ゾンビゲー転生サバイバル百合モノ   作:バルロjp

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24/3/24 修正


クー

打ち解けた。

 

彼女は全身血まみれで右手が獣であり食人癖があって倫理観が壊れている点を除けば、とても素直で可愛いただの少女であり、何も警戒することはなかった。

 

人を見た目で判断してはいけません! ただ私の事を熱っぽい目で見るのは止めて欲しい。サンドイッチあげたでしょそれで我慢して。そんなに私がおいしそうなのか? そのうちそこらの女性NPCあげるから我慢してくれ。え? ひと舐めだけ? う~ん……いやなんか段々加速して要求もエスカレートしそうな気がするからダメ。

 

焚火を付け直し体育座り。私を見てからちょこんと隣に座り、塩っ辛いサンドイッチをおいしそうに食べる彼女を頬杖を付きながら眺める。

 

「ん、ん~……。とりあえずここは貯水タンクあったから、後で……日が明けたら体流そうか」

「んぇ? ふん(うん)

 

まずは体を清潔にさせないとね。ゾンビウィルスを飼っているならまぁ病気にはなりにくいけど、(ゾンビウィルスがとても強く強いため)綺麗に越したことはない。私もこのまま血まみれのままだったら可哀そうと思うし(理由の3割)、血の匂いはゾンビを呼び寄せる(理由の9割)。

 

他はえーと、服もなんとかして、あっ裸足じゃん靴も探さなきゃ。検査キットも(まぁ黒だけど)使って確認してぇ……。あ。

 

「そういや、なんて呼べばいい? あ~……呼んで欲しい名前とかある?」

「(……ごくんっ)んぅ、わらないから、おねーちゃんの好きにつけてほしい!」

「そっかぁ。じゃあクーで。あと私はさっき言ったと思うけどカルシアね」

「くー! くーだね! えへへ、くーのなまえはくーだぁ! ありがとね、おねーちゃん!」

 

かわいい(脳死)。

 

クーはその小さい体と大きな腕をばたばたぶんぶん振り回して喜びを表現していた。地味に怖いぜ。あぁそんな振り回したらサンドイッチの具も零れるぞ……貴重な私の食料を地面に落とすとかはしないでよほんとに。

 

「くーぅ♪ くーぅ♪ わったしーはーくーぅ♪」

 

……あの、そんな喜ばれたらサンドイッチ「食」ってる姿から適当に付けたのが申し訳なくなるなって。

 

 

結局クーが落ち着いたのはサンドイッチを1.5本(私の食べ残し+1本)食べ終わった後だった。私はこれでようやく話が進めれるとクーを見ていると、私の視線に気づいたクーが慌てて姿勢を正しておいしかったです! と言ってきた。

ちげぇよ感想を求めたんじゃねぇよ。いや美味しかったならいいんだけどさ。君よくこのクソしょっぱいの食べれたね?

 

「とりあえず。クーはこのまま、私と一緒にいようと思ってるんだよね?」

「うん! くーひとりじゃ何すればいいかわかんないし、したいこともないし、それに、おねーちゃんといっしょにいたいし!」

 

ふむ。何でこんな懐かれてんだと思わなくはないが、クーが加わることの戦力強化はでかい。数は力だし、『クッキング・ケミカリー』はレアスキルで純粋に強い。

 

『クッキング・ケミカリー』はウィルス系統のレアスキルで、獲得条件は「複数のゾンビウィルスに感染している事」だ。ゾンビウィルスは種族、つまり犬や鳥や人によって種類が違う扱いなので、4タイプぐらいから感染したら獲得できる、割と獲得条件は簡単な部類だ。

が、感染が前提なので、同じくレアスキルである『ゾンビウィルス抗体』ないしそれに類似するものがないと即ゾンビ化してGame overだ。のでまぁ条件が面倒なスキルと言えるだろう。

や、抗体さえあれば死なないように違うタイプのゾンビ達に殴られたら楽に獲得できるスキルなんだけどね。

 

クーの場合は元より体質として『ゾンビウィルス抗体』を所持していて、何らかの理由で『食人癖』を開花。そして複数タイプのゾンビを食べたことからの感染で『クッキング・ケミカリー』を得たのだろう。腕を見るに、犬タイプのウィルスが色濃く出てるっぽい。

どのタイプが出ても言える事だけど、ゾンビの基本性能である、脳のリミッター解除+ある程度の再生に、反射神経とか嗅覚とか強化されるからとても強いんだよねぇ。

 

ま、そんなわけで戦力としてはとってもでかいのだ。私がどうやって逃げるかどうやって殺すかうんうん呻ったぐらいには。

 

そして戦力以外の要素、といよりこれが一番大きい理由なのだが、上記の理由に加えて……。

 

ちらりとクーを見る。

 

クーは「自分、おねーちゃんのこと好きです! 信じてます! 懐いてます! 何でも言ってください!」といった熱い目で私の事を見ていた。なんなら若干熱い視線も入っている。お前今飯食ったろそれで満足してくれ。

 

うん。裏切らないって、一番重要な仲間選出の理由なんだわ。

 

 

とりあえず寝ようかと提案して寝て(毛布はクーの分もあったが寂しがったので隣り合って寝た)。途中クー血の匂いに釣られたのか近づいてきていたゾンビを殺して。朝を迎えて。

私は嫌々、クーは喜々と残りのサンドイッチを平らげて、さぁお風呂に入りましょうとなった。

 

裸の付き合いという言葉がある通り、古来よりニポンジンは風呂で友好を深めてきた。……ニポンジン? 灰色ヘアーなカルシアも白髪西洋お人形顔のクーもニポンジン? ……裸の付き合いで仲を深めます。(強引)

 

ガソスタの貯水タンクからそこらに落ちていたドラム缶に水をどばどばと移し、ガソリンを贅沢に使って燃えそうなモノをかたっぱしファイヤー、ドラム缶風呂の完成だ。

なお簡単そうに言っているが、『サバイバル』先輩を駆使した上で結構時間かかった。や、クーにも手伝ってもらおうと思ったんだけどさぁ、左手は普通に非力な少女だし、右手はバケモンみたいな怪力だしで絶妙に手伝ってもらいづらかったんだよね。最終的にクーには家を破壊さして木材の確保させることに落ち着いた。ゾンビが寄ってきてもクーなら純粋な戦闘力+感染しないでバッチリだ。

 

ちなみに、クーは最近まで(恐らく実験体として)白衣の人に監禁されていたこともあり、倫理観や知識など、頭はかなり幼いということが改めてわかった。

でゾンビのことも怖い人としか認識していなかった。(仕様上、クッキングケミカリー持ちは感染している扱いなのでノーマルゾンビ系統には襲われない。もちろん攻撃したら反撃はされる)

 

そこでいたいけな少女であるクーに、私があの人たちは悪い人だから殺そうねと吹き込んでるんですね。私の言う事だけを聞くクーを教育して、最高の少年兵を目指そう! ……言ってる事最悪で草。殺すってのを素直に受け入れるクーにも問題があるのでは?

 

 

うんうん。結構熱すぎるくらいには湯だってきたな。これならなんやかんやしてる内に丁度いい温度に落ち着くだろう。さっすが『サバイバル』先輩だぜ、画面越しにしか行動したことがなかった私をちゃんっと動かしてくれる。じゃあ最後に……ドラム缶の底に直接足を付けないための木の奴を入れてと(名称を知らない)。

 

「よし。クー? 木材はもういいからこっち来てー!」

「わかった!」

 

ばきゃがこんぼきどささぐわっしゃーん。

そんな音を立てつつ破壊活動をしているクーに声をかけると、あの騒音の中私の声を聴き分けたクーがてってってってっと駆け寄ってくる。ちらりと右手を見たが、木材の破片はくっついているものの傷ついている様子はない。はぇー強い。タイマンしたら負けそう。

 

「もえる木、いっぱいできたよ!」

「うんうん、そうだねありがとう」

 

笑顔で報告してくるクーにお礼を返すと、クーの笑顔は「役に立てた!」と溢れんばかりになった。可愛い奴め。

ぶっちゃけ役に立ちたいとオーラを出していたから適当な指示を出しただけで、その木材は使う予定はないんだけどね。というかどう考えても過剰だろ木ざ…廃材。

 

「さて、お風呂に入るーーーぅ……そのまま入ったらお湯が一気に汚れるからまず拭いてからだけど、まずは服を脱ごうか。脱げる?」

「んー、こっちはできない……」

 

やはりか。

 

クーがこっちと左手で指差したのは、もちろん獣と化している右手の方だ。

体が変異する前、人間の体だった時は当然服を着れたんだろうけど、獣化しちゃった今じゃあ脱ぐのも着るのも、腕を通すタイプはてんでダメだろう。

 

クーが今着てる服は血の汚れに対して損傷度で言ったら、まぁ洗えばまだまだ使い回せそうだから、着たまま洗ってもいいんだけど……今回はちゃんと体洗わしときたいしなぁ、どんだけ風呂に入ってない生活してたかわかんないし、普通に脱がしてクーの体を洗いたいよ(事案)。

 

ちなみにゲームの時なら、『クッキングケミカリー』感染者は男が上半身裸、女はアマゾネスみたいな片方の肩のみで留めるブラみたいな装備がデフォルトとなる。

そう考えると今のクーの服装である、ボロボロで血まみれの白衣よりはマシかもしれない。

 

うーん……。

 

「ま、しょうがない。切るか」

「きるの?」

「うん。代わりの服は、まぁ何とかするよ」

 

そうして、130cmの血まみれロリの服を、ナイフで切り裂いて全裸に剝く変態が現れた。紛う事無き事案である。なお犯人は私。




メモ

クウ(くーちゃん)

抗体持ちということで捕まえられて研究されていた。ある日ワンコ脱走事件発生。そのどさくさに紛れて逃亡、隠れる。教養が低く、お腹が空いた時ゾンビが人間食べてるの見てわたしもたべれるよねと色々食べながら出口を探し脱出、歩いて歩いて主人公に出会う。腰までの髪。白髪。右手が獣。130cm。赤眼。

『食人癖』『ゾンビウィルス抗体』『クッキング・ケミカリー』LvX
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