元褪せ人のスローライフ(願望) 作:Crimson Wizard
未だ混乱の中にある私は目の前の存在から目が離せない。……まさか、いや、
「……じっとボクを見つめてどうしたんだい?」
「…すまない。状況が飲み込めなくてな。」
何処だここは……何故このように人の気配がする。
「あれかい?もしかして記憶喪失とかいう奴かい?」
そしてこの人物は……僅かにだがデミゴッド達と似た様な気配がする。いや、これはもっと……
「…記憶はある。それより貴公、もしや神の血を引いていたりはしないか。」
私がそう訊ねるとその人物は不思議そうに首を傾げ、口を開く。
「血を引くも何もボクは神だよ?」
その言葉を聞くと私はその人物から瞬時に距離を取った。
「お、おう……どうしたんだい?そんなに急に」
「……神と言ったな。名は何という。」
相手は困惑しているようだが、この様な神は未だかつて見た事がない。目を開けると見知らぬ土地に放り出され、そして目の前には知らぬ神。
「ボ、ボクの事かい?ヘスティアだよ。炉の女神ヘスティアって言うんだけど……聞いた事ないかい?」
炉の女神……?何だそれは。
「……この地には、貴様以外にも神がいるのか?」
「キミが訳アリなのは分かったからさ、とりあえず落ち着いておくれよ。……そんなに警戒しなくても、ボクに戦う力は無いよ。」
そう言って、目の前の人物は両手を上げて目を閉じた。
「……今までの非礼を詫びよう。それで、貴殿以外に神はいるのか。」
「そうだね……まあ数え切れない位にはいるんじゃないかな?ほら、今そこの路地裏を通ったのも一応神だよ。」
……神が路地裏を歩いているだと?だが、もはやその様な事はどうでもいい。
「ハハッ、漸くあの地獄から抜け出せたという訳か……」
いくら律を修復しようとも何故かエルデンリングの砕かれた時間軸に戻されていた!だが、黄金樹が存在しないという事は……
「祝福も存在しない筈…!」
私は自らのルーンを慈悲の短剣へと変えるとその短剣で自身の首を刺し貫いた。
「えっ……ちょ!キミ!何してるんだ!」
……漸く死ねる。
あの様な地獄へと放り出され、大いなる意思とやらに翻弄され、血の指等という気狂い集団に命を付け狙われる。
そんな地獄がようやく終わる。今まで何度も経験したのと同じように、私の意識は薄れていく。
━━━━━━━━━━━━━━━
ヘスティアは、混乱していた。
彼女は最近下界に降りてきた神であり、数日前までは
遂にヘファイストスが本気で怒り出してしまい、住まいとして廃墟の教会を与えられた後バイトを紹介されると同時に追い出されてしまったのだ。
そして眷属探しを兼ねたバイトを終わらせて帰って来ると、住まいとして与えられた廃墟の前に人が倒れているではないか。
……ヘスティアは善神であった。
直ぐに倒れている人物へと駆け寄ると声を掛けた。
「……」
その人物は目を開けると呆けた顔でこちらをじーっと見つめている。
「……じっとボクを見つめてどうしたんだい?」
その人物は頭を振ると未だに呆けたような表情で口を開く。
「…すまない、状況が飲み込めなくてな。」
ヘスティアはこれは巷でよく聞くアレかと思い、訊ねてみるが……
「あれかい?もしかして記憶喪失とかいう奴かい?」
「……記憶はある。それより貴公、もしや神の血を引いていたりはしないか。」
質問の意図がよく分からなかったヘスティアは事実をそのまま口にする。
「血を引くも何もボクは神だよ?」
その瞬間、彼女は半分横になっていたとは思えない速度でヘスティアから距離を取った。
第一級冒険者レベルの身のこなしに驚きながらもヘスティアは口を開く。
「お、おう……どうしたんだい?そんなに急に」
「……神と言ったな。名は何という。」
先程とは打って変わっての刺々しい問い掛けに、人を玩具としか思っていないタイプの神々に翻弄されてきた人物なのかと察するヘスティア。
「ボ、ボクの事かい?ヘスティアだよ。炉の女神ヘスティアって言うんだけど……聞いた事ないかい?」
その人物はその翡翠色の目をヘスティアの方へと向け、勘繰るような視線を向けてくる。
「この地には……貴様以外にも神がいるのか?」
その後も疑う様な視線に晒されつつ、そのタイプの神々と一緒にされては堪らない、と。
何より、この様に常に警戒しなくてはならない環境に置かれていたこの子があまりにも可哀想だったから。
「キミが訳アリなのは分かったからさ、とりあえず落ち着いておくれよ。……そんなに警戒しなくても、ボクに戦う力は無いよ。」
ヘスティアは相手を刺激しないように変な気は無いことを伝える。
「……今までの非礼を詫びよう。それで、貴殿以外に神はいるのか。」
ほら、やっぱり悪い子じゃないんだ。神という存在を警戒しなくちゃいけない環境に置かれていただけで。
「そうだね……まあ数え切れない位にはいるんじゃないかな?ほら、今そこの路地裏を通ったのも一応神だよ。」
と、ヘスティアは丁度近くを通りかかった神を指さして言った。
するとその人物は警戒を解いた。
「ハハッ、漸くあの地獄から抜け出せたという訳か……」
漸くまともに話が出来るとヘスティアが思ったのも束の間、その人物は何処からか短剣を取り出すとそれを自分の首へと突き刺した。
「えっ……ちょ、キミ!何してるんだ!」
ヘスティアは善神だ。それはもう、そこに人が倒れていればその人物がどれだけ怪しい風貌をしていようと彼女は助けるだろう。
「……何でそんな顔をしてるんだ、キミは!」
その人物は、とても安らかな顔をしていた。……彼女がどんな環境で生きてきたかは知らない。
だけど、こんな顔をして……!
「死が救いなんてことはあっちゃいけない筈なんだ…!キミは絶対に死なせないからね!」
ヘスティアはその小さな身体でその人物を担ぎあげ、引き摺りながらも必死に
ぶい!
あせんちゅはどのファミリアに加入するか。
-
ロキ・ファミリア
-
ヘスティア・ファミリア
-
ヘルメス・ファミリア
-
フレイヤ・ファミリア
-
ヘファイストス・ファミリア