ゾンビゲー転生サバイバル百合モノ   作:バルロjp

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前話書いてから1、2日後には書き終わる予定だったのに凄い難産だった。
4パターン1万5千文字くらいボツに呑まれました。は?

今のも違和感あるから急に書き直して変わってたらごめんね。

第一章区分はこれで終わり予定なので、この後ほのぼの日常会いくらか挟みます。


カルシア

わからないモノはいくら考えてもわからない。私もワニも人に教えるのが得意なわけじゃないので、クーには謎のままにしてもらうことにした。

 

お話が終わった後は保健室。戦闘で受けた傷や失われたパーツ(身体)、それにZウィルス感染の確認作業を行ったりする場所だ。保健室と呼称されてるけど、大教室2つ分くらいの大きさがある。ちなみにここは戦闘後専用のお部屋なので、普通の体調不良とかは別の保健室だ。

 

さて、そんな血と消毒液の匂い溢れ、悲鳴と奇声と喜声響く場所に来たわけだが……。

 

「え? 治療薬使ったの? じゃあいーよあれ使ったんなら体なんてぜんっぶ治ってるでしょー! あ、決まりだから検査キットだけ使ってってねー!」

 

はい。

最後の蘇生に治療薬を使った私達にとって、恰好がぼろっぼろになって固まった血でデコっていたとしても体は完全無欠な健康体なんだよね。これが最初に使ってた回復薬ならZウィルスまでは治療できなかったけど、治療薬は欠点無しなので(ウィルス変異系統除く)。

 

検査キットの結果も当然シロ。クーだけは6種類くらい判定が出てお医者様をパニくらせていたが、ゾンビになっちゃうわけじゃないからと説明し、そういうもんだと納得してもらった。後で研究室行かせるから許して。

 

一応、クーの自己治癒が行われた所だけ確認し(綺麗に再生されていた)、アネカリア(恋人)の治療をしていたルーピシュに挨拶をして、保健室の外へと脱出。これで義務は終わらした。

 

じゃあお風呂だ。

正直このまま部屋戻ってベットに飛び込んでクー抱き枕に寝たいところだが、流石に今のお化け屋敷からオファーが来そうな格好のまま寝れはしない。なんせ私も一応乙女なので。後不潔にしてると感染症にかかるので。

 

と、いうわけで。

 

「カルシアちゃん! 無事帰ってこれたんだね!」

「ぐへへ、プトラちゃん一緒にお風呂入ろうぜ」

「え?」

 

チェックボードとタオルを抱え、ぱたぱたと保健室に走ってきてたプトラちゃんを捕まえる。

そういうわけになった。

 

 

かぽーん。

 

かぽーんは主にお風呂に入る時に使われる擬音語だ。どこから定着したかは知らないが、漫画でも小説でも、お風呂シーンを描写する時はこの擬音語を使うことが多い。日本人はどんぶらこと一緒で、かぽーんという単語を見るとお風呂を連想してしまう。

 

そんな音を、クーが木桶で鳴らして遊んでいた。

場所は当然お風呂。家庭用じゃなくて、大学だからかホテルとか旅館タイプの大浴場だ。大学の施設からどういった改造したんだろうか。

 

「でも、本当に良かったよ。皆が慌てて帰って来てたのに、どれだけ探してもカルシアちゃん達は帰ってこなかったんだもん」

名誉ある死(グローリーオブデス)をする気はなかったけどね。ま、色々とイレギュラーがあったから、私達が残っただけよ。イレギュラーの後更にイレギュラーきたのだけはやばかったけど」

 

今回の作戦では、参加者の負傷度合いが軽傷か重症(死亡)だったので、プトラちゃんが手伝える部分はもう殆どなかったらしい。よって私達に付き合ってくれたプトラちゃんに念入りの二回目シャンプーをしてもらいながら、ちょっと前の事を思い出しつつ話す。

 

いやぁほんと、ロシュアの登場だけは予想外だった。ロシュアはドッキリ番組の企画者になればきっと高視聴率を叩き出す企画を作れるだろう。

 

「もぅ、そんな危ないことして……ちゃんと約束守る気あったの?」

「生きて帰る気はあったよ」

「危ない事をする気もあったって事だね、その答え方は……。ま、こうして帰って来てくれた事だし許してあげます!」

 

わしゃわしゃわしゃわしゃ。プトラちゃんの洗髪は上手く、まるで美容院のごとく丁寧にしてくれるので気持ちいい。

 

更に後ろからは、「お風呂では髪を結いあげてお湯に浸けないのがマナー」と世話を焼いているワニの声が聞こえる。何だかんだワニも妹ができたみたいで喜んでいるのだろう。

 

「にしても、カルシアちゃんって、心だけじゃなく体もすっごい強かったんだね! ルーピシュさんから聞いたけど、まるで狂犬のようだったって!」

「それ褒められてるのか?」

「後全身ゾンビに纏わりつかれて食われてたと聞きました。生きて帰る気はあったんだよね?」

「誠にごめんなさい」

 

泡を流すためにプトラちゃんがシャワーを取りお湯を掛けてくる。心なしかわざとお湯を顔に掛けられてる気がします。ぶくぶくぶく。

 

「いやぁ、せめてクーだけは生きて帰さないとなぁって……。私とワニは既に覚悟ガンギマリだけど、クーはまだ幼くて何も知らないし」

 

まぁ知っちゃいけないこと(人肉の味)とかは知ってるわけですが。その当人は「髪が長すぎて纏められる気がしない……」とワニを困らせてるだけの可愛いワンコなんだけどねー。

 

「幼いって言ったらカルシアちゃん達もでしょ。次体洗うよー」

「クーの幼さから言えば相対的に大人になっちゃうんだよ。クー、多分人体実験施設で育てら(管理さ)れてたから、基本全てに疎いんだよね」

「……腕からしてそうじゃないかって、リーダー達が話してたけど、クーちゃんやっぱりそんな酷いことされてたんだ。……本当に、そんな実験してる人たちは、同じ人と思えないよ」

「今やそういう事してた人が、今も(ヒト)であるかはわかんないけどね」

 

クーがああなって脱走してる=施設壊滅しているなので、全員死んでるだろうけどね。

 

「んんっ! 茶ー化ーさーなーいーの! 怒ってたのがどこか行っちゃったじゃん、もー」

「ええことやんけ。ま、そんなわけでクーは幼く、親を刷り込まれたカルガモの子のように悪い人()に懐き付いてきてるわけです」

 

背中を洗ってくれているプトラちゃんの邪魔にならないように、首だけ振り向き視線をクー達に向けてみる。そこにはクーの髪を結いあげるのを諦めたどころか、一緒になって仰向けになり、ぷかぷか浮いてる二人の姿があった。当然髪は昆布のようにゆらゆらしている。マナーはどうしたんだよ。

 

ロシュアの死体食わせたりしといて今更な事なんだけど、教育に悪い事なので指摘しようか迷ったが、プトラちゃんが「元気だねー」とのほほんとしていたので何も言わない事にした。

 

「カルシアちゃんは悪い人じゃないよー! ほら、あんなにクーちゃん笑ってるんだから! ……本当に悪い人だったら、クーちゃんとかきっともう殺されてるか、悪い事に利用されてるよ」

 

いえクーを殺すとか結構難しいと思いますけど(マジレス)。

 

……でも、レアな能力とか有能なスキルって、たまーに制御下におこうとする奴がいるからなぁ。外国鯖とかだと特に顕著で、戦闘能力がない生産レアスキルを持った外国人兄貴が、『ログインしても銃口突きつけられて強制労働、安全は確保されてるけどねXD』って監禁日誌残してるぐらいだ。

 

日本は既に、『俺の姫に手を出すな事件』が有名になってるせいで監禁はあんまされなくなったけどね。

 

「……そういや、プトラちゃんは『言質』持ってるワケだけどさ」

「うん? うん」

「何か利用されたりしなかったの?」

「あ~……ちょっと暗い話になるんだけどね?」

「大体は耐性あるよ」

「その、私の親って、所謂毒親で……。私に、約束を守らせる力があるってわかった瞬間、どうにかお金儲けに使えないか考え始めちゃって……連帯保証人、身分証明書無し、神に誓えるならお金貸しますって闇金始めて……」

「もう読めた」

「あはは……。でも、強制的にお金返されて逆上したお客さんに殺されたとかじゃないよ? あまりにも警察への対策立てて無かったから、普通に捕まっちゃったってだけで」

「もっと上手い方法考えられなかったのかねぇ」

「考えられるのならば、毒親じゃなかったんだろうなぁと私は思うワケです。はい、終わったよー」

 

私の上半身を洗い終えたあわあわのタオルが渡される。プトラちゃんは丁寧丁寧にやってくれたが、そもそも私はそんな時間をかけるタチではない。イスから立つと、ちゃっちゃと尻腿足と泡を塗りたくっていく。

 

「ちなみにその後私は警察に保護されて、『言質』はバレてなかったから幼いながらしゃべらない方がいいと思った私はだんまり。親戚もいなかった(縁切られてた)から孤児院に回されて、今に至ります」

「波乱万丈だねぇ。そしてその割には素直にいい子に育って……」

「孤児院の皆に恵まれたからね! や、ほんと……あの時ちょっと本格的にメンタルがやられかけてたから、私にとって子供たちの無邪気な素直さは救いだったよ。親のせいで汚い裏の世界ちょっと見せつけられたし」

 

蛇口を捻ってシャワーを浴びる。みるみるうちに泡が流されていき、私の肌は不健全な()から健全な赤みを取り戻した。

髪をいつの間にか結んでいたプトラちゃんを連れて、クーワニが待つ湯舟へ。クーワニは流石に落ち着いたのか、頭にタオルを乗せてカピパラを演じていた。

 

足先からそーっとお湯に浸けていき、体を沈めていく。じんわりとした温かさがだんだんと体に沁み込んでいき、自然とほぅっと息が漏れる。

 

あ”~~~~~~……限界まで体動かしたときしか得られない快感だわ。

 

文明の叡智を享受しながら、リラックスして髪をくるくると弄ってると、隣に座ったプトラちゃんがまた喋りだす。

 

「ふぅ……。んん、私ばかり、それも暗い話をしちゃったね。カルシアちゃんのご両親はどんな人だったか聞いていい?」

「んぅ? 私の両親ん? んー……」

「あ、私に遠慮しないでいいよ? 純粋にカルシアちゃんの親御さんが気になるだけだから。勿論、話したくないなら大丈夫だけど」

「や、大丈夫。……私の両親は、普通に良い両親だったよ。人並以上には愛してもらったしね」

 

毒親で育ったプトラちゃんに話すか少々迷ったが、本人がいいって言うならいいだろう。私は両親を思い出しながら話し始める。

 

私の両親は第三者目線で評価するとしても好人物であり、仕事は知らんけどそれなりにお金持ちで、赤ん坊の私を抱きかかえた時から、カルシアとしてNZWに来るまで私に愛情を注いでくれた。

 

誕生日には毎年家族で祝ってもらってケーキを食べたし、小中学校の授業参観には参加してくれたし、運動会には父親も見に来てくれたし、土日には家族で出かけることもあって、新年には祖父母に会いに行って……。

 

そんな感じの両親だ。他の家庭なんてそんなに知らないし、知ってても世間(ワニ)一般で(ドッグ)はない家庭(プラフォン)なので参考にはならない。

一般を図るのに平均値は使わない方がいいのだ。

 

「へぇ~~~! いいご両親だね! それならカルシアちゃんがそんな良い子に育ったのも納得だよ!」

「うーん! 果たして私が良い子なのかは疑問だけど、まぁ親には感謝はしてるよ」

 

……感謝しているというのは本当だ。あの人たちは私に確かな愛を向けてくれた。伝えてくれた。注いでくれた。

 

しかし……。

 

『じゃあ登録しなおしてくるからな。母さんは娘の顔をもっとしっかり見ておいていいぞ!』『ええ! ああ私の娘……! できれば本当にあなたを産みたかったわ!』

 

私は、生まれた時からの記憶が全てある。

胎内記憶と呼ぶと少し違うし、サヴァン症候群などでもない。本当に、ただ生まれた時から記憶があるだけだ。忘れないわけでもないので、時が経てば忘れてしまうが、それでも産まれた直後のエピソードは初めて見る外の世界ともあって色褪せぬ鮮度を保っている。

 

いつになっても忘れない、私の最古の記憶。

布にくるまれ、箱の中(保育器)に移され、少し。今は両親と呼んでいる二人がやってきて、そんな会話をしていた。産まれた時に聞き、抱いてもらい祝福してくれたあの人(母親)ではない、別の誰かだ。

(保育器)が開けられ、腕から何か(タグ)付け替えられる。頭や頬、手を触られた後、また布の元へ返される。

 

目も開けられなかった当時の声が、未だに強く残り続けている。両親の会話が残り続けている。私の人格構成の傷として、癒える事無く深く、深く。

 

入れ替えられた赤ん坊がたまたま私だったのか。たまたま私がそういう体質だったから気づいてしまったのか。

確かなのは、私がそういった体質だったから、気づけてしまった、否、気づいて育ってしまった事だ。

 

ああ、確かに私は愛してもらった。本当の娘として育てられた。何かの目的や使命を渡されたわけでもない、ただ私の幸福だけを願われていた。

 

それでも───

 

私の親は、私の本当の親じゃない。

 

見た目を完璧に、中身も完璧に。演じ取り繕い映っている。

しかし最初が完璧に間違えている偽物の家族だ。

 

よくかけ間違いで比喩に使われるシャツのボタンだが、それに倣うとすれば、ボタンは全て綺麗に閉じていても、そもそもボタンの種類が違っている。

 

そこに、どれだけの笑顔があろうとも。

そこに、どれだけの恩情があろうとも。

そこに、どれだけの愛情があろうとも。

 

本当の子供じゃない私に、本当の愛はあったのか?

 

幸せそうな良い家庭だねと、無邪気にコメントするプトラちゃんに笑顔を返しながら、私は思う。ずっとずっと、それこそ生まれた時から縋ってきたものだ。

 

 

 

なぁ。誰か私を愛してくれよ。私はそれだけを願ってずっと生きてるんだ。




カルシア。
灰色ウルフヘアに左赤右青のオッドアイ。高1で身長155ぐらいで、服はボロボロになったので捨てた。性格は刹那主義で、楽しくて自分の目的が達成できりゃなんでもいいといった風潮がある。自己肯定感は低めだがプライドはとても高い。悲劇な子には弱い。

産まれた時に現両親によって取り替えされている。幼児からの記憶を持つ。
コンセプト。偽の親に愛を与えられた子供。
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