とある箱庭の一方通行   作:スプライター

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それぞれの一日、見え隠れする闇

 

 

 

 

 

 

時刻は午後を回り始めた時刻。

『廃墟』からミレニアムへと戻って来た一方通行は現在、ミレニアム内をヒナと二人で行く当てもなくぶらりとさ迷っていた。

 

本来なら現在彼は連れ帰って来た『AL-1S』ことアリスについて調べている所である。

しかし悲しいかな、様々な要因が重なった結果一方通行はミレニアムで何もする事がなくなってしまい、かといってシャーレに帰っても追われている仕事がある訳でもなく、完全に手持無沙汰となった彼はミレニアムを適当に歩く道中、偶然見つけたから揚げ店で昼食がてら、から揚げ串を何本か買いヒナと共に食べ歩きをするだけに留まっている。

 

こうなった理由は主に四つ。

一つ目はミレニアムにやって来た途端、モモイがアリスとミドリを引き連れて部室に籠ってしまった事。

二つ目はそのモモイから『明日の朝、部室に来て!』というモモトークを受け取った事。

三つ目はエンジニア部の面々が揃って不在だった事。

四つ目はならもう帰るかと言った所、何故かヒナが物惜しそうにした事。

 

それら全てが重なった結果、彼はやる事がなく、ただ適当にその辺をふらつきながら時間を潰し続ける午後を送っていた。

 

「せんせ、ここのから揚げ、あふ……。とても美味しい。衣がとってもサクサクで、でもお肉はとても柔らかくて、それでいて油がしつこくない。んっっ。久しぶりに食べたけど凄く美味しい」

 

とは言え、熱々のから揚げを嬉しそうに食べる彼女を見て、別にこういう一日になっても良いかと思う。

 

「そりゃ良かったなァ」

 

言いながら彼も一口、自分の分のから揚げを頬張る。

出来たてで熱いが、味は悪くない。

廃墟での探索、そしてミレニアムに帰還するまでに消費したエネルギーを補給するにはもってこいの食べ物だった。

 

「でも改めて考えると不思議ね。ゲヘナの私が出歩いててもミレニアムの生徒は何も反応しない。彼女達のセキュリティ意識は割と低いって事なの?」

「どこの誰がから揚げ美味そうに食ってる奴を危険だと思うンだァ?」

「それはそうかもだけど……」

 

一方通行からの真っ当な答えに、ヒナは納得出来そうで出来ていない様に口ごもる。

そんな態度を見せるヒナを見る一方通行は、彼女の心配は杞憂だなと思わざるを得なかった。

 

実の所、ミレニアムのセキュリティ意識はかなり高い。

それはミレニアムに良く足を運ぶ一方通行が最初に思った事象であり、同時に懐かしさを覚えた理由でもあった。

 

監視カメラはこの近辺だけで数十台。それも傍目に見えない位置でお互いの死角を完璧に補うように設置されている。ミレニアム全体で言えば千台は優に超えるかもしれない。

つまり、それだけの監視カメラを配置してもそれらの動向を常に把握できる人材、システムがミレニアムには存在している。それだけでゲヘナやトリニティ等とはセキュリティ意識が一線を画している。

 

ゲヘナに赴いた経験がある一方通行だからこそ分かる。

この芸当は他学校には出来ない。

ミレニアムだけのオンリーワンの特色。

 

なので、気付かれていない筈がない。

ここに空崎ヒナがいる事。

ゲヘナの風紀委員長が白昼堂々とミレニアムを散歩している事に気付いていない筈が無い。

 

分かっていてもミレニアム側がアクションを起こさないのは、隣に一方通行と言う名のお目付け役がいる事と、見るからに敵対意思を見せていないからだけ。

その気になれば全力で排除に動くだろう。

それが出来る科学がミレニアムにはある。

 

容赦が無い側面がある所も、ミレニアムは学園都市と似ていた。

 

「そこら辺で動いてる掃除ロボットあンだろ」

「え? 確かにゴミとか木の葉とか全部吸い込んだり一か所に集めたりしてるのを見かけるけど……」

 

今も近くで一台、せっせと落ちている葉っぱや薬莢等をポイポイと機械の側面から伸びるアームで拾い上げて自身の頭に設置されたゴミ箱に次々と入れていく機械が通り過ぎる。

ああいうの何台か提供してくれない物かしら。と、高性能さに舌を巻いているヒナに、一方通行は容赦ない常識を告げる。

 

「戦闘用に改造されてる。有事になるとそいつ等が率先して対象を排除しに動き始めるだろォな。この調子だと監視カメラも非常時はレーザー射出装置に変わるかもなァ」

「ッッ!?」

 

後者のレーザー部分に関しては憶測を出ていない物でしかないが、ヒナにとっては衝撃も良い所だったようだ。ウソでしょと言いたげな顔で口をポッカリと開けている。

ちなみに学園都市は流石にそこまでの兵器化は大部分では為されていない。そんな物が為されていたら生徒の無事が何も保証できないからだ。とはいえ一部分、暗部に関わる場所では設置されていた可能性も否定できないが。

 

「少し考えりゃ誰でも分かる。個々の戦力じゃ水を開けられてるミレニアムが、科学一つでお前等と肩を並べてる。となれば自分達の常識から外れたシステムや兵器があるのは当たり前ってなァ」

 

同時に、ミレニアムが最大限警戒しなければならないのが技術の横領であると一方通行はヒナに語った。

 

個人の力に依存していない分、科学に強さの比重が傾いている分、ミレニアムが最も意識を向けなければならないのが自分達が作り上げて来た科学技術、兵器を他学校に奪われる事。

 

ゲヘナやトリニティに奪われたが最後、三強時代は瞬く間に一強時代へと早変わりし、その他の学校が手にしてしまえばミレニアムが除かれた三強時代に突入する。

そして、過去にミレニアムの技術を奪おうとした事例が一度も無かったかと言われれば、そんな事はあり得ないと一方通行は断じる。

 

ほぼ間違いなく、侵入された過去があり撃退した記録がある。

どこかの学校の上層部が。あるいは個人が。それとも何校かによる合同組織が。

ミレニアムの技術欲しさに、科学欲しさに暴れ、力及ばず敗北した過去が間違いなくある。

 

街中に設置された監視カメラ。掃除ロボと見せかけている迎撃ロボット。探せば他にもいくらでも見つかるであろう侵入者迎撃システム。

 

これらが平然と別の何かになりすましてミレニアム中に配置されている事実が、一方通行がキヴォトスにやって来る前に起きていたであろう、ミレニアムと他校との闘争をさんさんと物語っていた。

 

ヒナがこの事実を知らなさそうだったのは、事件があった事をミレニアム側が表沙汰にしていない、もしくは既にミレニアムによって証拠無く攻撃した側の学校が反撃された等が原因だろう。

 

だが、闘争の行方はどうだったであれ、結果はミレニアム自体が物語っている

ミレニアムが今も三強に名を連ね続けているのが、その証拠と言えた。

 

「……ン?」

 

ふと横を見ると、見るからに先程の陽気さが消え失せている少女が一人。

彼の説明に対し自らの知識不足を嘆いているのか、顔が少し俯いている。

あむ。と、から揚げを食べる動きもどこかぎこちない。

 

質問に答えただけだったのに思いの外空気が重くなったな。と、説明の方向性がやや乱暴すぎたかと、一方通行は若干反省の意を込めながらヒナの頭に手を置く。

 

「要するに心配するだけ無駄って事だなァ。大人しくから揚げでも食っとけ。何も起きやしねェよ」

 

普段の彼なら、いや学園都市にいた頃の彼なら決してしなかったであろうその行為を、彼は何でも無さそうに自然と振る舞う。

 

笑いながら優しい声で話す姿を見て、彼を知る人物は成長したと言うだろうか。退化したと言うだろうか。

答えは両方である。

喜ぶ人間は多く、恨む人間も少なくない。

 

だがしかし、それは彼が進み始めた道の先にある答えとも言えて、キヴォトスで出会った少女達との絆によって巡り合わされた施しとも言えた。

 

一方通行自身ですら気付かないであろう。

そして恐らく、自覚することも無いのであろう。

ともすれば絆されているとも言えてしまう程に彼の心境の変化は著しい。

 

だがそれは、きっと肯定されていくのだろう。

特に、キヴォトスで出会った少女達ならば。

 

「ぁ、ぇッッ!? な、何急にっっ!!」

 

とは言え、一方通行が起こした突然の行動に対し綺麗に対応できる少女は今の所少ない。

彼の気紛れとも言える頭に手を置くという行為に、ヒナは顔をバッッと上げて顔を一気に真っ赤にさせて大声で慌て始めた。

 

しかしその手を振り払おうとはしない。

否、一瞬だけ振り払おうと手が上に持ち上がったが、その手は首元より上には行かず、徐々にその高度を落としていた。

 

それは彼女が撫でられるのを受け入れたことを意味している。

もしくは、拒絶したくなかったのかもしれない。

いずれにせよ、彼女は一方通行の手を跳ねのけなかった。

しかし、それはつまりそうされるのが嫌いでは無かった事を彼に教えているも同然であり、それに気づいたヒナの頬の赤みは見る見る内に深化していく。

 

恥ずかしさの極致。

しかし特段悪い気もしない。

だがやはりこれを周囲に見られるのはすごく恥ずかしい。

あ、今近くの子がこっち見た。

やめて。今の私を見ないで。

 

言葉にせずとも何を思っているのか分かる程にヒナのリアクションは分かりやすく、一方通行から見れば、彼女のその姿はとても愉快に映った。

 

なので一方通行はカカカと実に面白そうに笑うと。

 

「そォいや『廃墟』での礼も言ってなかったなァ」

 

まるで今思い出したかのような口ぶりで、次なる攻撃の一手を繰り出した。

 

「れ、礼っ? あ、あの、せん、先生っ、その、色んな人に見られて……っ!」

「ロボット共との初邂逅時、俺の前に出て庇っただろォが。ありがとよォ」

「あ、あああ、あれっあれね。だって、そんなの当然、だから……っ! 先生を、守るのはっ私の役目って、思ってるから……っ」

 

真っ赤を通り越して沸騰しているのではないかと疑ってしまう程の顔で、ヒナは『廃墟』での行動理由を口にする。

立派な考えではあるなと一方通行は考えるものの、個人的にそれを褒めたくはない。

 

なので彼は礼を告げた後で。

 

「次からはそンな無茶すンじゃねェぞ。俺はお前が思ってる程弱くはねェンだよ」

 

頭から手を離しながら、やんわりと次からは自らの身を危険に晒すような真似はするなと忠告した。

あっ。と、その事に小さく声を上げるものの、それ以上は何も言わず彼女は再び一方通行の隣を歩き始める。

顔を赤くし、背を丸める様にして歩いているのは身長の低さもあって周囲からとても微笑ましく映る。

ヒナにとって難題だったのは、この気持ちを真っ先に気付いて欲しい一方通行が、てんで気付かない所だろうか。

 

「所で、いつまでこォして歩いてるンだァ? どっか行きたいとこねェのかよ」

 

話題を変える様に、から揚げを齧りながら一方通行がヒナに聞く。

本来ならばシャーレに戻って残っていた仕事を処理している筈だったが、現在彼はヒナの目で訴えて来た我儘によってミレニアムをあてもなくぶらついている。

 

そうする理由は今の時間が午後だという事。

そして、午後の担当もヒナであるという事が大きい。

 

一方通行の日常のルーチンは最近固定されている。

即ち、午前は仕事。午後は担当で来た生徒の交流だった。

 

一方通行は普通の人間なら半日かかって処理するシャーレの事務仕事を午前中のみで終わらす。

しかしシャーレにやって来る仕事手伝いの生徒は一日担当と午前午後に分かれて担当する二通りが存在する為、仕事が終わっても午後当番である生徒はやって来てしまう。

だが午後の仕事は前述の理由により存在しない。

 

よって午後の時間は一方通行の完全自由時間ではあるのだが、午後に来た担当生徒達にことある理由で様々な場所へ引っ張り回され続ける生活をここ最近送り始めている為、最近の一方通行は午後の時間はもう『そう言う時間』だと認識している。

 

どうせ仕事なんざ一瞬で終わると自身の能力の高さからそう決める一方通行は午後は彼女の為に使おうとヒナが行きたい場所を聞き。

 

今度は行き場が無さそうに視線を虚空で彷徨わせているヒナの姿を目撃した。

 

「先生……その、ごめんなさい。こういう時。ショッピング。とか言えたら……良いのだけど。私……流行とか興味無くて……アクセサリーとかも。その、特には……」

 

ごめんなさい。

そう謝罪するヒナの姿に、一方通行は何も言葉を返さない。

彼が無言だったのは自分の提案に対し何も要望が無いという彼女の態度に腹を立てたのではなく、何も用事が無い。でもそれでいてシャーレに戻る事を拒否した彼女の真意を汲み取る為。

 

否、もう彼は気付いている。

空崎ヒナは存外不器用な少女だ。

要望は無い、目的も無い。

しかし、このまま何もせずに帰りたくはない。

でもその帰らぬ理由が見つからない。

何故なら、今この時間は彼女にとってとても貴重な自由時間だから。

仕事に追われない、静かな時間だから。

 

そう、彼は今のヒナが置かれている状況を推測する。

 

一方通行から見て空崎ヒナは仕事に忙殺されている少女であると認識している。

彼女の日常は右を見ても左を見ても仕事仕事。トラブルトラブル。

 

休みなんて殆ど無いし、あっても疲れを癒す為に数時間多く睡眠を取るぐらいの時間しかない。

そんな彼女が少女らしい趣味や好きを見つける時間があったとは思えない。

だから彼女はショッピングに興味が無いし、アクセサリーや服に魅力を覚えない。

問題なのは彼女自身それで良いと認識している部分だ。

 

知らなくて良い。

どうせそんなお洒落に気を遣う時間なんて無いから。

分からなくて良い。

自分がそんな物が似合うような少女じゃないことぐらい分かってるから。

 

だから。

だから。

知らなければ。

楽しいという感情すら知らなければ。

 

自分じゃない誰かを。

忙しくなく楽しむ時間がある誰かを。

羨む必要すらない。

 

何故なら、自分はその楽しいを知らないから。

知らなければ、羨む必要も理由も無いから。

 

心の中に自分でも意識していないシャッターを幾重にも下ろしてそう考えているのを易々と一方通行は見抜く。

その上で、彼にこの後どうするかと聞かれ、どうしようどうしようとこの場を乗り切る文字列を必死に考えるヒナの不安な気持ちを払拭すべく。

 

「ショッピングモールに行くぞ」

 

彼にしては珍しく、本当に非常に珍しく自分から少女を遊びに誘った。

 

「え? 先生が何か買うの?」

 

顔を上げて、ヒナは一緒にいられる理由が出来た。と少し喜びを顔に出しながら彼に聞く。

対し、一方通行はもう一度彼女の頭に手をポンと置き。

 

「お前に似合いそうな物を俺が選ンで買ってやるよ。変なカエルのストラップとかなァ」

 

身近にいた少女がしきりに話題にしていた変なカエルノキャラクターを頭に思い浮かべながら、一方通行は今日の時間は彼女の為に使う時間だと宣言する。

 

へ。と、彼女が驚きで足を止めるが、彼は気にせず進んでいく。

しばらくするとパタパタと足音を立ててヒナが近づいてくると、矢継早に捲し立て始める。

 

「あ、あの先生っっ!」

「その、私、そう言うの好きじゃなくて……」

「嫌いとか好きじゃなくて……興味が……」

「あ、あの。だから買って貰っても、嬉しいとか、言えないかも……」

「だから、私の為にそんなの、買わなくたって……」

「先生の買い物、見てるだけで楽しいからっ」

「私の為に、買わなくて良いから……」

 

背後から次々と飛んでくる声を全部無視し、彼はヒナを引き連れてショッピングモールへと入っていく。

その後、日没まで彼は一人の少女の為に時間を使う。

 

その少女は最初は申し訳なさそうに、恥ずかしそうにしていたが、次々と容赦なく女に似合いそうな服やアクセサリーを購入していく姿に次第に折れ、分からないなりに、彼女なりに楽しむようにシフトしていく事となる。

 

その日以降、彼女の愛銃、『デストロイヤー』には、可愛らしいカエルのストラップが括りつけられたという。

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

 

「で、朝から俺を呼び出したのは良い、昨日からの要望だからな」

 

明けて翌日。ヒナからのモモトーク『ゲヘナで小っちゃいトラブルがあったから今日はシャーレに行けない』というメッセージに『何か力が必要な事があったら遠慮なく言え』と送る事でソファから身体を起こすだけの気力を確保し、それでもどうにもならない眠気を必死にコーヒーで誤魔化しつつ、早朝からミレニアムのゲーム開発部の部室にやって来た一方通行は目の前の状況を見て一言、やや語気を強めにして言い放った。

 

彼の目の前には正座して座る少女が三人。

 

一人は才羽モモイ。大元凶。顔がニヤけている。生徒じゃなかったらグーだった。

一人は才羽ミドリ。元凶。申し訳なさそうな顔をしている。姉を止められなかったので同罪。デコピン。

一人は花岡ユズ。元凶。あわあわと顔を青くしている。しかし今回に限り同情の余地は無い。何故なら彼女もやりたいようにやった一人である事がほぼほぼ確定だからだ。同じくデコピン。

 

一方通行に見下ろされる三人の少女は、三者三様の表情でキッチリと正座しながら彼を見上げていた。

チラリと、一方通行は部室の奥を見やる。

そこには、昨日『廃墟』から連れ出した少女が、昨日とは打って変わって豊かな表情で一方通行の方を見つめている。

 

「先生とのエンカウント発生。コマンド? 逃げる? 戦う? アリスは迷っています」

 

少女の話し言葉は昨日とはまるで別人の様だった。

まるで古めかしいゲーム内での会話をそのまま出力しているような様子だった。

それを踏まえて、もう一度一方通行は部室内を見渡す。

 

一台のアナログテレビ。

その周辺に複数散らばる古い世代の据え置き機。

その据え置き機の周囲にさらに散らばる数々のゲームソフト。

 

シミュレーション。

RPG。

ストラテジー。

アクション。

 

ありとあらゆるジャンルのビデオゲームが、所狭しと散らかっている。

ゲーム開発部の部室は普段からお世辞にも綺麗とは言い難い様相だったが、今回の散らかり具合は今までのそれと比べて群を抜いていると言えた。

 

一方通行が最後にこの部室を訪れてからそんなに日は経過していない。

つまり、毎日の積み重ねで散らかった物ではないと分かる。

 

「モモイ」

 

変な話し言葉になった機械仕掛けの少女。

部室にイヤ程散らかった様々なゲーム。

これらを総合して導き出した結論の答え合わせをすべく、一言、一方通行は正座している中の一人の名を重い声で呼び、

 

「コイツに何を仕込みやがったンですかテメェはァァァァアアアアアッッ!?」

「あぎゃああああああああああッッッ!!!」

 

左手でギッチリとアイアンクローを決めた。

同時に彼は後悔する。

昨日、モモイの熱意に負けてアリスを預けるのでは無かったと。

 

「何をどうしたらたった一日でここまで変えられるンですか英才教育やってンじゃねェよゲームは一日一時間って相場は決まってンですゥ!!」

「どこの保護者!!? と言うか先生だって遊びに来たら一時間じゃなくて四時間ぐらいここで遊んでるじゃあばばばばばばばギブギブギブギブッッッ!!!」

 

言い訳無用。それはそれ。

モモイの的外れな言い逃れに対し左手での締め付けを強くする。

ぎゃああああっと痛そうに叫ぶモモイが彼の手をパシパシと力無さげに叩くがそんな程度で解放される訳が無い。

 

一方通行とてアリスに言語教育を施すこと自体は悪く無いとは思う。

いつか通らねばならない道だったのだと思いはする。

 

だが。

だが。

 

これはこれ、それはそれだった。

 

「このままお仕置きだ、とりあえずその緩み切った頭を思いっきり締め直してやる」

「なんでわたしだけっっ!? あれ、ミドリとユズはぁぁああああああああああああああッッ!?」

 

ギチギチとこめかみを挟む手に悶絶しながらモモイは自身に降りかかる理不尽さに残り二名を巻き添えにしようと企み始める。

 

自分だけお仕置きされるのは納得いかない。

そう強かに主張するモモイを一蹴するように。

 

「ミドリとユズはアホみたいな事を最初に思いついたりしねェんだよこういう場合は基本モモイの方だって流石に俺も分かってるンですゥゥゥゥッッ!!」

 

現在モモイのみをターゲットにしている理由を述べた。

 

言いながらも、ユズとミドリがモモイを止められなかった事実。

一対一で暴走するモモイを抑制出来なかったのなら話は別だが、昨日の状況はどう考えても二対一。

モモイの暴走を抑えるチャンスは確実にあったにも関わらず、見ての通りアリスは完全に完成してしまっている事から考えるに、二人も多かれ少なかれアリスの英才教育に噛んだ可能性は高い。

と言うか、確実だった。

 

なので。

 

「とはいえお前等にも原因は複数あるよなァ。つゥ訳でミドリ、ユズ。お前達は今度シャーレに来た時エンジニア部特性のお仕置きマシーンにブチ込ンでやるから覚悟しろォ」

「お、お仕置き……マシーン…………?」

「えっっ!? そ、そそれってあの、くすぐりマシーンの事なんじゃ……」

 

ビクッッ! と、彼が放った言葉の意味が分からずユズが聞き返し、その機械について見聞がある風なミドリが何故だか顔を赤くしながらシャーレに置かれているある機器を使うつもりなのかと一方通行に問い合わせた。

 

何で顔を赤くしているのか彼はわからなかったが、成程知っているなら話は早かった。

天高く、雲の上まで突き抜ける程の巨大さを誇るシャーレの面積は見た目通り、いやそれ以上に広い。

 

使ってない部屋は数え切れない程。

なので、一部の部屋は生徒の私物が置かれていたりもする。

 

その使われていない部屋の一つ二つを、エンジニア部の三名が自分達の制作物を置く専用部屋にした場所がある。

 

一つはミレニアムから持ってきた物を置く倉庫部屋。

一つは、シャーレで作った大型機械を保管する部屋。

 

その内の、シャーレで作った大型機械を保管する部屋に、彼女達が作った『ボックス型マッサージマシン』がある。

 

その名の通り対象を気の済むまで百や二百を超えるマニュピレータハンドで全身マッサージするのが本来の用途だが、エンジニア部のいつもの悪癖がこのマシンにも炸裂している。

 

対象をマッサージすると言う用途を曲解したかのように、このマシンにはボックスの中にあるそのハンドでマッサージではなく、ひたすら延々に決められた時間全身をくすぐり続けるという、果たして誰がこの機能を欲しがったのかと疑問に思うしかない変な機能が存在する。

 

テストとしてユウカが一度入ったらしいが、終わった後オフィスに顔を出す事無く帰って行ったので何が起きたのか詳細は知らない。

だが、後日モモトークにて『あれはダメです。絶対に他の子に使わないで下さい』『あれは地獄です』『汗びっしょりで顔を出せませんでした』『後その……色々と、先生に見せられる姿じゃ無かったので……』等と送られて来ていた。

 

一方通行としてはこの時点で破棄しても良かったのだが、ウタハ達三人の希望及び、まあ一部屋ぐらい埋められてもシャーレの機能としては何一つ問題は無いという判断から、そのマッサージマシンは捨てられずに残っている。

 

基本的に使う事は無いと思っていたが、どうやら使い道が出来たようだった。

 

被検体であるユウカは無事だった。

その上で地獄を見たという証言を聞いている。

 

お仕置きとして使う分にはピッタリの条件だった。

だが、何故ミドリがそれを知っていたのかについては不明。

適当にエンジニア部の誰かから聞いたんだろと一方通行は納得した所で。

 

「よォく知ってるじゃねェか。たっぷり一時間使ってやるから反省しろォ」

 

ピシャリと、震えるユズと顔を赤くしているミドリに告げる。

 

「う、ぅぅうううう…………っ! で、でもくすぐりなら……受け……ます……」

 

ユズは素直だった。

歯止めが聞かなかった自分自身に対する戒めも兼ねているのだろう。

後そんな酷い目に会う訳では無いという安心感もあったのかもしれない。

打算あれど、基本怖がりな彼女が素直に罰を受け止めた事に、十分程度で終わらせてやろうと一方通行は決める。

 

その一方で。

 

「あ、あああああれっっあれって! 確か、声とか……聞こえるような設計になってた、ような、気が、あ、ああああの。先生は、私の声って、良いと思いますか……?」

 

どういう訳かミドリは良く分からない方向にヒートアップしていた。

そして質問の意図も分からなかった。

何故だか少し嬉しそうにしているのも理解出来ない。

 

声が聞こえるようにしているのは安全上当たり前である。エンジニア部の三人が安全に配慮した機械設計を常日頃からしているのかはともかくとして、閉じ込め型の設計をしている以上最低限外に声が聞こえるぐらいはしているだろう。恐らく。きっと。

 

それを踏まえた上で、自分の声は良いですかと聞かれて、何と答えるのが最適解なのか今一つ一方通行には掴めなかった。

ミドリの声は聞き取りやすい。うるさくもないし静かすぎる訳でもないと思う。

しかしそれを今聞かれて、それをそのまま答えたとしてそれがどうしたと言うのだろう一方通行は考えずにはいられない。

 

どう答えれば良いんだ。

と言うか何を望んでいるんだ。

時間にしてコンマ数秒程、適切な回答を探しあぐねていると。

 

「で、出来れば先生と二人っきりの時に……あの、あのあのあの……っ! …………はい。受けます」

 

一方通行から答えを聞く前に顔から煙を吹き出して俯いた後、静かな声でそう頷いた。

彼の頭に中にクエスチョンマークがいくつも浮かび上がる。

何やら勝手に疑問を作っては勝手に解決した気配がある。

自分が介入する意味はまるで無かったようだった。

 

どちらにせよ、変な方向にやる気があるなら予定通り一時間執行してやろうと心に誓いつつ。

 

「あ、モモイは当然二時間な」

 

一番仕置きをしなければならない人物に情け容赦ない一言を浴びせた。

 

「ひどいぃぃいいいいっっ!! 私の事痛めつけたまま冷静に二人と話した挙句どうして私だけ時間が倍ぃぃいいいいいいいいィィ!? 扱いがッッ! 扱いが違うぅぅぅうううううううッッ!!!」

 

朝早くから、ミレニアムのゲーム開発部にてモモイの悲鳴が響き渡る。

そしてそれは、ミレニアムサイエンススクールにて巻き起こる長い一日の始まりでもあった。

 

 

 

 

────────────────────────

 

 

 

 

「…………」

 

その日、早瀬ユウカは朝からその心を乱されていた。

セミナーに赴くその足取りは重く、顔色も優れていない。

 

体調が悪い訳では無かった。

徹夜をした訳でも無かった。

 

だが、彼女は先日満足な睡眠を取れていなかったのもまた事実だった。

忙しかったのではなく、ただ単純に寝れなかっただけ。

 

しかし今のユウカに付き纏う例えようのない気怠さが、決して睡眠不足から来る物ではない事だけは彼女自身分かっていた。

 

はぁ。と、彼女は早朝にもかかわらずため息を漏らす。数えてこれが十一度目。

歩きながら、徐に彼女はタブレットを取り出し、カレンダーを表示する。

 

目で追うのは、赤い丸で囲んだとある日付。

それは、彼女が次にシャーレに行く日を指し示していた。

 

「先生……」

 

自然と、言おうとした訳でもないそれが口から零れる。

会いたい。と、素直に思った。

先生の隣で仕事をして、話したりがしたいと願った。

 

だが、それが叶うまで、あと三日もある。

それが今のユウカには、とても耐えられる物じゃなかった。

 

用事は無いけど会いに行きたいが、シャーレに行く者同士の取り決めでそれはご法度とされている。

仕事の邪魔だから。と言えば聞こえは良いが、その実は先生との時間を奪われたくないだけ。

 

言い換えればそれは、自分と同じように先生を狙っている少女が誰なのかを必然的に教えているような物であったが、ユウカ自身逆の立場になった場合邪魔されたくはないのでそれを受け入れるしかなかった。

結果的に、自分や、自分と同じ類の感情を先生に向ける生徒全員は、次にシャーレに行ける日まで悶々とした毎日を過ごさなければならないようになってしまっている。

 

一日のありがたさと引き換えに一週間分苦しまなければならないこの制度に、現在ユウカは今までよりも一番苦痛を味わっていた。

 

同時に思い起こされる。

昨日の記憶を。

自分にとって、衝撃でしか無かった記憶を。

 

…………。

…………。

 

『大規模変数分析装置──a.k.a──未来観測機関『(しん)』が実行されました』

 

『この機関は、収集したデータを基に変化やそこから生まれる予測値を計算し、実現性が最も高い可能性を出力します』

 

『どんな未来が知りたいか、何でもお聞きください』

 

何週間、あるいは何か月ぶりかに起動させた『讖』から、お決まりの音声が出力される。

それは『讖』が入力を受け付ける段階に入った事を意味し、つまり全ての準備が整った事を示している。

その音声に、ユウカは肺から空気を大きく一つ吐き出した。

 

一番最初に使用した時は役立たずな返答しか返ってこなかった。

故に今回もそうである可能性は高い。

言い聞かせる。ユウカは己にそう言い聞かせる。

 

もう一度。

今一度。

これは確実な事は言わない。

適当な事しか言わない。

だから変に期待するだけ無駄。

出力されるのはただの占い。

どこにでもあるような普通の占い。

圧倒的高性能なシステムから、名称だけやたらと高尚そうなシステムから言い渡されるだけ。

 

何度も何度もそう言い聞かせる。

 

だというのに、胸の高鳴りは抑えられそうに無かった。

心臓の鼓動が聞こえてきそうな程にうるさい。

暑くも無いのに汗が額から流れる。

 

大したことを聞くつもりはない。

先生と自分が今後どうなるかを聞きたいだけ。

ただそれだけなのに、言葉を彼女は詰まらせていた。

言葉が出てこない。

自身の望むように口が動かない。

 

ここには自分以外誰もいない。

何を言おうが誰の耳にも届かない。

そんな事は分かっている。

分かっているのに、彼女は望みの言葉を言えなかった。

 

それから彼女は自分と戦った。

十秒、十五秒。

言いたい気持ち。聞きたい気持ち。しかし言葉にするのが恥ずかしい気持ち。

それらと戦い、苦悩し、格闘し。

 

やがて、やがて覚悟を決めたのか、だがそれでも結局恥ずかしさを隠しきれないのか、彼女は他の誰かが聞いたら驚きを隠せない顔になってしまう程に、か細く弱い声で。

 

「せ、先生と……どうやったら……もっと仲良く、なれます、か……?」

 

いじらしさ満点の雰囲気で、恥ずかしさで頬を紅潮させつつもそう『讖』に質問した。

 

冷静に考えた場合、この答えに対し『讖』が回答出来る物は存在しない。

『先生』とは誰なのかを『讖』が知る筈がないからだ。

男なのか女なのか。本名は性格は生年月日は。それを知らなければ相性を調べるもクソも無い。

そもそも早瀬ユウカと『先生』の相性を調べるにして、大前提の『早瀬ユウカ』の詳細すらユウカは伝えていない。そして頭の痛い事にユウカ自身先生の本名も年齢も知らない。

 

つまり、初めからこの問いは成立していない。

本来なら簡単に気付くポカをユウカは気付いていなかった。

気付く事すら出来ない程に彼女の心に余裕は無かった。

 

『リクエストを受け取りました、未来予測を開始します』

 

機械的な音声が流れる。

それは、彼女の声をしっかりと『讖』が聞き取った証拠であり。

同時に、今後の彼女の運命を決める占いが始まったことを意味していた。

 

直後、ユウカの呼吸が荒くなる。

右手が、自然と胸に置かれる。

答えが返って来るまでの、短くて長い時間が始まる。

 

言った。

言ってしまった。

もう戻れない。

もう訂正は出来ない。

 

出来る事は待つだけ。

ひたすら待ち続けるだけ。

 

何て返事が返って来る? 

どんな未来が待ってると言われる? 

 

心臓音が最高潮に達する。

一秒一秒が非常に長く感じる。

 

ドキドキと不安と恐怖、そしてもしかしたらと言う期待。

ありとあらゆる感情がぐちゃまぜになって形容し難い物が渦巻く最中、

 

ポン。と、『讖』から音が響く。

 

『演算を完了しました』

 

ビクッッ。と、それだけでユウカの背が跳ねた。

何が言い放たれるのか。

どんな結論を出してくるのか。

 

言い聞かせる。

ひたすら、ひたすらに言い聞かせる。

良い結果が出てもこれは占い。

悪い結果が出てもこれは占い。

 

だからどんな結果になったとしても直接的な影響は無い。

だから大丈夫。大丈夫。

 

悪い結果が出てもショックを受けない様、出来る限りの手段で気持ちを整えようとする。

その、刹那。

 

『演算結果、『先生』との関係は、断つ事をオススメします』

「……へ?」

 

予想だにしていない音声が、『讖』から流れ始めた。

 

『あなたは『先生』の傍にいると遠くない未来、楽園へと至る道の途中で身を滅ぼします。その身はその身として『有る』だけの存在へと変貌します』

「な……なに……?」

 

知らない。

知らない。

知らない知らない。

 

以前使用した時、『讖』はこんな物を喋らなかった。

占い機としての機能しか果たさなかった。

じゃあこれは一体何だ。

 

「う、占い……よね? これって、占いの結果……なのよね?」

 

一歩、引き下がりながら、今までとは違う種類の汗を額から落としながらユウカは震える声で己に言い聞かせる様に言葉を紡ぐ。

 

これは占い。

『讖』が言っているのはただの占いに違いない。

 

だってこれはそれしか機能がない完成品。

高級な部品を贅沢に使用した占いする事しか役割が無い代物。

 

ユウカは渡された設計図通りに『讖』を完成させた。

そこに見落としは無く、故に異常行動が起きる筈も無い。

 

正真正銘、『讖』は占いをする事以外に出来る機能は無いシステムなのだ。

 

だが、だがしかし。

これは、これではまるで占いではなく予言ではないか。

未来観測機関としての本領を発揮しているようにしか、聞こえないではないか。

 

そう、思ってしまう。

そう、考えてしまう。

 

『早瀬ユウカ、才羽ミドリ、黒舘ハルナ、空崎ヒナ、狐坂ワカモ、砂────』

「うるさいっっっ!!! それ以上何も言わないでッッ!!!!!」

 

思わず、もしくは咄嗟にユウカは声を張り上げた。

聞きたくない。そんな未来なんて聞きたくない。

 

だが、『讖』は彼女の言葉に耳を傾ける人間らしさを持つ筈も無く。

 

『────。以上七名の生徒は、『先生』と関わるべきではない。即座に関係を絶つべきです』

 

機械的に淡々と自身の演算結果が導き出した答えを語った。

そしてそれ以降、『讖』は演算結果の出力を終了したのかそれ以降何も言わなくなる。

 

残されたのは、打ちひしがれたかのように膝を突いて崩れるユウカ一人だけ。

 

「あ……ぁあ……」

 

力無く、言葉になってない声を部屋に流す。

 

実感した。

痛感した。

『讖』が言っていることは本物だ。

今、この機械は間違いなく未来を予想した。

 

高確率で未来を当てる未来観測機関『讖』。

高確率である以上、外れる可能性も十分にある。

 

楽園へと至る道とはなんなのか。

身を滅ぼすのとその身がその身として『有り』続けるだけの存在になるとは何なのか。

思い返せば思い返す程頭が痛くなる。

 

荒唐無稽な話だと単純に終わらせたい気持ちがひしひしと訴えて来る。

そんな未来ある訳が無い。

否、そうであって欲しいとユウカの心は願っている。

 

だが、だがしかし。

『讖』は自分の知らない少女の名前を挙げた。

知ってる少女の名前も挙げた。

 

その事実が、彼女に信頼性を不幸にも与える。

彼女の心に影が落ちる。

『讖』が放った未来が来るかもしれないと、恐怖する日々を送る事になる。

来てほしくない未来が来るかもしれないと、怯える毎日を過ごす事になる。

 

 

この事を誰かに言える訳がない。

誰にも言える訳がない。

 

先生にも。

名前が挙がった少女達にも。

 

抱え込むしかない。

抱え込んで、毎日を過ごすしかない。

 

ホロ……と、ユウカの瞳から涙が堕ちる。

あれ。と思ったのも束の間、それは瞬く間に溢れ出していく。

 

ああ。

ああ。

 

泣いている事に気付いたユウカは、今度こそ嗚咽する。

 

未来を占わなければ良かった。

『讖』を使わなければ良かった。

予言を聞かなければ良かった。

抜け駆けしようと考えなければ良かった。

 

「私は……どう、すれば……」

 

先生。

先生。

先生。

 

「先生……助けて…………っっ!」

 

誰にも声が届かない場所で静かに放たれたそれは、誰の耳にも届かぬままひっそりと音に乗って消えていく。

 

その日、彼女はセミナーの仕事に戻る事無く帰宅し、ノアにメッセージで軽くごめんと謝罪するだけに留め、それ以上連絡を取り合おうとはしなかった。

 

それが、ユウカが昨日送った日常。

二度と戻れない日常の、最後の一日だった。

 

 

 

 









趣味と実益を兼ねた二十二話です。気付けば結構な文字数になっております。
おかしい、七千程で納める筈だったのに。多分モモミドユズのお仕置き説明パートが余計。でもあれは実益的に必要だったんだ……っ!

メインストーリーに関してですが、今回のアリスパートを見ても分かる通り、一方通行、つまり主人公が介入しない部分はメインストーリーを呼んでる前提としてすっ飛ばしてます。
そして今後もこの方針は続きます。
アリスがいかにアリスとして成っていくかはほぼ全カットという凄まじさ。

捕捉として説明するとアリスはゲーム開発部が作ったゲームに強制的に挑戦させられ、それを楽しいと言ってしまったが為にモモ、ミド、ユズに徹底的に好きなゲームをそれぞれ紹介されました。
そしてそれを徹夜で遊び倒しました。そしてアリスは完成した。


これ書かなくて大丈夫かな? とは思う物の全部書いてたら文字数えぐい事になってしまうので致し方なし。

ヒナちゃんは絆ストーリーをなぞらえた話が、そしてユウカパートは『讖』に関する話が展開してます。なんかきな臭くなってきたな? でもこれまだまだ先の話なんだよな。

次回はいよいよアリスが光の武器を手にする時。
まだまだ穏やかな日常回です。



エンジニア部がそろって不在。都合よくするために書いたけどそんな事あるかな? まあ、ご都合主義って事でここはひとつ。……。




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