。

 

「私の出自を知っているのか?」

 

『ああ。独自の情報網があってな……』

 

……まあ単に盗み聞きされただけの様な気もするが。だが、ギルドの遣いにしては怪し過ぎる。

 

「貴公、名は?」

 

『愚者と書いてフェルズ。君もそう呼んでくれ。』

 

極めつけは偽名か……さてはギルドの私兵か?

 

「私はシルヴィア。ギルドの遣いなら当然知っているとは思うが。」

 

『ああ。勿論、君についての情報は可能な限り調べさせて貰ったが、本当にある日を境にオラリオに出現している。

オラリオに出入りした人間のリストも確認したが、君と似た容姿や名前での記録は残っていなかった。』

 

……これは不法入国の様な扱いになるのか?そうなると困るんだが。

 

「にしても、貴公……魔術師、メイジか?」

 

『ああ。そして、魔道具製作者(アイテムメーカー)でもある。これでも、かつては賢者と呼ばれていてな。』

 

魔道具製作者(アイテムメーカー)!これは……弟子入りを志願するか?

 

「ちょっと待っておくれ。賢者といえば昔話の登場人物じゃないか!もしその話が本当なら、君は一体何年生きているんだい?」

 

『……喋り過ぎたな。まあ、とりあえず本題に移ろう。ウラノスから君を連れて来るように指示があった。』

 

「ウラノスの奴がかい?……まあ当然といえば当然か。下界の今後に関わる話だし。」

 

『神ヘスティア、貴女も着いて来て欲しいとの事だ。』

 

「当然だよ!シルヴィア君はボクの眷属なんだ、ボク抜きで話を進められちゃ堪んないよ!」

 

そうして、私とヘスティアはフェルズの道案内に従い……神ウラノスが居るというギルドの最奥へと特殊な通路を用いて移動した。

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

「……久しいな、ヘスティア。」

 

「ああウラノス、久しぶり。今回ボクが呼び出されたのはボクの眷属であるシルヴィア君の今後について……で間違いないかい?」

 

「その通りだ。」

 

神ウラノス。下界に降臨した最初の神であり、オラリオを創設した神でもある。それに人類に神の恩恵(ファルナ)を初めて授けたのもこの神らしい。

 

「端的に言おう、異界の王よ。最後の三大冒険者依頼(クエスト)の一つ。黒き終末と謳われる隻眼の黒竜の討伐を依頼したい。」

 

「本当に端的だな、神ウラノスよ。だがまあ……報酬次第ではその依頼、受けても良いと思っている。」

 

私がそう言うとヘスティアが驚いた様な表情をして此方を振り向く。

 

「なっ、何を言ってるんだい!?シルヴィア君!確かにキミなら勝てるかも知れないけど、それまでに何回死んじゃうと思ってるんだい!?」

 

「さて、100回か、1000回か、5000も死んだ頃には殺せる筈だ。」

 

「ダメだ!ボクの主神権限で君が死ぬ事前提でこのクエストを受ける事を禁止するっ!」

 

「……流石の私も生ける厄災とまで言われる竜を相手に一度も死なずに討伐をするのは不可能だ。」

 

『本当に不死なのだな……』

 

「ヘスティア、死ぬ事前提で動かなければ構わないか?」

 

私としても、この依頼……というか報酬の方が目当てだが、受けておきたい。

それに今後この世界で生活を送る上でいつか必ず表面化してくる問題でもある。その時矢面に経つのは、結局私だろう。

 

「ぐぬぬ……」

 

「無論、一人で討伐しろとは言わん。第一級冒険者でパーティを組んでもらう。」

 

「そんな事言ったってウラノス!ロキやフレイヤのファミリアが依頼を断ったらどうするんだい!?」

 

「それは有り得ん。事情を知っているロキからは既に言質を取っている。報酬は高くつくが、黒竜討伐を金で何とか出来るなら安いものだ。」

 

確かに……神ロキは言っていたな。フィンとリヴェリアは間違いなく討伐に参加するだろう。……そしてアイズも。

ガレスは……あまり喋った事ないから知らん。

 

仮にフレイヤ・ファミリアが動かなかったとしても……

いや、二大派閥としてロキ・ファミリアと比較されるフレイヤ・ファミリアが参戦しない筈がないか。間違いなく対抗して依頼を受けるだろう。

 

「ぐぬぬぅ……」

 

「ヘスティア、貴女さえ生きていれば、私の不死性は失われない。必ず生きて帰って来ると約束しよう。」

 

「……キミがそこまで言うのなら、分かったよ。ただし、約束は約束だ。死ぬ事前提で立ち回る事は禁止する。いいかい?」

 

「ああ、死なない事に全力を尽くそう。」

 

最悪、私のプライドを、誉れさえ棄ててしまえば(ガン盾蟻棘)……いや、それだけは出来ない。

人を捨てようが、誇りを捨てようが、私の本能が……それ(ガン盾蟻棘)にだけは堕ちるなと訴え掛けてくる。なんて、手段を選ぶ程の余裕がある筈もない。

 

「では、受けてくれるのだな?」

 

「ああ。報酬は相応の物を要求させて貰うが。

それと、討伐に際して鍛え直す事にした。パーティメンバーも集めよう。なのですぐには動けないが、構わないか?」

 

「……ああ。今更、十年程度なら誤差だ。存分に鍛え直して来るといい。」

 

「それと、フェルズ。」

 

『どうした?』

 

「私に魔道具製作について教えて欲しい。これも報酬という事でどうだろうか?」

 

「……構わん。フェルズ、教えてやれ。」

 

『あ、ああ。それは別に構わないが……神秘の発展アビリティは持っているのか?』

 

「私のステイタスを見ただろう。……あのステイタスでランクアップが出来ると思うのか?」

 

『……神秘を持たぬ者に作れるかは分からないが、まあ詰め込めるだけ詰め込もう。知識はな。』

 

よし、後は……

 

「それと、報酬の一つとして、武器が欲しい。前払いという事でどうにかならないか?」

 

「……ゴブニュ・ファミリアやヘファイストス・ファミリアと相談しておく。」

 

「ああ……感謝する、神ウラノス。では早速で悪いがフェルズ、色々ご教授願おうか。」

 

『ウラノス、頼むからこれ以上私の仕事を増やさないでくれ……』

 

はは、昔話にもなっているかつての賢者にご指導頂けるとは光栄だな。

 

と、師を得て喜んでいた私にフェルズが最初に告げたのは、透明化は既に神秘持ちの間ではそこそこ作られているという事だった。

誰かの二番煎じに甘んじるのは癪なので、私にしか作れない作品を作ってやろうと意気込むのだった。

 




思想強めなあせんちゅ

あせんちゅはどのファミリアに加入するか。

  • ロキ・ファミリア
  • ヘスティア・ファミリア
  • ヘルメス・ファミリア
  • フレイヤ・ファミリア
  • ヘファイストス・ファミリア
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