ソラニウタウトキ   作:kaito-18

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ここにいるよ?

「次は余だよー!」

 シオンを突き飛ばし、別の少女が名乗りを上げた。

「いやースバルちゃん元気にしてた?」

「いや、初対面っス」

「あれ?そうだっけ?まあいいや。こんなきりー、余は百鬼あやめ、ホロスタイル二・三 ONIの演者でーす!、どう?余、角が生えてんだよ!かっこよくね!?」

「あ、はい。カッコいいです」

 あやめのテンションの高さに、私は思わず素になってしまった。

 

「やったー!余は火も出せるんだよ!『鬼火』えい!」

 突然あやめの指先に、マッチていどの火が付き、それを私に投げつけてきた。

「あっつ!!」

 投げつけられた火を思わずキャッチしてしまった私は、両手が火傷するような熱さと痛みを感じ、必死に火を消そうと両手を叩いた。

 

「いえー!拍手ありがとう!」

「拍手じゃねえよ!いきなりなにしやがる!お前は魔法使いか!?」

 こいつやべえ、初対面の人にいきなり火を投げつけやがった。

「魔法使いは私よ。あやめに出来るのは、ライターみたいなちょっとした火を生み出すくらい」

 

 先程あやめに付き飛ばれたシオンが、再び近くで話かけてきた。

「でも、ホロスタイルって凄いっスなあ。ライター機能が付いているんすか?」

「はあ?そんな機能あるはずないじゃん。でも、ホロスタイルは既存の常識や物理現象を無視できるんだって」

 何でもありって、こと?確かに、味も匂いも痛みも感じる自分の分身がここにるのは、すでにファンタジーだけど。

 

「じゃあ、すばるも口から火を吹いたりできるっすか?」

「口から出したいの?どうだろう、ホロスタイルの能力は、作成者のイメージに依存するらしいから。スバルは見た感じ無理そうじゃない?」

 たしかに、配信室のモニターで見た少女の姿は、いたって普通で、元気が取柄って感じであった。

 

「残念ス、スバルも空を飛んだり、火を吹いたりしたかったス」

「まあ、活動している間に、不思議な能力が見つかったり、現れたりするかも知れないから」

 これで、先輩二人と、同期二人人の自己紹介を受けた。

 

「これで全員っスかね。同期は全部で五人って聞いていたけど、後の二人はここには居ないんっスね」

「いや、スバルちゃん、一人は確かにこの場にいないけど、もう一人はいるよ?」

まつりに言われ、私は周囲を見渡した。

 

「他には誰も見当たらないっスけど」

「あてぃし・・・ここにいるよ?」

 突然背後から呟かれた声に、私は全身に鳥肌を立てながら振り返った。

 すると、メイド服を着た小柄な少女が俯きながら、もじもじと指を弄んでいる。

 

「あてぃし・・・ホログラムライブの・・・」

「声が小さくて聞こえねえっス!」

「ひっ!陽キャが怒った・・・」

 そんな大声を出したつもりはなかったのだが、少女は完全に下を向いて黙ってしまった。

 

「あースバルがアクアを泣かしたー」

 横からシオンが冷やかしてくる。

「ご、ごめんっス、怒ってないっスから、自己紹介を続けて欲しいっス」

「ほんとうに?・・・怒らない?・・・」

「大丈夫っス、スバルは生まれてから一度も怒ったことないっス」

 とりあえず嘘をついたが、話を進めるためには仕方がなかった。

 

「こ、こんあくあー、ホログラムライブの二期生、湊アクア。ホロスタイル二・一 MAIDの演者です。よ、よろしく、スバルちゃん」

 アクアは息も絶え絶えといった感じで、懸命に自己紹介をしてくれた。しかし、こんなに人見知りでアイドルが出来るのだろうか。まあ、俯く姿はとんでもなく可愛いのだが。

 

「じゃあ、これでこの場にいる全員の自己紹介が終わったね、最後にスバルちゃん、どうぞ」

 まつりに促されたが、五人に見つめられると緊張してしまう。そもそも、私はどんなイメージのアイドルになればいいのだろか。

「普段通りでいいのよ、スバルちゃんが普段友達に挨拶するような感じで」

 アキが優しくそう言ってくれる。

「五人を前に緊張してんなよ、これからは何百人、何千人の前で、歌ったり、踊ったりするんだからさ」

 シオンがにやにやと、笑いながらチャチャを入れてくる。

 よし、いくっス

 

「ちわーす!ホログラムライブ二期生、青空スバール!ホロスタイル 二・五 DAGの演者っス、よろしくしゅっばしゅばしゅば」

 精一杯の大声で挨拶をしたが、みんなキョトンとしている。

 

「しゅばしゅば?」

「何それ?どういう意味?」

「いや、エイちゃんがそう言っていればいいって・・・」

 なんか・・・変な空気になってしまった。

「じゃあ、よろしくね、しゅばる」

 まつりに変なあだ名をつけられ、自己紹介は終了した。

 

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