バイトを辞めたのでいい機会だと思いまして……。久しぶりに投稿します!
今更ですけどエルデンリングDLC発売決定は嬉しいですね。
「へぇ……じゃあこの武器は条件を満たさないと装備出来ないという訳ね。」
「ああ。武器にもよるが、これはかなり使い手を選ぶな。」
あれから私は、約束通り神ヘファイストスに所有している武器を見せていた。
「まあ、こんな所だ。まだ無いわけではないが、流石にキリが無いのでな。」
「それもそうね……。もう日も高くなってきた事だし、そろそろ貴女の防具の要望を聞きましょうか。」
突然だが、私は自分の為の防具を一つとして持っていない。
私の所有している武器や防具は全て、敵から奪った物だ。
なので柄にも無く楽しみにしてはいるのだが、こちらとしての要求はそう多くは無い。
「まず全身鎧がいい。だが機動力もある程度確保しておきたいので重すぎるのは困る。」
「いきなり難しい注文をするわね……。
重くないフルプレートアーマーってだけで、それを作れる鍛冶師はオラリオ中を探しても片手の指で足りるわよ。」
まあ流石に重くない鎧等、無理な注文だったか。
「不可能ならいい。」
私がそう口にすると神ヘファイストスは悪戯っぽい笑みを浮かべて言った。
「不可能ですって?私を誰だと思ってるの。貴女が前にしているのは鍛冶を司る神よ。この程度、不可能な事があるもんですか。」
「フッ、それは頼もしいな。」
何やらプライドを刺激してしまったらしい。やる気になってくれた様なのでこちらとしては願ったりだ。
「それでデザインはどうするつもり?」
「それこそ貴殿に任せたい、私の美的感覚など当てにならないのでな。」
これは本当だ。何百年もまともじゃないモノを見てきたせいか、かなりズレている自信がある。
「普通なら一番に口を出す所でしょうに。……まあ、分かったわ。とりあえず採寸だけしたいから、こっちに来て頂戴。」
それから私は採寸され、すぐには出来ないから10日程したらまた来るようにと言われてテナントを出た。
「さて……まずは落ち着いて生活出来るスペースを確保したいな。」
長く化け物共の徘徊する物騒な土地に居た反動か、私はとにかく落ち着いた暮らしというものに憧れた。
「そうだな……人気の少ない場所に店でも開いて、静かに暮らしたい。」
だが今の私に先立つもの等ある筈も無く、祝福が消えた影響かこの身体は食事と睡眠を必要とする。
ならば当然、宿は必要であるし食事を摂るのにも勿論通貨が必要だ。
「当面の目標は資金稼ぎだな。ダンジョンに潜るのはいいが、ファミリアとやらに所属しなくてはならないらしいが……」
ダンジョンとやらに入るにはギルドを通らなくてはならないらしい。
勿論姿を消して侵入する事は可能だが、私はこの土地でお尋ね者になるつもりは無い。
静かに暮らしたいというのに指名手配など以ての外だ。
それに
「まずは神ヘスティアを当たってみるか。」
「いいのかい!?」
あれから私は、神ヘスティアのバイトが終わるまであの廃教会に居座っていた。
それから帰宅したヘスティアに、ファミリアへ加入出来るのか確認をすると何故か酷く驚かれた。
「あ、でも……」
ヘスティア曰く、前にも説明した通り私の素性は兎も角、その特異性はすぐに隠し切れなくなるという。
そうなった時に影響力の無い自分のファミリアではキミを守ってあげられないと、ヘスティアは言う。
全く、どこまでお人好しなのか。
「それは貴殿の気にする事では無い。第一、私は自分の身くらい自分で守れる。」
この身に誇れるものなど、この力くらいしかない。
「だがまあ、元より
「うん……ごめんね。今のボクじゃ、キミに提供出来るものは何も無い。本来は
ボクは一方的に享受するだけの関係なんてイヤなんだ。これはボクのワガママだから、どうか気にしないでおくれ。」
と、まあ断られてしまった。何処までも義理を重んじる姿勢には感服する他ないが、私としては加入したかった。
これでは結局、資金集めを始められない。
どうにかしてファミリアに加入するか、最低限の資金を稼ぐ方法を考えなければならない。
私は必死に頭を働かせた。
私に出来る事など限られている。戦う事。殺す事。破壊する事。
……私は致命的なまでに何かを生み出すということに向いていないらしい。
これでは、雇ってくれる者など居ないだろう。
「考えすぎて疲れたな……。何処か休めそうな場所を探すか。」
「これは……」
適度に人の少ない路地、静かな店内。落ち着いた雰囲気……私の理想とするような店だな。
本棚があり、客は飲み物を頼めば無料で書籍を読めるらしい。
盗み防止の為か、裏口の辺りに用心棒の様な者もいる。
私は数少ない手持ちで飲み物を頼み、これからどう行動するのかを考えていた。
「これでは気が休まらないな……」
頭を使い過ぎた気分転換に、解放されている本棚の前で読めそうな書物を探す。
「魔法の種類?」
魔法といえば、この世界の住人は魔術という学問を学ぶ訳ではなく、各々が成長する過程で発現する固有のモノらしい。
「魔術とは違うようだが……」
私は戦士であると同時に魔術師でもある。
そこでふと思ったのだが、この世界の住人はあちらの世界の魔術を習得する事が出来るのかと。
魔術といっても様々だが、あちらの世界ではある程度体系化されていた。
輝石魔術、学院やカーリア王家の魔術などはその筆頭だ。
魔術とは学問であり、知力のある者ならばその資質に応じて使える魔術の幅は広がる。
だが知力が無くては魔術というモノは使えない。
逆に言えば知力……かなり曖昧だが。要するに理解し読み解く力に長けていれば使えるのだ。
「気になるな。どこかに才能のある魔術師……こちらでは魔導師というのだったか、居ないものか。」
そう独り言を零すと、店内にいた客の一人が話しかけてきた。
「失礼。盗み聞きという訳ではないのだが、聞こえてしまってな。私は魔法を生業としている者なのだが、魔術とは何だ?聞いた事がない。」
……エルフ、だったか。
種族の説明は一応されたが、私には魔法に長けた種族という事しか分かっていない。
だが都合がいい。
「魔術とは学問だ。体系化された魔術を学び、習得すればその者の知力に応じて魔法的な現象を操る事が出来るようになる。」
「ほう、それは気になるな。私にも使えるのか?」
エルフは生真面目で神経質だが、魔法への適正が高く勤勉な種族であると聞いている。
「それは分からない。まだ試した事がないからな。」
そう言うとエルフは怪訝そうな顔をする。
「ん?先程体系化されていると言わなかったか?」
まあ、流石に別の世界だとは思わないか。
「色々と事情があってな、あまり大事にはしたくない。秘密を守ってくれるのなら実験を兼ねて私が魔術の師となる事も出来る。」
「少し胡散臭いが……私のレベルも停滞して長い。それに魔術というのは純粋な興味を唆られる。他者に公言する事はしない。これでいいか?」
レベル……先程魔法を生業としていると言っていたな。
「いいだろう。ではまずは私の事情を話そう。」
リヴェリア・リヨス・アールヴは困惑していた。
今日は珍しく予定の無い日であり、馴染みの喫茶店で休日を満喫していた。
この喫茶店は知る人ぞ知る、とまでは言わないが人の少ない路地にあり、あまり有名という訳では無い。
そして店に長く通っていれば新しい客というのはすぐ分かる。
だが、別に新規の客だからといって話しかけるような事もなく、解放されている本棚から何か本を借りようと席を立った時の事。
新規の客の独り言から、偶然耳に入った魔術という言葉。
私は興味の赴くままにその人物へと話しかけた。
その人物はごく普通の服を身にまとい、赤い長髪を後ろで束ね、腰にはダガーを携えている。
そして魔術という未知に柄にも無く少し興奮してしまい、相手の話を呑んだ。
実質この話を秘密にしているだけで私は魔術という未知をものに出来るかもしれない。
そう、短絡的な思考で話を進めていくととんでもない事情を知ることとなった。
「という訳だ。」
「……待て、情報量が多過ぎだ。」
エルフは頭を抱えて黙り込んでしまった。
だが、こちらも事情を話した以上協力してもらう。
「まあ、すぐにとは言わない。準備が出来たら……」
呼び出そうと思ったが、私は住居を持っていない。
「未だ話半分だが、とりあえず理解はした。そちらの準備が出来次第、ロキ・ファミリアのホームに来てくれ。」
「ロキ・ファミリア?」
確か都市を二分する勢力の一つ、だったか。
「今更ではあるが、お前は私を知らないようだな……」
……名の売れている人物だったのか。
「ああ、この辺の事情に疎くてな。」
私がそう言うと、エルフは佇まいを正して再び口を開いた。
「リヴェリア・リヨス・アールヴだ。今更だが、よろしく頼む。」
「……シルヴィアだ。」
あせんちゅに神の恩恵を授けてオリジナルスキルや魔法を覚えさせるのに
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