再編・淡く儚い夢   作:Negima -{}@{}@{}-

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再会は突然に/ドレスはパートナー

劇組としてアイカツを初めて数日が経った。初日は私にどう接していいか分からなそうにしていた同級生たちも今では普通に話しかけてくれる。

 

今日の劇組では八千草先生が急用でいないため、自主練習日となっていた。

そこで、1年生は以前ツバサ先輩がやっていたという、『泣く』演技を練習して、みんなで反省点をだすこととなった。

 

人数が多いので何人かずつで交代で演技をしているが、皆声を張り上げて泣いていた。

確かにその泣き方なら誰が見ても『泣いている』と思ってくれるだろうけど、私は泣いている演技ってそれでいいのか疑問を持った。

 

私の順番になった。

私は、目をつぶって意識を集中する。

自分のスイッチが入ったのが分かり、周りの音が入ってこなくなる。

 

私が目を開けた瞬間、

右目からスッと一筋の涙がこぼれ落ちた。

 

「「「…………。」」」

 

誰も声を出さないので、私は心配になって、みんなに声をかけた。

するとみんな我に返った用に、一斉に私に詰め寄った。

 

「凄かった!」

「感動した!」

「綺麗だった!」

「すごく、ピッタリの泣き方だった。」

 

そう口々に言われて、少し戸惑ったけど、ありがとうと答えた。

 

囲まれている私を少し離れたところから悔しそうに見ている人がいたことに私は気が付かなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ある日の放課後。

体力づくりのために私は中庭をランニングしていた。

すると思いがけない人に再開した。

 

彼も同じく私を見つけたようで、声を上げた。

 

「雪か!?」

「……すー君」

 

この時、私と彼ーー結城すばるは3年振りの再会を果たした。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

私がまだ小学四年生だった頃。

私が入院していた病室は2人部屋だった。

 

お隣はいつもニコニコした笑顔のお婆さん。

 

なんでも、そのお婆さんの息子はアイドルに憧れているらしく、私がアイドルをめざしていることも知ってか、彼が家でどんな練習してるのかを話してくれた。

 

お婆さんは彼の名前が「すばる」だから、すー君と呼んでいるらしく、話を聞いていた私も、すー君と呼んでいた。

 

そんなある日、病室のドアがガラガラっと開いた。

 

「ばーちゃん!遊びに来たよ!」

 

病室に元気な声が響いた。

お婆さんは嬉しそうに顔を綻ばせた。

 

「まあ、すー君。元気だったかい。」

 

いつも聞いていたすー君がどんな子なのか気になって、私は、ベットカーテンを開けた。

 

お婆さんはその音に気づいて、紹介してくれた。

 

「雪ちゃん、この子がいつも話してたすばるだよ。仲良くしてやってくれ。」

 

「俺はすばるだ。お前は?」

私は、薄く笑って自己紹介をした。

 

「私は、ほしのゆき。初めましてすばる君。」

 

 

それから彼は病院に来る度に私にアイカツの話をしてくれた。

その中で、すー君、雪と呼び合うようになっていった。

 

初めてあった日から約半年がすぎた頃、私がすー君と話していた時、突然の発作で倒れてしまった。それによって病室やら、病院やらが変わってしまった為お互いに会えなくなってしまった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「雪もこの学園にいたなんてな。驚いたぜ。」

「私も驚いた。すー君がM4の結城すばるだったなんて。」

 

あの頃は『すばる』としか名乗られてなかったから、苗字を知らなかった。

しかも、私の周りには女性のアイドルが好きな人しかいなかったから、男性のアイドルは話を聞いたことはあっても見たことがなかった。

 

「今は、体は、大丈夫なのか?」

「うん。大丈夫。あれから良くなって、余程の低気圧じゃなきゃ発作は起きなくなったよ。」

「そっか。よかった。」

 

そんな会話をしていると、遠くの方から声が聞こえた。

 

「おーい、すばる君!みんな探してるよ。ってその子は誰?すばる君の彼女?」

 

声をかけてきたのはすー君と同じM4の香澄朝陽さんだった。

 

「ちげーよ。幼馴染み。つか、朝陽もすぐそういう事言うのやめろ。」

 

「ごめんね、すばる君。」

 

私は、どうしたものかと戸惑っていた。

 

「いきなりごめんね。M4の香澄朝陽です。朝陽って呼んでね。君、名前は?」

 

「初めまして、私は、星乃 雪と申します。劇組の1年生です。」

 

そのあとは、すー君と朝陽さんと連絡先を交換した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

驚きの再開から一夜明け、八千草先生から劇組1年生にファッションショーとドレスメイクのテストがあることが知らされた。

 

ドレスメイクの期間は1週間。

初めてのドレスメイク……私に出来るかな。

 

その日はドレスメイクルームでたくさんのドレスの組み合わせを試した。

色も形も自由度の高いところが魅力でありながら、その分選択肢の幅が広すぎて経験のない私にはどれもしっくり来ないような気がしてくる。

 

ずっと画面を覗き込んでいたからか、体を伸ばすとあちこちが凝り固まっていた。

 

このままここでずっと考えても行き詰まるだけだ。一度、気分転換でもしよう。

 

 

 

 

外を歩いていると道の向こうから声が聞こえてきた。

あれ?この声って、例のお披露目ステージの子かな?

 

すごい1年生がいると話題になっていて、私も最近よく見ていたステージビデオと同じ声が聞こえて、小走りで近づく。

 

「……しって才能あるかも!

 

Oh なんて素敵なドレスなんだ!君デザイナーにならないか?

 

ええ!本当ですか⁉︎私も才能あるって思ってました。

 

なーんて、スカウトされちゃったらどうしよう。」

 

クスクス

 

夢のある一人芝居につい笑ってしまった。

 

すると、笑い声に気がついたのか、目がパチリとあった。

 

「……あー!組み分けオーディションの子!」

 

あの時の私のステージを覚えてくれてたらしい。

それが嬉しくて、にっこり笑いながら自己紹介をした。

 

「はい。星乃 雪と言います。劇組の1年生です。貴方は、虹野さんですよね。歌組の。」

 

そう言うと

 

「うん!私、星乃さんと話してみたかったんだ!あっ雪ちゃんって呼んでいい?私のこともゆめって呼んでいいから!」

 

ステージ通りの元気で明るい子。

一緒にいると笑顔になれる。

虹…じゃなくて、ゆめちゃんはそんな子だった。

 

「わかりました。じゃぁ、ゆめちゃんって呼ばせてもらいます 」

 

その後、寮の入り口までおしゃべりしながら帰った。

 

 

 

 

 

次の日、ドレスメイクも大切だけど、ステージの課題曲である『episode solo』の練習もしなければならないので、ゆめちゃんの友達で美組の小春ちゃんと一緒にウォーキングの練習をしていた。

 

その時に聞いた話だと、美組と劇組の課題がウォーキングで、歌組と舞組の課題がダンスみたい。

 

そのまま、ドレスメイクから目を背けて、ステージだけを練習して、日々が過ぎたいった。

 

 

 

テストは明日。

もう時間がない。

私、ドレスのこと全然わかってない。

 

そんなことを考えながら歩いていたら、すー君にばったり会った。

 

「お、雪!どうかしたか?顔がくらいぞ。」

 

弱気になっていたのだろう。

つい相談してしまった。

 

「ドレスメイク……どんなドレスならテストに合格できるかな…。」

「雪、それは違う。

ドレスはテストに合格するための道具じゃない。お客さんを笑顔にするためのパートナーだ!」

 

その言葉を聞いてハッとした。

確かに、今まで見てきたアイドルはドレスとともに笑顔を生み出していた。

 

なら、今私が作るべきドレスは!

 

「ありがとう」

 

そう言って、ドレスメイクルームに駆けて行った。

満面の笑みを浮かべて。

 

「雪のこと信じてる」

 

というすばるの一言は風にかき消された。

 

 

 

 

 

『次のステージは星乃 雪!』

 

私らしい、私だけのステージドレス!

 

トップスはホワイトシースルーシャツ。黒の服の上の、透け感のあるシャツは青いボタンがアクセントになっていて、とてもクール。胸上のラウンドカット風とスマートなへそ出しがセクシー感とプラスしている。

 

ボトムスはタータンチェックパンツ。スッキリしたシルエットが特徴的で、ボタンのダイヤやベルトがトラッドな着こなしにピッタリ。生地のチェック柄もシンプルさの中にカッコ良さがある。

 

シューズはポインテッドトゥレッドパンプス。つま先が尖ったシャープなフォルムが足元をおしゃれにしてくれる。赤色もコーデが華やかになる。

 

自分とドレスを信じて!

絶対合格する!

 

「泡沫の儚さと煌めきを魅せましょう!…星乃雪、行きます」

 

 

 

 

 

ーーー最強のLIVE…♪

大きな歓声が上がった。

この後、八千草先生の好評だ。

 

「このドレスは、シンプルにまとめられているようで、へそ出しやスッキリしたシルエットの服で星乃の白い肌や細くて長い足をぐっと引き立ててる。ファッションショーだからこそのドレスだったわ。

 

流石、星乃はドレスの引き立て方が上手いわね。

 

合格よ。」

 

ありがとうございます!と大きくお辞儀しながら言ってステージから降りた。

 

 

その日の夕方。ゆめちゃんにローラちゃんを紹介してもらった。みんなもテストは合格できたらしい。

みんなでカフェに行ってお喋りをして、そのあと解散した。

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