ソラニウタウトキ   作:kaito-18

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にぇ

 少女の翼が、再び光り出した。もう一撃くらったら、おそらく私のたちは許容量を超えて、ホロスタイルとのリンクは切られてしまうだろう。

 

 そうしたら、あいつはどうする?

 

 この島にも、住民はいる。まさかその人たちを、焼き尽くすのであろうか。

 

「負けられないっス、地球を守るのが、スバルの仕事っス」

 なんとか上体を起こし、必死に砂を掴みながら立ち上がろうとするが、脚に力が伝わらない。

 

 もがく私に、少女が視線を向けてくる。どうやら、とどめを刺すらしい。

「あ、終わったス」

 死ぬほどの痛み、嫌だなあ。

 

 再び燃える翼が強い輝きを放った。

 

 死ぬほど痛い思いをしても、実際に死ぬわけではない。そう自分に言い聞かせ、注射を刺される瞬間のように、観念して訪れる痛みを待った。

 

 しかし、目をつぶって歯をくいしばっていても、痛みに襲われることはなかった。

「スバル、大丈夫?」

「ミオシャ!?」

 私の目の前に、ミオが仁王立ちしていた。そしてミオの前には、八枚の光るタロットカードが浮かんでいる。どうやらそのタロットカードで、あの光る翼の攻撃を防いでくれたらしい。

 

「ヘキサグラムスプレッドの結界だよ、私の側を離れないでね」

 

「ミオシャ!ミオシャ!ミオシャ!ミオシャー!」

 私は安堵のあまり、ミオの腰に縋りつく。

 

「こ、こら!離れちゃだめだけど、くっつくな!結界はそんなに狭くないよ!」

「ミオシャ!ミオシャ!ミオシャ!ミオシャー!」

「いつまでも泣いてんじゃないよ!」

 

 いきなり耳元で怒鳴られ、私の鼓膜は激しく揺れた。

 後ろを振り返ると、犬耳の少女がメルを抱え、猫耳の少女がはあとを背負っていた。

 

「あの、どちらさまですか?」

「人の顔を忘れるなんて、なんて奴だ!」

 いや、怒られても知らんし。

 

「その二人は、コロネと、おかゆだよ」

「え、あの犬と猫?」

「そうだよースバルちゃん、僕たちSPYのホロスタイルは、動物の姿に変身できるんだよ」

 おかゆが尻尾を振りながら教えてくれた。

 さすがバーチャル、なんでもありだな。

 

「さあ、早くホロスタイルのリンクを解いて、意識を肉体に戻すのよ」

「え、でも、あの敵はどうするっス?」

 私が再び海上の少女に目を向けたとき、海岸から発射された二筋の光線が少女に命中した。

 

 少女は炎の翼でそれをガードしたが、空中でよろめいた。ダメージを受けたのだ。

 

 海岸からは続けて、少女に向けて光線が放たれ、少女は間一髪でそれを躱していく。

 

「すげー、なんスかあのビーム?」

「あれはロボコさんのビームだよ。ホログラムライブゼロ期生、ホロスタイル 0・一 ROBOTの演者。伝説と言われるゼロ期生の力は、半端じゃないんだから」

 

 確かに、三人を一瞬で追い込んだあの少女に対して、ロボコは優勢に戦っている。

 

「はあーすげーすな、ゼロ期生って。でも、本当に手伝わなくていいいんスか?」

「僕たちは戦闘向けじゃないからねー、それにまだ助っ人もきているから。ほら、あっち」

 おかゆが指をさす方向を向くと、見事な毛並みの尻尾を揺らした、銀髪の少女が立っていた。

 

 少女が右手を天に掲げると、彼女がいる周辺の景色が歪み、そこから体長が十メートルはあろうかという、巨大な銀色の狐が現れた。

 

 少女の指示により、銀色の狐は海岸へ躍り出て、炎の羽の少女に襲い掛る。

 ロボコの光線を避けるのに必死だった少女は、狐が振り下ろした腕に弾かれ、水面に叩き付けられた。

 

「あ、あれは、白上先輩っスね」

 ホログラムライブ一期生兼SPY、ホロスタイル 一・一 FOXの演者、白上フブキであった。

 

「あの二人なら大丈夫だべな、やれー!フブキちゃん!」

 コロネの応援に、フブキが親指を立てて答える。

 

「さ、私達は退避、退避」

 すでにメルとはあとは、コロネとおかゆがリンクを解いたらしく、姿がなかった。

 

「よ、よし、じゃあお言葉に甘えて、スバルも退避するっス」

 もう何回か、ホロスタイルのリンクを解除したことはあるが、人目があるなかでするのはまだ抵抗があった。

 

「スバルちゃん!さっさとしなさい!」

「あん!」

 

 せっかちな犬に背後から襲われ、私のリンクは強制的に解かれた。

 

 配信装置のハッチがひらくと、私はすぐに服を着て、食堂へ向かった。そこにはすでに、メルと、はあとの演者らしき女性が、テーブルに突っ伏していた。

 

「あースバルちゃんおつかれ~メルだよ~わかる?」

 やはり、テーブルに突っ伏していたのは、メルと、はあとの演者であった。

 

「お疲れさまっス、二人とも、大丈夫っスか?」

「うん、大丈夫だけど、あんな痛い思いしたの初めてだよ~」

「ほんっと!なんなのあいつ!次は許さないんだから!」

 はあとは悔しそうに、何度も両手をテーブルを叩きつけた。

「うらああああああ!」

 テーブルを叩きつけるだけでは気がすまなかったらしく、はあとはついにテーブルごと持ち上げた。

 

「ハーチャマやめて~」

「お、落ち着くっス!」

 メルと一緒に、はあとの蛮行をとどめていると、食堂のドアがひらいた。

 

 三人の視線が、入り口の向けられる。

 

「うむ、元気そうでなによりだにぇ」

 

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