元褪せ人のスローライフ(願望)   作:Crimson Wizard

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あせんちゅの回想シーンから入ろうと思ったけどなんかしっくり来なかったのだ。
あとミアハ様がエリクサー持ってるのは話の都合上どうしようもなかったので許して欲しいのだ。
構成が雑なのも許して欲しいのだ。


第3話

 

 

「ふぅ……これでとりあえずは大丈夫なんだよね?」

 

「ああ。そもそもなぜあの様な状態で息があったのかが疑問ではあるが……。」

 

あれからヘスティアは急に自殺しようとした正体不明の人物を必死に運んでいると、ヘスティアの神徳(じんとく)故か手助けをしてくれるという人間が数名現れた。

ヘスティアは彼ら彼女らにその人物をミアハの所まで運んでもらい、その尋常では無い様を見たミアハは迷いなく商品である高級ポーションを使用した。

 

その後、ヘスティアによる事情の説明を経て今に至る。

 

「だがな、ヘスティア。心の傷というものは薬では癒すことが出来んのだ。この()が再び目を覚ました時にまた同じ事をしない保証はない。」

 

「そんな……」

 

善意で助けたつもりが、それで余計にこの子を苦しめてしまったら……とヘスティアはこの救いのない世界を嘆く。

 

「その心配はない。」

 

その声に驚いた二人は寝かされている筈の人物を見ると彼女はその翡翠色の眼を見開いて言う。

 

「話を聞くに、貴殿らが助けてくれたのだろう。神ヘスティア、そして見知らぬ男神よ。」

 

ヘスティアはしばらく呆けたような顔をしていたがハッとすると上体を起こそうとしていた女へと詰め寄る。

 

「何であんな事をしたんだい!とっても心配したんだぞ!それにまだ起き上がっちゃ駄目じゃないか!」

 

困った様な表情をする女を見兼ねてかミアハが助け舟を出す。

 

「こらこらヘスティア、気持ちは分かるが少し落ち着け。……それで、お前は何故この様な真似をしたのだ。」

 

ミアハの質問にもこれまた困った様な顔をする女だが、言い逃れは許さないというミアハからの無言の圧を感じ取ったのか渋々と口を開いた。

 

「……別に、ただの確認だ。」

 

「……ただの確認?」

 

女はため息をひとつ吐くと再び口を開いた。

 

「まあ、貴殿らには恩がある。全て話そう。」

 

そこから女は全てを話し出した。

 

自分は元々この世界とは別の世界で平和に生きていたただの人間だった事。

だがある時、狭間の地と呼ばれる女王マリカという神の統治する世界へと飛ばされた事。

 

狭間の地とは死の存在しない世界だったが、世界の根幹とも言える黄金樹、

 

その根源たるエルデンリングが破壊され、マリカの血を引く半神……

デミゴット達がエルデンリングの破片であり力の塊たる大ルーンを手にし、その力に狂ってしまった。

 

そして大いなる意思に見捨てられ、世界も狂ってしまったのだと。

 

そして彼女は褪せ人……かつて黄金樹の祝福を奪われ狭間の地を追放された人種であるということ。

狂ってしまった黄金律、即ち世界そのものを修復しようとする大いなる意思によって、再び祝福を与えられ彼の地にて使命とやらを与えられた事。

 

その使命はエルデの王、つまり女王マリカの代替となって世界を再び統治しろという事だ。

 

「私は何度も律を修復した。だが世界は何度修復しようと何故かエルデンリングの砕かれた後へと戻りたがる。

……疲れたのだよ。世界の修復等という当てのない使命とやらの為に奔走するのは。

先程も言ったが、その祝福なる呪いのせいで私は死にたくても死ねなかったのだ。だが先程は祝福を感じられなかったのでな…。

もしかしたら死ねるのではないかと思った訳だ。まあ……こうして生き延びてしまった訳だがな。

死ねると分かっただけでも儲けものだ。お陰で精神的な余裕が出来た。」

 

「そんな事が……」

 

思わず言葉を漏らすヘスティアに、絶句しているミアハ。

 

話を聞いたヘスティアとミアハは何と口にしていいのか分からなかった。この様な話を聞いた後では、まだ生きろ等とは口が裂けても言えない。

彼女がもう一度死ぬと言うのならばそれを無責任に止めることは出来ない。

 

「……ごめんよ!」

 

唐突に謝り出すヘスティア。

 

「……うん?」

 

困惑気味の女。

 

「君がそんなに辛い思いをしていたなんてボクは知らなかったんだ。でもさ、話を聞く限りじゃ君はもう不死ではないんだろう?」

 

「……ああ。死のうと思えば死ねるはずだ。」

 

ヘスティアは覚悟を決めたような表情をした。

 

「あのね、今からボクはかなり無責任で失礼な事を言うかもしれない。でも最後まで聞いて欲しいんだ。

キミは今までそれだけ大変な思いをしてきたんだ。死にたくなってしまうのも……おかしくは無いと思う。

でももう少し生きてみないかい?それだけ大変な思いをしてきたんだから、キミは自分にご褒美をあげても良いと思うんだ。」

 

つまりヘスティアはこう言いたいのだろう。

 

今までは死にたくても死ねなかったのかも知れない、でも今は違う。

死のうと思えば何時でも死んでしまえるのだから、心に余裕を持ってもう少し生きてみないかと。

 

「……キミを縛る祝福とやらはもう無いんだからさ、楽しんで、楽しんで、心から笑える様になってからさ。死ぬのはそれからでも遅くないじゃないか。」

 

「一度口にした気もするが、先程のは死ねるかどうかの確認だ。死んだら死んだで別に良かったのだが……もう今は別にそう死に急ぐつもりはないぞ?」

 

「へ?」

 

「言っただろう、精神的な余裕が出来たと。貴殿が慈悲深い神なのは理解したが……」

 

つまりヘスティアは、もう死ぬ気のない人間にもう少し生きよう生きようと説得をしていた訳だ。

 

「ま、まあ!それならいいんだ。所で、キミはこの辺の地理の事なんかを知っているのかい?」

 

「いや、生憎だがここが何処かすらも分からない。そもそも何処なんだ?ここは」

 

ヘスティアは頬を赤くしたかと思いきや、すぐに得意げな顔へと変わって口を開いた。

 

「ここはオラリオだよ!」

 




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