ゾンビゲー転生サバイバル百合モノ   作:バルロjp

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先に言うんですけど、私も何でこうなったかはわかんないです。


PVP?

倉庫番(シャク)の所には色々と有用な物があった。私はクーがここ掘れワンワンした酒類のおかげで十分なポイントを得て、必要そうな物は交換していた。

 

そこで交換したものには、『カメラ』がある。これは皆が想像している通りのものだ。見た目は蒼黒い箱の様なモノで、中央にあるレンズで人物や風景を撮影し、記録する。そしてそれは私の持つプラスウォッチに送られる。なお割と値が張るのでポイントは無くなった。

 

私は屋上経由で移動し、レンズに『影抑光クリーム(ARC)』を塗ってより見つけづらくしたものを奴らが通りそうな建物に仕掛けた。三つ仕掛けたので、どれかには引っかかって欲しい。

ちなみにこのクリームは、使用するとガラスや金属などが日光で反射し光るのを無くしてくれるものだ。本来は狙撃用のスコープとかのみに使用できるものなんだけど、まぁリアルの恩恵って事でね?

 

設置を確認しそれとなくカモフラージュして、急いでクー達のいる屋上へと帰宅。

 

塀に寄りかかり地面に弓を置き、足を片方だけ立てリラックスしながらチョコバーを食べてるワニが、「ん」と最初に遊んでいたシルクハットを差し出してきたので被りながら横に座る。でついでに隣で女の子座りしながらもそもそとチョコバー(ストロベリー味 確かワニはイチゴが嫌いと言っていたので押し付けたのだろう)を腿に乗せる。

 

「私にも一個頂戴」

「ん」

「新しいのくれって意味だったんだけど……まいいや」

 

負担がかかる作業には糖分補給。特に疲れているわけではないけど、何かするたびにチョコを食べていた私はワン動作にワンチョコが刻まれている。

私はワニが差し出してきた半分ほど無くなったチョコバーを齧って更に半分にし、ワニからは間接キスのコメントを貰った。

 

抱えているクーの脇から手を通し、プラスウォッチを弄ってカメラから送られる映像を表示する。プレイヤーはまだ来ていない用で、カメラA、B、Cにはそれらしき影は無かった。

 

『あー、あー、ルーピシュ? マントヘルメットその他の現在地分かる?』

『……確認した。D2の半ば(はんば)だ。カルシアが細工していた家を通るルートだ』

『お、やったぜ。さんきゅさんきゅ』

 

「とりあえず、仕掛けたカメラには引っかかりそうだね」

「あのカメラ、リアルになったから見る場所多くて発見できる気がしない」

「そこは金属~機械探知系取るかアイテム持つしかないよ」

「ここにプレイヤーって人がみえるようになるの?」

「そそ。今から戦うのはねーさっきのゾンビや、プトラちゃんにマキシマムにリーダーより強い奴等だから、ちょっと事前情報収集おね。っと、きたきた」

 

目の前で浮かぶホロウィンドウに、顔を見上げて聞いてくるクーに返事をする。……クー、前髪ちょっと長くて目が隠れる時あるな。これ終わったら切ってあげ……プトラちゃんに切ってもらおう。

 

私はクーの前髪を分けながらホロウィンドウを見る。入ってきたのは4人組。どうせ直ぐに潰える命なので特徴だけ記すと、マントにヘルメットにちょび髭にメガネだ。ルーピシュの情報通りだね。

 

とここでちょっと無線が。

 

『よぉ……げほっ、げほ……あー、カニューだ。『復元細胞(リス)』と『体内除細動器(ICD)』で冥途から帰還したぜぇ。あーくそ、状況ヤバそうだな……』

『……保険が生きたな、カニュー。既に全員(ぜいいん)撤退している、他にも埋めている奴はいただろう。回収できる奴は回収しD2D1を避けてマキャロエン線まで戻れ』

『うーぃ』

 

死んだと思われていたカニュー君復活か。工業大学はここら辺多いから厄介な印象だよねー。

まぁそれでもNPCの所属によっての特色で工業大学の蘇生よりかは、傭兵会社の純粋な戦闘力による特攻や個人研究所の耐久オバケの方が酷いけど。

 

でもここら辺の蘇生手段、ゾンビによる感染には効果ないから、マジで対プレイヤー用だよなぁ。

 

そんな無線が届いてる中、ホロウィンドウに移るプレイヤー達はさっさっと室内を確認すると、距離を取って立ち止まった。プレイヤーって索敵が『気配察知』とか頼りだから細かいとこ見ないんだわ。だとしても『カメラ』は序盤よく使われてる手段だからもっとしっかり見るべきだけどね。

 

『……だいぶ音グレのとこまで近づいてきな。ここは一旦しっかりと索敵しといたほうがいいだろうか?』

『サッキ銃声止ンダモンナァ。警戒スルニ越シタコタァネェシシトコウゼ』

 

ホロウィンドウからカメラを通して送られてきた音声が響く。後半はマントが喋ったっぽいが、声がサイボーク系だった。

 

「都合よく立ち止まってくれる」

「ね、助かる。装備じっくり見れるし」

 

えーっとまずマント。こいつは銃下げてるけど、それはこいつに限らず全員。CAR Jamesという、まぁ私のws-03と一緒で最低クラスの序盤ARだね。よくドロップする数を確保しやすいARだし、工業大学の標準装備だからさっき殺して奪った奴だろう。

 

マント君は、銃以上にどこまでサイボークされてるかが怖い所だけど。それ以外は特筆するところはないかな。

 

『な、なぁ。本当に進むのか? 今のところうまく行ってるんだから、ここで止めておくべきじゃ……』

『ンダヨノボルゥ~ビビッテンノカァ? ブルーベリーハウスジャアルマイシ、サッキモ言ッタガ大丈夫ダッテ』

『うむ。NPCに後れを取る我々じゃないからな! 万が一プレイヤーだっとしても、我々は4人いる! こんな装備でも大丈夫だ!』

『俺ハ一番イイノヲ頼ンデルケドナ』

 

メガネ君は、武装はマントの同じCAR James。バックパックを背負っていて、チームの荷物持ちをしているっぽい。言動が弱々しいしメガネという印象から気弱でイジめられてそうな雰囲気があるけど、別にイジられてるだけでイジメではなさそうだし、そもそもキャラはゴツいおっさんだ。あとでっかい盾。黒くて縦1m20cmの長方形で、上の方にはガラスで構えても視界を遮らないようになっている。いわゆるライオットシールドだね。とりあえずあれには私の拳銃は通らない。

 

『……ところで、NPCが滅多に使わない音グレを使ったということで、敵はほぼプレイヤーであることが確定した。しかるに我はリーダーということで確認をせねばならないんだけど……。他プレイヤー、どうする? 対話か、敵対か』

 

お。

 

「僕らは殺すが?」

「彼らにはいち早く元の生活に戻って欲しいので殺すよん」

 

なお死んでも戻れる保証はない。

 

私はクーを抱き寄せしなだれかかってくるワニに肩を貸し、他プレイヤーの『人間』が出そうなシーンにニヤ付きながら画面を注視する。

 

『……ジャ、リーダーデアルカースカラ意見交換ッテコトデ』

『我からか。まぁこういった意見なら先に言うのもリーダーの責務か。我は……プレイヤーならば、まずは協力、そうじゃなくても不干渉を打診すべきだと思っている。人工知能、01の集合体、ただのプログラムと言い訳できるNPCはともかく、プレイヤーは我らが産まれた地と同じ人間なのだから。プレイヤーを殺すのは気が引ける、というよりは、超えてはいけない一線を越えるようで怖い。……次、鉄丸』

『俺カヨ。俺ハモウ、NPCト同ジ扱イデイイト思ッテルゼ。ソモソモ、公式鯖ノ連中ナンテ裏切リ前提戦争ヒャッホーナヤベー奴等ジャネェカ。リアルニナッテモ、ソノ疑心暗鬼ハ続クトンジャネェカナ。協力不干渉ガデキルト思エン。正直、死ニタクネェシ女デアッテモ奴隷トカ考エズ始末シテーナ。俺ハ見ズ知ラズノプレイヤーヨリオ前ラニ生キテ欲シイシナ』

『うむ。次、ノボル!』

『お、俺は……俺は……。正直、今すぐNPCもプレイヤーにも会わない山奥に引っ込んで、静かに暮らしたい……。ゾンビは化け物って自分を言い聞かせれるけど、NPCが人殺しには慣れれそうにない……。さっきの人たちを切り裂いた感触が、今も手に残ってるんだ……。死にたくねぇけど、殺したくもねぇよ、俺……』

 

「あはぁ、いいね、いいねぇ!」

 

画面上から伝わってくる感情に私は思わず笑みが零れる。傍から見れば私はそれこそ恍惚とした表情をしているだろう。なんたって私、こういった"自分"が吐露される瞬間がだいっすきだからね。

 

「おねーちゃん、すっごいおかおしてる……」

「シッ、見ちゃいけません。シアねぇは極限状態の人間の感情を見るのが好きだからトリップしてるんだろうね。流石僕が惚れた女、性癖が歪んでるぜ」

 

えーだって良くない? 人間としての本性が見れるの。取り繕えず感情が剥き出しになるあの瞬間! 見ててさいっこうに気分が良くなる。

 

『……次、オメガ』

『……まず、最初に謝る事があるが、僕は我慢できずwikiを見ていた』

『ハァ!? オ前アンダケ皆デ初見プレイシヨウゼッテカースガ言ッテタノニ見テタノカヨ』

『実は我もちょろっと見てた。ちょっとだけ、ちょっとだけな! 鯖建てる時とか目に入っちゃったのもあるし!』

『イヤリーダーハ見テソウダトハ思ッテタ』

『それは……俺も思ってたけど』

『余りにも信用されていなくて異議を唱えたい、が、実際見ちゃってたし何も言い返せぬ』

 

「うっわ、こいつらwiki未履修なんだーえーマジーwiki未履修?」

「wiki童貞が許されるのは身内鯖までだよねーきゃははははは」

「そのうぃき? っていうのみりしゅーだとダメなの?」

「ダメ。あのねークー。NZWにおいて、事前勉強は推奨じゃなくて必修なの。私だって未だにwiki片手でやるときあるもん。……えーっと、クーに分かりやすく説明するならーらーらー……ワニ」

「飛車角金銀桂香落ち」

「分かりやすいわけあるか。クーにとっては、腕もワンちゃんも私達もいない状態かな」

「えっ。あの人たち、とてもむぼう?」

「そゆこと」

 

そりゃーゲームデザインとかは似たようなのあるから、ある程度ゲームした事ある人なら直観で進められるだろうし、ゲーム内チュートリアルもあるけどさぁ。チュートリアルって、10分で終わるような奴よ? それだけで数あるNZWのコンテンツの触りだけ紹介されてはいゲームスタートって、どんだけコンテンツ見逃すんだよ。

 

例えば人体改造の初期強化である、『骨密度強化』に必要なアイテムの『異界生物の骨』『C-MB薬』『強化ステンレス』を集めようとして、手探りでどんだけ掛かると思ってんの? wiki無しだとどいつが落とすかもドロップ率も生成場所も全部手探りだぞ。それが楽しいってのはまぁわかるけど、一個一個にそれやってるととても手が回らないのがNZWだ。

身内鯖だと一切発生しない『ワールドエンド』イベントや『共命』イベント、それにそもそもプレイヤーがいないからゆっくり進められるとはいえ、wiki未履修は舐めてる。もう一回言うけど、このゲームwiki履修が前提なんだって。

 

『そしてwikiの項目に気になるものが一つあった。『ワールドエンド』というイベント分類のページだ。俺たちが元いたオフライン鯖では発生しない、公式鯖限定のイベントだ』

『ワールド、エンド』

『物騒ナ響キダナ?』

『イ、ベントって事は楽しいことだよな!? なぁ!?』

 

メガネ君が必死に叫ぶ。

 

『そこには、サーバーが、つまり地球が滅ぶイベントについて色々と書かれていた。この世界は山奥に引っ込んでも安心はない。1年か2年か、それとも10年かはわからんが』

 

画面内で、オメガと言われているちょび髭が腕を組み、重々しく言葉を発した。それと同時に、メガネ君が顔を真っ青にしてよわよわしく崩れ落ちた。口がぶつぶつ呟く様に小さく動いている。多分「嘘だ、嫌だ、死にたくない」とか言ってるんだろう。

 

『これがなければ、俺も人殺しを進んでしたいわけじゃないから、ノボルと同じく山奥引っ込んでスローライフでも良かったんだがな……。『怒りの日(地震)』も植民地(宇宙人)も山奥にいちゃあ対処できないもんばかりだった。公式鯖の敵はプレイヤーだけじゃなく世界も牙を剥くって事だ』

 

しぃんと、静寂した部屋に、鉄丸(サイボーグ)君のポツリと漏らした「マジカヨ」という言葉が響く。あぁ残念。この世界は山奥に逃げて済まされるような優しいゲームじゃない。

けど───

 

『だが、希望はある。生還と言われるルートだ。道のりは長そうだったが、これなら俺たちは生き残る事ができる』

 

難しい顔して俯いていたリーダーがハッと顔を上げる。

そう、NZW唯一の逃げ道、生還がある。ゲームでは次に託すより今を生きる方が優先されていたので、その難易度もあり使われることはあんまりなかった機能だが、リアルとなった今は正に輝く希望の星だろう。

 

『ノボル、それに皆。生還ルートを辿るなら、俺たちは強くならなきゃいけない。正直言って、奴隷とか抱えてる場合じゃない。俺たちは生きるんだ。全く自慢できないが、俺はwikiを読むのが好きだったから全部読んで覚えている。何をすればいいかは解っている』

 

オメガと呼ばれているちょび髭が、そう言って〆た。

 

ああ。いい。まさに主人公のようなそのカリスマ、統率力、圧!

ホロウィンドウ越しでもわかる。この感情が、個性が出ている瞬間が、人間が現れている瞬間が! 絶望に染まり、希望に眩み、生きたいと望み死にたくないと足掻いて……!

なんて素晴らしいんだろう……やはりNZWは最高のゲームだ。

 

「うぉ……シアねぇの瞳孔が開いてる……人間であっても起きる現象なのかこれ」

 

もっと見たい。もっとこいつらを引っ掻き回して本性を引きずり出したい。もっといいものが見れる。こいつらはもっといいものを魅せてくれる。……こんなところで殺すのは()()()()()()

 

「えへ、えへへ、ふふふふふ。……クー、ワニ。気が変わったよ」

「んぅ?」

「ほん?」

「このプレイヤーたちにはもっと生きてもらいたい。もっと面白くなる気がするんだ。彼らにはもっともっとこの世界を味わって欲しいんだ。逃がしてもいーい?」

「おねーちゃんがそうしたいなら」

「僕は一時期養鯉家を目指した事もあった気がする」

「ありがと」

 

私はクーとワニの頭を撫でる。いやぁ、私の我儘に付き合わせて申し訳ない。この程度のお礼しか今はできないけど、今度何か埋め合わせするからさ。

 

いいものを見れて上機嫌な私は、今後もいいものを見るために連絡をする。相手はルーピシュだ。

 

『いえーい、カルシアだよー。ルーピシュって相手がどこの建物にいるかわかってるよね?』

『ああ、相手は未だ動きはないが。建物から出てはいないはずだ』

『一発建物に当たるように撃ってくんない? 牽制目的でさ。お願い―』

『……了解した』

 

どうするの、と言いたげな目でワニが脇下から見てくる。

 

彼は、オメガ君はとっても優良株だ。揺るぎない意志があって臆せず行動ができる。何よりもカリスマがある。けどな~~~ちょぉっと刺激が足りないな~~~~~。

おっと、いるじゃないか。刺激になるものが。彼の周りに、三つも。

 

まずは一つ。かるーくつついてみますか。




おかしいな……男四人さっさと殺すプロットだったんだけどな……。

この小説には主要キャラクター或いはそれに準ずるキャラクターが死ぬ可能性があります。
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