『未来塾。素行不良、自由奔放な生徒が多数を占めるゲヘナ生徒を対象に長期間による更生を目的とする集中教育機関。名前を調べたら、まずこういう謳い文句が検索に引っ掛かったよ』
その名の通り、未来を育む塾だね。と、電話口から呆れにも似た笑いが響く。
「広告だけは立派なもンだ。だがそもそもの問題として、問題児がそンな更生施設染みた場所に通うのかって話があるが」
『問題児故に入って行った子がいるみたいだよ。おふざけ目的。やれるものならやってみろ精神。有り体に言ってしまえば、若さは強さって奴かな』
入塾してしまったゲヘナ生徒達の無鉄砲さぶりを、ある意味で賞賛しているハレの推測は大方当たってるだろうな。と、一方通行は彼女が語った推測が自分の見解と大方一致している事を確認した。
きっかけは本当に些細な事から始まったのだろう。
好奇心がくすぐられたとでも言うのだろうか。とにかく、問題児たちの中でもとりわけ例外と呼ばれる様な少女達が、暇潰し目的で入塾した。
ゲヘナ地区をミドリと共に歩く中、心の内で様々な可能性を組み立てていく。
一方のミドリは、ミレニアム生にとってはゲヘナ自治区は基本的に来ない場所だからか、しきりに辺りをキョロキョロと挙動不審気味に見渡しては、ゲヘナの生徒から訝し気な視線を送られ、その度に自分の背中で視線を遮ろうとしたりと中々に見てて飽きない動きを繰り返していた。
ミドリが行い続けている奇行を一瞬だけチラリと見つつ、一方通行はハレとの会話を進める。
「で。効果はあったのか」
『十分あったみたいだよ。通っていた子の殆どは僅か数日で真面目な生徒になり、素行不良さが消えて行ったらしい。友人に紹介を促したりもしていたみたいで、実際入塾した生徒は少しずつだが数を増やしている。現在進行形でね』
「なるほど。そりゃァ結構だ。あまりにも良い施設すぎて涙が出るなァ」
塾に入っている生徒達は今も通い続けてはいるが、彼女達が入塾する前に何度か起こした、自分達こそが世界の中心とでも叫んでいるかのような施設襲撃事件等は起こしてはいないらしい。
それどころか、他の生徒達の勧誘まで行っているそうだ。
ハレが調べて来た情報に一方通行は口元を吊り上げながらそう所感を述べる。
顔にも声にも、これでもかと湧いてくる未来塾への不信感を隠すこともせずに。
『でもこの場合先生が言いたいのは、効果があったことがおかしい。だね?』
ハレは、そんな一方通行の心情を見事に見抜いていた。
「よく分かってンじゃねェか。人間がそンなに簡単に変われるなら、世の中のドス黒い部分はもっと漂白されてる。なンかあンだろォ? そうなるよォなからくりが」
興味本位。もしくは未来塾の破壊前提で入った奴等が全員、数日後には掌をひっくり返したかの如く大人しくなり、終いには学生のお手本のような生徒になる。
それは果たして本当に未来塾の成果なのだろうか。
否、そんな訳がない。
そこまで都合よく話が進む訳がない。
チラリと、一方通行は背後を見やる。
ひょこひょこと杖を歩く自分の歩幅に合わせてその後ろを付いてくるミドリの姿を見やる。
一見すると人畜無害のように見えるミドリ。そして無害ではないが有害になるとはあまり想像できないモモイのような双子でさえ、施設襲撃を企て、実行してしまう。
襲う理由は人それぞれなれど、自分達の中に芯とした物があるならば、公共問わずありとあらゆる施設を襲撃するという価値観が、ここキヴォトスでは常識として存在している。
そして、今一方通行とミドリが歩いている場所はゲヘナ学園の自治区内。
モモイやミドリでは比較にならない程の、行動力やぶっ飛んだ思考を持つ者達が多く在籍する区域。
数ある区画の中でもとびきりに過激極まりない一般常識を持つゲヘナ生徒を相手にして、そもそも長期間による更生を目的としていること自体が破綻していると言っても良い。
上手くいく筈がない。
一回二回はまだしも、全部が全部上手く更生出来る筈がない。
仮に何万歩譲って更生出来たとしても、長期間による更生を見込んだ施設がやる事にしては、些か効果が出るのが早すぎる。
数日で効果が現れるのに、何故か継続に長期間を要する物。
人が変わったかのような変化が訪れているのに、それで更生終了としない物。
それはなんだと考えるだけ無駄だった。
そんな物、一方通行の中にある答えは一つしかない。
『先生の言う通り、からくりがあったよ。彼女達は間違いなく未来塾の教育を受け更生した。ただしその手段は酷く醜悪な物、結論を先に言わせてもらうと洗脳だね』
だろうな。と、一方通行は彼女が放った見解を特に驚きもせずに聞き続ける。
むしろそうでなくてはおかしい。
使用されたのはほぼ間違いなく音と映像による二重催眠。
複数の生徒を一斉に洗脳する場合、塾という場所と映像という手段は実に効率的だ。
キヴォトスではブルーレイディスクで学習するのが常識となっている。
であれば、生徒は何一つ疑問を抱くことなく、用意されたヘッドフォンを利用するだろう。
洗脳を目的とした映像を自然に流すことも、ディスクでの学習が常識な以上疑いもしないだろう。
故に一方通行は最初からその部分に関して考察を広げていない。
未来塾が洗脳と言う手段を使って生徒の意思を捻じ曲げていることを前提にここ、ゲヘナまで足を進めて来ている。
考えているのは、その一歩先。
洗脳し、駒を作り上げ、何をしようとしているかだ。
「洗脳した先の目的は何か掴めたか」
『……ごめん。流石にそこまでは探れなかった。私がこれ以外に把握出来たのは未来塾の位置情報とこれをやらかしてるのはロボット二機だけだという事だけだね。座標は既に先生の携帯に送信しているから確認して欲しい』
「あァ。今確認した。にしてもロボットねェ。とうとう機械が謀反を起こす時代ってかァ? 自律思考を持たせるのも考えもンだな」
ワカモを脱獄させたのも自律型だったなと一方通行は過去、彼女と話した会話を思い出しながら、いくつか彼が住んでいた方の学園都市とも合わせて思考を巡らしていく。
キヴォトスを良く思ってない『外』の連中が差し向けたキヴォトス崩壊作戦の一つか。
それとも単に逆らえない状態を作り上げ、よからぬ何かの人体実験の材料にでも使うのか。
キヴォトスがそこまで黒く染まっていないことを願いたいが、最悪は常に考えて損は無い。
自律型ロボットではあるが、誰かからの差し金であることは否定出来ない。
ではその目的は何か。
洗脳して良い生徒を作り上げて実績を上げてさらに生徒を集めて金儲けが目的では、わざわざゲヘナを対象にする理由がない。気性が荒い学区内で塾を立ち上げるリスクとリターンが噛み合ってなさすぎる。
ゲヘナで活動すること自体に意味がある筈だ。
いずれ企んでいる荒事を見据えての事か。
それとも洗脳に条件があり、該当しているのがゲヘナだけだったのか。
あらゆる方面から少しずつ思考を詰めていき。
(もしくは、隠れ蓑として最適な場所がゲヘナだってのか?)
一方通行は一つの可能性に辿り着いた。
常日頃から事件が起きるのが当たり前なこの学区なら自分達の問題が浮き彫りになりにくいと判断した。
だからゲヘナを選んだ。
この線も十分あり得るな。と、一方通行は頭の片隅に記憶しつつ、携帯を取り出しハレから送られてきた未来塾の座標を目で追っていると
『でも先生、先生はどうやって未来塾が黒側だと見抜けたの?』
電話口から、素朴な疑問が投げかけられた。
その問いに対し、一方通行は僅かに黙った後、 フゥ。と小さく息を吐いてから根拠を語り始める。
「考えてもみろ。わざわざシャーレにこれを届けて何の意味がある。部活顧問である、つまり先生である俺にだ。担当宛に送ったのを俺がたまたま見つけた。としても違和感があるだろォよ。向こうはこっちの業務形態を知らねェんだからな」
つまり、と前置きし
「こいつは一つのメッセージだ。たまたま洗脳が浅かった奴からのな。それが一番可能性が低い中で考えられる最悪のパターンだった。九割九分面白半分の悪戯に紛れさせた物だと思ってたがよォ。まさか本当に当たりだとは思わなかったなァ。オイオイ、俺の勘もまだまだ捨てたもンじゃなさそォだぜ」
無駄足前提でここまで来たがまさかまさかの大当たりだったことに自分自身でも若干の驚きがあったことを笑いながら言う一方通行だったが、ハレにとっては今の彼の言葉がそこそこ不満だったのか、先程までの業務的な声色から随分と私的な声色に調子を変化させ、
『先生、今私はただ働き寸前だった事を知った訳だけど』
と、至極真っ当な文句を垂れ始めた。
対し、一方通行も声の調子を幾分か和らげつつ反論する。
「ケチくせェ事言うンじゃねェよ。どォせ暇してただろォによォ」
『む……。いくつか反論したい所だが、まあ良いよ。今日の所はそれで』
完全に納得してはいないが、これ以上言っても無駄だと思ったのだろう。
ハレはそこで一旦区切りをつけ。
『先生』
真摯に彼の事を呼び。
『無茶、しないでね』
思いやる声で、そう告げた。
それに対して一方通行は一瞬だけ面食らうも、すぐに口元を緩め、 ハッ。と、短く笑う。
「誰に言ってやがンだ。一瞬で終わらせてやるから安心しろォ」
自信満々に言い切り、一方通行はハレとの連絡を切った後、で? と発しながら後ろへと振り返り。
「さっきからキョロキョロとしてるがよォ。ゲヘナに来た事ねェのか?」
遠い地方へ旅行でも来たかのようなリアクションを延々と取り続けているミドリにそう尋ねた途端、彼女は首を激しく上下に振り始めた。
「インドア女子が来る訳ないです! それにさっきから色んな人が見てきます! これがゲヘナ流挨拶なんでしょうか……!!」
「そりゃお前ひっきりなしに首動かしながら隠れる奴がいたら見るだろォよ」
「そんな! じゃあ今までの視線は全部私のせい!?」
ガーン! と、これでもかと言わんばかりのショックを受ける仕草で一方通行にもたれかかる。
こうなった時のミドリのリアクションは大してモモイと変わらない。
普段は内気と陽気で完全に分かれている二人だが、しっかりと双子である事を感じさせる瞬間だった。
身振り手振りが姉そっくりな大幅な動作を街中でした事で余計周囲の目がミドリへと向いているが、それについては指摘しないのが礼儀なんだろうなと一方通行はその事に黙秘しつつ。
「つか、周囲の視線がしンどいならゲームしながら歩けば良いじゃねェか。そォすりゃ忘れンだろ」
現状最も手軽かつ彼女ならではの解決方法の提案を行う。
だが。
「歩きながらゲームはダメですよ先生! ぶつかっちゃいます」
一方通行の提案は、真っ当な正論で正面から否定された。
「そォ言う所の倫理はあるンだなお前……別に良いけどよ」
「それに、それじゃ先生とその、お話…いや集中が、出来ないですし」
なンだそりゃと一瞬考えた一方通行だったが、自分達は今カチコミ中だったなと気付き、成程ミドリはミドリなりに気持ちを整えようとしていたのかと察する。
確かに戦闘行為があるにせよ無いにせよ、向かう先は敵地であるには違いない。
そこに到着するまで暇だからゲームしてましたじゃ、どうしても意識が敵地ではなく想像の世界の方へと削がれてしまう。実際に削がれはしなくともそうなる懸念がある。だからゲームはしない。
それは納得せざるを得ない話だなと、一方通行は彼女の真面目さと先を見据えた行動力を讃える。
一方通行の中でミドリの株が上がる。
その、矢先。
「ぴゃああっ!」
背後にいるミドリが突然、変にも程がある叫びを上げた後、ピョイッと素早く一方通行の背中に隠れ始めた。
突飛すぎる行動に今度はどうしたとミドリの方へ振り返ると、
「怖い生徒に睨まれました」
言いながら、彼女は人差し指でおずおずとある方角を指差す。
その方角へ目を向けると、見るからに不良生徒の風貌をまとった少女がギロリと睨んでいるのが分かる。
「先生、守って下さい」
いや何からだよと喉元まで迫った言葉をギリギリで堪えつつ、彼は嘆息するだけに留める。
件の生徒は既に一方通行とミドリへの興味を失ったのか立ち去っている。
しかし、彼女は背中から現れようとはしなかった。
ギュッと服の裾を掴みながらプルプルと震えている。
思わずお前はガキかと言いたくなる気持ちに駆られたが、一方通行は必死にその衝動を抑え、何とか再び嘆息するだけに止める事に成功する。
どうやら彼女はゲヘナ学園に対しあまりに大き過ぎる偏見を持っているらしい。
とは言え一々偏見を正すのも億劫だと、一方通行はゲヘナの少女達を恐れるミドリに対し認識の修正を行う事はせず、歩みを進める。
「わ!? ま、また違う人に見られました! 早く行きましょう先生! 変な人に絡まれる前に!」
グイィィ……! と、背中を押すようにミドリは一方通行を急かす。
押す動作をしている割にはそこまで力を入れていないのは彼女の優しさ故か。
押されていく最中、お前はゲヘナの生徒を化け物か何かだと思ってるのかと問い詰めたくなったが、逆にそれを肯定されそうな予感がしたのでその点には触れないことを決め、一方通行はされるがままに目的地を目指していく。
目指していく。
――――――――――――――――
ゲヘナの北区。
大きさを問わず様々な建物が乱立し、
訝し気な看板がそこかしこに並び、
正しく無法の二文字が似合う場所に、『未来塾』はひっそりと存在していた。
一方通行とミドリが、ハレから送られてきた位置情報を辿って到着した先に広がっていたのはある二階建て家屋だった。その二階建て家屋の二階部分に、未来塾の看板が立っている。
他の建物と比べると、少々ボロが目立つのが気になるぐらいで、外観に関してはそれ程注意を引く物ではない。
が、一階は、まるで誰かに襲撃された直後かのように無残な姿へと変貌を遂げているコンビニだった事は否が応でも二人の注意を引いた。
どうやらこれでも営業はされているらしい。中には武装した店員らしき少女がレジを切り盛りしている姿が見える。
以前からこうだったのかそれともつい最近まで普通だったのか、レジの少女は割れた窓ガラスや破壊されてる電球には気にも留めず、掃除する事もしないまま客が棚から取った弁当を温めている。
カモフラージュなのかそれとも偶然の産物なのか、どちらだったにせよ納得感がありそうな雰囲気を残すコンビニをしばらく見ていた一方通行は、考えていても意味はないなと、階段の手すりに手を掛け、上り始め、ミドリもそれに続く。
カン……カン……と、階段を進む二人の冷たい足音だけが響く。
ここから先は未知数。
この先に何があるか、未来塾の中がどうなってるか完全に不明。
引き返すなら、今しかない。
ここから先の、彼女の無事を保証する事は確約出来ない。
能力が使えた過去ならばともかく、今の一方通行にミドリを守り切れる力があるかどうかはかなり怪しい。
最大限努力はするが、届かない可能性はある。
むしろ、届かない可能性の方が高い。
自分の身を自分で守れるかどうか。
その意思を確認すべく、一方通行がミドリの方へと視線を移す。
ミドリは、一方通行がミドリを見る前からずっと彼の事を見つめていた。
手を若干震えさせながらも、無言で一方通行を見つめ、彼が顔を向けると同時、頷く。
行こう先生。
強がるように目で語るミドリに、一方通行は小さく息を吐き、ポンと彼女の頭に手を置いた後。
「無理すンじゃねェぞ」
ミドリの緊張を解すように語り掛け、うん。と答える彼女の震えが止まったのを確認しながら階段を昇り終え、未来塾の自動ドアの前まで二人は辿り着いた。
外から中の様子は見えない。
当然か。と、一方通行は心の中で呟きつつ、いつでも武器を取り出せるよう意識を集中させながら一歩、前へ踏み出した。
直後。二人を歓迎するかのように、ガラス張りの自動ドアが駆動音と共にゆっくりと開く。
一方通行とミドリは、開かれた先にある光景に怪訝の表情を強めた。
そこに広がっていたのは、十人程の生徒が机に座り、それぞれの眼前に置かれたパソコンをヘッドホンを装着した状態で瞬き一つせずに凝視している光景だった。
パソコンに映っている映像は、学習用途で使われる様な映像ではなく、ただの真っ白な画面があるだけ。
どう見ても、それは勉強のために使われる映像ではないことは二人から見ても明白。
生徒全員が微動だにせず、常に画面を凝視し続けている様子は言いようのない恐怖を与えたのか、隣にいるミドリから息を飲む音が聞こえる。
しかし、身体は震えておらず手はしっかりと武器に添えられている為、状況に置いてけぼりにされる心配はなさそうだった。
さてここからこれをどう潰すか。
懐に忍ばせている銃を左手で握りながら数ある手段のどれを取ろうかと一方通行が考えていると。
『いらっしゃいませ。本日はどのような御用でしょうか?』
二人の来訪に気付いた一機のロボットが、機械音声を発しながら二人に接触を試み始めた。
人間の真似事なのか、高級そうなスーツを身に纏い二足歩行で歩く姿は妙に様になっている。
だが、頭部が楕円型で、顔に当たると思わしきパーツ全体が真っ黒のディスプレイ形状でかつ目が電子で表現されている姿はまさにロボット同然であり、一方通行は即座にこれが主犯の一機であると悟る。
主犯だと分かった以上は、遠慮も情けも無用だった。
『見学でしょうか? それとも入塾希望でしょうか? よろしければこちらへ。未来塾を案内させて』
頂きます。
そうロボットが言い終わるより先に、一方通行は額に銃を突きつけた。
刹那、ロボットの目を表していた記号が、忽ち驚愕を表すような記号へと器用に変化する。
一方通行は目まぐるしくロボットがいかにも感情があります。と宣っているような表現方法をそれがどうしたと言わんばかりに口元を吊り上げ。
「下手な芝居は止せよ三下。何のために俺が連邦生徒会の服装でわざわざやって来たと思ってやがンだ。ロボットはロボットらしく無機質に動いてろォ」
ズドン。と、手に持つ銃から空気を裂くような発砲音を一つ、容赦無しに鳴り響かせた。
放たれた弾丸はロボットの頭部の左半分に深々と突き刺さり、小さな破裂音と共にディスプレイの半分以上を罅割らせる。
『き、貴様ッ!?』
バチ……バチ……ッ! と、頭部から電流と火花がこれでもかと散らせ、一般的な機械製品なら既に破棄同然の有様を晒していながらも、ロボットは未だ機能を停止しておらず、二歩、三歩とよろけるように下がると、本性をさらけ出すように一方通行への敵意を剥き出しにする。
殺してやる。
言葉ではなく迫力でロボットは一方通行に訴えてるが、一方通行はロボットからその感情が発されること自体が、コイツが『未来塾』で生徒を洗脳したロボットの一体であることを確信する材料となった。
一方通行はロボットの鬼気迫る迫力に一切動じる事無く、むしろその怒りを利用するかの如き笑みを浮かべると、
「オイオイなンなンだその貴様だとか吠えて狼狽える姿はよォ。小悪党らしいリアクション満点で実に小物くせェじゃねェか。何の用だ? ってさっき言ったなァ。答えは笑える程に単純だ」
再びロボットの頭に銃の照準を合わせ。
「カチコミに来たぜ。クソ野郎」
開戦の合図とでも言うべき、二度目の発砲音が未来塾で木霊した。
多忙で中々展開が進められない。
3話跨ぐことが確定した未来塾編ですが、これ当初一万数千時程で纏めて一話で終われると思ってたんです。しかし現実は非情でした。構成が見えてなさすぎィ!!!
次回はまたも新たな登場人物とドタバタ揉め事する話になるのですが、多分次回で終わる。終わります。
そして話はガラっと変わってしまうのですが、8話まで書き進めて改めて思ったのですがこの作品凄く愛されてるなと。
ブルアカの知名度、人気度は今更語るまでもないですが。一方通行さん。ひいてはとある魔術の禁書目録の人気がここまで根強いとは私も思っておらず、感想や評価を沢山頂いて毎日小躍りしながら感謝しております。
ほら、だってこの作品十数年続いてる作品だから……! こう、今更二次創作しても感あるじゃないですか! 一方通行さんが格好良いのは周知として、第一話投稿しても今更禁書は時代遅れ感あるよなぁと自分自身思っていたんですが、速攻で応援コメント飛んで来て書いてよかったなと思っております。
そろそろ彼の格好良い部分も書きたい。
常日頃から一方さんを容赦なく殴りたい斬りたい撃ちたいと言って思ってる私ですが、その本質は格好良い所が見たい。なんです。本当ですよ?
ボロボロになってから勝つのが良いんじゃないですか!
死ぬ寸前まで追いつめられても立ち上がる瞬間を書きたいんです私は!!
ほら邪悪じゃない。
光ですよ光。
なので早くゴリゴリに痛めつけても良い本編を、書いていきたいな。
第一章は目算あと5話ぐらい続くのでその後になってしまいますがね。
ここからは余談でユウカとミドリの違いについてですが、一方さんはユウカに対しては自然に振る舞う一方でミドリに対してはモードを無意識に切り替えて対応しています。これはモモイも同様ですが。
身長が低い少女相手だと、歳がそこまで離れていなくと彼は保護者モードになってしまうという、ミドリにとっては嬉しいのか嬉しくないのかよく分からない事態を引き起こしてしまうんですね。
なのでミドリに対してはかなり甘めに接しております彼は。そのせいでミドリがさらに卑しくなってる気がするのは気のせいです。
……ブルアカ本家シナリオにおけるミドリの卑しさってこのSSで書いてるタイプの卑しさじゃない気がするんだよな。
二人でゲヘナを歩いていることを周囲に秘密にするぐらいの軽い卑しさな気がする。
もうここまで書いた以上修正出来ませんけど!!