暴力沙汰はアイドルには許されない
『暴力』はこの世で最も強い力の1つだ。
もちろん普通の人間が生きていく上では必要ないとされるもの。法治国家。特に諸外国に比べて平和とされるこの国では暴力を振るう振るわれることは非情に稀だ。
だけど絶対に必要ないとは言い切れないもの。
平和といっても毎日犯罪は起こる。小さな暴力はいつだって起こりうるもの。
理不尽な暴力から抵抗するには暴力が絶対に必要だ。
それはアイドルであっても変わらないこと。
とはいえボディガードや警備員に任せればいいことでもある。可愛いアイドルに暴力は似合わないし有名人にとってそういう犯罪沙汰は絶対に避けるべきものだ。
だけど私はいざという時の備えを怠ったりしない。
「マッスル……パワー!!」
台の上に寝そべった私は腕に力を込めて重りをつけたバーベルを持ち上げる。
その際は呼吸を意識して上げる時は吐いて下ろす時は吸う。主に大胸筋を意識して行う。
「すっご……下手な男子より力あるんじゃない?」
「ふー……まあねー」
そして何度かそれを繰り返し、バーベルを固定された台の上に置いたところで声がかけられた。相手は一緒に、お試しでこのジムにやってきたユキちゃんだ。
私は近くに置いていたボトルに手を伸ばし、タオルで汗を軽く拭きながら身体を起こしてユキちゃんに答える。
「鍛えればこれくらいは出来るようになるよ。ユキちゃんもやってみる?」
「それだけやったら普通、身体がゴツくなりそうなもんだけど……なんであんたは大丈夫な訳?」
「そりゃ大分気を使ってるからねー。スタイルの維持に筋トレは必要だけどあんま鍛えすぎてゴツくなったら駄目だからギリギリのバランスをちゃんと考えてるんだよ」
筋トレはアイドル時代からの習慣だ。筋力や体幹、後は純粋な体力もアイドル活動を完璧に行うにはどれも必要なもの。スタイルを良くするにも効果的だし基本良い効果しかない。
同じアイドルの中には疲れるし身体が硬くなるから嫌だって子もいたけどそういうのも工夫次第でどうにかなる。見た目や身体の柔らかさを損なわないために必要な努力が足りてないだけのこと。
まあそれでも見た目に影響が出ることを嫌うなら量は限られてくるけどね。さすがの私も今の完璧なスタイルを維持しながら100何十キロも持ち上げるのは不可能だし。そこまでパワーをつけるならアイドルを捨てないといけない。
「なるほど。体育祭で見せたような南雲麗の圧倒的な肉体能力はこういったジムなどでの地道な努力によって支えられている。そう解釈しました」
そして私が肉体についての持論を思考していると横から淡々と私の分析をする言葉を口にされる。
その相手はつい先日、2000万プライベートポイントを使ってBクラスから引き抜いた我がAクラスの新たな仲間、森下藍ちゃんだ。
ジムで身体を鍛える多くの人達と違って藍ちゃんは汗ひとつかいておらず、トレーニングウェアを身に付けながらも一切運動をせず私のことをただ見続けていた。運動よりも私に興味があるのだろう。その分析と疑問は続いている。
「しかし意外です。南雲麗はこういった努力を表に見せる人間ではないと思っていました」
「ほう。その心は?」
「見栄を大事にする人間だと思っていたからです。汗水垂らして弱っているところを他人に見せる。南雲麗の言うところの完璧なアイドルはそういった部分を見せないものなのでは?」
中々に面白いことを言ってくれる。
そして的外れな訳じゃない。確かに私は見栄を、正確に言うならば見映えを大事にしている。完璧なアイドルであればこういった陰での努力など見せずに軽やかに何でもこなし、マイナスなイメージを持たせずただファンを楽しませるために活動する。きっと藍ちゃんはそんな風に考えたのだろうが私はそれを否定する。
「アイドルへの分析と理解が足りてないね藍ちゃん」
「というと?」
「努力や失敗もファンを魅了する大事なコンテンツの1つなんだよ」
私は過去の経験を思い出しながらそれを教えてあげる。
「歌やダンスも得意じゃないけど応援したくなる子っているでしょ? それって大抵はその子の努力や頑張り、背景を知ってるからなんだよ」
「あー……なんか分かるかも。頑張ってるけど報われない人ってちょっと応援したくなる」
「そう。ユキちゃんの言う通り、それに近いことだよ」
ユキちゃんが言うのはいわゆる判官贔屓だ。
弱者を憐れみ応援したくなる第三者。努力や失敗をあえて見せることもまた人を惹きつける方法の1つ。メジャーで誰からも人気のあるものよりもマイナーなものを応援したくなる心理というものが人間にはある。
だけど私の場合は少し違う。
私は私の情報をコントロールしている。
なぜそれをするか。それは、私がアイドルで有名人で多くの人の好奇心を刺激する存在だからだ。
私のファンやそうでない人にとっても私の情報は知るだけで得をするもの。
隠している秘密を暴くことほど甘美なものはないし、皆が知らない情報を自分だけが知っているという優越感に敵うものもない。
こうやって人知れず筋トレをしているという大した事のないゴシップでも、知ればちょっと嬉しくなるだろう。興味が湧くだろう。意外に思うだろう。
そしてそうなれば更に好奇心も湧いてくる。知れば知るほど好きにある。もっと知りたいと思うようになる。
もちろんそれはプラスになる情報に限ることだが、だからこそ私はこうやって努力を見えるように隠している。
本気で隠してはいない。偶然や噂、調べてみれば調べられる程度の情報だ。
しかし自分で見つけ出したその努力しているという情報は私のイメージを更に向上させるだろう。「実は裏ではあんなに頑張ってる」──私という人間がただの天才じゃない、血の滲むような努力によって作られているものだと思わせることが出来る。
ま、別に嘘って訳じゃないけども。私は努力家でもありながら天才でもあるからね。
ただあんまり完璧すぎるところを見せるとそれはそれで気持ち悪いから人間味のあるところもしっかりと意識して見せないといけない。真の『完璧』とは『完璧』であることじゃないのだ。
私はその持論を思いながらも周囲を見渡す。そして自分にとってだけじゃない。他のメリットも説明した。
「それにリーダーである私がこうやって頑張ってたらそれに触発されて頑張ってくれる子も出てくるでしょ?」
「あー、あっちの神崎くんみたいな?」
私がそう言えばユキちゃんも視線を向ける。少し離れた場所でチェストプレスマシンに取り組む隆二くんの姿があった。
「ふーっ、ふーっ……! まだ、まだだ……! 後10回……!」
「めちゃくちゃ頑張ってるけど……あれも南雲さんの影響って訳?」
「んー、前々から鍛えてはいたっぽいけどね。体育祭のちょっと前くらいにここ紹介してあげてからは定期的に通ってるみたいだよ」
「察するに神崎隆二は南雲麗の影響で身体を鍛えることが趣味になったということですね」
「正確には自身を高めることが趣味というか日課になった感じだね。勉強も頑張ってるみたいだし」
隆二くんは今、Aクラスで1番伸びてる生徒の1人だ。こないだの体育祭でも好成績を残してたし、棒倒しでも結構頑張っていた。間違いなく私の影響、そして龍園くんの影響だろう。対抗するために暴力や裏での戦いが出来るように努力している。
とはいえまだまだ龍園くんには及んでないけどそれはまあ徐々に成長してくれればいい。参謀としては十分合格点だし、上を目指そうとする上昇志向も私的にはかなり好印象の大歓迎だ。是非ともそのまま成長していって貰いたい。隆二くんの方の育成方針はほぼ固まってきたし今のところ問題もないね。あるとすれば……。
「Aクラスの団結力は南雲麗の努力によって成されている訳ですか。なるほど、納得しました」
「元々協調性の高い子が多いからね。私だけが理由じゃないよ」
私がそう言えば藍ちゃんも理解したようだ。私だけじゃない、ユキちゃんにも視線を送ってくる。
「であれば私や姫野ユキのような生徒は異端ということですね」
「……確かに自覚はあるけどさ……森下さんと同じに括られるのは引っかかるんだけど」
「確かに。私ほど特別な人間ではありませんね。姫野ユキは1人を好む消極的な性格。それでいて同調圧力に負けて結局は誘いを断れない。そして嫌がりながらも明らかに人の輪からハブられることも嫌う。実に日本人的な思考の陰キャ、と言ったところでしょう」
「……ねえ。ひょっとして私、今ものすごい喧嘩売られてる?」
「あはは、悪気はないと思うよ」
急にとんでもないことを言い出した藍ちゃんにユキちゃんが一瞬固まって私の方を向いて尋ねてきた。さすがにイラッとしたみたいだね。
でも藍ちゃんの評価は中々に的確だ。この短い期間にユキちゃんの分析を済ませる観察眼に推理力。空気の読めなさや変人さも含めてやっぱ良い買い物だったね。
「私や姫野ユキのような人間を重用するということは南雲麗は能力よりも人格を重視しているのでは? 姫野ユキ、どう思いますか?」
「は、はあ? そんなこと聞かれても……というかその口調どうにかならない訳?」
「私の喋り方が気に障りましたか。でしたら申し訳ありません」
そう言って背中を折って謝罪をする藍ちゃん。その真摯な謝罪にユキちゃんが少し戸惑う。
「別にそこまで謝らなくてもいいんだけど……」
「はい。では許して頂けるということでこれからもこの口調で喋っても問題ないということになりますね?」
「は? え……何? 何でそうなるの?」
とんでもない押しの強さと変人ぶりにユキちゃんが更に困惑した。んー、さすが藍ちゃんだ。いきなり他のグループに放り込むと大変なことになりそうだね。協調性の強いAクラスの子達にこのキャラは中々刺激が強いだろう。なので最初は私やユキちゃんで馴染ませないとね。鳴り物入りで移籍してきたのもあって他の皆もどう絡んでいいかまだ探り探りだし。
とはいえ帆波ちゃんや哲也くんといったそれでも受け入れてくれる人の良いAクラスの中でも更に人の良い子達もいるからそれに影響されて他の子達もしっかりと受け入れてくれるだろう。少なくとも悪い感情を抱く人はいなさそうだ。
「話を戻しますが一之瀬帆波や神崎隆二といった優れた能力を持つ生徒とは別に姫野ユキのような普通の生徒を重用しているのはその普通さに着目しているからではないでしょうか」
「まだその話続けられるってどんな神経してるの」
「姫野ユキは気になりませんか。南雲麗が、自身に何を見出したのか。その思考を理解してみたいと思いませんか?」
「……それは、まあ……気にならないといえば嘘になるけどさ」
藍ちゃんの言葉を聞いてちょっと気になったのだろう。こちらを見てくるユキちゃんに私は笑顔で答えてあげる。まあ、藍ちゃんの推理は中々いい線をいってる。大きな理由ではないが、小さな理由としては正解だ。
ただ一見して普通の人間だろうと私は見逃さない。
あらゆる人間には価値がある。見た目が不細工でも取り柄がなさそうな落第者であってもだ。優れたリーダーは、アイドルは、そういった普通の人をも導くものだ。
だから私はファンサを欠かさない。ユキちゃんにもしっかりと応えてあげる。
「んー……なんか、ピン、ときたからかな」
「……それってどういう意味?」
「直感、ということでしょうか」
「さて、どうかな。気が向いたらそのうち教えてあげる。──ってな訳でそろそろ次の予定が入ってるからお暇しようか」
はぐらかしながら私はシャワー室へ向かっていく。答えを教えることが正解とは限らないからね。
そしてその帰りのロッカールームでいつものように携帯を確認してあらゆる履歴を確認する。着信にチャット、メールまで私への連絡は毎日死ぬほどある。人気者だからね。すぐに対応するものと遅れても問題ないものを一瞬で取捨選択して返信する。
だがそんな中に、相手にとって緊急性の高いものを1つ見つけた。
「あらら、待ちきれなかったかな?」
どうやら私の指示を待てずに動いちゃったしょうがない子が1人。ちょっと焦らしすぎちゃったかな。あれほど不用意に動かないように言っておいたのにほんとしょうがないなぁ。
……ま、それでも良い感じにしてあげないとね。
私はそのメールに返信を返すことなく着替えてジムから出る。次に向かう先は友達とのお買い物とご飯だ。流れによってはカラオケも行くかな? ま、喉の調子は基本万全だからどっちでもいいけど。生徒会の仕事は今日は休みだから遊ぶ時間は沢山ある。
勉強に運動に社会奉仕。遊びに趣味にコミュニケーションにも手を抜かない。Aクラスのリーダーとして。アイドルとして。私は今日もキラキラとした姿を周囲に見せつけるのだ。
「いいか? 俺は一切手を抜いたつもりはない」
その日、とあるカラオケBOXで1人の男が周囲の側近達に語りかけるように口にした。
その男の名は龍園翔。Cクラスを支配する暴君。不敵な笑みを携え、威圧的な雰囲気を醸し出す龍園はその場にいる側近、石崎やアルベルト。伊吹といった慣れた者達にさえ緊張を走らせる。
そうして語るのはこれまでの戦いの振り返りだ。先日までの記憶を回顧しながら龍園は口にする。
「坂柳のヤツは間抜けにも手を抜いたことで無様を晒したが俺は違う。麗にDクラスのX。そのどちらも叩き潰すための準備は着々と進んでる。そこに手抜きは一切無しだ」
龍園は自らの打った手がしっかりと効果を表していることを誇示する。Dクラスの生徒を付け狙わせているのもその1つだ。
「だが真鍋の時にも言ったよな? どんなに完璧な作戦も筒抜けじゃ意味が無い。そう、言った筈なんだがなぁ」
そうして龍園は床を足でバン、と踏み鳴らす。その威圧に、目の前で膝をつく男子生徒は身体をビクッと震わせた。
「俺はこうも言った筈だ。どっちを敵に回すことが本当に恐ろしいか、それを履き違えてるんじゃないのか?」
龍園は真正面から、その男子生徒の目を見る。怯え。恐怖を感じてるその表情に、龍園は笑みを深くする。
「警告はしてやった。だがそれでも裏切るとは。おまえがまさかそんな度胸のあるヤツだとは思わなかったぜ──野村」
「ちっ、違っ……! 僕、僕じゃないっ……!」
その生徒の名は野村雄二。Cクラスの気弱な性格の男子生徒だった。
その野村を、龍園は裏切り者だとして断罪する。このカラオケBOXが野村の処刑場だ。
「クク。今更弁明か? 生憎とネタは上がってんだよ。そうだよなぁ、時任」
「ああ。夏休みに南雲と2人でいるところを見た。さっき見せた写真がその証拠だ」
その時、龍園に名前を呼ばれて答えたのは同じくCクラスの男子生徒、時任祐也。
野村が裏切り者だと、証拠付きで龍園に密告したのがこの時任だった。その時任から渡された写真を、龍園は携帯で開いて野村に見せつける。
「2人だけでカラオケとはな。おまえがあの女と良い仲だったなんて知らなかったぜ野村」
「こ、これはその……! ただ遊びに行っただけで……!」
「嘘つけよ。おまえがアイドルと二人っきりで遊びになんて行ける訳ねぇだろ!」
龍園の傍らにいた石崎が野村を脅すように語気を荒くする。若干の嫉妬、羨ましさを感じている様子だがそれに気づいた龍園に伊吹もそれを一々指摘はしない。
だが野村は言い返した。弁明しなければ殴られる。その暴力への恐怖が野村の口を一時的に軽くさせる。
「ほ、本当なんだ! 僕、彼女のファンで……ダメ元で誘ったら1時間だけカラオケに誘ってもらって……」
「そんな言い訳が通用するかよ。龍園さん、絶対こいつですよ。野村なんかがアイドルにカラオケに誘われるなんてありえません」
だが石崎はそれを信用しようとしない。南雲が冴えない男子と2人で遊ぶなんてありえないとしている。
しかしそれを見ていた伊吹は呆れるように口にした。
「くだらない。ただの嫉妬じゃない」
「なっ……ば、馬鹿! 違ぇよ。俺はだなぁ……」
「それよりも裏切ったのが野村ってのは確かなの? 本当にただ遊びに行っただけって可能性はないわけ?」
石崎の個人的な感情を切り捨て、伊吹は龍園に問いかける。確かに写真はあるし、多少不自然であることは理解出来るがこれだけで黒だと断定することは出来ない。
そう尋ねると龍園は即答した。
「真鍋の時と同じだ。見れば分かるんだよ。こいつの怯えっぷりは尋常じゃない。俺に後ろめたいことがある証拠だ」
「あんたに脅されてるからじゃないの。確かに真鍋の時は当たってたけど今回もそうとは限らないじゃない」
少し前。龍園がクラスメイト全員の前でスパイを発見した時のことを思いだしながら伊吹は言う。その時も、龍園は見ただけで真鍋がスパイであることを簡単に見抜いてみせた。
だが今回の野村は、その時にはバレることはなかった。その違和感に引っかかりを覚え、伊吹は意見を口にする。
「それにこの写真もどこから手に入れたのよ。時任、あんたが撮ってきたってわけじゃないのよね」
「学校の匿名掲示板に貼ってあったんだよ。出処は俺にも分からない」
学校が用意している掲示板は生徒たちにはあまり使われていない代物ではあるが、それでも時折、ちょっとした情報が拾えないこともないものだ。
興味本位で書き込んでみた生徒のどうでもいい呟きが大半だが、その中に南雲と野村が写っている写真が一枚だけ貼ってあるのを時任が見つけた。時任はその画像を保存して龍園に密告し、野村をこの場に呼び出したというのがここまでの流れ。
その事実を思い、龍園は薄く笑って野村を責め立てる。
「そういう訳だ。写真の出処は確かに気にはなるが麗と野村が2人で会っていたのは事実。なら、そこに何かあると思うのは自然な発想だよな」
「で、でも本当に違うんだ……! 本当に、ただちょっと歌を聞かせてもらっただけで……! クラスの情報も何も漏らしてなんか……!」
「あくまで自分はやってない、か。なるほどな。相当麗に躾けられてるらしい。優秀な飼い犬じゃねぇか」
野村の言い分には耳を貸さない龍園。そして龍園にここまで言われても吐かない野村に、出口を固めていたアルベルトがのそっと近づいてくる。主の命令を待っている。龍園が一言告げるだけでアルベルトは野村に制裁を加えるだろう。
だが龍園はその一言をアルベルトに下さなかった。代わりに別の者に声をかける。
「──時任。おまえがやれ」
「な……俺が、か?」
その相手は石崎でも伊吹でもない。時任だった。
時任は突然の命令に戸惑い、龍園に聞き返してしまう。命令に違反する行為。だが龍園は特に怒ることはなく再度口にした。
「おまえが野村を吐かせろ。野村を見つけてきたのはおまえの手柄だ。これから俺の側近として使ってやるにあたっておまえがどこまで出来るかも見ておく必要があるんでな。それも兼ねておまえがやれ」
「っ……だが……」
時任は躊躇する。側近として使われるのは望むところだが、こうして自分が誰かを殴る覚悟まではしていなかった。
だがよく考えなくても、龍園に重用されるというのはそういうことだ。石崎やアルベルト、そして伊吹がやるように兵隊としての役割が求められる。
あるいは椎名や金田のように頭が回ればそういった駒として扱われることも出来る。
だが時任はそうじゃない。持っているのはその覚悟だけだ。
「ひっ! ご、ごめんなさい……! や、やめて……」
「どうした時任。野村が怯えてるぜ。早く終わらせてやった方がいいんじゃないか?」
龍園の再度の通告が耳に届く。
時任は考える。ここで殴らなければ龍園は時任をそこまでの生徒だとして評価するだろう。今後の動きも自分抜きで行われる可能性が高くなる。
そしてそれは時任の望むところではなかった。
「……恨むなよ野村」
時任は拳を握る。
人を殴ったことがないわけじゃない。
だが龍園のように人を殴ることに抵抗を覚えないわけでもない。
だがそれでも……時任は覚悟を決めた。腕を振りかぶって野村に狙いを定める。
「……!」
ゴッ、と鈍い音が身体に響いた気がした。
そうして時任は野村を殴った。拳に骨が当たって痛みを感じる。
だが殴られた野村の方は時任の何倍も痛みと恐怖を感じていた。
その苦痛に、野村は耐えられなかった。やがてゆっくりと震える声で野村は口を割る。
「僕が……や、やりました……!」
体育祭での音声の録音もCクラスの情報も全て南雲に漏らした。その自白。それを終えて龍園は笑みを深くする。
「クク……酷いことしやがるぜ」
「これで……いいんだろ」
「とりあえず、これでスパイの問題は片付いた」
そう口にする龍園の目は野村も、時任もその場の誰も見ていなかった。
見ているのはこの場にいない南雲にX。龍園が見定める標的だけだった。
日間ランキング10位ありがとうございます。今回からは皆大好きVS龍園編です。次回も早めに。感想で欲しがってた人がいたので麗ちゃんの見た目点数表載せときます。
100点 麗ちゃん
96点 佐倉愛里(グラビアアイドル時)
95点 一之瀬帆波(見た目も性格も良い親友。まだ上を狙えるポテンシャル)
95点 堀北鈴音(表情や内面、おしゃれもまだまだだけどポテンシャルは高い)
94点 堀北学(ちょっと表情が固いのでもっと笑ってみよう)
93点 南雲雅(兄妹だからイケメンだけどちょっと下がる)
92点 朝比奈なずな(可愛いギャル感。可愛がってくれる個人的に好き。なずなちゃ先輩)
91点 椎名ひより(読書美少女は属性的にアリ。頭の回転も早いしアイドルとして売れそう)
90点 坂柳有栖(ロリ)
90点 鬼龍院楓花(高円寺くんよりはマシだけど……)
89点 平田洋介(特にケチをつけるところはない)
88点 櫛田桔梗(下位互換なだけあって可愛いんだけどなぁ)
87点 神崎隆二(目つきの鋭さをどう見るか。ビジュアル系っぽい)
86点 松下千秋(美人可愛い系で同年代にしては大人っぽい)
86点 桐山生叶(かっこいいけど堀北先輩以上に固い印象がある)
85点 綾小路清隆(雰囲気が陰キャじゃなければもうちょっと上)
85点 網倉麻子(性格も良いし文句なしに可愛い)
84点 神室真澄(美人系で愛想がないけどそれがまた似合ってる)
84点 姫野ユキ(可愛いしおしゃれがイケてるので結構加点)
84点 真田康生(雰囲気が柔らかくて良いと思う)
83点 森下藍(不思議ちゃんはポイント高い)
83点 橘茜(弄ると可愛い。堀北先輩が好きなところも良いと思う)
82点 伊吹澪(武道やってるだけあって足が綺麗。表情を意識すればもうちょい伸びる)
82点 白波千尋(童顔で可愛い。百合もアイドル的にはあり)
81点 長谷部波瑠加(常に気だるそうでエロい雰囲気)
81点 茶柱佐枝(年齢相応なOL感が良し)
80点 星之宮知恵(もう少し若ければ5点プラス)
80点 軽井沢恵(普通に可愛いけど内面に問題がありそう)
80点 真鍋志保(学園ドラマのいじめっ子役で採用したい。虐めても虐められても輝きそう)
80点 小橋夢(普通に可愛い)
80点 高円寺六助(ノーコメント)
79点 佐藤摩耶(おしゃれに気を使ってるのがいいね)
78点 龍園翔(見た目は良いけど雰囲気が威圧的すぎるので結構マイナスにした)
78点 西野武子(不良女子でちょっと大人っぽい。唇がセクシー)
77点 柴田颯(爽やかイケメンだけどちょっとわんぱくすぎかもしれない)
77点 南方こずえ(隠れおバカちゃんで可愛い)
76点 橋本正義(内面がなぁ)
76点 安藤紗代(THE・バレー部女子って感じ。明るくて健康的)
75点 山村美紀(雰囲気が暗いからもうちょっと明るくしていこう)
75点 木下美野里(細い運動部女子。下半身の筋肉の付き方が結構良い)
74点 小野寺かや乃(ボーイッシュな感じは悪くない。宝塚的な需要がありそう)
73点 篠原さつき(普通の最上位って感じ。男目線でワンチャンありそうな感じ)
72点 王美雨(素材は良いものを持ってる。磨けば光そう)
71点 佐倉愛里(普段時。素材は良いけど普段が野暮ったいのがね)
71点 諸藤リカ(幸薄そう)
70点 藪菜々美(真鍋ちゃんの取り巻きとしては絶妙な可愛さだと思う)
70点 山下沙希(上に同じく)
70点 浜口哲也(イケメンというかなんというか……ちょっと中性的で判断に迷う)
69点 幸村輝彦(真面目くんすぎる。おしゃれに気を使えば10点は伸びる)
68点 渡辺紀仁(頑張ってるのは認める。でも麻子ちゃんとは釣り合わないなぁ)
67点 三宅明人(この学校での普通はこのくらいかもしれない)
66点 時任祐也(目つき悪いんで表情で挽回してみよう)
65点 真嶋智也(しっかりした大人なだけあって最低限身だしなみは整えてる)
56点 池寛治(顔の作り自体はそこまで悪くない。頑張ればもうちょっと伸びそう)
55点 戸塚弥彦(芸人の才能あり)
51点 葛城康平(ハゲもちょっと判断難しいけど人格に免じて1点プラス)
50点 山田アルベルト(黒人は判断が難しい)
49点 坂上数馬(多分むっつりスケベなんじゃないかな)
46点 石崎大地(よく見れば馬鹿な雑種犬みたいで愛嬌がある気がしないでもない)
43点 小宮叶吾(塩顔だなぁ)
42点 須藤健(見た目がイカついのは低め)
41点 鬼頭隼(絶対何人か人殺してるでしょ)
40点 外村秀雄(ただのオタク)
39点 山内春樹(不細工ではないけど全然イケてもない。中の下か下の上)
30点 金田悟(少なくともその顔でその髪型は女子ウケしない。芸人になれば受け入れられるかも)
と今回はこんなところで。
感想、評価、良ければお待ちしております。