元褪せ人のスローライフ(願望) 作:Crimson Wizard
この物語は黒竜討伐で終わりにしたいので、最近完結出来るように頑張っております。
体調不良が続いております。……猛暑が続いておりますので皆さんもお身体にはお気を付けて。
「……成功か。」
やっとだ。睡眠も食事も取らずに一週間も引き篭った甲斐があった。
私が作ったのは、目視できる範囲に転移出来る魔道具、込めた魔術はミリアムの消失。触媒は何の変哲もないただの鈴。
これを鳴らすとミリアムの消失と全く同じ効果の魔術を発動する。使用には、術者の魔力を消費する。
まあ正直、使い所はあまりあるとは思えないがな。戦闘を生業とする冒険者よりは、サポーターに向いている魔道具ではなかろうか。
これがあれば、冒険者の足を引っ張らず離脱出来る。後は魔道士か。安全に距離を取って自分の射程に持ち込める。
……最も、フェルズには表に出すなと言われてしまったが。
私もあの魔術を実戦で使いこなすまではかなり時間が掛かったし、これを使いこなせる者はそう多くないだろう。
これで私の魔道具を作ってみたいという好奇心も満たせた事だ。……もう暫くは作りたくない。
作っている最中は楽しいが、作業が終わった瞬間に疲労感がどっと来る。
『まさか神秘の発展アビリティ無しでオリジナルの魔道具を作ってしまうとは……』
「だが、そもそも魔術を使えばいい私には無用の長物だ。……ベルにでもくれてやるか。」
それと、黒竜討伐を正式に依頼として受けた私はパーティメンバーを募集する事にした。黒竜討伐の為だけのパーティだ。
心当たりのある人間には手当り次第声を掛けてみるつもりでいるが……
ロキ・ファミリアのフィンやリヴェリアでさえ、現状では黒竜に傷すら与えられないだろう。
まあ私にも同じ事が言えるが……最悪、本当に最悪だが勝つ手段さえ選ばなければ殺す事は容易い。
死のルーン、腐敗の力など、周囲へ与える影響を考えなければ……というのも甘い考えか。
何せ、かつての最強と謳われた英雄達ですら傷を負わせる事すら叶わなかったという。御伽噺にもなっている最強の英雄でさえ、片目を奪うので精々。
手段を選んでいる余裕も、周囲に与える影響も考える余裕はない。だが私の強みである不死を生かす事も出来ない。
何せ、ヘスティアに死ぬ事前提での立ち回りは禁止されてしまっているからな。
今の所、考えている策としては、まず大盾を構えて行動パターンを見極める。
これは経験則だが、どんな敵だろうと間違いなく隙はある。まあその隙を見つけるまでに数え切れぬ程死ぬのだが……
だが重装備を着込んで防御と回避に専念すれば、最悪死にはしないだろう。
それに、隙は作り出すものでもある。体勢を崩し、致命の一撃を入れれば殺せずとも大ダメージを期待できる。
今の所、黒竜討伐のパーティメンバーで考えているのはまずロキ・ファミリアの第一級冒険者全て。
そして豊穣の女主人の面々も、隠してはいるがかなり戦える。
受けてくれるかは分からないが頼むだけ頼んでみよう。後は……そうだな、ベルも鍛えてみるか。
勿論無理強いはしないが、彼奴は英雄に憧れている。それに……ヘスティア曰く成長を補正するレアスキルを発現したらしい。
本人には絶対言うなと言われているが……もし可能ならば戦力になって貰いたい所だ。
だが仮に、この全員で黒竜に挑んたとて、勝機は限りなくゼロに近い。何せ歴史が証明している。
なので、仮に彼らがこの話を受けてくれるとしても、まず全員のランクアップが必要だ。
私も、ステイタス方面の伸びは期待出来ないが新たな魔法やスキルが発現する可能性は残っている。
既に神ウラノスから依頼を受けた以上、もう戦わないという選択肢は存在しない……黒竜を殺すまで、この依頼を完遂するまで私に安寧は訪れない。
まず、絶対に私に協力してくれるアイズをランクアップさせる。具体的な手段についてだが、私を殺させる。
無論、私はアイズの事を殺せない。鍛える意味すら無くなるからな。
そしてアイズも、私を殺すのを嫌がるだろう……だが、私がアイズを殺せないとはいえ、可能な限り本気で相手をする。
仮にも狭間の地で王となった私を、文字通り全てを殺してきた私を。
────暗黒の落とし子を
────火の巨人を
────最初の王を
────竜王を
────黒き剣の眷属を
────血の君主を
────暴竜を
────星砕きの英雄を
────腐敗の女神を
────最強のデミゴッドと神人を
────そして文字通りの
悉くを殺し尽くしてきた私を殺す事が出来れば、それは偉業と言えるだろう。
だが、アイズだけでは駄目だな……ここに、フィン、リヴェリア、ガレス、そしてロキ・ファミリアの幹部陣も入れよう。
そこまでされれば、幾ら私とて手加減は出来ない。
即死さえさせなければ第一級冒険者の生命力なら何とかなると信じて……何より、私を殺す事も出来ずして黒竜を殺す事など出来ない。
ヘスティアには叱責されるだろうが、こればかりは譲れない。
私は結局、何処までいっても人なのだ。
モンスターの様に理不尽な膂力も、手足を操る様に災害を起こす事も、傷を受けた瞬間から再生する肉体も、巨体で押し潰す事も出来ない。
理不尽を押し付けるのがモンスターだ。技も持たず、知性が無くとも、ただただ存在するだけで周囲に大きな影響を与える。
産まれ持った力のみで何処までも戦える。……それがモンスター、怪物と呼ばれるモノたちだ。
私はその対極にある。かつて先人達が残した技術の全てを駆使し、周囲の環境から使えるもの全てを使い戦う。
剣、槍、弓、魔術に祈祷。使えるものを全て使い、鍛え上げた技と武器を以て戦う。……泥臭い戦い方だ。御伽噺の英雄には程遠い。
私には御伽噺の英雄の様に必殺の一撃も魔法も無いが……だが、必ず殺す。
ただひたすらに、死ぬまで殺す。血が通って無かろうと、神の血を引いていようと、死に生きる者達であろうと、殺せば死ぬ。
神ですら殺せるのだ。私が言うのもおかしな話だが、この世に真の不死などない。
実際、地上に降りて来ている神々に死のルーンを使えば、彼らは天界へ送還される事なく神としての死を迎えるだろう。
……少し話は逸れたが、必殺の一撃を持たずとも、敵が倒れるその時までダメージを与え続ければ殺せるという話だ。
ここで一つ、問題がある。私は嘗て狭間の地、影の地を巡り自身の持つほぼ全ての武器を神を殺せる武器にまで鍛え上げた。
だが彼等の武装……フィンの槍、アイズの剣、リヴェリアの杖……いや、リヴェリアには杖を渡したな。
アレでは、幾らレベルを上げたとて、黒竜の鱗を剥がす程のダメージを与えられない。
嘗て最強の英雄が与えた唯一のダメージが片目という事実を鑑みるに、他にダメージを与えられる箇所が無かったのだろう。
当然、もう片方の目を奪った所で黒竜は死なない。殺す為には鱗をどうにかして引き剥がす必要がある。
……私の武器を彼らに渡すのは構わないが、はて、彼らに合う得物があったか。だがまあ、まずは私を殺させる。話はそれからだ。
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「という訳だ。……ロキ・ファミリアの総力を以て、私を打ち倒して見せろ。」
私が黒竜の討伐依頼を受けた所から話すと、フィン、リヴェリア、ガレスは頭を抱えて座り込んだ。ロキはそれを見て笑いながら酒を呑んでいる。
「黒竜討伐の依頼を受けただって?神ウラノスから直接?……僕は夢でも見ているのかい?」
少し顔を上げて弱音を吐いた勇者は再び頭を抱えて座り込んだ。
「それにお前を殺せだと?そんなこと」
リヴェリアが反対してくるだろう事は分かっていた。だが、今回ばかりは譲れない。
「私程度を殺せぬのなら、黒竜討伐など不可能だ。今回に限って、感情論は受け付けない。」
「……だがなぁ。儂もフィン達から色々と話を聞いておるが、お主を殺せるかのう?特にアイズは、剣が鈍るのではないか?」
珍しく私に意見するガレスだが、その懸念は私も抱いている。
「私を殺せなければ、ロキ・ファミリアへの黒竜討伐依頼は神ウラノスに取り消してもらう。私は本気だ。」
私は人を殺す事など今更何とも思わないが、彼らはそうではない。主に戦う相手はモンスターであり人ではない。
だが、殺した経験が無い筈もないだろう。特にこの三人は。
私とて、見知った顔を殺す時は気分が悪くなるが、それはそれだ。
「……分かった。だが、アイズとは個人的に話をしてきてくれ。僕らじゃ彼女を説得出来ない。」
「では、今から向かおう。アイズは今何処にいる?」
「……ダンジョンだ。」
さて、アイズは私を殺すことを受け入れるのだろうか。……まあ今回に限って私は譲歩するつもりなど無いが。
私はアイズを探すべく、ダンジョンへと向かうのだった。
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