ソラニウタウトキ   作:kaito-18

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世界よりも大切なもの

 ホログラムライブのメンバーは、すでに十五人。盗まれたホロスタイルは三人分だという、

 

 十八体のホロスタイルが兵器として使われたら、どれ程の被害が出てしまうだろうか。

 

「こっちから、敵の本拠地を攻めることは出来ないんスか?」

「難しいにぇ、ミオちゃん達の力で、敵の本拠地の場所はある程度は判断がついているけど、私達がその場所にホロスタイルで行くには、電波が届かないにぇ」

 

 敵は船や飛行機で近づき、日本の領海外から電波を飛ばして、イントゥルーダーを出現させている。

 

 こちらが同じことをするには、国の承認を得て、様々な援助を受けなければ、難しいであろう。だからこそ、まだ敵はこの国に被害を及ぼさない。

 

 実質的な被害がなければ、国が私たちの活動を支援することはないであろう。

 

 人気のない場所に出現し、イントゥルーダーの性能を確かめるために、私たちをおびき出しているのだ。

 

「なんか、敵の思惑どうりって感じで、面白くないっス」

 こちらは防戦一方で、敵がじわじわと攻めて来る状況は、スッキリしない。正々堂々正面から戦いたかった。

 

「まあ、矢郷も色々考えているはずにぇ」

 噂をすると、食堂のドアがひらき、矢郷が現れた。

 

「やあ、ミコさん、スバルさん、お疲れ様です」

「矢郷、おちかれー」

「お疲れさまっス」

 会社のCEO相手に、二人とも緊張感のない返事をする。

 

「矢郷が食堂にくるなんてめずらしいにぇ、弁当忘れたのか?」

「いえ、二人の話声が聞こえたので立ち寄りました。先程は撮影お疲れ様です。編集室も、笑いが絶えない感じでしたよ」

 

 それはアイドルとして褒められているのだろうか。

 

「案件を下さった『誰も入らない温泉を広めよう協会』さんも、満足いただけたようです。是非、次もお願いしますと、おっしゃって下さいました」

「やだ!」

「いやっス!」

 二人同時に拒否されて、矢郷は困った表情を浮べる。

 

「次はスイちゃんにやらせるにぇ」

「あやめなら喜んで入るはずっス」

「いや、やっぱりイメージもありますし」

「どういうことだよ!」

 

 私達が矢郷に噛みついていると、再びドアがひらき、エイが入ってきた。

 

「社長、そろそろ会議の時間です」

「あ、そうですか。それでは、失礼します」

 矢郷は逃げるように食堂を出て行った。

 

「ミコチ、やっぱり地球を救うより先に、私たちのイメージチェンジが優先かと」

「いまさら遅いにぇ。一度ついたイメージを払拭するのは、地球を救うより難しいのよ」

「そんな・・・」

 

 私はミコに慰められながら、家路についた。

 

 年末が近づくと、何となく教室もそわそわとした雰囲気に包まれる。期末試験、クリスマス、お正月と、イベントが続くせいだろうか。

 

 そんななかで、とつぜん発生したイベントに、私のクラスは色めき立った。

 

「はい、皆さん、もう聞いているかも知れませんが、今日から新しいクラスメイトが加わります」

 

 こんな年の瀬に転入生がくることは、非常に珍しい。しかも日本人ではなく、外国から転入してきたという噂だった。

 

「じゃあ、入ってきてください」

 

 教室の入り口から姿を現した転入生に、教室のざわめきが一気に大きくなる。

 

「みなさん、はじめ、まして。森カリオペともうします」

 

 転校生は、多少つっかえながらも、しっかりと聞き取れる日本語で、自己紹介をした。

 

「すごい、髪がピンク色」

「脚がながすぎー」

「顔が小さい、お人形さんみたい」

「じゃあ、席はスバルさんの隣にしましょうか」

「はい」

 

 私の席は教室の窓側で、一番後ろであった。その隣の席は、以前はエイが座っており、ずっと空席のままであった。

 

 カリオペは席に前に立つと、私に手を差し出し、握手を求めた。

 

「スバルさん、よろしく、おねがい、しまーす」

 

 私は慌てて立ち上がり、カリオペの手を握った。

 

(うわ、身長差やべえ)

 

 顔一つぶん以上、カリオペの方が背が高い。

 

「よ、よろしくするシュバ」

「シュバ?」

「あ!なんでもないっス!気にしないで欲しいっス」

「そう、ですか。なかよく、してくださーい」

 

 そう言って、カリオペは、とても楽しそうに微笑んだ。

 

 新入生が隣の席になったことで、私は一日中、ソワソワしていた。

 

 

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