ワンサマー? いえ、『,;゙ ・ω・;, 』です。   作:全智一皆

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首輪付き? 知らんな。(出番無し)


第八話「UNAC」

 

■  ■

 ダダダダダダッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!

 弾幕の雨が、アリーナの彼方此方に降り注ぐ。

 巨大なマシンガンから放たれ続ける無尽の弾丸が、アリーナの観客達を守るシールドバリアーを削り続ける。

「な、何よアレ!」

「…AC? ノーマルか? いや、だとしたら何故…」

 空からの乱入者を目視し、首輪付きは確信する。

 あれはISではなく―――ACである、と。

(ネクストではない…だが、あんなノーマルは見た事が無い。まさか、ISの企業が独自で開発したのか? いや、今はそれよりも…)

「…鈴、頼みがある。」

「何…って言いたいけど、何となく察したわ。」

 鈴は、呆れ顔を浮かべた。

「そうよね。そりゃあんなブースト吹かせば、エネルギーも少なくもなるわよ。アンタのは第二世代、加えて欠陥機だし。それに比べれば、私はまだエネルギーが残ってる…専用機、使えないんでしょ?」

 織斑一夏は、専用機が使えない。首輪付きは、ホワイト・グリントを扱えないのだ。

 いや、正確には『使ってはならない』、か。

 命令を破り、罰を受ける事を承知での使用は出来るだろう。だが、問題なのは其処ではなく、“そうした後”なのだ。

 外見のみならず中身すら変化してしまった自身の専用機を使えば、コジマ汚染は確実に拡がる。

 下手すれば、このアリーナそのものがコジマ汚染のトリガーに成りかねないのである。

 もう既にセシリアとの戦闘でアサルト・アーマーもクイック・ブーストも使ってしまっている彼にとって、これ以上の汚染は避けたいのだ。

 アサルト・アーマーを使用した時点で手遅れという考えも否定が出来ない。

 “鳥”に呑み込まれかけたのも、否定しない。

 しかし、だからこそ、使いたくないのだ。

 世界を汚したくないのだ。

 世界を壊したくないのだ。

「…倉庫には、まだ別のISが残ってる。それを取ってくるまで…耐えれるか?」

「当然。さっさと行ってきなさい―――まぁ、そん頃には終わってるかもしれないけど。」

「…頼んだ。」

 此処から先は――信頼出来る友に任せよう。

 

「さて、と。一夏が頼ってくれた訳だし―――本気で行くわよ!」

 双天牙月を構え、鈴は甲龍と共に黒いACへと真正面から駆けて行く。

 ドドドドドッッッッッッ!!!!!!

 敵ACの右腕に備わった、マシンガンから弾丸の雨が降り注ぐ。

 だが、甲龍は余裕のままに、ひらりと自身に降り注ぐ弾丸を躱して着実に距離を詰めていく。

(イグニッション・ブーストを使えばエネルギーの残量はほぼゼロに近くなる。なら、最後に取っておく。もしも敵が予想外の行動に出ようとしたら、それを実行される前に叩き落とす!)

 イグニッション・ブーストは、所謂『溜めダッシュ』に当てはまるものだ。

 ゲームでダッシュがスタミナを消費するのと同じで、イグニッション・ブーストはエネルギーを大きく消費する。

 故に、使い所を誤れば敗北は確定する。

 慎重に、しかし確実に。相手を倒す事を覚悟して動く。

「はぁ!」

 刃を振り下ろす。

 真横を陣取り、その物騒な黒鉄の銃砲を薙ぎ払わんと青龍刀を振るう。

 ガァンッ! と、火花と共に衝撃が散り、敵の左腕と相見える。

 ナイフ―――特殊な形をした、握り締めるような取っ手の鋭利な刃物が、青龍刀の一撃を引き止めた。

「ま、そう簡単には終わらないわよね…!」

 ガンッ!

 互いに武器を振り払われ、態勢が崩れる。

 しかし、二人はその瞬間の勢いをも利用し、再び命を奪い取るままに武器を振るう。

 青龍刀とナイフ。二つの得物が激突する。

 ガァンッ、ガァンガァンッッッ!!!

 何度も、何度も。それこそ鉄を打つかのように、力強く。

 散るは火花、欠けるは刃。

 幾度となく止まぬ連撃に、互いに意を込めた攻撃に、武器が耐えられない。

「結構やるわね…! なら、これならどうよ!」

 空間が歪み、空気が吸い込まれていく。

 甲龍の腕部に備えられた小型の衝撃砲『崩拳』。

 甲龍の遠距離武器の特性は、“空間自体に圧力を掛けて砲身とし、肩部と腕部から衝撃波を出して砲弾とする”というものである。

 空気砲ではなく、空間利用衝撃砲。

 その威力は、ISであるならば兎も角、通常兵器やバリアーなどが使われていないノーマルであれば―――

 バギッ、ガゴンッッ!!!

 部分の破壊など、実に簡単だ。

(よし…!)

 右腕は破壊され、拉げて地面へと落ちていく。

 炎が飛び散り、腕部を繋げていた千切れた電線から稲妻が迸る。

 敵ACを動きを止め、左腕に持っていたナイフも投げ捨てた。

 推進力が徐々に失われていき、敵ACが地面にゆっくりと落ちていく。

「えぇ…? もしかして降伏? まぁ、私も流石に人殺しはしたくないし…」

 やけに呆気ないわね、と言いながら、彼女も推進力を落として、身体を地面へと近付けていく。

 ガコンッ―――

 左腕が、引っ込まれる。

 ガチンッ―――

 “腕の中に隠された武器”が、その姿を表す。

 シャキンッ―――

 『武器腕』が一つ、“ヴェンデッタ”である。

「な―――」

《“コジマ粒子接続開始”。オーバード・ブースト、起動します。》

 ブォォォォンッッッッッッ!!!!!!

 世界を汚す最速が、一瞬にして彼女の命に刃を振るう―――

 

「一夏さんを置いて、残っておいて正解でしたわ。舞いなさい、インターセプター」

 青色の雫が、翡翠を貫いた。

 

□  □

 首輪付きは、今回は出番が無かった。

 自分ではかなり急いだつもりだったのだが、戻ってみれば何時の間にか戦闘が終わっていた。

 遅れてしまって申し訳ないたいう気持ちもあるが、二人は無事であった為、良かった事としよう。

 まぁ、閑話休題。

「織斑一夏くん、ねぇ…」

 IS学園、その生徒会室にて。

 事の収拾が着いた後、IS学園の生徒会長にして日本代表を務めてるIS操縦者「更識楯無」は、彼の情報が映るパソコンを見詰めていた。

 

【IS学園在席者総合データ】

No.9 織斑一夏

国籍:日本

専用IS:白式(現在使用禁止)

IS適正:B

クラス:1−1

身長:172

 

《教師からの評価》

考え事に耽る癖が有るが、物事を冷静に見定める能力と対処する事が出来る能力を持ち合わせ、身体能力も高い。

IS使用時の訓練では高い操作能力を要しているが、まだ技術の面では浅い。これからの成長が期待出来る。

 

あと、教師や先輩に対するタメ口を何とかしなければならない。

 

《一部生徒からの評価》

Q:どのような人柄?

A:考え事ばかりだけど、話し掛けたら乗ってくれるし相談にも真剣に答えてくれる。

でも時折、怖い顔をする。男なんだなと理解させられました。はい。

 

Q:どんな印象?

A:天然じみたクール。あと凄く強い。

 

Q:強い? 弱い?

A:精神的にも肉体的にも強い。模擬戦の時は特に。あぁ、あの眼を味わいたい…

 

______________

 

「普通と言えば、普通なんだけどなぁ…」

 まぁ、一部おかしな感想も有ったけれど…

 それ以外は、思いの外、普通なのだ。基本的な、ありふれた青年に受ける感想だ。

 戦いの時に怖い顔をするやら、強くなるやらといった感想は、今はよく分からないが。

「織斑先生の弟だから強いって風にも考えられるんだけど…」

 普通なら、誰もがそう思い、考え、結論として認める。

 世界最強の弟なのだから、当然強いだろう―――と。

 だが、更識はそうは思わない。

 パソコンの画面を変え、別の記事を映し、更識は考えるような表情を浮かべる。

 

【○○小学校にて数十人の生徒が大怪我。犯行は一人の小学生】

 かつて、とある小学校で起きた事件の記事だ。

 ある少女を虐めていた小学生の集団数十人が、一人の小学生に大怪我を負わされたというもの。

 一人は骨折、一人は内出血。一人はトラウマを抱え精神病院行き。

 これを見れば、十分な危険人物である。

「…まぁ、いつかは監視する必要が有るわね。」

 この学園の敵か、それとも味方か。

 それを見定めねばならぬ―――

 

 人類種の天敵か、それとも人類種の味方か。どちらに傾くかなど、それは当の本人しか分からぬが。

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