シンボリルドルフ達と泊まる話&他etc   作:how-kyou

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本当は【ルド「…『愛してるゲーム』ってなんだい?」】
みたいな台本形式にした方がめっちゃ楽。

エタりませんように…人。


◻︎愛してる遊戯
第一幕:雑誌の余白に閃いた


 

 

第一幕:雑誌の余白に閃いた

 

ある日の午後、トレーナー室は静けさに包まれていた。

窓ガラスを叩いている水滴は、規則正しくリズムを奏でる。

 

生徒たちは、それぞれのトレーニングを終え始めており、

数刻前までは校舎のあちこちから聞こえていた活気も、かなりの落ち着きを見せていた。

 

「……ふう」

 

ここは落ち着いた静寂の中。

 

そのような中、

トレーナーは湯気の立つカップを机に置き、

それなりに分厚い雑誌を捲っていた。

 

雑誌の表紙には『最近のスポーツ心理学を取り上げた特集号──』とデカデカと書かれていたはずだったが、

読み進めていく内に、ページの端に妙な見出しが躍っているのを発見する。

 

『愛してるゲーム 確かな効果!大流行中!!』

 

「……なんだこれは」

 

比較的スムーズに読み進めていたのだが、思わず…目が止まる。

その記事は数ページに渡っており、

主に若者の間で流行している“遊び”だと紹介している。

 

ルールは至って単純。

お互いに「愛してる」と言い合い、先に動揺した方が負け。

 

──ただ、それだけ。

 

その内容に、眉間に皺が寄る。

(バカバカしい……)

最初の感想はそれだけだった。

 

しかし、ページを捲る手を止まることはなかった。

そのコラム欄に、流すことの出来ない興味深い言葉が並んでいるからだ。

「心の安定を試す」

「恥じらいを超えることで自信がつく」

「心理的耐性が育まれ、動じなくなる」

 

(…ふむふむ……おいおいおい、これは……)

 

最初は眉をひそめていたというのに、

読み進める内にトレーナーの表情は、より一層複雑怪奇なものに変わっていった。

 

この大きく扱われているコラムを見た時は思わず『なんとくだらないことか』、

そう一蹴しそうなった。

 

が、その一方で、『確かに…一理あるのではないか?』と思える部分もある。

 

レースは一瞬の心の乱れで、勝機を逃すことがある。羞恥や動揺といった感情だとしても、それを…今以上に制御出来るようになるのならば…。

 

(意外と──立派な『訓練』じゃないだろうか)

 

ページの写真には、実際にプレイした人々なのだろうか。顔を赤らめながら笑っている姿が写っていた。

 

楽しげでありながら、その実、どこか真剣さも滲んでいるように見える。

 

(……心を鍛える、というのは見過ごせないワードだ。冗談半分だとしてもやってみる価値はあるな……)

 

そこまで考えて、頭の中に姿が浮かぶ。

──シンボリルドルフ。

 

この学園の生徒会長にして、走るその様は皇帝と称される彼女。

その瞳は常日頃から揺らぐことは殆どなく、

言葉も態度も、威風堂々、公明正大たるもの。

 

確固不動とも言っていい彼女が、

ほんの一瞬たりとも、レース中に動揺したことなど……あっただろうか?

いや、脳裏に浮かぶ彼女の姿には、そのようなものは思い至らない。

 

(いや、だからこそ…価値があるのか?)

 

喉が、嫌に乾いた。

読み続けていたページを閉じて、トレーナーはカップを手に取り、再び口をつける。

苦味が広がるが、頭の中は別の思考で占められていた。

 

(彼女を相手に、この「愛してるゲーム」を挑んだらどうなるんだろうか?)

 

少し考えてみるが…

おそらく平然と受け流され、逆に自分が打ちのめされてしまう。

どのようなシミュレートをしても、だ。

 

そんな未来が容易に想像出来てしまった。

そして、そんな想像をするだけで…若返った錯覚の様に、顔の熱が少しばかり増した気がしてならない。

 

「なにやってんだ俺は……」

 

小さく呟き、目を閉じて、自然と額を押さえた。

確かな温かさを感じてしまう。

だが…それでもなお、この思いは続いてしまう。

 

(………)

 

ここ最近だが、

彼女との時間が減っていると感じていた。

重なってしまう会議や行事は忙しなく、

二人で落ち着いて話す時間は、僅かほどしかなかったように感じる。

 

つまり、言葉に出来ていない感謝も、

伝えそびれたまま積もっている状態。

 

(『愛してる』なんて言葉、軽々しく使うものじゃない)

 

(そもそも、今までの人生を振り返っても、口に出した記憶が無い…)

(……でも、ゲームとしてなら…)

 

自分が声に出してみることを想像すると、心臓が一際大きく脈動した。

 

(だめだ、やっぱりこの言葉は重い……!)

 

だが、これで鍛えられるのは確かだ。

自分よりも彼女にこそ必要な遊び……いや、訓練かもしれない。

そう理由付けする。

 

(…何より大人びた彼女が動じる姿を見られるなんて、ないだろう)

 

彼は雑誌をぱたんと閉じた。

弱かった雨脚は強まり、窓を叩く音が室内を満たしている。

(よし……決めた。ルドルフならこのゲームの本質理解してくれる。いや、してもらう)

 

大人である自分に、強く言い聞かせようとする。

だが…次の瞬間、思考に待ったがかかる。

 

(……待て、待て待て。もし……本気にされたら??いや、そもそも俺は『ただのゲーム』と割り切れているのか?)

 

「愛してる」なんて、簡単に言える言葉じゃない。だが……伝えることで得られるものは確かにある。

 

葛藤の中、まるで挑発するかのように、雨音はさらに強くなる。

少しばかり、冷たい空気が入ってくる。

 

トレーナーは深く息を吐き、閉じた雑誌を机の端に置いた。

 

一度固まりかけた、決意はまだ揺らいでいる。

……だが、妙な胸の高鳴りだけは確かにあった。

──それはまるで、起ころうとする嵐の前触れのようであった。

 




お読みいただきありがとうございました。ネタください。ネタ。
ルドまだ出てねぇな。
あと感想と評価は原動力なので…もらえると嬉しいです!

完全外伝を

  • このまま加えても良い
  • イチャつくならおk
  • 別で連載しろ
  • 早く本編書け
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