とある箱庭の一方通行   作:スプライター

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名前

 

 

柄に合わない場所。あるいは場違いな場所。と言うのはどの個人にもそれぞれ存在する。

例えば良い大人が子どもプールで一人で遊んでいる様子は傍から見れば浮いてしまうし、年端もいかない子どもが雀荘に顔を出せば微笑ましいを通り越して不安を覚えたりもするだろう。

 

拭いきれない違和感。

言ってしまえばお呼びでない空間。

 

一方通行は今自分がいる店は、そう言う場所だと認識していた。

つまり、壊滅的に自分と言う存在が浮いている。

 

彼がいる場所はストリートファッションブランド『トリプルステップ』系列のブティック。

即ち、女性の、さらに言えばゲヘナの女生徒向けの服が並ぶ店。

 

「何だってこンな羽目に……」

 

愚痴を吐かないとやっていられないのか、店の隅で彼はこの店に足を踏み入れてから幾度目かの嘆息を零す。

オークション会場に潜入する際、顔も服装も完全に割れている一方通行では潜入が出来ず、その打開策として服装を女性の物で固めて変装する。

その為にブティックに立ち寄った。

店に入った来た目的は分かる。

ここを利用するしかないと言う理由も分かる。

 

分かるのだが。

納得するしないは別問題だった。

 

(帰りてェ……)

 

今後、我が身に起きる出来事が起因の頭痛により一方通行は軽いホームシックにかかる。

 

ウィンドウショッピングを楽しむ性格であれば多少は店内を徘徊して気を紛らわせたかもしれないが、生憎彼はそんな下らない時間を過ごすぐらいならまず購入するを選択してしまうタイプの人間だ。

買った後で気に入らなければどこかに仕舞うなり誰かにあげるなりしてしまえば良いと平然と宣う、一部の人間から物凄く反感を買うような思考の持ち主なのだ。

 

しかしこの店は右を見ても左を見ても馴染みも興味も無いアイテムばかりで、物を買うと言う意欲すら湧かないのもあってか、手持無沙汰に店の隅にポジションを確立した後、この暇をどう潰そうかと考え続けてばかりの時間を送っている。

 

「この服は先生に似合いそう。でも流石に目立ちすぎ……。じゃあこれは…………」

 

一方で、この場所へと強引に連れて来たシロコは遠目で見ても分かる程にご機嫌だった。

様々な服を手にとってはあーでもないこーでもないと唸り続けて早四十分が経過している。

 

この調子なら後数十分は余裕で消費するなと、過去にこういう買い物に付き合った経験から一方通行は買い物に費やされるであろうおおよその時間を算出する。

 

自分自身の服を買うのではないのだから適当で良いだろと思案しているシロコの様子を横目で追いつつ考えるのだが、彼女が楽しんでいる姿を見てしまっているからこそ彼は口を挟むタイミングを見失った。

 

早く終わらせてくれと心底思う一方で、時間が許す限り自由にさせてやりたい気持ちも湧いて来る。

 

(まァ、息抜きの一つぐらい必要か)

 

どちらの選択を取るか迷った結果、一方通行は店内での彼女の行動に口出ししないことを決めた。

 

今日に至るまでずっと過酷な生活を送って来たのだ。

娯楽を愉しむ余裕も機会も無かっただろう。

 

これぐらいの遊びは必要かと、一方通行は一つ息を落とす。

 

それはそれとしてシロコはあまり恰好や衣服を買って楽しむような性格ではないと一方通行は思っていたのだが、そこに対する感性は年頃の少女と変わらないようだった。

 

彼女が日頃抱いているであろう重い気分を転換するには変装作戦は丁度良かったのかもしれない。

 

「先生、先生」

 

そんな下らないことを考えていると、不意にシロコから声を掛けられた。

軽い足取りで一方通行の下にやって来た彼女の手にはいくつかの衣服が抱えられている。

どうやら彼が着込むことになる格好は決まったらしい。

 

「もォ良いのか?」

「うん、先生に不満がないならこれで行く」

 

言われて渡された服を手に取り、広げてみる。

紺色のロングスカートに白のブラウス、そして黒のジャケット。最後にジョークグッズかそれともそういう物が流行っているのか、ヘイローを模した輪っか。

 

身体の線を隠すには最適かつ、そこまで悪目立ちもしなさそうだなと言うのが服装を見ての第一印象だった。

 

これならば確かに一方通行である事は隠せるだろう。

ただそれ以上に

 

「……随分とヤンキーじみた服装だな」

 

着込んだ様子を頭の中で再生するとどこからどうみてもガラの悪い女生徒になってしまっていた。

今時こんな服装をした奴等は学園都市の外にも中にもいない。

 

「不満なら変える?」

「いや、これで良い。これ以上の物は無ェだろ。じゃあ決まったならレジに……、いや、待て。買う物があるのを思い出した」

 

金を払う段階になって何かを思い出した一方通行は店内を物色し始める。

変装するにあたってまずどうにかしなければならない部分があったのを彼は今の今まで完全に忘れていた。

 

ここをどうにか誤魔化さなければお話にすらならない可能性があると、目的の物を探し始める。

 

「? 何を買うの?」

「スーツケース又はトランクと、オマエが巻いてるみてェなマフラーだ。チョーカー付けてンのと杖を突いてたらバレるだろ」

 

あ、そっか。と、納得したような声が後ろにいるシロコから聞こえる。

 

本当に致し方ないことではあるのだが、一方通行の風貌はどうにも目立ちすぎてしまう。

白い髪、赤目。杖つき、首にチョーカー。そして常にコードを耳に引っ掛けている姿。

これで目立つなと言う方が無理な話。

 

髪や杖はともかく、チョーカーとコードは彼が生きて行く上での必需品かつ代替品が無い物なのでこれ以上のコンパクトさを求めることは出来ない。

彼と言う存在を完全に覆い隠すような変装をしようにも、チョーカーだけは絶対に取り外しが出来ない。

それが故に自分が一方通行であると見破られてしまう未来は現実的な確率で発生する。

 

いくらどれだけ変装をしても、現代的な手首に収納可能な杖を突いている存在がいれば、その人物が『一歩通行』であると見抜かれる確率はグっと高まってしまう。

 

加えて着替える場合、今自分が着込んでいるシャーレの制服や学園都市の頃から愛用しているブランド服などをどこに保管しておくか問題も発生する。

トランクやスーツケースならば杖代わりに利用しつつ衣服も収納できる。

 

一石二鳥だ。買わない手は無い。

この際なので自分が気に入った奴を買うかと、杖の音を響かせながら店内を物色し始める一方通行だったが、ふと視線を後ろに向けると彼の後ろをひょこひょことシロコが付いて来ているのを目撃する。

 

周囲を見回しながらも彼の後ろを延々と歩くシロコの姿に一方通行は僅かに嘆息し。

 

「ここまで来たついでだ。まだ時間もあるしオマエが欲しいと思った服やアクセサリーをいくつか選ンで来い」

 

時間を持て余している彼女に趣味の延長時間を与えた。

ノノミを買うだけの金は持ち合わせていないが、シロコが欲しいと言った服を買うぐらいの金は有り余っている。

 

あれだけ目を輝かせて服を選んでいた時、自分が着て見たいと思ったのが何着かはあっただろうと、一方通行はそうシロコに提案するが。

 

「ううん、いらない」

 

即答で彼女は首を横に振った。

 

「その代わり、全部終わったら皆を連れてここにまた来て欲しい」

 

少しばかり微笑みながらシロコは言う。

つまりそう言う話だった。

 

ノノミを救出して、ホシノを助け出して。憂いが無くなった後もう一度連れてきて欲しい。

自分一人だけ贅沢は出来ない。

 

と言うような浅はかな話ではない。

シロコが語っているのはもっと上の位。

彼も含めた全員が無事に全てを終わらせることが出来ますようにと言う、彼女なりのおまじない。

もっと深く言い換えると。

 

少しだけ、一方通行の事を信じれるようになった。

そんな雰囲気が、彼女から放たれている。

 

「ハッ」

 

分かってしまった一方通行は、実におめでたそうな頭をしている奴を見つけたかのように笑う。

 

「一人二つまでってルールを新たに追加だ。異論は認めねェぞ」

「値段については制限無しで良いんだよね。だって七百億も使っちゃうような先生だし」

「物は見るが金額は見ねェのが信条でなァ」

 

軽口の応酬を続けながらふと見つけた中々に良さそうなスーツケースを手に取る。

取っ手の部分を伸ばし、杖の代用品として使えることを最後に確認すると、これで買い物は終わりだとレジに向かい、さっさと会計を済ませる。

 

そのまま購入した服を手に、一方通行は試着室に入ろうと歩を進める。

 

「もう着替えるの?」

「他に場所もねェだろ」

 

街中で堂々と着替え始める奴がどこにいるんだと、視線でシロコに投げかける。

むしろ折角着替えられる場所があるのだから利用するに限ると、確かにと頷くシロコを尻目に試着室へと入っていく。

 

「仕方ねェ、腹括るか」

 

この作戦を承諾してしまった以上今更反故にする訳にもいかない。

シロコが選んだ服をさっさと着用し、鏡に映る自身の姿を見て一方通行は成程なと頷く。

 

「このヘイローの形をした輪っか……。頭に付けると支えが光学迷彩で消えてあたかも輪っかだけが浮いてるように見えやがるのか……」

 

元々は少女それぞれが持つヘイローをよりオシャレに仕立て上げたいと言う要望の下に作られたグッズなのだろう。

見栄えの良さを求める少女特有の性質はヘイローにも焦点が当てられてしまうらしい。

しかしそんな要望を持つ生徒が多数いた事により現状一方通行はヘイローを手にすることが出来たのだから運命とは数奇な物である。

 

鏡にはエクステにより長髪と化した目つきの悪い一昔前のヤンキーのような恰好をしたどこからどう見てもキヴォトス在籍の女生徒にしか見えない人物が映っている。

こんなガラの悪い目つきをした奴がオークションに参加するのかという疑問はともかく、格好だけを見れば一方通行だと思われる要素はかなり少なくなっていると言えた。

 

やれるだけのことはやったなと自己評価しつつ試着室のカーテンを開けると、試着室の近くにあるベンチに座っているシロコと目が合った。

どうやら律義に着替えるのを休憩がてら待っていたらしい。

一方通行と目が合ったのは、カーテンの音に引っ張られて顔を上げたからなのだろう。

 

「わ、凄い……見た目なら完全に女の子だね先生」

「むしろそォする為に変装してンだろォが……」

 

立ち上がり、彼の方へ近づきつつそんな感想をシロコは零す。

一方、彼はその感想に呆れるような返事を返しながら、店の中の時計に目を移し、残り時間を確認した。

 

「オークションまでは……残り四十分か。とりあえず外へ出るぞ」

「ん、了解」

 

衣装の購入。試着に掛かった時間。マフラーやトランクの追加購入といったイベントが重なり、実に一時間と二十分もブティックで時間を消費した二人だが、会場まで足を運ぶにはまだ時間は余り過ぎていると言える。

 

バレないようにしたい以上、時間ギリギリまで会場入りは遅らせたい。

かと言ってこの格好で街中を歩き回りたくも無い一方通行は、店を出た後すぐに人目が付かない路地裏に足を運び、適当な場所を見つけると壁に背を預け休憩する姿勢を取った。

 

「とりあえずここで大人しく時間まで待つ。ただ歩いてるだけで厄介事に巻き込まれやすいのが特徴のゲヘナだ。観光なンざしてたら三つは面倒が起きる」

 

流石にゲヘナといえどそこまでの頻度で事件が発生する訳ではないのだが、一方通行は敢えてゲヘナの厄介性を誇張して強調した。

ブティックは作戦上避けられない物だったので彼も諦めたが、ここより先の観光は完全に無意味な物であり、これ以上シロコに振り回されるのはごめんだとしてここで時間まで待つのが無難だとシロコを説得した。

 

当然、ゲヘナに地の理が無いシロコは彼の発言にそこまで酷いことは無いでしょと言いたげな視線を向けこそするが、否定出来る根拠も持たない為、彼に倣うように向かい側の壁に背を預ける。

 

そうやって互いに壁を背に時間を潰し始めてから始めてから数分が経過した頃。

 

「先生。名前、何て言うの?」

 

ふと、シロコから素朴な疑問が放たれた。

あ? と、彼女の言葉に一方通行が顔を上げると、暇だと言いたげな表情を浮かべて手持無沙汰に身体を揺らしている一人の少女の姿が映る。

 

この局面も数えて何度目だろうな、と一方通行は考える。

彼は自身の本名も、学園都市では『一方通行』と名乗っていたことをキヴォトスの誰にも教えていない。

 

なので今まで彼はその類の質問の全てをはぐらかし、『先生』の呼称で呼び続けろの一言で済ませ続けて来た。

 

それは今日においても変わらない。

だから。

 

「忘れた」

 

何でも無さそうな顔で言葉を吐いた。

 

「忘れ……た……?」

「しっかりとした名前はあった。苗字は二文字で名前は三文字のありふれた名前だ。だが俺の身体は少しばかり特殊でなァ、科学者共から実験の協力者になってくれと言われて承諾しちまったのが運の尽きだ。そこから俺は数字で呼ばれた。それがずっと続けば名前なンざ忘れて当然だ」

「実験…………」

「色々されたぜェ? 薬物注入によってホルモンバランスは崩されたし脳構造を解析されてから精神性や攻撃性を抽出可能なデータとして取り出されたりと色々なァ」

 

殆どを嘘で、一部を真実で塗り固めた内容をスラスラと一方通行は語る。

虚実入り混じった説明は覿面だったようで、シロコの表情は驚きに変わっていた。

彼女の顔色から、先の説明を真実として受け止めていることを一方通行は察する。

とはいえ、第一位が何を指しているのかまでは、分かっていない様だった。

何も詳細を話していない以上、それは必然ではある。

 

「ンな過去なンざ思い出したくもねェンでな。ここでは『先生』の名で通させて貰ってる。信じるのは難しいだろォが、まァ世の中にはそういう人種もいるってことだ」

「……、先生は、少しだけ私と似てるね」

 

一方通行が話し終わった後、シロコからほんの少しだけ耳に届いた。

シロコが放った言葉の意味が分からず、一方通行は思わず彼女の目を見つめる。

 

「先生は名前だけ知らない。私は、名前しか知らないんだ」

「何だそりゃ?」

「記憶が無い。持ってるのはここ一年間アビドスで過ごした記憶と、私の名前が砂狼シロコだってことだけ」

「記憶がねェだと……!?」

 

記憶喪失。

シロコが紡いだ過去の暴露に、一方通行は語気に動揺を現す。

しかしそれは彼女が記憶喪失であると言う事実にではない。

 

おかしいと、黒服が語っていた内容を思い返し一方通行は眉を顰める。

ヘイローを宿す者達は多種多様なパターンの中から幼少期の時代の記憶が形成される。

彼女達が真に自我を、肉体を得るのは中学生以降であるとあの男は語った。

 

曲がりなりにも納得せざるを得ない点がキヴォトスに渦巻いている以上黒服の説明を信じざるを得ない一方通行は、尚更彼女は中学時代の記憶すら持っていないのかが疑問になる。

 

「気付いたら身体も服もボロボロになってて、そこをホシノ先輩に拾われた」

 

対するシロコは、一方通行の動揺は記憶喪失による驚きの物だと解釈したのか、彼の内心を悟ることも無く、当時のことを思い出し懐かしさに襲われたのか、やや顔を俯かせて彼女の記憶の中で最も古い過去の出来事を話す。

 

一方通行は、そんなシロコの言葉に口出しすることが出来なかった。

今話している内容がその全容で、それ以外は何も無いことが口ぶりで理解したからだ。

 

直感で理解する。

彼女の件は、キヴォトスで取り巻く悪魔のシステムとは別の事柄であると。

これ以上は詮索しても無駄という気持ちが、一方通行の中に募る。

同時に、否、だからこそ、一方通行の中で罪悪感が湧き上がった。

 

シロコが記憶喪失であると彼に打ち明けたのは、一方通行が変に『学園都市』での経歴を聞かれない為に作り上げた嘘を言い放ったから。

 

まるで対価を支払わうようにシロコの過去を聞かされた一方通行は、数秒間沈黙した後小さく舌打ちし……。

 

「一方通行」

「え……?」

「数字で呼ばれ続けるのも癪だから俺が俺に付けた名前だ。言ってみりゃコードネームみてェな物だな」

 

彼女が支払った対価と同価値であると判断した物、即ち一方通行と呼ばれていた過去の打ち明けをシロコに対して行った。

 

「一方通行……先生」

「出来るだけ一方通行は省略しろ。つゥか人前で呼ぶな。面倒になる」

 

一方通行の脳内に浮かぶのは、ハルナやユウカ達一部の少女達が過激に問い詰めて来る姿。

彼女達とそれなりに長い間交流をしているが、彼は学園都市では一方通行と呼ばれていたことを一切説明していない。

もし仮にシロコがシャーレにやって来ることがあったとして、ポロっと一方通行先生と呼んでしまった時、偶然彼女達の誰かが近くにいた場合、途轍もなく面倒事に発展するのは火を見るより明らかだ。

 

目の色を変えて問い詰めに来るに決まっている。

そればかりかどうして会って間もないシロコには教えて自分達には教えないのだ等ととびきり面倒な突っかかりをしてくるに決まっている。

 

なので一方通行はシロコに釘を刺した。

教えはしたがその名で呼ぶんじゃないと。

 

「ん、努力する」

「努力じゃなくて了承をしろって話をしてるンですがァ……」

 

幸先は滅茶苦茶不安だった。

もっともシロコが頭の中に思い浮かべている一方通行が注意して欲しいとする相手はアビドスの面々であり、努力の一言で済ませてしまうのはある種仕方ないと言えた。

 

そして肝心の一方通行が懸念しているのはシャーレによく通う特定の少女達だ。

勘違いここに極まれりな状態であるが、一方通行にとっては死活問題である。

 

彼女達の情報網は侮れないことを、彼は今朝思い知っている。

余計な爆弾を抱えたか? と、名前を明かしたことを早速一方通行は後悔したくなる気持ちに駆られた。

 

「そろそろ時間かも」

 

やや憂鬱さに襲われていた一方通行の向かいにいるシロコが、タブレット端末を見つめながらそう発する。

釣られて一方通行もタブレットを取り出し、残り時間がニ十分を切っていることを確認した。

 

「良し、俺は会場に向かう。砂狼はもう少し後で会場付近に近づき、適当な場所で待機だ」

「近くまで一緒に行かないの?」

「行く必要がねェだろ。理由がねェなら別行動の方が良い」

 

不審に思われる行動は出来るだけ控えた方が良いと説明しながら、一方通行はシロコを置いて一人会場へと向かい始める。

不安は未だ残り続けるが、やれるだけのことは最大限やった。

 

ここから先は、己の力量次第。

 

(さァて、潜入開始と行こうじゃねェか)

 

口角を吊り上げ、歪に笑いながら彼は向かう。

十六夜ノノミが出品されるオークション会場へと。

 

 

 

 

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