「あ~今日も遊んだ遊んだ。・・・あれ?」
「うわっ、やば。会長に副会長・・・ん!」
「あれってトレセンの人?」
「どう考えてもうちらと同じかうちらより下だよね」
「酔ってる・・・?」
「カメラだ、カメラ!写真を!」
「これをシリウスさんに送るんだ」
「!・・・わかった!」
「どうしたシリウス、いつもより顔が曇ってんぞ」
「・・・・・」
同室のウマ娘・ナカヤマフェスタの煽りにも無反応なのが今日のシリウスシンボリだった。
「いやぁ何にも」
「嘘をつくのが下手だぜ、何かあったんだろ」
寝転がるシリウスの背後に、ナカヤマがふと迫る。
「お?こりゃあ・・・」
シリウスが無言でナカヤマに携帯の画面を見せる。
「フッ、馬鹿共が送りつけてきやがった。皇帝サマの懇親会で未成年飲酒があったっぽい・・・だとよ」
「ハハハ、羽目を外すにも作法があるってもんだろうに」
「録音つきデータも送付されてきた」
<バカ、調子に乗りやがって。酔いがさめるまで少しじっとしてろ>
<会長たち、ここに一緒にいるとよくない。これはあんたらの責任じゃない>
<いえ、私の管理が行き届いていなかった面もあります。回復するまで一緒にいてもいいかな>
<会長、しかし明日も朝があります>
<構わない。今は私の感情を汲んでくれ、エアグルーヴ。君は先に戻っていろ>
「フッ。これをアンタに送ってどうしろっていうんだ」
「理事長に先に報告しろって言って来てやがる。馬鹿が、自分達のグループLANEに載せやがった」
「じゃあ会長も逃げられねえと」
「もとからあいつは逃げるようなタマじゃねェ・・・」
シリウスが深いため息をついた。
「ルドルフはこの一件を隠すなんてことはしない。だから必ず何かしらの形で上には伝わる。その前に私が報告すれば、ってのがバカ共の考えだ」
「そうすれば皇帝サマを引きずりおろせる・・・なんて考えてんのか。やってみりゃいいじゃねえか。いつもあれだけ食って掛かってんだし」
「フン、奴を政治で引きずりおろしたところで何の面白みもない」
「じゃあなんだ。・・・まさか」
ナカヤマが目を見開く。
「アンタマジで酔狂だな。そこまでわかってるのに、<可愛がってる取り巻きにせっつかれちゃァ断れない>って事かい」
「・・・」
シリウスは黙って部屋を出た。
もう時刻は夜。
アイツはもみ消しなんか絶対にしない。明日朝にはルドルフは帰寮し、事態を報告するというのは旧知の仲であればわかった。シリウスはダメ元で理事長室に向かう。ここで理事長がいなければ、行ったけどダメだったと取り巻き連中は説得できる。行かなければ、自分の面子が・・・否、シリウスの中の何かがいかないという選択肢を許さなかった。
(ナカヤマ、いつもお前とやってる賭けだぜ。理事長がいれば、私は何かしらの形で巻き込まれる。いなければ、ルドルフが謝って全て終わりだ)
しかし不幸にも、理事長室の扉からは灯りが漏れていた。
「失礼」
シリウスが理事長室のドアノブに手をかけた。
「シリウスシンボリだな」
山積みになった書類を片付ける秋川理事長が、入ってくる前からその正体を当てて見せた。
「遅いんだな、理事長」
「要件を」
「・・・うちで面倒見てるのがこんなのを送り付けてきやがった」
シリウスが例の写真と音声を理事長に見せる。
「確認ッ!確かに今宵、ルドルフらは協会主催のパーティに出席している!見たところ場所も間違いはなさそうだ」
「生徒会の不祥事だ。私の取り巻きが知ってるってことは、ウマトックやLANEで出回ってもおかしくない。私がそれはやめるように言い伝えているが・・・情報は早い方がいいかと思いましてね」
「・・・・・」
理事長がぐっとシリウスの目を覗き込んだ。
数秒ののち、理事長は扇子をぱっと開いて笑った。
「わっはっはっ、承知ッ!君の目に邪心はない。生徒会も大きく関わっていたパーティ故、無罪放免ともいくまい。それに、
「!・・・本気で言ってるのか」
「その覚悟くらいは持ってここへ来ているはずではないか?それに、それを望む生徒たちもまた、トレセン学園の同志だ」
・・・・・
「おう、どうだった」
「今日は寝る」
「おいおい、夜更かししてまでお前を待ってたんだぜ。結果くらい聞かせてくれよ。皇帝サマは無罪放免かい」
「・・・なァナカヤマ」
「あ?」
「お前は取り巻きと同罪だ。私を焚きつけた・・・」
「断らねェお前が悪ぃ」
「だから手を貸せ。明日から私が会長だ」
「何っ」
「チッ。面倒くせえことになった」
【翌朝・理事長室】
「理事長、お話が」
理事長の出勤に合わせて部屋の前で秋川を待っていたのはシンボリルドルフだった。
「かくかくしかじかでありまして・・・飲酒した生徒については、厳重注意は既に行いましたが」
「あの、ルドルフさん。大変申し上げにくいのですが・・・」
口を開いたのは、理事長と共に出勤してきた駿川たづなである。
「実は昨日、数名の生徒からその報告が既に我々にあがっていまして」
「!」
「我々もこの一件を重く受け止めています。同時に生徒会の管理不行き届きであると・・・。それで、一旦現生徒会の活動を休止させるという方向で話がまとまったのです」
「・・・というと?あまりにも話が速すぎる。生徒会は今日も多くの書類を残しています。それらの処理をするのは・・・エアグルーヴですか?」
「いえ、シリウスシンボリさんです」
「・・・!!」
ルドルフが目を細めた。そして合点がいった。あの時間帯に騒ぎを聞きつけるという時点で、いわゆる
「理事長、あなたの決断ですか」
「無論ッ!ただし、現生徒会はあくまでも凍結ッ!完全に消滅したわけでも、解散したわけでもない。そのことを忘れないように!代わるのは生徒会長および副会長2名!ただしこれも臨時的なものとする」
しかしシリウスシンボリがとった人事は、朝のトレセン学園を震撼させることになる。
その発表は、朝の時点で全生徒にプリントが配布された。会長権限ということで、教師やトレーナーも知らないうちに印刷された発表だった。
「うおおーーっ!!すっげええーー!!ギム先輩が副会長だなんて!!」
「馬鹿!うるさいわよ!静かにしなさい?!」
ウオッカとダイワスカーレットの声がどこからか聞こえてくる。
「ロブロイさん、すごいね!クリスエスさんが副会長だって!」
「は、はい!でも・・・どういう事なんでしょう。突然の事過ぎて・・・」
ライスシャワーとゼンノロブロイは、少し異なった反応を互いに示す。
「ああ・・・なんてことだ!落日の皇帝の座を奪うのがボクじゃないなんて!ボクこそ全てを統べるに相応しい星なのに」
「お、仰せの通りですぅ~!」
(はぁ・・・何かやりそうね。この人たちも)
テイエムオペラオーとメイショウドトウはなぜか色めき立ち、アドマイヤベガはそれに早速何かを感じ取りため息をついている。
そして、その発表をひときわ険しい顔で見るウマ娘がいた。
バンブーメモリーである。
(・・・シリウス先輩が会長ってことは、
バンブーメモリーは、その日各クラスの風紀委員に「緊急集合命令」をかける。
「だれが会長であろうとも!我々はバクシンするのみです!」
サクラバクシンオーは内心驚きはあるが、自らの姿勢は崩れない。
シリウスの取り巻きたちは大盛り上がりで、朝からトレセン学園に波乱の香りが漂っていた。
本当は短編漫画にしたかった話ですが、私に絵を描く才能が絶無だったため
中途半端な文才を使って消化することにしたものです
そんなに長い話にはならない予定、そもそもちゃんと完走できるかも怪しい
でも、シリウス推しなので書いてて楽しい 早く育成したい
途中文章を手直ししたりすることもあるかと思いますがお許しください