これとあと一話戦闘やったら日常やりまーすw
その後、私の行動は早かった。報告によると周りには大量のゾンビ、しかも追加情報によるとハイゾンビも半分は混ざっているらしい。とても今の私に捌ける量ではない。クーとワニ、もしくは工業大学からの援軍がないととても戦えない。
と、いうわけで。
理性的で理知的な私は、当然色々加味して考えた結果、目の前の
「いやぁ、それはおかしいじゃぁん!? 天然ものじゃなきゃだめって事!? 人工はだめ!? 狩りをする喜びの上で食事をしたいと!?」
二階から屋上へ更に隣の屋上廃車に飛び降りて塀に昇り木を経由して他の家へ……。オメガ君で遊ぶ前のゾンビとの攻防が練習にもならないぐらい、ハードでアクロバティックな逃亡劇が開始だ。しかもその時と違って、今回逃げ回っててもクーとワニが数減らしてくれないし、そもそものゾンビの数が違うし……。
一応、逃げながら余裕があるときに拳銃を撃つが、こんな数相手じゃ焼け石に水すらならない。ルーピシュ君曰く、ゾンビの総数500体ぐらいだって。ははっ、高校の1学年どころか1、2、3学年全部埋まりそうな人数で笑える。テンガロンハット? 既にどっかに落としたよ。
『そっちに向かってはいるけど……僕たちに流れてきてるのも多いから結構キツい』
『わわっ! うぅ……ワニちゃんこっちの方が少ないよ! ゾンビなんかに、おねーちゃんはぜったいわたさない!』
途中から合流に動いていたクーとワニも近くまでは来ているっぽいけど……近くが故にゾンビと遭遇しまくってるらしい。いのちだいじにで動くよう伝える。
ねぇ、ところでクーが言うゾンビに私を渡さないって、仲間としてだよね? お肉を渡さないとかそういう意味じゃないよね? 頼むぞ。
「もー! 激ムズ難易度初見突破は鬼畜過ぎるってロシュアー!」
いやーほんと最高かよロシュア。命の危険が迫っても、追い詰められれば追い詰められるほど楽しくなっちゃうぜ。何とかなるなるの楽観視したメンタルのおかげで、体が萎縮することもなく絶好調だ。
「ほっふっせいっ!」
空調機を乗り継ぎ、空いてる窓から家の中へ。外に見えるゾンビの視線の注目度に笑いながら銃を装填してると、下のドアが蹴り開けられる音。かしゃんっと弾倉を元に戻して、先頭を走る元気な君にワンショット! 後は屋上に逃亡でまた繰り返し。
「はぁっはぁっ……! ふぅ~~~……。流石にこの数相手するにはスタミナ足らなくなるぞ~これ」
……繰り返しなのはいいんだけど、やっぱり体力だけキツいな。現状、ゾンビを削る手段が私のささやかな反撃、ルーピシュの狙撃、どこかで奮闘してるクーとワニしかない。
「……はいはい、4体ね」
そして基本逃げ続けている私だが、それでもたまに正面突破しなければならない場面も出てきて、それがまた体力を使う。嫌だねー。
ワニによる援護は期待できないので、まず投げナイフを投げて先頭のゾンビの額に命中させる。そのまま投げナイフを回収する予定───だったけど、後ろめりに倒れやがったので回収を諦め、次のゾンビに回し蹴り。ブーツの踵をゾンビの顔面にぶち当て、床ペロさせた。
次の一体には銃で胸を撃ちのけ反らせ、先手を取ってヤクザキック。4体目を巻き込んで倒れこみ、私はそれにトドメを指す事なく走り出す。何故なら後ろから次のお客さんが来ているから。っふ、人気者はつらいぜ。サインのデザイン考えてないんで色紙はまた今度でいいですか?
『おいルーピシュ! 人質回収部隊だが、これ行けなくないか!? デモ運動だってここまで勢いないぞ!?』
『そもそも言っちゃぁ悪いがこの数のゾンビ相手だと、人質はもう……』
『……いえ、待ってください。ゾンビ達がこっちを一切見ていません。新入りの子にヘイトが全部いっていませんか?』
『マジかぁ? ……マジだぁ。あー……新入りの子には悪いが、何か生き残ってるみたいだし、回収できそうだな……。いやマジなんでこの数相手して生き残ってんだ。気持ち悪』
「おーなんか急に罵倒に繋がったな。そして私にしか目が無い事も判明しちまったな。マタタビでも被ったかな? ま多分こーれロシュアが何かしてます」
『僕も狙われてるんだが? プレイヤーのみ狙うって世界的には不自然じゃ?』
『マタタビ! ゾンビにはあげない! クーのマタタビ!』
『犬なんだからマタタビは違うくない?』
「猫っぽいのはどっちかっていうとワニだよねー。気まぐれでツンツンしてるとこあるし」
『は? 僕はタチだが?』
「そういう事言ってんじゃないんだわ」
軽口を叩きながらも、体は慣れ親しんだ動作から揺らがず、逃走と突破を繰り返す。障害物があれば乗り越え、潜り抜け、利用して。ゾンビがいれば避けて、ルートを変えて、押しのけて。
「うぅぅううアアアァァアアァ"ア"ア"ア"!」
「Wow! そんなスッカスカな口説き文句じゃ私は落ちないって」
目の前に現れたゾンビの引っかきを避けながら、お返しのナイフを腹に走らせる。腐敗した皮膚は綺麗に切り裂かれ、赤黒い内臓がどしゃっと音を立てて落ちる。
「うっわ。そっちはスッカスカの方が良かったかな」
後ろで崩れ落ちるゾンビに感想を漏らしながら、私は次のプランを決めていく。さぁて、夜になる前になんとかしないとなぁ。
『人質発見! 無事っぽいぞ!』
『奴らの仕業だろうか? 多少装備が盗られているがいるが、概ね被害はなさそうだ』
『こっからはゾンビ駆除の時間だな!』
「おねーちゃーん! やっと見つけたー!」
「弓矢が
その知らせは同時だった。
難しくとも慣れてきた我が
無線からは人質発見ひいては攻勢に出れるの報せ。
少し奥の家からはクーとワニの姿が見え、数多のゾンビノ唸り声の中、子どもらしい元気な声が聞こえた。
「ルーピシュ! 私たちはC3に行くから、そこら辺でキルゾーン作って! ちな行けるかは微妙!」
『……了解した。B4あたりは数が多い、大回りした方がいいかもしれない。リーダーにも現状を伝えておく』
「おーけー!」
大声で返事をしながら、今いる屋上から飛び降りる。ごろごろと四点着地で衝撃を逃がし、阻むゾンビを銃とグーパンで切り抜けながら、さっき二人が見えた建物へ急ぐ。
一応オールラウンダーに対応できる私と違い、二人は遠距離近距離ができても機動力が無い。パーティーとして不安なのは私よりむしろあっちだ。
「というか私も、クー達もここまで無事故なのがおかしいんだよね!」
それはそう。心の中で自分の言葉に同意する。
危ういところはあったけれど、なんとかうまくやれている。こう上手く行き過ぎると作為的な物を感じるけど、ロシュアは手加減してくれそうなタイプには見えなかったしなぁ。
「ふぅ……。あまりにもわかりやすくて助かるね。砂糖に群がるアリみたいで」
バス停に乗って一息付く私の視界の先には、ゾンビが次々と張り付いて登って行く。そして登ったそばから頭から矢を生やし、あるいは首だけポーンと飛ばされ命令機関を失った体が落ちていく光景だ。
その様子はとても目立っていて、待ち合わせスポットとして今後使われそうな派手さだ。
さて、私は今から二人との合流のためにあそこに行かなければならないんですが~~~私とワニ達って、ゾンビの標的にされてる組なので、そんな二人がいるここってもうだーいぶゾンビが集まってるんですよねぇ。
「登れそうになーい」
いやほんと。今まで二分割されてたヘイトが一か所に集まったせいでダメだわ。というかこのまま時間が経っても集まり過ぎて耐えきれなくなる。
「ぁあああいいいぃぃぃいぐおぉおおおぉぉぉ!」
「おっと」
考えていると後ろから登りかけてるゾンビが。トゥーキックで蹴り落としたけど、このバス停低いしもう耐えきれなくなるな。
そう判断した私は取り敢えず降りて、また走り出す。ぐるぐる回ってどっか取っ掛かりがないか探す考えだ。
「ワニー! グレはー!?」
「さっき切らした」
「ロープ!」
「ゾンビも登っちゃうよ。シアねぇ、私のロープだぞ、降りろ! って言っちゃうでしょ?」
「蜘蛛糸じゃないんだからさぁ!」
くっそ、八方ふさがりか。……いやいや、私は上に逃げたいんだ。八方ふさがってても壁が蹴れればどうにかなる。そのための、壁に張り付いてるゾンビとかをどうにかする一手がいるんだけど……。
走りながら目も走らせる。ゾンビハイゾンビ、死体のドロップアイテムに環境……。
「───あ」
見つけた。一手になる要素があった。
クー達が籠城している、家の地面。その巨体故に壁に登る事もできず、ただただコンクリをバンバンとしている上半身裸のゾンビ。
「ボマー!」
ゾンビ、ハイゾンビに紛れた
「東から登る! 下のボマー合わせて!」
「了解」
ワニに宣言。突破口を見つけたとしても、止ったが最後後列に押しつぶされるのでゾンビトレインは急には止まれない。だいぶしんどくなってきた体力を振り絞って、もう一周ぐるりと回る。壁を回り、ボマーの背後を通り、爆発範囲の半分くらいを過ぎて───
「今!」
「おけ」
私は急回転、ジャンプして後ろに飛んで爆発範囲から遠ざかりながら、ワニ達の家を登り切らんとしていたゾンビを撃ち殺す。
私が撃ち殺したゾンビの対処をせずに済むワニは、片膝を立て身を乗り出し、階下のボマーに矢を放った。
ハイゾンビより耐久があるボマーといえども、弾丸より威力のある矢、ヘッドショット、
大爆発を起こした。
「っ! んぎっ! っだぉ!」
目の前でボマーがはじけ飛ぶ。手を翳して防御を試みるも、それは面として襲ってくる爆風にはいささか心もとなさ過ぎる防御だった。
爆風によってごろごろと、制御を奪われた体が転がる。膝も肘も美少女な顔も、地面で
「ちょっとぉ……ギリギリ狙い過ぎたかな」
あぁ……ゲームで言う眩暈とか、重症で移動速度下がるってこういうのか。いやこれはリアルでもそうか。それに今萎縮化のバットステータス付いてるし。
痛みで別の事を考え始めているのを他人事に思いながら、アネカリアからもらった回復薬をまたぶっ刺す。ふえぇ、PVEじゃそんなにアドレナリン湧かないから普通に痛いよぉ……。
またしても私の体に打ち込まれたナノマシンが全身を癒す。だけど体は治っても、さっき受けた痛みはそう直ぐには引いてくれない。ファントムペインってこういうのなのかな。
って、ああ。こうしてる場合じゃなかった。早く登らないと。
体を起こし顔に掛かった血を拭い口に入った血を吐き出す。私を追っていたゾンビが爆発で全部飛んできて、私の姿はミートソースを被ったみたいになっているだろう。それなりに肉を食べたり血を飲んだりしない限りは空気感染も経口感染もしないけど、普通に不快だった。雨が滴ればいい男でも、血が滴ればそれはホラーだ。
ふらつきながらもどうにか立って、周囲のゾンビが一掃されたからと垂らされたロープを目指す。後ろを見れば、爆風で私と同じようにダウンしていたゾンビ達が復帰して来ていた。そんなゾンビ達を尻目に、ロープに辿り着きしっかりと握った私はクーに合図を送る。萎縮化していたとしても、これだけ巻き付けて握ってれば十分だ。
後は私の体重をクーが持ち上げられるかどうかだけど……少し前に、クーの右手の怪力は証明してくれた。
「ふぁいとー!」
「一本づり!」
産まれた世界の差で噛み合わない掛け声をしながら、クーが表現したように私は一本釣りされた。
ぶわんと体が一気に浮き、生温い風を受けながら3階まで引き上げられて……着地。
「っ……ふぅ……いやぁ、出張が長引いてごめんね」
「シアねぇ無職でしょ」
「おかえりおねーちゃん!」
ワニが運んでたバックから水を取り出し頭からバシャバシャと被る。持ってきているのはラスト一本なので水は貴重なのだが、このままゾンビミートまみれの恰好で精神力下がる方が痛い。
さて屋上での籠城戦だが、3人になって四方を見るのに余裕ができた。そもそもまだ夕方なので、ゾンビ君はこの3階建てを登るのに相当苦労する。
今はまだゾンビ君達にも萎縮化のバットステータスがついているので平気だけど、もうちょっとしたら萎縮化も抜けてゾンビタワーを建てる事だろう。それまでは軽い休憩かな。
「(口を濯ぐオノマトペ)……ぺっ。ゾンビ達ホント遠慮なく血をぶちまけて……パンツまで濡れたし、そもそもこれ服から血のシミ落とせるのかね」
「おねーちゃんがふくぬいだらだいぶクーとおそろいだね!」
「クー? クーはちゃんと水着着させてるからね? あたかも私が全裸の恰好させてるかのような言葉選びは止めようね?」
「シアねぇは着エロの良さを
「そうじゃないんだわ」
萎縮化の中それでも登ってくる懸命なゾンビを蹴り落としながら小休憩。見る部分はそれこそ四方だが、高台なので屋上はやはりいい籠り場だ。ジャンパーやピッチャーが登場するまではお世話になります。
「ごーりゅーはできたけど……ここからどうするの?」
「んー、一応C3に向かえば大学から援助を受けれるけど……」
「この数相手にはちょっとしんどい、合流できたとはいえゾンビも合流したし。文殊の知恵に期待」
「おねーちゃん、あそこのくるまとかじゃダメなの?」
「肉壁が多すぎて馬力足んないかなーあれじゃあ」
そもそも車に乗り込むまでも一苦労だ。分の悪い賭け過ぎる。
「はい」
「はいワニ」
「第二案。大学の援助をここまで来てと願って、タワーディフェンス」
「残りの矢は? 私2マガ」
「60本ちょい。無理そ
「はい!」
「はいもう一回クー」
「これってロシュアがげーいんだったよね?」
「まそうね」
操ってる~まではわからないけど、ロシュアが地下開放ボタンとかいうの押したのが原因だし。
「だから、あそこで怖いかおしてるロシュアをたおせばいいと思う!」
「あ?」
「お?」
流れ変わったな?
「クー、ロシュアってどこ?」
「あの赤いおうちのまえー」
登ってくるゾンビの確認だけしてクーの元へ。んっとクーが指さす方向を見れば、確かにゾンビがこちらに流れてくる中、シールドを張って一歩も動かずこちらを見ている金髪巨乳の姿が。あぁ、あれはロシュアですわ。
「僕ロシュアの姿生で見た事ないから見たーい」
「ほら、あそこあそこ」
「むー……」
ワニも来たので少女よ大志を抱けポーズで指差してやる。
「あ、あれか。グレネード投げてやろ」
「は? ないって言ってたじゃん」
「いい女には秘密があるもの」
「抱えてる
というかロシュアまで結構距離あるんだけど、どうやって投擲するんだろう。
そう思ってると、ワニは極当然のように弦にグレネードをつがえ射出した。弦を離した手にはグレネードのピンのみが残されている。何でこいつこんな事できるんだ?
人間離れしたワニの技術に若干引きながら私も残り少ない弾丸を撃つ。いや、シールドを貫けないっていうのは私もワニも分かってるし、明らかな無駄遣いなんだけど、つい撃ちたくなっちゃうんだよね。
さてそんな風に遊んでいると、未だ晴れぬグレの黒煙の中心からロシュアの声が響いてきた。
『……一流軍人であろうと押しつぶせる量のゾンビを放ったっていうのに、なんであなたは生きているのよ』
数多なゾンビのうめき声に、一つだけ不機嫌に響く意味のある声。ロシュアの顔は遠目に見てもしかめっ面をしていた。
しかも恐らく指向性マイクを使ってるからか耳に不快な響き方だ。わんこで耳が良さそうなクーが嫌そうで泣きそうな顔をしている。可愛いね。
「うぅ……あたまがんがんするよおねーちゃん……」
「耳を指で塞いでも意味ないよ。というか
『ああ、ごめんねクーちゃん。あまり聞かせたい話でもないし、対象から外すわ』
「う~~~……あ、きこえなくなった……?」
「あぁこっちの声も拾われてるのか。ごめんクー、多分すぐ終わるからちょっとゾンビのぼらないようにように見てて? ……私と違ってクーには優しいじゃーんロシュア~」
見た目的には私よりクーの方が厳しい視線になるはずなんですけどね。さてはロシュア特殊性癖か?
『共生不可能なレイヴラインより、矯正可能な未来ある子、よ。私だって罪のない子は殺したくないわ』
「ほ~ん」
『だから、あなただけを狙うようにしたはずなのにね……。生誕時、乳児全員に義務付けられるR社個人登録。それがどうやったのか登録されていなかったから、未登録の人間のみ狙うように設定したっていうのに……。まさか未登録が二人いるとはね。一人だけでも予想外なのに、二人となるともうお手上げだわ。おかげであなた一人に向かうはずだった戦力が二分されちゃったわ』
「???」
私は疑問符を浮かべ、同じく宇宙ワニをしていたワニと目を合わす。
R社個人登録はあれだ、私達がお世話になってる、スキル取得とかのチップを赤ちゃんの時に埋め込む奴でしょ? それがされていないって……でもスキルは取得できるし?
「まぁ、一応(この世で)生まれたわけじゃないから……。
私の目線から考えていたことを汲み取ったワニが予想を口にする。
えーっと。ロシュアは個人登録していない人物を狙うようにゾンビに命令して、それに該当する私とワニが狙われた。個人登録=マイクロチップを埋め込むので、その時R社にデータを抜かれるが代わりにスキル取得が可能となる。
で、私達は、マイクロチップを埋め込んだ状態でこの世に生誕しただけで、カルシアってキャラが赤ん坊から今の美少女に育つまでの過程があったわけではない。よってR社にデータを抜かれていなかった。
そんな感じ? 自信ないな。まいいや。
『親がいない……あなた達はどこかで違法で作られた
「は? 何で僕も含まれてるのか納得いかないんだが? アンドロイド差別で反乱起こすぞ」
「そういうとこじゃない?」
それにロシュアの主義って、人類をより良い方向に導くってのだろうから、いきなりグレ投げてくる狂人とか許さないと思うし。
「で、何の用よロシュア。ちなみに現状ここでタワーディフェンスやり切れるかは五分五分だよ。仲間の元へ逃げられるかも同率」
『追加のゾンビを用意したわ』
「あ~~~それはちょっと厳しいですね!」
や、マジで。
でも声には無意識に喜色が含まれてしまい、隣のワニも「ひぇ~」と言いながらも薄っすら笑っている。訓練されたゲーマーみあるね。
『喜んでる辺り、ほんと狂ってるわね。この世界をゲームとでも思ってるの? ……いえ、そもそも死への恐怖がない設定なのかもしれなかったわね』
「まるで酷い言われよう」
「あながち間違っていない」
「え~私この世界ゲームだなんて思ってないよー」
そう言いながら、屋上に手をかけていたゾンビの顔を踏み抜き蹴り落とす。ロシュアから視線を外し下を見ると、ボマーの爆風で減った分も戻って来ており、正面に見えるだけでも50体はいた。ゾンビタワーが形成されるのも時間の問題だろう。
さてどうしよっかなーと考えていると、ロシュアから舌打ちが聞こえてきた。
『……っち、あなた達にとっては朗報ね。喜びなさい、工業大学グループがヘリを準備しているわ。きっとあなたたちのお迎えね』
「お、それは」
「耐久ワンチャン?」
「わんちゃん!」
『よぉ、リーダーだ。珍しく現場に出張ってきたぜ。さぁて、お前らのピンチと聞いて居ても立っても居られなくなった俺は、お前らのためを思って脱出ヘリを出す。お前らんとこに着くまで5分くらいだ、頑張って耐えといてくれ』
ロシュアの声と共に、無線からはリーダーの声が響いてきた。内容はロシュアの言っていた通り脱出ヘリの派遣。このタワーディフェンスに5分というクリア条件が追加された。これは確かに朗報。
『だから私も出し惜しみはしない。防衛用に残しておいた残り300体、全て放出するわ。あなたたちのお迎えよ』
そして悪報。ゾンビ追加のお知らせだ。ロシュアの背後から地下へのドアが開かれ、元気いっぱいのゾンビが次々と飛び出してくる。
『安心して、このゾンビ達はまだ管理下だから、クーちゃんは狙われないように設定してあるわ。あなた達が死んでも、クーちゃんの事は死んでも心配しなくていいわよ』
「冗談!」
銃をじゃきっと音を鳴らしながらリロードし、赤に染まったナイフを突きつける。
今ロシュアは明らかに喧嘩を売ってきた。つまり舐められているというわけだ。私のプライドに懸けて、売られた喧嘩に負けるわけにはいかない。
『助けが来るまで、生き延びられればいいわね。まぁ、私は二度と会わない事を願うけど』
「残念だけどその願いは叶わないね。まぁ、ロシュアはいずれもう一回殺すし、短い付き合いにはなるだろうけどね」
書き終わった後気づいたけど9000文字近くあったわ。こわ